西住しほの朝は早い   作:九段下

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西住しほの朝は早い

西住しほの朝は早い。

朝4時半に起床、シャワーで寝汗を流し、台所に立つ。家事を手伝ってくれるタケさんと共に味は二の次でとにかく量を作る。

 

栄養バランスも欠かせない。なにせ2人の娘は成長期。この時期の健康的な食生活が将来の2人を左右するのだから手は抜けない。

 

6時に朝食。高校生になった娘2人は戦車道を嗜んでるだけあってよく食べる。下の娘がどんな夢を見たかを語り、上の娘が聞いてるんだか聞いていないんだか微妙な返事をして必死にポテトサラダをほおばっている。

 

私は下の娘、みほが息を吸うタイミングを見計らって新しい話題を差し込んだ。今日の予定、練習内容を娘たちに確認させる。堅っ苦しいが、これも親の務め。

意外と何とかしているみほはともかく、まほのうっかりは威力が高いから気を抜けない。今も「そういえば、今日はサンダースと親善試合があったか」なんて呟いている。

 

お願いだからそんな大事なことを軽く流さないでほしい。佐世保の展海峰さんには多大なご恩があるんだから、後でお礼の電話を入れないと。

娘のケイちゃんは元気だろうか。引っ込み思案なみほをまだ引っ張って人の多いところに連れて行ってくれる良い子だし、今度家に寄って行ってもらえないだろうか。あの子がいる夕食はみほがよく笑うので貴重なんだ。

 

8時半、自室にて戦車道連盟の書類仕事。公式サイトに置いた目安箱にも並行して目を通していく。

パソコンの画面を見ると目が悪くなると聞いたので内容をプリントアウトして読んでいたら、みほに怒られてしまったのでモニターと睨めっこする事3時間。

 

眉が寄らないように眉間をもみほぐす。タダでさけキツい顔つきなんだから、これ以上印象を悪くするわけには…!

島田さんにアドバイスを貰いたいけど、島田さんは年上というか、先輩扱いすると機嫌悪くなるからなぁ。いっそアールグレイ呼びして条件つけて勝負してみようか。勝負事に律儀だから、勝てさえすれば教えてくれるはず。集団戦では苦手意識は消えないけれど、タイマンなら別だ。タイマン日本最強は伊達じゃない。あとはどうすればタイマンまで持っていけるかだけど…

 

昼は軽く済ませて午後からは西住流としての稽古の時間。一人一人を「叩いて」伸ばす。

高校生までやっていた社会人チームは成長期を過ぎているのでどうしても伸びが悪くなるけど、そこを付き合ってこそと思って指導に熱を入れる。これから彼女達には指導者としても頑張ってもらう事になる。

将来、娘達を直接指導することになる層なのだから少し以上に熱が入った。私情が入ってしまったけれど、まぁみんなには諦めてもらおう。

実践の後の反省会は、夕食前まで続いた。

 

夕食の準備はタケさんに全てお任せしてしまった。今日はカレーだ。それもまほからの熱いリクエストに答えてくれたチキンカレー。

 

タケさんの料理はみんな美味しいけど、チキンカレーは別格だった。

まほだけでなくみほも満面の笑顔でカレーを食べている。あぁもう、口元にカレー付いちゃってるじゃないの。少し咎める目つきでみほを見ながら口元を指差す。

あ、気づいた。真っ赤になってる。もう少しおしとやかに食べるように言った方がいいのか悩む。でも子供の頃に比べると随分気づけるようになったし、少しくらいは許してあげよう。嫌われたらやだし。

 

西住しほの夜はそんなに遅くない。寝不足は美容の敵で、明日の朝も早い。気づけばアニメ、ガールズ&パンツァーの登場人物、西住しほとして生きてもう16年。生まれたばかりのみほを抱いて始まったこの人生だけど、2人の娘に囲まれた人生を、私は割と楽しんで生きています。

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