プリキュアオールスターズ×仮面ライダー~bの復活とsの暴走 ~ 作:鈴木遥
・四季おりおりの木々が生み出す表情豊かな景色と、 色とりどりの道路や街並みが 道行く人を笑顔にする、いこいの町『いちご坂』。
そんなこの街に、絶望だとか、脅威だとか、恐怖だなんて言葉は、はっきり言って無縁だった。
まして、この町で前代未聞のパンデミックが起こるなどと、誰が想像できただろうか。だがそれは起こってしまった……。
街を襲ったそのウイルスを、人はバグスターと呼ぶ。
「押さないで!順番に、必ず助かりますから!」
聖都大学附属病院のドクター、
応援に駆けつけた
その時、研修医の男が永夢を呼び止めた。
「宝生先生!至急治療室に!!」
「どうしました!?」
地下の対バグスターウィルス治療室には、赤い髪をツインテールに縛った少女が、苦しそうに呻きながら横になっていた。
研修医は動揺を隠す様に、早口で淡々と説明した。
「患者は
血液検査の結果バグスターウィルスが検出され、ゲーム病と見て間違いないでしょう。」
「この患者さんが、何か……?」
「我々に配られた治療用ゲーマドライバーでは、対処しかねると言いますか……。」
そう言って、男は一枚の写真を差し出した。
レントゲン写真だった。骨盤の位置には、バグスターウィルスを表すピラミッド型の粒子の他に、毒々しい紫の粒子が見える。
「報告によれば、『砂糖』の様な物質だと……。」
「『砂糖』!?」
永夢は耳を疑い、顔を上げた。
「余談ですが……この騒ぎが起こる直前だそうです。この患者が運ばれて来たのは……!」
「それじゃ……まさか……!?」
「推測ですが……この患者が今回の感染源かと……。」
店は、少しちんまりした一軒家で、どこにでも有りそうな代わり映えないケーキ屋だった。
「こんちゃっす。自分ら衛生省のモンですが……。」
突然現れた2人の来客に、琴爪ゆかりは警戒の眼差しを向けた。
目付きの悪すぎる黒革ジャン男に、昭和のチンピラの様なアロハシャツ男では無理もないが……。
「失礼ですけど、何の御用?」
「ああ、こりゃ失礼。実は自分ら……。」
「この店に内閣直下衛生所より調査命令が出ているゥゥゥゥゥゥ!痛い目に会いたくなければ速やかに店を明け渡せエエェェ!」
レジ打ち担当の立神あおいにくってかかる黎斗。
「うわぁぁ〜!何だこの人〜!?」
「ちょっ……おま、よせって黎斗……!」
桐矢が止めに入るが時すでに遅く、 狂ったようにわめく黎斗に恐れをなしたあおいは、警察を呼んでしまった。
事情聴取その他をこなしているうちに 日が沈み始めてしまい、本格的な細菌検査にかかることができた時には、空が紫色になっていた。
「結果……以上なし。すまなかったな、お嬢さん達。」
「いえ……それより、そちらの病院にウチの店長がお世話になっているとか……。」
有栖川ひまりが半分下を向いたまま、桐矢に訪ねた。
「永夢……いや、宇佐美さんの主治医から話は聞いてるよ。大丈夫。俺ぁ、あの男を心底信用してっから……。」
ドォォォン!!
奥の調理場から、 本来しないはずの爆音がした。
「……何!?何の音!?」
「俺達が見てくる、ここで待ってな!」
「わたしも行きます!」
ひまりとあおいは桐矢の後ろに立ち、ゆっくりと調理場に入る。
戸棚の小麦粉が飛び出し、床に散らばっている。
音の源は小麦粉だったのだろうか?
ホッと息をつき、広場に戻ろうとした時、今度は冷蔵庫が不自然に揺れだした。
「開店一年弱で、もうお化けですか~!?」
ひまりはうろたえ、桐矢と黎斗は冷蔵庫から目を離さない。
バタンッ!!
