「おいアイツッて!」
「ヒースクリフはどこに行ったんだ?」
「あのモンスターはなんなんだよ!?ここはフィールドじゃないだろ!」
「俺!あいつのこと知ってる!あいつだ!茅場晶彦だ!」
「俺も雑誌の特集で見たことある!」
竜巻の中から出てきた男とモンスターに対して観客席ではどよめきが起こっていた。
「外野には静かにしといてもらおうか。」
茅場晶彦がシステムウィンドウを操作すると、観客席にいるプレイヤー達は呻き声を上げなら崩れ落ちる。
「何をしたんですか?」
「安心したまえ。ただの麻痺だよ。後ろのモンスター達も闘技場にいるプレイヤーにしか反応しない。」
「「「ツナ(さん、くん)!!」」」
「みんな!!」
「君達には麻痺の効果がないのは知っているよ。そのためのモンスター達だ。ちなみに悪魔型のは74層ボスのグリームアイズという。私はツナくんとの一対一を望んでいてね。邪魔はしないでほしい。」
ボンゴレのメンバーが観客席から飛び降りてツナの周りに集まり始める。ヒースクリフはその光景を見ながら笑いモンスターに指示を出す。
「アルゴさん!ユイを観客席までお願いします!他のみんなは戦闘準備!!アスナ、モンスターは任せたよ。」
「ユイちゃん行くゾ。」
「任されました。キズメルは私と一緒に悪魔型の一体。ユウキとサチはもう一体をお願い。残りはリザードマンを・・・今回は飛び道具のはいないみたいね。アネット、リザードマンの方の指示は任せるわね。」
アルゴがユイを避難させるのを確認したツナはヒースクリフに向かって歩き出す。モンスター達は中央を避けるように二手に分かれて左右からアスナ達に向かって歩いていた。
「まず四体を引き離しましょう。引き離したら各個撃破です。鎧の個体は攻撃力がないかわりに防御が固いので斧組を中心に。片腕が太い個体はスピードはありませんのでスピードで翻弄しながら体力を削ってください。武器を背負っている個体はオールラウンダーですが他と連携されなければ恐れることはありません。最後に氷の剣の個体は要注意です。あの剣の攻撃には当たらないでください。最初は攻撃を避けることに集中し他からの援軍を待って数で押し切ります。」
「「「「「了解!!」」」」」
左側side
アスナがリニアーを放ちながら左側からくるモンスター達に突っ込んで行った。アスナが放つリニアーはそのスピードから他のプレイヤーのとは違い暴風を巻き起こしながら突き進むため、左側のリザードマン達は散り散りに吹き飛ばされる。
グリームアイズにもリニアーは命中していたが、リザードマンを吹き飛ばすことを目的としていたためダメージは少ない。アスナが射程距離に入ったことにより、地響きを伴い雄叫びと共に、口から眩い噴気を撒き散らした。
アスナに噴気が当たる瞬間にキズメルが割って入り、持っている剣を風車のように回転し始め光の円盾を作り上げた。それに当たった噴気は吹き散らされるように拡散し消えていった。
「アスナ、先走りすぎだ。」
「助かったわキズメル。一気に叩いて他の援護に行くわよ!」
鎧のリザードマンに対してはキャロとカノンが対峙しており、戦闘経験があるキャロが上手く相手を翻弄し、できたスキをカノンが攻撃していた。
「このリザードマンなら一度倒してます!」
「私は戦闘メイドですのよ!」
片腕が太いリザードマンに対してはフラム、ユーリンの踊り子コンビがまるで舞っているかのようなステップでヒットアンドアウェイを繰り返していた。
「さあ、私と踊ってもらおうか。」
「フンフフーン♪フラムお姉さん。踊るの楽しいね♪」
武器を背負っているリザードマンにはマサムネ、椿姫、ホタルが対峙しており
「儂が正面から行くから二人は左右からスキを見て攻撃をしてくれ。」
「私の刀からは逃げられないよ。はやくツナの元に行きたいの。邪魔しないで。」
「椿姉の発作が出てるです。速攻でかたをつけさせていただきます。」
氷の剣のリザードマンに対してはアネット、ユーフィア、ブリジット、カーラが対峙していた。
「ブリジットはあの氷の剣を狙って攻撃してください。ユーフィアにカーラあの剣の攻撃には当たらないでくださいね。」
「盾で受けてもダメなんですかぁ?なら切り落としちゃいましょう。」
「うわぁ さすがおっとりバーサーカ。私の射線上には入らないでよね!」
