プリキュアオールスターズ×仮面ライダー~bの復活とsの暴走 ~ 作:鈴木遥
・意識を留めた黎斗と桐谷、そしてプリキュア組は、突然現れた謎の物理学者と共に、北条永夢の待つ病院へと向かった。
……が、事はもう既に起こっていた。
ショートケーキ型のバグスターが、『仮面ライダーエグゼイド/アクションゲーマー』に変身した永夢と戦っていた。
「なんだありゃ……!?」
永夢の一撃でショートケーキバグスターが爆散すると、
桐谷が車から駆け下り、永夢と話し始めた。
「皆!いちかちゃんが助かったってよ!!」
CRの病室には 完全に回復したいちかがベッドで横たわっていた。
「いやー、ご心配おかけしました。」
「とにかく、無事でなによりだわ……あと、ご説明願えますか?物理学者の……桐生戦兎さん?」
「ブッブー!
「とにかく…… この状況について話してもらいたいんだけど……。」
あきらの目が座っているのに気付いた戦兎が、咳払いして話し始めた。
「俺も詳しくは知らないんだ。ある仮面ライダーに案内されて、別の世界から来たんだ。 プリキュア達と協力するように言われてね。」
「その、仮面ライダーって……!?」
「……仮面ライダー、ディケイド。」
クロノスは、居城に戻り、大いなる邪悪の神にひざまずいていた。そこは、部屋や玉座の間というには、余りにお粗末な“空間”だった。
部屋中が闇に覆われ、左右上下の区別もつかない。
『それで?まんまとプリキュア、仮面ライダー共に合流されたと……?』
「申し訳ありません!しかしながら、まだディケイド奴は……!」
『ディケイドが干渉すれば、もはや我々に勝ち目はない。既にヤツの入れ知恵で尖兵が敗戦続き……これ以上の失敗は許されんぞ。』
「かしこまりました!」
クロノスは再び、 エグゼイド達との最終決戦の地に立った。
「院内にいったい何人の人がいるか知らんが、これならば 十分に培養出来よう……!」
ガシャコンバグバイザーⅡからバグスターウイルスを散布。これにより、 空気中のバグスターウイルス濃度及び感染率が数倍に跳ね上がった。
院内では、早速異変が起きていた。
患者たちの体に、突然黒い腫瘍が発生し、狂ったように悲鳴をあげるようになった。中には、バグスターと化す者もいる。
「皆さん!屋上へ避難を!」
飛彩、そして大我とニコの機転で、バグスター化した者たちの鎮静及びそうでない者たちの避難は、迅速に進んでいた。
CR室内では、プリキュアと永夢達が今後の方針を言い合っていた。
「つまり、ビルドさんや。アンタがディケイドとやらから聞いた話では、敵さんは闇の力の根源ってヤツで、クロノス始め全ての悪党を統率してるって事かい?」
「敵軍の勢力も、相当のはずです。そんな連中と、どうやって戦えば……。」
「そうなるね。闇の力の根源ってのが何かは分からないけど、分かってる事が一つ……。」
不安そうに落胆するひまりに、いちかが明るく諭した。
「全員で協力しないと、勝てないって事ですよね!」
「ウィ!いちかに賛成!」
「面白そう。同感ね。」
「同じく。」
シエル、ゆかり、あきらの3人と、桐矢、そして黎斗が(しぶしぶ)手を挙げ、一同は一斉に立ち上がった。
「よっしゃ!早速行こうぜ、邪悪の神討伐作戦!」
「……どこに行く気だ?」
黎斗にツッコまれ、我に返る桐矢。
照れ笑いを浮かべたその時、血相変えた飛彩が病室に飛び込んできた。
「お前ら何をしている!クロノスが、行動を開始したぞ!」
檀政宗は何も無い平原で、邪悪の神の使命を果たさんとしていた。 バグスターウイルスの散布も、所詮はすべての計画の第一段階に過ぎなかった。
彼の英雄たちの討伐作戦は、たった今から最終段階に移るのだ。
「散布したウイルスも、もはや先ほどまでの10倍以上。増殖率は格段に上がっている……!やるなら今だ!」
「そこまでだ!檀政宗ェ!」
「クロノスさん!いちご坂の皆を苦しめるのはもう……止めて下さい!」
高らかに(大げさに?)叫ぶ黎斗を無視し、ガシャコンバグバイザーⅡを装着。 懐から 毒々しい紫色のガシャットを出した。
『ノワール・ジェノサイド!』
ガシャットの効果音が鳴り、バイザーにセット。
「黎斗、お前はいつから父を呼び捨てる様な悪い子になったんだ?」
「今さら父親だと!?ふざけるな!貴様が私にとって、どれほどの汚点か……!早く変身しろクロノス!返り討ちにしてやる!」
プロトマイティアクション x 及び デンジャラスゾンビ ガシャットを構える黎斗。
「今や、単なる『クロノス』ではない……エグゼイド、君は気付いたかね?私はレベルアップしたのだよ。 大いなる闇の力と結んだ協定によって作り上げた、パイプの力でね。」
「そのガシャットの事か!?」
「その通り……キュアホイップ、君が戦っている悪の一団、キラキラルを奪う存在だ。」
「……その程度で僕達が絶望すると?」
そう言ったのは永夢だった。 その目には 恐れも淀みもなく、彼が持つ力を一切恐れていない。
クロノスは 少々焦った。この世界にそんな住人がいるなど、想定もしていなかった。一度彼と戦った身でありながら、彼の底知れぬ精神力を見くびっていたのだ。
「そうだよ……これまでだって、何度でもキラキラルを護ってきたんだもん!あなた達にだって……負けない!」
「威勢がいいな諸君、ではその勇気に免じ……すぐ楽にしてやろう。」
「来るよ!私達も……。」
『オッケー!』
プリキュア6名がスイーツパクトを構えると同時に、仮面ライダー5名は、それぞれのベルトとガシャットを構えた。
「 術式レベル
「第50戦術……。」
「グレードXゼロ……。」
「ゼロ速……。」
「ハイパー大……。」
『変身!』
『キュアラモード・デコレーション!』
それぞれが変身したのを見届けると、クロノスはバイザーからバグスターウィルスを散布。それを大盾と剣に変え、まるでRPGの勇者の様に構えた。
「ノーコンティニューでクリアしてやるぜ!」
「私たちの町、絶対守って見せる!行くよ、皆!」
「さあ来い若造ども!今……審判の時だァァァァァァァァァ!」
かくして始まった、並行世界最後の攻防戦。
その光景を、静かに見守る邪悪の神が目覚めるのは、もう少し先の話である。