勢いよく冷蔵庫の扉が開き、中からキュアパルフェ/きら星シエルこと妖精キラリンが現れた。
「キラリン!?どうしたの、一体……!」
彼女の小さな体はボロボロで、ガクガク震えている。苦しげにうめきながら、彼女は絞り出すように言った。
「……逃げるキラ!恐ろしいヤツが来るキラ!」
「……!?何言ってるのキラリン……!?」
ドォォォォォォォン!!
ひまりの発言を遮るように、店の外から爆音がした。
桐矢と黎斗とともに、外へ出たひまりは、信じられないものを見た。
あきらとゆかりが、禍々しい紫の戦士と対峙していた。
プリキュア一同には、
「クロノス……!?」
桐矢は思わず口に出す。
かつて、日本を今朝の様なパンデミックに陥れ、世界を思うままに管理しようとした男、仮面ライダークロノス/檀政宗。
そのライダーにそっくりの戦士が、目の前にいたのだ。
「お客様……って訳でもなさそうだけど、どちら様?ご用件は?」
ゆかりの質問に答えないまま、紫のクロノスは右手のスピアを振り回し、周りの木々を真っ二つにした。巻き添えで、キラパティショップにも大きなヒビが入った。
「器物損壊、営業妨害……これもう逮捕よね?九条さん……。」
「その前に、
「忌々しい、何度もコンテニューするスペックは私の焼き直しだろうが!このフリーザもどき!」
かつて倒したハズの愚父の再来に期限を損ねたのか、とんでもない暴言を口走ってしまう黎斗。
「黎斗……さすがに「フリーザもどき」はアウト。色んなとこから怒られんぞ。」
「どうでもいい!早く倒すぞ!」
二人はそれぞれ、『デンジャラスゾンビ』/「プロトマイティアクションⅩ』と『爆走バイク』のガシャットを懐から出し、スイッチを入れる。
「「変身!!」」
『ガシャット!爆走 独走 激走 暴走 爆走バイク』
『デンジャー! デンジャー! デス・ザ・クライシス! デンジャラスゾンビ!』
『仮面ライダーレーザーターボ』、『仮面ライダーゲンムゾンビアクションゲーマー(レベル0)』に変身した二人を見て、あきらは、ひまり、ゆかり、あおいを見て頷いた。
「こっちも、行くよ!!」
「「「OK!!」」」
『キュアラモード・デコレーション!』
「知性と 勇気を!」
「自由と 情熱を!」
「美しさと トキメキを!」
「強さと 愛を!」
『レッツラ・まぜまぜ!』
「いくぜ〜!」
桐矢が勇んだその時、彼らは突然、その動きを止めた。彼らがというより、彼らを取り巻く『時間が止まった』というべきか。
クロノスのアビリティ、『ポーズ』が発動したのだ。
動いているのは当然、クロノスのみ……。
「実に残念だが、久しぶりの諸君とも、はじめましてのお嬢さん方ともお別れの様だ。」
桐矢、そして黎斗を順番に斬り付けた。彼らは、傷口に火花を散らしたまま、空中で止まっている。
クロノス/壇政宗は、全く本気を出していなかった。
彼にしてみれば、この戦闘も、新商品のプレゼンに過ぎない。
二人が充分なダメージを負ったのを確認すると、余裕綽々でポーズを解除しようとする。
だが、いつの世も、幸運は長く続かない。
ポーズを解除したその瞬間、謎のライダーが乱入した。
ボディは左右で赤と青に別れ、右にはウサ耳、左にはアンテナが生えている。
「なんだ貴様は……!」
「通りすがりの仮面ライダー……に案内された、天才物理学者です!」
「ふざけた事を……もう一度ポーズを!」
「させるかぁ!」
黎斗/ゲンムの猛攻に怯んでか、クロノスは姿を消した。
たった一瞬のうちに、何が起こったのかわからないプリキュア組と、 突如参戦した謎の戦士に 驚く仮面ライダー二人の 重い沈黙だけが残った。