プリキュアオールスターズ×仮面ライダー~bの復活とsの暴走 ~   作:鈴木遥

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スマイル✕仮面ライダー電王〜俺、ようやく参上でウルトラハッピー!?〜(前編)

・時の狭間を、デンライナーは疾走していた。いや、暴走と行った方がいいかも知れない。

 

線路から外れ、岩を弾き飛ばし、ただ止まらないだけの時の列車は、もう管理者(オーナー)のコントロールさえ効かない状態だった。

 

「おい、どうなってんだおっさん!さっきから、まるで止まりゃしねえ!」

 

赤鬼のイマジン、モモタロスがオーナーに怒号を飛ばした。

 

オーナーは目を閉じ微動だにせず、モモタロスにボソリと返した。

 

「時空の狭間で、規格外の力が動いたようです……。」

 

「何それ?どういう意味?」

 

吐き気を催しのたうち回るウラタロスが、ふらつきながら尋ねた。

 

「『それ』が何なのかは分かりませんが、分かっている事は一つ……このままでは、時間と空間、世界の全ては崩壊します。解決方法はただ一つ……。」

 

「もったいぶらんと、早よゆうてくれや!」

 

目を回し座席に寝込むキンタロスが言った。

 

「探すしかありません。手始めに、この世界(・・・・)この時間の(・・・・・)、特異点を……!」

 

「わ~、何それ、面白そう!」

 

唯一元気なリュウタロスを筆頭に、四人のイマジンは半透明となってデンライナーの外へ飛び出した。

 

急用で良太郎がいない今、少しでも優勢に戦うには、イマジンにとっての最高の武器を手に入れる事は、何より優先すべき事だった。

 

急激に静かになった車内で、オーナーは誰にともなく言った。

 

あなた(・・・)も、出て来たらいかがですか?」

 

応えるかの様に、車両の床から黒い絵の具が噴水の様に溢れだした。

 

噴水はやがて人の形を成し、道化師の様な細身の男に変身した。

 

「はじめまして、オーナーさん……。」

 

「あなたもイマジンではない様だが、列車の故障はあなたの仕業ではありませんね……?」

 

「そこはあなたの解釈にお任せします。『ある女性に会いたくて時の列車の力を借りに来たら、邪魔が入った』など、見苦しい言い訳に過ぎません。」

 

「ナオミ君、この方にコーヒー、それとチャーハンをお願いします。」

 

「は〜い!」

 

添乗員のナオミが機敏に動き、 赤い泡立ちコーヒーと、カラフルな旗のたったお子様ランチ風チャーハンが即座に運ばれてきた。

 

「さて……お聞かせ願えますか?あなたの身に起こったのか……。」

 

そして男は語り出した。自分が繰り返した悪行の数々、そして 彼が贖罪しようとした女性、キュアビューティのことを……。

 

 

 

 

青木れいかは最近、悪夢に悩まされていた。

桃色の水晶の中に閉じ込められ、叫ぶ事も泣くことも出来ない。

ただ一つ分かることは、クリスタルの“外側”から誰かが呼んでいる事だけ……。

それが誰なのか、れいかは何故か知っていた。喉が潰れた様に全くでない声を絞り出し、れいかはやっと、彼女の名を呼んだ。

 

「の……ぞみ……。」

 

 

 

 

「で、名前を呼ぶと目を覚ましちゃうって事?」

 

「そらまた、不思議な事もあるもんやな。」

 

「れいかちゃん、その『のぞみ』って子に覚えはないの……?」

 

「それが……さっぱり……。」

 

れいかは歯がゆそうに言った。

 

スマイルプリキュアの五人は、妖精キャンディの兄、ポップに呼ばれ、キュアハッピー/星空みゆきの自宅に集まっていた。

 

「それで、何の用?ポップ……。」

 

みゆきに問いかけられ、ポップはジュースを置いた。

 

「そうでござったな。れいか殿の夢も気になり申すが、まず本題に……。」

 

 

 

ポップは重々しくその口を開いた。

 

今朝方、メルヘンランドの女王から連絡があった。彼女自身も加盟している『クイーンズスクエア』のメンバー、光のクイーンからの緊急通告だった。それによれば スマイル以前のプリキュア達が苦戦を強いられた 闇の権化、邪悪の神ブラックホールが復活したとのことだった

 

 

「じゃ、そのうち七色ヶ丘も襲われるっちゅうんか!?」

 

「大変だよ!私らもすぐ迎え撃たなきゃ!」

 

「あかね殿、なお殿、落ち着くでござる!間もなくこちらに、“援軍”が来る故!」

 

 

「援軍って……?」

 

「それはでござるな、やよい殿。少々クセのある御仁たちで……。」

 

と、ポップが何かを言おうとした時、みゆきが麦茶を注ぎ直しに行こうと部屋の扉を開いた。

 

この時、本来ならば星空家の廊下が現れてしかるべきだった。そう、今が2時二分2秒でなければ……。

 

確かに廊下に出たハズのみゆきは、気が付くと見知らぬ砂漠で一人立っていた。

 

「……あっれぇ〜!?」

 

空は虹色に輝き、砂は美しい白さにきらめく。

 

普通の人なら腰を抜かしてもおかしくないが、メルヘンオタクのみゆきは、この光景が酷くロマンチックに思えた。

 

「すっご〜〜い!何これ!?どこにつながってるんだろう!ってか何で家の扉から!?」

 

と、みゆきが感嘆の叫びを漏らしていた時、彼女の足元の砂がせり上がり、人のような怪物の上半身に変わった。

 

これにはさすがのみゆきも腰を抜かした。

 

よく見れば 化け物の真上には、その化け物の両足と思しき足が空間の合間から生えている。いや、吊り下がっていると言った方が良いのだろうか。

 

「ヒャアアア!何これ!?何これェェェ!」

 

〈落ち着け……お前の望みを言え、どんな望みも叶えてやる。お前が払う代償は、たった一つ……。〉

 

「ハン!その手には乗らないよ!お化けさん、なんかとんでもない代償支払わせる気でしょ!私そう言うお話、いっぱい読んだんだから!」

 

目の前の〈イマジン〉に、勝ち誇って人差し指を向けるみゆき。だが、彼は顔色一つ変えない。

 

最も、砂製イマジンの顔色など、素人目には見分けつかないが……。

 

〈案ずる事はない。その代償は、お前が既に味わったモノだからな……。〉

 

「そこまで言うならやって貰おうじゃない!私の望みは……。」

 

極端に負けず嫌いな性格が災いし、みゆきはつい口走ってしまった。言えば大切な過去をもこの怪物に乗っ取られてしまう、自分のたった一つの望みを……。

 

一方、時の狭間を抜けたモモタロス達は、はからずも星空家に飛び込んでしまった。

 

それも よりにもよってこのタイミングで 最も彼が入るべきではなかったであろう火野あかねの体内に……。

 

自分以外のスマプリチームが全員黙りこくってしまい、動揺を隠せないやよいは、咄嗟に あかねの体を揺らしてみた。

 

「あかねちゃん、皆どうしたの!?しっかり……わ!」

 

おどおどするやよいを柄にもなく突き飛ばし、あかねはいつになく低い声で言った。

 

「ガタガタうるせぇよ……!」

 

「あ……あかねちゃん!?」

 

「俺、ようやく参上!」

 

その目はもう、やよいの知る火野あかねではない、鮮やかな赤眼の『誰か』だった……。

 

 

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