大空のSAO   作:ばすけばすけ

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朝霧の少女①

ツナとサチは森の奥深くにまで足を運んでいた。

 

「ん〜この辺りにいる予感がするんだけど・・・」

 

「・・・ツナ、ちょっとしゃがんでくれない?」

 

「どうしたの?」

 

ツナは周りを見渡しながら顎に手を当てていたが、サチから頼まれた通りにしゃがむ。

 

すると

 

「失礼します。重かったら言ってね。」

 

「え・・・・ちょっ!?サチ!?」

 

「こうすれば遠くまで見れるでしょ。」

 

「そうだけど、次からは前もって言ってね。」

 

サチがスカートをたくしあげ肩をまたぐように両脚を乗せて来た。ツナは軽く注意をするが、身軽な動作で立ち上がると、それにつれて視界が一気に上昇した。

 

「どう?何か見える?」

 

「ん〜遠くまでは見えるけど、人影とかはみえないかな。ツナの髪ってフワフワしてるんだね。」

 

サチは周りをキョロキョロ見渡したがそれらしい人影は見えなかった。身体に触れているツナの髪が気になり手で触ってみると、思っていたよりもフワフワしていたことに驚く。

 

「真面目に探してね。少し歩くから落ちないようにそのまま頭に手を置いてて。」

 

「うん。わかった。」

 

ツナはもう少し奥まで進むことにし、サチに落ちないように促して歩き始める。サチはニコニコしながら無意識にツナの頭を撫でていた。

 

「あ!ツナ止まって!いま向こうに動いている影が。」

 

「わかった!サチごめん。ちょっと降りてもらっていい?」

 

サチの言葉を聞いたツナは立ち止まり、サチを降ろすためにしゃがむ。サチが降りたのを確認すると二人は影を見た方向に走り出す。

 

向かった場所では少女が倒れていた。サチは軽く悲鳴をあげるが、ツナは少女を抱え起こし状態を確認していた。

 

「だ、大丈夫そうなの?」

 

「この世界じゃ息もしないし、心臓も動かない・・・だけど、消滅してないってことは生きてるよ。やっと見つけてあげられた。」

 

ツナは少女のことを愛おしそうに撫でており、サチはその光景を安堵の表情で見ていた。

 

「とりあえず、このままここにいるわけにもいかないよね。うちまで連れて帰ろう。」

 

「そうだね。」

 

ツナは少女を横抱きにしたまま立ち上がり、来た道を戻り始める。

 

昼食を食べた丘まで戻ってきた時に、サチがふと視線を感じて周りを見渡しツナに視線を向けると

 

「ツナ!その子起きてる!!」

 

「え!?」

 

少女と目が合ったため、ツナに急いで声をかけ立ち止まらせる。下を向いたツナも少女と目が合うとニッコリと笑い話しかけた。

 

「良かった。目が覚めたんだね。自分がどうなったか、解る?」

 

少女は数秒のあいだ口をつぐみ、小さく首を振った。

 

「お名前は?言える?」

 

「・・・な・・・まえ・・・。わた・・・しの・・・なまえ・・・ゆ・・・い。ゆい。」

 

「ユイちゃんか。いい名前だね。わたしはサチ。こっちがツナ。」

 

サチが少女に話しかけて頭を撫でながら名前を確認する。サチが顔を振ると、ユイと名乗る少女の視線も動き、ツナと中腰で身を乗り出しているサチを交互に見て口を開ける。

 

「さ・・・ち。つ・・・な。」

 

たどたどしく唇が動き、切れ切れの音が発せられる。

 

「ね。ユイちゃん。どうして22層にいたの?」

 

「わかん・・・ない。なんにも、わかんない。」

 

丘の上にシートを敷き暖かくしたミルクを勧めると、少女はカップを両手で抱えるようにして少しずつ飲み始めた。その様子を目の端で見ながら、サチはツナに小声で話しかけた。

 

「ツナ。どう思う?なにか聞いてたりするの?」

 

「記憶がないようだね。ごめん。俺も詳しくは聞いてないんだ。」

 

ツナは眉間に皺を寄せて悲しそうにサチの問いに答えた。サチの瞳も濡れていることからサチの胸にも突き上げてくるものがあったのだろう。両腕でぎゅっとツナの身体を包み込み言う。

 

「大丈夫だよ。ツナ。わたしたちにできることをしよう。」

 

「そうだね。ありがとうサチ。」

 

ツナは顔を上げると、小さく笑いサチの両肩に手を置きユイの横にまで移動した。

 

「ユイって呼んでいいかな?俺のことはツナって呼んで。」

 

「・・・つな?」

 

カップから顔を上げたユイがこくりと頷きツナの名前を口にする。

 

「じゃあ私のことはサチって呼んで。」

 

「・・・さち?つな・・・と・・・さち?」

 

ツナとは逆側に座っていたサチがユイに声をかけると、ユイはサチの方を向いて名前を呼ぶが、しっくりとこないのか難しい顔でしばらく黙り込む。

 

「ユイの好きな呼び方で呼んで構わないよ。」

 

「うん。ユイちゃんに任せるよ。」

 

ユイはゆっくりと顔を上げると、ツナな顔を見て、おそるおそる、というふうに口を開いた。

 

「・・・パパ」

 

「うん。」

 

次いでサチを見上げて

 

「さちは・・・ママ」

 

「そうだよ・・・ママだよ、ユイちゃん。」

 

サチは込み上げてくるものを必死に抑え付けて微笑みと共に頷いていた。それを聞いたユイははじめて笑顔を浮かべ、黒い瞳がきらりと瞬き人形のような整った顔に生気が戻ったように見えた。

 

「ママ!」

 

ユイがサチに向かって手を差し出し、サチはユイの小さな身体を持ち上げ、しっかりと抱いて上げる。

 

ミルクを飲みサンドイッチを食べると、ユイは再び眠りについた。

 

「サチ。色々とあるだろうけどまずはうちに戻ろう。」

 

「うん。わかってる。」

 

ツナは瞳に涙を溜めているサチを抱き締めてから、眠っているユイを横抱きにし立ち上がる。

 

サチも涙を拭いてツナに続いて歩き始めた。




サチとユイって似ている気がしたのは私だけでしょうか。

アニメから入り書籍も買い始めましたが、OPでのユイが最初はサチに見えてしまい。アスナよりもサチの方が親子っぽく感じちゃうんですよね。もしくはユウキ。
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