プリキュアオールスターズ×仮面ライダー~bの復活とsの暴走 ~ 作:鈴木遥
・朔田流星と合流したハートキャッチの三人組は、JAXAに隣接するカフェで、レモネードをご馳走になっていた。
「じゃあ、朔田さんはそのディケイドって人に呼ばれてここに来たの?」
「え......えりか!いきなりタメ口ですか!?」
「良いんだよ。......花咲さん、だっけ?オレは人に敬語を使われる程、出来た人間じゃない......。」
「は、はぁ......。」
「ちょっと......失礼します。」
席を立ついつき。パートナー妖精のポプリが、付いていこうと宙に浮いた。
「あ、いや大丈夫。ポプリは席で待ってて。」
「どこに行くでしゅか?」
「大丈夫。すぐ戻るから......。」
そう言ってカフェの入り口の方へ向かういつき。
気不味いんですけど......そう言いたいのを我慢して、つぼみは話の続きを切り出した。
「ああ、それで...... そいつは俺達に、プリキュアの協力をしろと、そう言ってた。敵の名は確か......。」
「おう流星!待たせたな!」
朔田が話そうとした『敵の名』は、背後から響いた大声にかき消された。
「遅いぞ弦太朗。ほら、プリキュアの皆さんに自己紹介を......。」
「おう!仮面ライダーフォーゼこと如月弦太朗だ!タイマン張らせてもらうぜ!」
一風(どころじゃない位)変わった挨拶を済ませ、弦太朗はドカリと椅子に座った。
「ねぇ、朔田さん。この人が......?」
「ああ。さっき言った教師をやってる友人だよ......。」
「バカ流星!“親友”だろ?」
「ああ、そうだったな......。」
弦太朗と二人して高笑いする流星。
えりかは訝しそうに二人を見回し、つぼみに耳打ちした。
「つぼみ。今日は帰らない?仮面ライダーだか何だかしらないけど、リーゼントだよ!?
あの人もも姉の前の彼氏より胡散臭いヤンキーじゃない。教師やってるとは思えない......。」
「でもえりか、もし大樹に......いいえ、世界に私達だけじゃ解決出来ない危機が迫っていたら......。」
「胡散臭く見えるのも無理はないよな。」
流星がえりかを庇う様に言った。
「そらそーだ。オレみたいな教師、日本中探してもそういるもんじゃねえ。でも、プリキュアも仮面ライダーも、平和の為に戦うダチだぜ!」
拳をつき出す弦太朗。なぜだろう、たった一言で、疑う気が失せてしまった。
目の前の、如月弦太朗という男は、思ったより掴みにくく、案外悪い人ではないかも知れない。
と、えりかが思い始めた時だった。突如、JAXAに“異変”が起こった。
ハートキャッチの三人も、ハヤトも、それをどう形容していいか分からなかった。
屋上に、いつの間にか巻き貝の様な怪生物が現れ、そいつに生えた触手の様なモノが、JAXAの建物をまるごと覆ってしまったのだ。
JAXAは、まるでイバラの蔦に覆われた廃墟の様になった。
「何だ!?宇宙人か?」
「違うな......少なくとも
朔田の視線は、巻き貝の頭の方へ向けられた。
そこには、二人の白衣の人影が有った。顔は見えない。
だが、弦太朗がそれ以上に驚愕したのは、
黒い乱線が入った、紫の楕円の物体。手のひらサイズの魔性のスイッチを、弦太朗はよく知っている。
「ゾディアーツか!?」
「オレの目が正しければ、あれは幹部級の、それも新種のスイッチだ!なぜあんなモノが......!」
驚愕したのは、二人だけではなかった。
ハートキャッチの二人は、その巻き貝の様な怪生物に見おぼえが有った。
それをどこで見たのか、どうしても思い出せない。
そんな中、ふたりの後ろにいつきが戻ってきた。
「やっぱり、現れたな!」
「やっぱりって何?いつき、アンタさっきまでどこ行ってたの?」
「驚かないで聞いて。あれは......『砂漠の使徒』の真の支配者!」
「......!?」
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5分前、いつきは席を立ち、ついさっきまで隣に座っていた男の後をつけていた。
なぜそんな事をしたのか、今となっては覚えていない。
だがそれは幸か不幸か、敵の正体を知るきっかけになったのだ。
閉まっていたハズの店の裏口を難なくこじ開け、男は裏庭に出た。
息を殺し、ドアの影から様子を伺っていたいつきは、目を疑った。
庭の隅に置かれた赤い塊に、沢山の人が群がっている。
いや、よく見るとどいつもこいつも、この世の者とは思えない、異形の怪人だ。
「お前ら、静かにして貰おう。」
地の底から響くような、重たく恐ろしい声がした。
どこの誰が喋ってるんだ?
