「ここはよい世界だ」
グランマザー・ルカははーちゃんを連れて、原っぱをあてもなく歩き出した。
ひらひらと舞う蝶が時々グランマザーの肩に留まって羽を休めていたが、グランマザーは払う様子もなくそのままに留まることを許していた。
心ここにあらずといった様子で、心の内でどこか遠くを見ているようだった。
「はー?」
はーちゃんが心配そうに息を吐くと、グランマザーはそれを察したのか、やがてつらつらと語りだした。
「先の戦いでは力になれずにすまなかったな。ラパーパやお前たちだけに苦労をかけた……だが許してくれ。私にはもう何をする力も残っていないのだ」
グランマザーは悲しげに俯く。
「……多くの同胞が、デウスマストの犠牲になったというのに」
「それはルカのせいじゃないよ」
「例えそうであっても、割り切れぬものではない……デウスマストは命の溢れる世界を優先的に狙っていた。だから私の世界など食らう価値もないと見なし、無力がゆえ私は生き長らえた。戦うこともなく、戦うこともできず……皮肉なものだ」
そういってグランマザーはがっくりと肩を落とした。
グランマザー・ルカの話を黙って聞いていたはーちゃんだったが、デウスマストの名前が出た時、ピンと今起こっている異常とその名が結びついた。
終わりなき混沌、デウスマスト!
全部浄化したと思っていたけれど、もしかしてまだどこかに残っているのかも!
はーちゃんは単刀直入にグランマザーに切り出す。
力は衰えたというが、それでもグランマザーは膨大な知識と深い知恵を湛えた存在である。困りごとを相談するのにこれほど頼りになる存在はいない。
「ルカ、大変なの! さっきも言ったけど、突然世界と世界を繋ぐ道が消えちゃったみたい! ひょっとしてこれもデウスマストのせいなのかな?」
グランマザーは俯いたまま首を振った。
「いや、プリズムフラワーがなくなったことが原因だろう。その力が失われた影響で数多の世界の繋がりが失われたのだ」
「プリズムフラワーが? 一体どうして……」
「私だ」
その時、一陣の風が舞い小さな花びらがはらはらと舞う。
美しく風雅な光景の中で、はーちゃんの表情が凍った。
「……はー? ルカ?」
「あの花は私が摘んだ」
グランマザーの言葉に、はーちゃんは耳を疑った。
「そ、そんな……ルカ! いったい何を……」
「マザー・コトハ……見るがいい、時に打ちのめされ老いに侵された私の体を。残念だが我々とて永遠の存在ではない」
グランマザーは見ろと言ったが、その純真な瞳に耐え切れず、思わずはーちゃんから体を背けた。
はーちゃんはグランマザーが何を語るのか待っている。
グランマザーは思った。
今この場でコトハに真実を語れば思い描いた計画があっさり破綻するかもしれない。
嘘をつくのは容易い。何も語らないまま有耶無耶にするのはもっと容易い。
だがそれでも、コトハは私がプリズムフラワーを摘んだのには何か事情があるんだろうと、そう信じて疑わない目で私を見ている。偽りもなければ、偽る必要もない目。
「……」
とても嘘などつけぬわ、とグランマザーは真実を語ることにした。
「……もうすぐ私は消える。誰のせいでもなく、ただ自然の摂理に従って。どんな魔法も、どんな奇跡もそれを止めることはできない」
はーちゃんは深い悲しみを表すように息を吐いた。
「はー。グランマザー……」
「そんな声を出すな。ラパーパや他のマザーのことを考えれば私は十分すぎるほど生きた。なればこそ潮時と思っていたのだがな……ある時気づいてしまった。私の命はもはや私だけのものではない、ということに」
「どういうこと?」
「未来もなく、ただ消えることを待つ身となった私に最後に残っているものは何だと思う?」
「……分からない」
「お前にはまだ分からぬか、無理もない……それはな、思い出だよ」
