プリキュアオールスターズ×仮面ライダー~bの復活とsの暴走 ~   作:鈴木遥

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MAXheart×仮面ライダークウガ~紅い殺戮とルミナリオ~(前編)

・某日朝8:00

タコカフェ:ひかり&アカネサイド

 

タコカフェの開店準備中に、藤田アカネはまたくしゃみを飛ばした。

 

「大丈夫ですか?アカネさん今日はくしゃみ多いですねー。」

 

いとこで従業員の九条ひかりが、心配そうに顔を覗き込む。

 

「大丈夫。でも、誰かがウワサしてるのかしら?どっかの王子様だったりして......。」

 

「アカネさんに、悪いウワサは立ちませんから、大丈夫ですよ。」

 

「あら、優しいわねひかり。褒めても何も出ないわよ(笑)さっ、開店開店!」

 

まさか眼魔の王子に噂されているとはつゆ知らず、店の開店準備に勤しむアカネとひかり。

 

ましてや、物陰から店の様子を見ていた者の存在など、気づきもしなかった……。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

同時刻  美墨家:なぎさ&メップルサイド

 

「なぎさー!早くするメポ!遅刻するメポ!」

 

「分かってるよー!ていうかメップル!目覚ましの時間変えたでしょ!」

 

「8時に家出るのに、7時半にセットしてどーするメポ!早めにセットしといたら、なぎさが止めちゃったメポ!」

 

「だからって、何も5時にかけなくてもさー。」

 

朝から「選ばれし勇者」妖精メップルと言い争うなぎさ。

一応彼の同棲(!?)は家族に秘密なのだが、よくもまあこれだけ派手に騒いでバレないものである。

変身アイテムに化けたメップルをカバンに突っ込み、一階に降りる。

リビングでは、弟と両親が先に朝食を取っていた。

 

「あら、おはようなぎさ。どうしたの?遅いじゃない。」

 

「うん、ちょっと寝不足で……。」

 

なぎさが食卓に着くと同時に、今、世間を騒がせるあるニュースが流れてきた。

 

『次のニュースです。またもや、怪人の出現です。今回襲われたのは、東京在住の男子学生で、全治3ヶ月の大ケガをしました。

 襲撃した怪人は駆け付けた警察官によって射殺され、現在生物学研究所へ。謎の怪人への対抗のヒントが得られるのではと、大きく期待されます。』

 

「また『グロンギ』ね。なぎさ、亮太。帰ったらちゃんと戸締りするのよ?」

 

「「はーい。」」

 

上の空な返事をするなぎさと亮太。しばらくして、父も仕事に出る。

 

謎の怪物、『グロンギ』によるここ数日の通り魔事件。

それは、なぎさたちの街が平和であることが奇跡な程密接に、不気味に近づいていた。

 

実際、なぎさも誰かに見られている様に感じたことが、ここ数日何度かある。

 親友の雪城ほのかは、それを気のせいだといった。

 そうなのかも知れない。物騒な事件のせいで、少し過敏になっているのかも……でももし、そうでないとしたら。

 

 

不安を抱えたまま家を出るなぎさ。表ではいつもどうりの笑顔で、ほのかが待ち構えていた。

 

「おはよう、ほのか。」

 

「おはよう、なぎさにメップル。」

 

「二人とも、おはようミポー。」

 

学生カバンから、パートナーの妖精ミップルが顔を出す。

 

「学校行く前に、タコカフェ寄って行こう。ひかりを迎えに......。」

 

 

 

 

九条ひかりは二人の後輩であり、プリキュア仲間である。

アカネのいとこで通っているが、その正体は光のクイーンの“命”の分身であり、彼女がクイーンの心と分裂した際、路頭に迷っていた所をアカネに拾われ、以来彼女のもとで暮らしながら、タコカフェを手伝っている。

 

 

 

 

 

なぎさに会い、何気ない会話を交わし、普通の一日が始まる。.....ハズなのに、ほのかの心はもやもやとしていた。

 

昨日の不可解な夢が、頭に染みついて離れなかったからだ。

 

 

 

 

 

ほのかは、花畑に立っていた。

初めて来たハズなのに、なぜか見覚えのある景色だ。

 

すぐ近くに、少年が立っていた。

 

オレンジTシャツに、黒い短髪の少年が......。

 

まさか、そんなハズは......。そう思いつつ、もう二度と呼べるハズのなかったその名を呼んだ。

 

「キリヤ君......。」

 

「お久しぶりです。ほのかさん......。」

 