声の主を探す内、いつきはあることに気が付いた。
(喋ってるのは、あの赤い塊だ......!)
全身に冷や水を浴びる様な悪寒が走った。
目の前の、あまりにいびつでお粗末な、それでいて、とてつもない悪意に満ちた
「全く......
「......!?」
思わず叫びそうになるも、すんでのところでいつきは口を押さえた。
どういう事だ?あの赤い塊が、『砂漠の使徒』の真の支配者!?
それなら、僕達が打ち倒した、『
聞こえないハズのいつきの疑問に答える様に、赤い怪生物は話を続けた。
「オレが契約に基づき、一時的に指揮権をくれてやったあのデューンもそう......アレは頭の良い男だった。
世界を砂漠にする計画も中々のモンだった。が、オレの目的はあくまで“支配”。
ヤツはそこを履き違え、地球そのものを“破壊”しようとした。
バカ言っちゃいけねぇ。オレの力で強くなったヤツが、オレの美学に反するなんざ、愚の骨頂よ。」
いつきは唖然とし、言葉が出なかった。
(何て事だ。ボクたちは『
「......ああ、すまん、本題に入ろう。『ブラックホール』様の計画もいよいよ大詰め、諸君には存分に働いて貰おう。」
(ブラックホール!?何て事だ、『プリズムフラワー』の時の
「手始めに、『砂漠の種』を預ける。くれぐれも役立てろよ。」
赤い塊から紫の種が放出され、それを受け取った者達はいずこかへと飛び去った。
「さて、オレもそろそろ、動くとしようか。」
誰もいなくなった後、赤い塊はゼリーの様に歪み、やがて巻き貝の様な怪生物に変わった。
その時、いつきは思い出した。
(デューンの......デューンの肩に乗っていた怪生物だ......。)
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男達は、ゾディアーツスイッチを押した。
一方は、牛のような双角を生やした水色の怪人、もう一方は、熊の様な頭部をもつ、赤い体の怪人だ。
『我が名はプレアデス』
水色の怪人はそう名乗った。その体には、『プレアデス星団』の模様がある。
『我が名はポラリス』
そう名乗った赤い怪人は、胸の真ん中に『北極星』を模した大きな球体がある。
「そしてオレの名は、ビッグバン。」
そう名乗ったのは、例の赤い怪生物だ。
「......ビッグバン!?」
つぼみは思わず声に出した。
「見ない姿だな。貴様も
「......如何にも。インターポール捜査官、
「アンタ!一体何の話してんのよ!アンタでしょデューンのヤツと一緒にいたキモイ奴!」
「久しぶりだな、キュアマリン。だが、デューンのヤツも所詮はオレの傀儡に過ぎん......。」
「ダメだ二人とも!そいつに話は通じない!」
「何弱腰になってるのいつき。ほら、行くよ!」
「ゆりさん居ませんけど、変身です!」
『プリキュア・オープンマイハート!』
変身アイテム、『ココロパフューム』を構え、プリキュアの種をセット。
花を模したドレスを身に纏い、ピンク、水色、金のきらびやかな髪色に変化した。
『大地に咲く、一輪の花!キュアブロッサム!』
『海風に揺れる、一輪の花!キュアマリン!』
『日の光浴びる、一輪の花!キュアサンシャイン!』
『ハートキャッチ・プリキュア!』
「うおー!プリキュアキター!」
「弦太朗、俺達も......あっ!」
流星はすっかり忘れていた。自分たちは、ゾディアーツの元凶、『我望』との決戦以降、仮面ライダーとしての力ーすなわち変身アイテムーを失っていた。
「大ピンチキター!」
「言ってる場合か!」
「仕方ありません、ここは私達で行きましょう!マリン、サンシャイン!」
「やるっしゅ!」
「うん!」
「住まない、ここは任せよう。」
「頼んだぞ、てめぇら。」
ビッグバンは、自分に乗っかる二人のゾディアーツに言った。
「フン。我らの目的はあくまで『プレゼンター』の召還。用が済めば、貴様らに用はない。」
「ああ、プリキュアと仮面ライダー共を粛清した暁には、貴様らとの縁もそれまでよ。」
二人の脅しに、ビッグバンはつまらなそうに返した。
「......好きにしろ。彼奴ら消せれば、その後どうなろうとオレに不都合はねぇよ。」
「JAXA館内の人達を、早く開放してください!