「はー。思い出?」
「ああ。そうだ」
グランマザーは空を仰いだ。頭上では黄色い太陽がさんさんを光を振り舞いている。グランマザーの世界ではとうの昔に見られなくなった光景だ。
「私の世界の思い出、私の中で生まれた命の思い出。そこに生きた人々がいたという思い出。私が消えればそれらも失われてしまう。それだけは耐え難い……だから私はあの花を摘むことにした」
「はー! まさかルカはプリズムフラワーを使って、若返るつもりなの?」
「……」
グランマザーは目を閉じて口を一文字に結んだまま押し黙った。
そして長い沈黙の果てに消え去りそうな声でグランマザー・ルカは答えた。
「……違う。それでは問題を先送りしているだけだ。ただ力を取り戻すだけでは駄目なのだ……始まりある限り終わりはある……この世は皮肉だ。永遠の生を求めれば、生の始まりすら否定しなければならん。そうでなければ終わりなき者にはなれぬ」
「終わりなき者……」
本能的にはーちゃんははっとして、グランマザーから後ずさった。
凄まじく不吉な予感がする。思っていたよりずっと状況が悪い気がした。
「デウスマスト……?」
「そうだ。始まりも終わりもない混沌、残念だが永遠足りうる方法はそれだけなのだ。プリズムフラワーの力を使い、私は新たなデウスマストとなろう。それが私の結論だ、マザー・コトハ」
「そんな、そんなことが……」
「出来ぬと思うか? 混沌と宇宙は表裏一体。お前とてデウスマストをこの世界へと変えたではないか。その逆を行うだけだ」
「違う! そんなことを言っているんじゃないよ! 本気なのルカ! 本当にそんなことをしたら、思い出だって消えちゃうのに!」
「消える、とは少し違う。全てが無意味な虚無となるのだ」
「じゃあ消えるよりもっと悪いわ!」
「……永遠の虚無、全てが意味を失った世界。そこでは消えた、という事実さえ無意味となる。なればこそ、かつての光景の断片が泡沫の夢として荒れ狂う混沌に浮かぶかも知れぬ……」
「そんなことは止めて! ルカ!」
縋るようにはーちゃんはそういったが、グランマザー・ルカは顔を背けたまま首を振った。
「断る」
「キュアップ・ラパパ! エメラルド!」
はーちゃんは素早く魔法の本であるリンクルスマホンを取り出し、伝説の魔法つかいの名を刻む。
「フェリーチェ、ファンファン、フラワーレ!」
その呪文とともにはーちゃんの体は光に包まれ、純朴な少女から世界の守護者キュアフェリーチェへと変身する。
緑色を基調とし薔薇を象ったドレスに、花と蝶をの髪飾り。そして高貴さを表すサークレットを身に着けて、同時に体つきも大人のそれに成長していく。
「あまねく命に祝福を……」
花吹雪を纏い現れたキュアフェリーチェは、そう呟き悲しげにグランマザーを見据えた。
「グランマザー・ルカ。あなたの悲嘆はきっと私の想像を絶するのでしょう。ですが! 新たなデウスマストを生み出すのを見過ごすわけには参りません! プリズムフラワーを元に戻してください!」
グランマザーはフェリーチェの言葉を無視して言った。
「お前の目元にはラパーパの面影があるな」
フェリーチェは自身専用の杖、フラワーエコーワンドを取り出して、威嚇するように花のついた杖先をグランマザーに向けた。
「とぼけるのは止めて下さい! これが最後です! プリズムフラワーを元に戻しなさい!」
「そうやって怒った顔もよく似ているわ」
「私は本気です!」
「それは分かっている。しかし、お前はあまりに若く、優しすぎた。私に警告などしなければよかったのだ……虹の花よ!」
パチンッ。
グランマザーは中指と親指をこすり合わせて弾く。
一瞬のうちにフェリーチェは不思議な光のヴェールに包まれていた。
フェリーチェは抵抗しようとしてもがいたが、その光はまるでタールのように体にへばりつきどんどん動くことさえ困難になっていく。