なぜか顔はよく見えないが、寂しげで、それでいてやさしく暖かい声。

 

間違いない。長い間会いたかった彼が、目の前にいる。

 

彼は、敵でありながら自分たちとの絆を包み隠さなかった。それゆえ、ジャアクキングによって、闇のエネルギーに変えられたのだ。

 

キリヤの思いに、気付くことさえ出来ないままの別れだった。

 

あの日から、何度も後悔した。夜が来る度涙した。

彼を救ってやれなかった自分の無力さを呪った。

 

必然的に、目から涙が溢れる。

 

「どうして泣いてるんですか?ほのかさん......。」

 

「だって、また会えたんだもん......。」

 

「残念ながらそう長くは話せないんです。ボクは今、恐るべき存在に狙われてるんです。今日はほのかさんに危険を知らせたくて、意識だけを飛ばして来ました。」

 

「意識だけ?......ということは、キリヤ君は今どこかに生きてるって事?」

 

「難しいけど、そうですね。ボクの存在は、少なくともほのかさんの近くにいる。近いうちに、会えるかも知れない。」

 

キリヤが何をいっているのか、ほのかは理解しきれない。

だが、夢でも幻でもいい。キリヤにまた会えた。それだけでも、充分ほのかは救われた。

 

「また、会えるよね......?」

 

「ええ、必ず。今は、これを......。」

 

そう言って、キリヤはほのかの手のひらに、オレンジの水晶玉を落とした。

 

 

 

 

 

 

目が覚めると、頬に涙の痕が残っていた。

それだけなら、ほのかはまだ諦めがついた。

 

だが、ほのかが手を開くと、そこには水晶玉が有った。

美しくオレンジに輝くそれは、紛れもなく夢の中でキリヤがくれた、あの水晶玉だ。

 

~そして、今に至る~

 

 

キリヤにまた会えた。それだけなら嬉しい事だ。

 

だが、昨夜の出来事は、ほのかの心に、言い知れない不安を落とした。

 

ここ最近、奇妙な出来事が連続している気がする。

 

なぎさの言う誰かの視線然り、巷で話題の『グロンギ』然り。

 

極め付きは昨夜の夢。こればかりは、どうにも説明が付かない。

 

あれがただの夢じゃなかったとして、キリヤを狙う“恐るべき存在”とは何なのだろう?

 

何かが起こる。

 

根拠は無いが、確かにそんな気がする。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

『10分後。ベローネ学園正門前:マックスハートサイド』

 

「夢......ですか?」

 

「そうなの、ひかりさんなら何か分かるかなて......。」

 

「ま、何にしても良かったじゃん。夢でも何でも、またキリヤ君に会えて......それがただの夢じゃなかった。もう、絶好調なり~!」

 

「なぎささん、それは後輩(ブルーム)の......。」

 

慌てて制止したひかり。当のなぎさは全く焦って居ない。

 

「あ、そーだっけ?うっかりうっかり。」

 

「ごめんなさいほのかさん。キリヤ君とやらは、初期のドツクゾーンの幹部だそうなんですけど、その頃の彼らは、私全く詳しくなくて......。」

 

「ううん、いいの。聞いてもらっただけで、大分楽になったから......。」

 

そうは言うものの、実際には、どこか納得できなかった。

ここ数日の一件は、もっと深い闇がある様な気がする。

自分たちには想像も付かない様な、恐ろしく深い闇が......。

 

張り巡らせた想像は、背後からの甲高い声にかき消された。

 

「少し、よろしいかしら......。」

 

「ほえ?」

 

なぎさが振り向くと、黒装束をまとった若い女性が立っていた。

 

顔は青白く、血色がない。艶のある黒髪を後ろに束ね、額にはバラのタトゥーが彫られてある。

少し奇妙な風格に、なぎさは一瞬違和感を覚えた。

 

「ベローネ学園は、ここで良いの?」

 

「はい、そうですが......。」

 

淡々と受け答えするなぎさ。だが、ほのかは気付いていた。

 

彼女を見たひかりが、震えている。

 

前にも何度かこういう事が有った。

一見普通に見える人が実は闇の使者だった。

その様な時、ひかりはいつも何かを感じ取ったかの様に震えたり、態度がおかしくなったりした。

 

(この人は、敵だ。)

 

何も根拠は無いが、プリキュアとしての二年以上の経験者の勘というだけで、その違和感を裏付けるには充分だった。

 

「正面入り口から職員室に行って、ご用がある方の名前を言えばいいと思います。」

 

