ツナはアルゴから一つの依頼を受けて35層に来ていた。共に行動をしているのはサチとアヤの二名で計三人で行動をしていた。
「ツナさん。依頼内容はオレンジギルドの捜索と捕縛とありますが、35層にいるんですか?」
「ラフコフがなくなったのはいいけど、セコイ犯罪集団が増え始めたわよね!」
「ん〜迷いの森にって超直感が訴えてくるんだよねー。アヤもそうプリプリしないで、可愛い顔が台無しだよ。」
ツナは右手側からサチ、左手側からアヤに抱き着かれながら迷いの森を進んで行く。
サチは依頼内容を再度確認し何故35層なのかツナに尋ねる。答えは相変わらずの超直感という答えで苦笑いを浮かべるが、自身もそれで助けられた為、ツナの言うことを疑ってはいない。
アヤの言う通り、ラフコフが消滅してからレッドプレイヤーはいなくなったが、代わりにオレンジプレイヤーによる被害が増加していた。ラフコフが他の犯罪集団に対しては一種の抑止力的な働きをしていたらしく、ラフコフという枷がなくなったことでオレンジギルドの活動が活発になってきていた。
そのままツナは超直感が赴くままに歩き続け
「ピナッ!!」
少し先から女の子の叫ぶ声が聞こえた。
「二人共!先に行くね!」
「「はい!」
ツナは声が聞こえた場所には駆けつけると、迷いの森では最強クラスのモンスター ドラゴンエイプ三匹に囲まれている少女がいた。少女の腕の中にはドラゴンタイプのモンスターがいたが、オブジェクト化してしまう。
そのまま止まらずにドラゴンエイプを横一文字に切り裂き撃退する。
少女はモンスターの突然の絶叫と破壊音に呆然としていたが、オブジェクトの向こう側にツナの姿が見えた瞬間に身体を硬くし震わせる。
「ごめんね。もう少し早く来ていたら良かったんだけど。」
ツナは少女と目があうと、眉間に皺を寄せながら悲しそうに謝罪を口にした。
その表情と声をきいた瞬間に少女は全身の力が抜けて、次々と涙を溢れさせる。
ツナはそんな少女を静かに抱きしめ、少女もツナの胸の中で泣き叫んだ。サチとアヤも現場に到着するが口を出さずに静観していた。
少女が泣き止むと四人は自己紹介をする。
「助けてくれて・・・ありがとうございます。」
「その羽根だけど、アイテム名設定されてるかな?」
ツナはシリカが抱き締めている水色の羽根を指差し確認する。シリカは急いで確認すると【ピナの心】というアイテム名が表示された。
「お願いだよ。あたしを独りにしないでよ・・・ピナ」
シリカはアイテム名を見るとピナを思い出し泣きそうになる。ツナはシリカの頭を撫でながら
「心アイテムが残っていれば、蘇生の可能性があるから大丈夫だよ。」
「え!?」
シリカはツナの言葉に慌てて顔を上げて見つめる。
「47層の 思い出の丘 というフィールドダンジョンにアイテムがあるらしいの。」
サチがニッコリと笑いながら言いシリカの頭を撫でる。
「47層・・・頑張ってレベル上げすれば。いつかは・・・」
「死んでから三日だけしか無理みたいよ。」
シリカは自身のレベルを考えて直ぐには行けないと首を振るが、アヤがウインドウで情報を確認しながら渋い顔をする。
「そんな!!」
「なら一緒に行こう。四人でパーティを組んで行けば大丈夫だよ。あとこの装備ならレベルの底上げもできるから。」
ツナはシリカに武器と防具を送りパーティ申請を出す。
「え?なんで・・・そこまでしてくれるんですか?」
シリカは感謝もしてはいるが警戒心も存在していた。アインクラッドでは甘い話にはウラがあるのは常識で、最近では女性プレイヤーに対する男性プレイヤーが起こしたトラブルでサボテン頭と悪趣味バンダナの話は有名である。
「ユニ・・・リアルで仲の良い妹みたいな子に似ていてね。放っておけないんだ。」
「ツナさんに他意はないですよ。」
「こっちからしたら下心が少しくらいは欲しいけどね。」
ツナは照れ笑いを浮かべながら頬をかく。横にいたサチもツナをフォローし、アヤは逆につまらない男!と言いたげな感じでツナの背中を叩く。ツナは慌てながら何言ってるの!?とツッコミを入れて肩を落とす。
シリカはそんな三人の光景に警戒していたのが馬鹿らしくなり笑いながら承認ボタンを押した。
「よろしくお願いします!助けてもらったのにこんなことまで。」
「気にしないで。じゃあ街に戻ろうか。」
ツナは超直感を頼りに出口に向かって歩き始める。
シリカはサチとアヤに挟まれながら ”待っててね、ピナ絶対、生き返らせてあげるからね。” と胸の中で呟いた。
帰り道ではドラゴンエイプに頻繁に遭遇し、シリカのレベルアップ音が響いていた。
「あの・・・パーティ登録をしてから変なスキルがあるんですが・・・さっきからレベルが異常に上がるのって・・・」
「俺とパーティを組んだ人で、俺との相性が良いと発生するスキルなんだ。」
シリカはいきなり20もレベルが上がり、70近くになっているありえない現象に衝撃を受けてツナ達に確認したが、ツナの口から出た衝撃の事実に口を半開きにしてぽかんとしていた。