「ちょっと。私に指示を出さないでくれる。」
右側side
右側ではユウキが二刀流の手数の多さで場を乱し、ピナのブレスとフィリアの投擲でなんとかボスと四体を分断することに成功していた。
「あのアスナの技は羨ましいね。こっちも負けてられないや!ハァァッ!」
「敵はブレス攻撃もあるみたいだから気をつけて!無限槍は最後の山場まで使えないかな。」
鎧のリザードマンに対してはミリシオン、ロッタ、ミーア、リリが対峙しており
「その鎧を一枚一枚引き外してあげますね。」
「モフモフがない。」
「うわー本当に固いです。なら吹き飛ばします。」
「我が眷属達よ。漆黒の翼を阻害する外装を滅するのです。」
片腕が太いリザードマンに対してはフィリアとシリカが対峙しており
「そんな大振り当たらないよっと。」
「ピナ。フィリアさんが射線から外れたらブレスを放って。」
武器を背負ったリザードマンに対してはレッド、エリス、ミルローゼが対峙しており
「貴方はどれくらいもってくれるのかしら。」
「レッドさん。気を抜くのはダメですよ。」
「魔王を倒した者は次代の魔王となるか。ツナさん貴方はやはり。」
氷の剣のリザードマンに対してはラパン、ロア、アヤ、フルールが対峙しており
「リザードマンは肉食。つまりウサギの敵です。」
「眠い。けど安眠の為に頑張る。」
「あの氷の剣は鍔迫り合いも注意よ。たまに蹴りもくるから気をつけて。」
「皆さんの安全は私が保証します。」
中央side
「こんな形になってしまってすまないね。ここで君が勝ったら約束通りゲームからは解放される。」
「でもそれだと貴方が!」
「守るものを履き違えてはいけない。私よりも優先すべき人がいるじゃないか。それにいまさら君の手を取ることはできないさ。私の最後のワガママだと思って本気でかかってきたまえ。」
言い終わると茅場はツナの懐に一瞬で飛び込み盾を叩きつける。ツナは腕を交差させながらガードし後ろに跳躍することで衝撃を緩和した。
「ッ!!はやい!」
「これが本来のラスボスの強ささ。」
ヒースクリフのステータスは茅場晶彦の姿になったことにより100層で対峙する際のものに変更していたのだ。
「貴方の覚悟はわかりました。なら俺も本気で行きます!」
ツナは悲しそうな顔をしながら額とガントレットに炎を灯す。それをみたヒースクリフは嬉しそうに微笑むと盾と長剣を構え上段から斬りかかる。
左側side
キズメルとアスナはグリームアイズの攻撃を躱しながら攻撃を繰り出していた。相手の体力ゲージも残り一本まで減らすとボスの身体から噴気が溢れ出して近寄れなくなってしまった。
「私が道とスキを作る。アスナはトドメをさしてくれ。」
「わかったわ。」
キズメルが剣を回転させながら近づきアスナがそれに続く。相手の斬馬刀が振り下ろされるタイミングでキズメルもホリゾンタル・スクエアで一撃目で斬馬刀をいなし二撃目から四撃目を腕に向かって攻撃した。
「グアアアァァ」
「紫電一閃!!」
グリームアイズは腕を切り落とされて呻き声を上げる。キズメルが斬馬刀をいなしたタイミングで上に飛び上がっていたアスナが紫色の雷を細剣に纏わせながら一刀両断した。アスナに斬り裂かれたグリームアイズは膨大な青い欠片となって爆散した。
「これで終わりです!」
「次はアネットさん達のフォローに参りましょう。・・・あら?必要ないかもしれませんわね。」
キャロとカノンが危なげなくリザードマンを倒し、どこにフォローに入るべきか他のメンバーの様子を確認するが、
「高い攻撃力も当たらなければどうということはないんだよ。」
「もっと踊っていたかったです。」
フラムとユーリンペアにはリザードマンの大振りの攻撃が当たることはなく始終翻弄する形で決着していた。
「その位置は邪魔!ツナを隠すような配置は許さない。」
「はやっ!ってか椿姉それ重要!?」
「こいつの戦い方は真面目すぎた。」
マサムネがリザードマンの攻撃を受け止めながら、椿姫とホタルが攻撃を加えていく作戦を立てていたが、三対一のせいかリザードマンの性格なのかはわからないが正面のマサムネと向き合いすぎて、気付いた時には椿姫の一閃で首を落とされていた。
「それ以上は行かせませんよー。」
「そのまま押さえてなさい!」