『ブロッサム・シャワー』!!」
ブロッサム渾身の花ビラ連弾を、ポラリスはいとも簡単にかわし、いつの間にかブロッサムの背後に回る。
しかし、一年間のプリキュア経験も伊達ではない。
いち早くポラリスに向き直り、かかと落しを組手で受け止めた。
「なかなかやるな、キュアブロッサム......。」
「負けるわけには、行きませんから......!」
「その言葉、そっくりそのまま返すとしよう。」
ポラリスの胸元の球体が赤く光り、光線が発射される。
『集まれ、花のパワー!ブロッサムタクト』
彼女も対向すべく連射される攻撃を巧みにかわしながら、手元に『ブロッサムタクト』を召還した。
「アンタらの好きにはさせないっしゅ!
『マリン・シュート』」
「遅い遅い!遅いわァ!!」
マリンの手から放たれる水泡の弾丸を容易くかわし、
真っ正直から突っ込むプレアデス。
体格の差から、当たれば只ではすまないだろう。
「うぉわ~!」
「フン。かわしたか。」
「これでどーだ!『“拡散”マリン・スコール!』」
プレアデスの頭上に立ち回り、三方に分かれたマリン・シュートを放つ。
が、全く怯まないプレアデス。
七つの方向にバリアを張り、技を完全に遮断している。
「この程度か!?貴様の全力はァァァァ!!」
「まだまだに決まってんじゃない!!JAXAにいる人達助けるまで......絶っっっ対、負けないっしゅ!」
『集まれ、花のパワー!マリンタクト』
深く澄んだ海の様に輝く決意の青き瞳。その手には、
『マリンタクト』が握られていた。
「お前、さっきの話聞いてたろ?キュアサンシャイン」
「だったら何だと言うの?」
「お前、仲間に言わなかったろ?
「......!!」
「そう睨むな、お前の考えは正しい。お前らが『プリズムフラワー』の力を借りにゃどうにも成らなかった相手が、更なる力を得て戻った。頼みの仮面ライダーは役に立たない。
どこにお前らの勝機がある?勝てる要素はないだろう」
刺のような巧みな言葉で、いつきを追い詰める
「それでも、達は......。」
「無理すんな。それよりオレと、大人の取り引きしないか?生徒会長ォ......。」
ビッグバンは、力んでいた触手の一つを緩めた。
触手の中には紫の水晶があり、水晶の中で一人の少年がうずくまっていた。
見間違うハズもない。中には、ハヤトがいた。
「何のつもり!?あなた、ハヤト君に何を......!!」
「心の花を分離した、さらに......。」
ハヤトを閉じ込めた球体に、真っ黒な触手を突き立てた。
触手を謎の黒いエネルギーが伝い、球体の中を黒く染めていく。
「これは『邪悪の一塊』。ブラックホール様の一部だ。まだ少量だが、大量に浴びれば立派な闇の戦士だ......。」
「止めなさい!その子を巻き込まないで!」
サンシャインの必死の牽制を、ビッグバンは鼻で笑った。
「巻き込む?コイツは、避難を促す妖精を無視して、戦いの場に残った。コイツも立派な当事者さ。痛さは自分持ちであるべきだろう?」
「っ......!」
「......とはいえ、オレァ優しいんだぜ?もし今すぐ変身を解除すりゃあ、コイツは見逃してやるよ。さぁ、どうするぅ?」
サンシャインは絶句した。どうする?コイツの言う通りにして只で済むとは思えない。
かといって、このまま何もしなければ、ハヤトは奴等の傀儡になるか、最悪の場合殺される。
どうする......どうする......どうする......!!