それだけでなく力がどんどん抜けていく。体が重くなり意識を保つことさえ難しい。
「グ、グランマザー……な、なにを」
「眠れ、幼子。深く深く……」
フェリーチェは意識が遠ざかっていくのを感じた。
抗うことを止めた時、あれだけ重かった体が羽のように軽くなっていく。
プリキュアの使命もマザーラパーパの後継者としての役割もなく、フェリーチェの心にあったのはただ平穏だけだった。
変身は解かれ、伝説の魔法使いキュアフェリーチェは、花海ことはという少女になっていた。
やがてその姿も変化し、少女花海ことはは、小さな妖精のはーちゃんとなっていた。
寝息を立てるはーちゃんは柔らかな光と化し、リンクルスマホンの中に収まると、魔法の本は静かに表紙を閉じる。
「お前たちにはすまないと思っている……」
夢うつつの中ではーちゃんは誰かがそう呟くのを聞いた。
はーちゃんの入ったリンクルスマホンを拾い上げたグランマザーは、文字通りそれを胸元に収めた。
グランマザーの体はまるで粘土のようにリンクルスマホンを飲み込んでいく。
今の自分が混沌と化したところで大した存在にはなれない。ラパーパのプリキュアはすぐに浄化してしまうだろう――だからこうせねばならなかった。
胸の中でリンクルストーンエメラルドの魔法力と、コトハの鼓動が脈打つのを感じる。その二つが私をかつてのデウスマストよりも強大な混沌へと変えるだろう。
……とうとう落ちるところまで落ちたな、とグランマザーは自嘲した。
「マザー・ルカ!」
「ご無事ですか?」
いつの間にかグランマザーの背後に二人の少女が出現していた。
振り返ったマザーはぎこちない顔でその二人に微笑みかける。
「ああ、全ては順調だ。だが私が混沌となるにはしばし時間がかかる。それまでの守備は頼んだぞ」
はい、と二人は頷いく。
「いい子だ」
今度は本当の微笑みだった。
「でも、本当にラパーパのプリキュアはここに来るのかな? 道はもうないのに」
「そうですわね。このまま何事もなく……という可能性もありますわ」
「いや……」
二人の少女は半信半疑だったがグランマザーは既に微かな魔法の揺らぎを感じていた。
「来る。プリキュアが来る」
グランマザーの言葉とほぼ同時に、三人の前にバンと巨大な扉が現れた。
少女たちはたじろいだが、それを見たグランマザーは目を広げ、やがて喉の奥でくぐもった笑い声を出した。
「クックック。なるほどそうきたか。懐かしいものを見せてくれる」
「な、なんですの、これ!?」
「魔法の扉だ。かつては私の世界でも広く用いられていた」
「なんにせよ、やっぱり来たってわけか!」
少女の一人はガチンと拳を叩き合わせた。
そしてグランマザーは三歩後ろに退き、目を閉じてプリズムフラワーの力を開放させる。
夕日に照らされて伸びる影のように、グランマザーの体は膨れ上がり半透明の巨人へと変わっていく。
痩せても枯れてもその姿はまさしく大いなる太母と呼ぶに相応しい威厳を備えていた。
しかしその姿にはほんの僅かに奇妙な歪みがあり、その歪みは少しづつ少しづつ大きくなっていく。
生命を抱くグランマザーから生命を飲み込む混沌へ。定命の存在から終わりなき者への変貌が始まっていた。
そして三人の目の前で、ついに扉が開き始めた。
ガタンと勢いよく扉を潜ったみらいの目に飛び込んできたのは、聳え立つ巨人とその足元に控える二人の少女である。
一呼吸の間に、みらいはその三者の姿と顔を見回した。
知らない人、知らない人、知らない人。
そして確認作業が終わるとその存在を完全に無視した。
「はーちゃん! どこ? いるなら返事をして!」
「甘い匂いがするモフ! はーちゃんはあそこモフ!」
みらいから少し遅れて扉を潜ったモフルンはそう言いながらう指差したのはグランマザーの胸元である。