弓矢による攻撃を嫌ったのかリザードマンがブリジットに駆け出そうとするがユーフィアが盾を使い体当たりをし足を止めさせる。目の前の敵を排除しようと氷の剣を振り上げるが、すかさずカーラが振り上げられた腕に攻撃をし腕を切り落とす。リザードマンは足蹴りでユーフィアの体勢を崩して跳ばされた腕の方に跳躍するが
「させませんよ。」
アネットが先回りしておりスタースプラッシュによる八連撃でリザードマンを消滅させた。
「助かったわユーフィア。やっぱり近距離の武装も考えないとね。」
「お疲れ様でした。こちら側は・・・大丈夫そうですね。向こう側は・・・」
右側side
「アハハ そろそろ本気で行くよ!」
「まずは体勢を崩す!!」
ユウキは装備を二刀流から片手剣に変更してグリームアイズに向かって駆け出す。ユウキが近づくタイミングでサチが無限槍のスキルを相手の両足に向かって発動させた。
「ハァァッ!!」
両足を串刺しにされたグリームアイズはバランスを崩して倒れかかるが、倒れる最中にユウキから十一蓮撃のマザーズロザリオをもらい爆散した。
「これがいまボクができる最強の攻撃だよ。お姉ちゃん・・ボクは皆の役に立ったのかな。」
「どうしたのユウキ?」
「ううん。ツナが茅場晶彦を倒したら解放されるのかなって考えてただけだよ。みんなの為に頑張らないとね。」
「喋らない相手はつまらないですね。」
「弱かった。」
「これで鎧は終わり!」
「我が漆黒の翼が終焉を与えん。」
ミリシオン、ロッタ、ミーアにより鎧を剥がされたリザードマンはリリの鎌によって引き裂かれて消滅した。
「トレジャーハンターを舐めないでよね!シリカ援護ありがとう。
「ピナ!お疲れ様!怪我はないですか?」
「当たってないから大丈夫。それに初見じゃないしね。」
片腕が太いリザードマンはフィリアの前衛とシリカとの無駄のないスイッチ、ピナのブレス攻撃の前になす術なく消滅していた。
「これなら氷の剣のリザードマンに行けば良かったわ。」
「レッドさん一人で終わってしまいました。」
「ぐぬぬ あの程度で魔王の近衛兵とは。」
レッドによる一方的な狩りでリザードマンは消滅してしまい、拍子抜けとばかりにレッドは溜息を吐いた。
氷の剣から水蒸気が発し辺り一面が覆い尽くされる。
「そんな技が!みんな注意して!」
視界が悪くなる中でアヤが注意を促す。
リザードマンの標的は遠距離で攻撃を邪魔してきていたラバンで霧の中からラバンの前に剣を振り下ろしながら飛び出してきた。
「アーチャーだからと近接ができないわけではないんですよ!」
ラバンは狙われることを予測していたようで瞬時に体術スキルの弦月を相手の武器を持つ手に目掛けて繰り出す。その衝撃により剣が弾き飛ばされると、逆側の腕で着地したばかりのラバンに殴りかかった。ラバンは殴られる衝撃を覚悟するが
「すいません遅くなりました。このフルール一生の不覚です。」
「女の子を闇討ちとかダメですよ。」
「ラバン大丈夫!?」
フルールがラバンとリザードマンの間に立ち盾で受け止め、ロアとアヤが左右からリザードマンにソードスキルを放ち撃退に成功した。
中央side
「フンっ!」
「遅い!!」
茅場がまたツナの懐に一瞬で飛び込むが、ツナはそれよりも早く動き背後から殴りかかる。
「グアッ!そのスピードは厄介だね。」
殴られた茅場はその衝撃を利用しツナから距離を取り構え直す。そのまま神聖剣のスキルを使い盾と長剣で攻撃を繰り出すがツナには掠りもせずに避けられていた。
「チッ。(こちらの攻撃が読まれているだと!)」
「無理ですよ。俺の勘の前ではその攻撃は当たりません。それにモンスターも全滅したみたいですよ。」
「そのようだね。ならこれで最後にしよう。」
ツナは左右のモンスター達が全滅したのを確認すると茅場に再度降参を提案するが、茅場は首を振り剣を振り上げ向かってきた。
「こうするしかないんですね。」
ツナは悲しそうに呟くとガントレットで長剣を殴り破壊し、バランスを崩した茅場の鎧に掌を当て
「ビックバンアクセル!!」
を繰り出した。辺りには砂埃が舞い上がりツナ達の姿を隠す。
「「「「ツナ(くん、さん)」」」」
砂埃が晴れるとツナが立っている姿があり、茅場の姿はなくなっていた。
すると
【SAOはクリアされました。】
【SAOはクリアされました。】
というアナウンスが流れ始めた。