数秒経ってから、いつきは変身を解除した。
「賢明な判断だ......ほらよ。」
ビッグバンは球体を破壊し、ハヤトを放り出した。
「ハヤト君!」
ハヤトを抱き上げたいつきを見て、ビッグバンは不気味にほくそ笑んだ。
「......あァ、言い忘れてたんだが、今『心の大樹』にオレの同僚が向かっててなァ、そいつの目的もプリキュア討伐だったんだが、
いつきはその時、ビッグバンがなぜ変身を解除させたのか気付いた。
敵は、ゆりの所に尖兵を送り込んでいたのだ。
いつきに変身を解除させたのは、唯一手が空いた彼女にムーンライトに加勢させない為。その為にハヤトは、格好の人質だった。
「なんて卑怯な......!!」
「ん~?作戦と呼べよ。聞けばそいつは、キュアムーンライトの恋人らしいな。愛しい男の為に死ねて、
どうする?コイツと同程度の実力を持った幹部など、いくらムーンライトと言えど、厳しい戦いになるだろう。
とはいえ、自分たちは地上の敵で手一杯だ。コイツらを放置すれば、被害はJAXAの外にも及ぶかも知れない。
いつきが途方に暮れていた、その時だった。
「......ねぇぞ。」
ひどくか細いが、ハヤトが声を発した。
しっかり聞き取ろうと、いつきが耳を傾けたとき、
先程とは比べ物にならない大声で、確かに叫んだ。
「ゆり姉ちゃんを、てめぇらの好きにさせるかァァ!」
ハヤトの咆哮と共に、彼の体からさくらんぼの花が出現し、花びらが身体中を包み込んだ。
まるで、開花を待っていたつぼみの様に花が開くかのように花弁が散ると、そこには薄紅の鎧を纏った戦士がいた。
いや、それは紛れもなくハヤトなのだが、いつきが目の前の戦士がハヤトであると、いつきは一瞬気付けなかった。
「ごめんいつき姉ちゃん、心配かけて。」
「ハヤト......君......!?」
『友愛を結ぶ、一輪の花!ナイトオブ・チェリー!』
静かにそう名乗った彼は、先程まで見受けられなかった『戦士の風格』が有った。
程なく光のマントが現れ、風になびくと、ハヤトは宙へ舞い上がった。
その力強く美しい羽ばたきは、華麗に大空を舞う白鳥の様だった。
「この上だよな、心の大樹......ごめん姉ちゃん達、しばらく地上を頼むわ。」
「待って、一体どこへ!?」
焦るいつき。その目をしっかり見つめ、チェリーは淡々と答えた。
「ちょっくら大樹行って、ゆり姉ちゃん助けてくる。」
チェリーはそれだけ言って軽く地面を蹴ると、上空へ飛び去って行った。
いつきは、無茶をしようとするチェリーを一声止める事も出来なかった自分を責めた。
だが、そんな気は一瞬で消え失せた。
覚悟を決め、空へ旅立つハヤトを嘲笑う
「バカかあいつは。弱い犬ほどよく吠える。どの道アイツもキュアムーンライトも、まもなく大樹で死ぬんだよ、ヤツの“奇跡”も“決意”も、何一つ救えやしないんだよ!!」
いつきは決心した。ハヤトが地上の平和を自分たちに委ね、命がけで空に向かったのなら、やることは一つ。
『プリキュア・オープンマイハート!』
「何だ?今さら変身なんぞしやがって......。」
「さぁね。でも、聞いてる限りよく吠えてるのはあなたの方、そして覚えておいて、先刻までの私とは違う!」
怒りと決心に燃えるサンシャインの緑の瞳。
その手には、『シャイニータンバリン』が握られていた。
オイィ!フォーゼ、メテオ!
お前ら生身でも良いから少しは加勢せんかい!!
『ナイトオブ・チェリー』に出番喰われるぞォォォ