暴走気味のみらいと対照的になにやら怪しげな雰囲気を感じ取ったリコは、もう少し常識的な反応だった。
みらいを抑えつつ、目の前の三人の動向から目を離さない。
「み、みらい。なんだか様子がおかしいわよ……あなたたちは一体何者なの?」
「我らは彼方の世界よりやってきた者……残念だがコトハを返すわけにはいかない」
「返して欲しければ私たちを越えて行きな!」
「ですがあなた方も私たちの最大の不安要素、こちらも全力で排除させてもらいますわ」
ただならぬ様子を察知したみらいとリコは、互いに視線を交わし無言で頷くとかつて何度も繰り返してきたように手と手を繋いだ。
二人は手を繋いだまま片手を上げ、魔法の言葉を叫ぶ。
「キュアップ・ラパパ! ダイヤ! ミラクル・マジカル・ジュエリーレ!」
二人の首に提げられた宝石が、モフルンの胸の中で融合し、美しい輝きを放つ。
永遠を象徴する輝きに包まれた二人はうら若き乙女から、伝説に謳われた魔法使いへと変貌する。
可愛らしい印象を与えるみらいの瞳は、純然たる意志を秘めた力強い瞳に。
おっとりとしたリコの表情は、挑戦的な野心を感じさせる深慮の表情に。
「二人の奇跡! キュアミラクル!」
「二人の魔法! キュアマジカル!」
「魔法つかいプリキュ……!」
ミラクルとマジカルの声が重なり、過去何度もそうしてきたように二人は伝説の名を名乗ろうとした。
それが続かず二人のの声が途中で止まったのは、予想だにしなかった光景を見た驚きからだ。
二人は瞠目した。
「キュアーアップ・ルカルカ! ダイヤモンド!」
まるで合わせ鏡のように、謎の二人の少女たちも自分たちと同じことをしたのだ。
金と薄紫ではなく、赤みかかったピンクと涼し気な空色の髪。
スカートの裾から見え隠れするスパッツに、ハートをあしらったレザーブーツ。そして力の源である輝く宝石は、胸元ではなくブレスレットに。
輝きに包まれた二人の少女の装いは、細部こそ違うものの紛れもなく自分たちの同類であることを物語っていた。
そしてそれを裏付けるかのように二人の少女は、自分たちの名を名乗る。
「想いの軌跡! キュアメモリー!」
「想いの魔法! キュアソーサリー!」
「まさか、貴方たちもプリキュアなの?」
マジカルの驚きをよそに、グランマザー・ルカのプリキュアは瞬時に構える。
「そういうことよ、ラパーパのプリキュア!」
「待って! 私たちはただ……」
「問答無用!」
ミラクルの言葉を遮り、メモリーとソーサリーは勢いよく飛び出した。
同時に二人の手首に装着した腕輪が青く輝き、違う世界の銀魔法が発動する。
「リンクルブレス、サファイア!」
ミラクルのマジカルの手前で突如急加速したメモリーとソーサリーは、二人が反応するよりも早く背後に回り込むと、無防備な背中を蹴りつけた。
きゃっと短く悲鳴を上げながら、吹き飛ばされたミラクルとマジカルに対し、さらにメモリーとソーサリーは追い打ちをかける。
「リンクルブレス、トパーズ!」
次にメモリーとソーサリーが使った銀魔法は、トパーズスタイルに似た魔法だった。
メモリーらの前に現れたのはハンマーである。柄の部分だけで差し渡し10メートル以上あり鎚の部分も直径2メートルを優に超える超巨大なハンマーだ。
二人は柄の部分を掴み協力してハンマーを振り上げると、躊躇なくそれを倒れ込んでいたミラクルとマジカルに振り下ろした。
それはまさに神の鉄槌だった。
爆薬を炸裂させたような爆音と落雷を混ぜ合わせたような轟音が響き渡り、大地は地鳴りに揺れ、空気も震えていた。
そしてその衝撃はミラクルとマジカルをいた小さな丘をそのものを完全に吹き飛ばしている。
「……」
メモリーとソーサリーは互いに視線を交わし、自分たちが作った巨大なクレーターの上から中の様子を覗き込んだ。
普通であればもう勝負ありだ。
例えまだ立ち上がれたとしても、ダメージが大きすぎて戦う力など残っていないハズ。
しかし、キュアミラクルとキュアマジカルは“普通”ではなかった。
「!」
クレーターの中で僅かな動きがあったことにまずメモリーが気づき、次いでソーサーもそれがプリキュアが立ち上がる動作だということを確認した。
「リンクルブレス、ルビー!」
とどめを刺すべく、三度ブレスレットが輝くとメモリーとソーサリーの体は炎に包まれた。その炎はやがてメモリーとソーサリーの手に収束し、二人の拳が灼熱に燃える。
「これで」
「終わりッ」
「……やめて」
バンッという乾いた音が響く。
メモリーとソーサリーの攻撃は完璧な一撃だった。虫の息の相手にだって手を抜いたつもりはない。
しかし、二人の拳はあっさりと受け止められていた。
メモリーは驚愕し目を見開く。
「私たちはただはーちゃんを探しに来ただけなの」
「だからそこをどいて」
ぎゅっとミラクルはメモリーの拳を受け止めた手に力を込めた。
その握力から相手の力量を察したメモリーの額に冷や汗が浮かぶ。
まずい。
向こうの方が格上……。
「はっ!」
メモリーとソーサリーの胸にドンっという鈍い衝撃が走った。
拳でなく開手、掌底打ちだ。ラパーパのプリキュアは明らかに手加減している。
でも、でも!
ソーサリーの顔に驚愕の色が浮かんだ。
それでも強い!
一撃で分かる戦力差。
相方が倒れそうになるのをメモリーが支え、自分も倒れそうになりながら檄を飛ばした。
「ソーサリー! 一気に叩くよ! 足を止めたら負ける!」
「分かりましたわメモリー! リンクルブレス!」
「サファイア!」
再び銀魔法が発動するとメモリーとソーサリーは目にも留まらぬ青い旋風と化した。
空中を縦横無尽に飛び回る二つの風は、何度も交差し合いまた動きに緩急をつけてミラクルとマジカルを幻惑する。
そして示し合わせたようにそれまでよりも一段速く加速しながらミラクルとマジカルへと襲い掛かる。
メモリーは正面から。しかしそれは囮だ。同時にソーサリーが背後から襲い掛かる二段構えの攻撃。
もらった!
ぐしゃ。
気が付くとメモリーの視界はぐにゃりと歪み、次の瞬間、自分は大地に叩きつけられていた。
「クッ……」
ふと目をやると隣には呻き声を漏らすソーサリーがいる。
どうやら自分たちは迎撃されたようだが、何をどうされたかすら分からない。
自分のやられっぷりに思わず笑みがこぼれた。普通にやったら勝てないなこれは……。
「ふっふふふふ。大丈夫、ソーサリー?」
「ええ。なんとか……まだ大丈夫ですわ」
「降参しなさい。何か事情があるならまずは話し合いましょう」
互いに支え合う二人の姿を見て、もう相手は戦えないと判断したマジカルはそう語りかけた。
しかしその提案をメモリーとソーサリーは一蹴する。
「御冗談を。あなたたちは確かに私たちより強いようですが、この程度は想定通りですわ」
「こっちも退けない理由があるの。ここからはズルさせて貰うよ!」
そう言ってメモリーとソーサリーは手を手を結んだ。
何かの技か、と思ったミラクルとマジカルは身構えたがどうやら違うらしい。
メモリーとソーサリーは何やら静かに言葉を紡いでいる。
「想いは軌跡となり……」
「軌跡は魔法となり……」
「そして願いを叶える!」
「プリズムフラワー! 私たちに力を貸して!」
メモリーとソーサリーは片手を結びながら、もう片方の手で虹色に輝く花びらを天に掲げた。
二人のプリキュアに世界と世界を結ぶほどの力が流れ込み、その存在をさらにもう一段階押し上げる。
より鋭く、より強く、より美しく。
激しい光に世界が明滅し、その後には伝説を越えたプリキュアが降臨していた。
「永遠を越えた輝きを私たちに! キュアーアップ・ルカルカ! ロンズデーライト!」