「ありがとう。やさしいわね、お嬢さん。いや......。」

 

そこで言葉を切った彼女は、なぎさのカオを見たまま、

空に手のひらをかざした。

 

 

「プリキュア......!」

 

不自然に低くなるその声。とたんに彼女は、さながら全身にバラの花びらを飾り立てた様な怪人の姿に変わった。

 

変異した彼女を前に、辺りは騒然となる。

 

 

「見えました?真っ赤に流れる血潮......。」

 

「言ってる場合じゃないでしょなぎさ!その人、私たちを狙ってる!」

 

「少し違うわねぇ。最終的にはあなた達も排除するけど、今回は......。」

 

そう言って彼女は、手の中から種子のようなものを取り出すと、それを後ろへ放り投げた。

 

       ガゴォォン!

 

種子は校舎の壁に衝突し、クレーターの様な大穴を開けた。

 

「あんた、何のつもりよ!」

 

彼女に食って掛かるなぎさ。一方で彼女は、まるで子供を相手にするかの様な余裕の表情だ。

 

「何って、今回はプリキュアを除く全てのベローネ学生を排除することが、ゲゲルのルールですもの。」

 

「ゲゲル!?何の話よ!!」

 

「あなた一体何者!?」

 

 

「私の名は『ラ・ルバル・デ』。グロンギの一人にして我らの道楽である、殺人ゲーム、『ゲゲル』の二人目の管理者......。」

 

「殺人ゲーム?」

 

ほのか、なぎさ、ひかりはカオを凍り付かせる。

 

「じゃあ、最近の事件は全部......。」

 

「そうよ『キュアホワイト』すべては我らの道楽、『ゲゲル』のひとつに過ぎない。ま、そうは言っても単なる遊びではないけどね。」

 

「ふざけないで!一体どれだけの人が傷つけられたと思って......。」

 

     「知ったことかァァァァァ!」

 

ルバルの理不尽な怒りのや咆哮に答えるかの様に、突如として追い風が吹く。

 

「我々に再び命を下さった『ブラックホール』様の為、我らの悲願全うの為、キサマら人間が何匹死のうが、その他下種族が何匹死のうが、どうでもいいんだよ!思い上がるな、下等種族共!」

 

ほのかの全身に悪寒が走る。コイツは、人間をいたぶる事を何とも思っていない。

 

人どころか、自分たちグロンギの道楽の為に誰かが死ぬのを当たり前だと思っている。

弱肉強食の摂理に付け込み、思い上がり、他者を慈しむ心など欠片も持ち合わせていない。

 

傲慢だ。素直にそう思った。コイツを見ていると、『ドツクゾーン』ですらまだましに思えて来る。

 

「ほのか、ひかり。変身よ!」

 

「なぎささん、すいません。今日は、クイーンに呼ばれたとかでポルンがいなくて......。」

 

「じゃあ、ひかりは皆を避難させて!」

 

「ラジャーです!」

 

 

「いくよ、ほのか。」

 

「うん!」

 

なぎさはカバンからメップルを、ほのかはカバンからミップルを取り出し、変身の言葉を唱える。

 

   『デュアル・オーロラ・ウェーブ!』

 

唱えると同時に、二人は七色のオーロラに包まれた。

 

オーロラが消失すると、二人は白と黒のコスチュームをまとった戦士へと変貌した。

 

『光の使者、キュアブラック!』

 

『光の使者、キュアホワイト!』

 

『ふたりはプリキュア!』

 

「闇の力のしもべ達よ!」

 

「とっととお家に、帰りなさい!」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

同時刻。タコカフェ:アカネサイド。

 

アカネはカウンターに頬杖を突き、午後最初の客を待っていた。

平日の午後は、どうしても暇になってしまう。

サラリーマンも、学生も、昼にたこ焼きを食べようとする人は希だ。

 

(そろそろ、他にサイドメニューでも考えようかな......。ま、いっか。ひかりが帰ってからで。)

 

「すいません、タコカフェってのはここで宜しいでしょうか?」

 

低いが、爽やかな声がした。この店では珍しい、成人男性の客だ。

 

「はい、そうでーす!!」

 

と、立ちあがり客のカオを見た時、アカネは固まった。

客のカオをよく知っていたからだ。

そう、中学時代の同級生、一条薫だ。

 

「藤田さん......だよな?」

 

「......カオル?一条薫でしょ?なつかしい!びっくりしたぁ!」

 

「オレもだよ。三日前、全国たこ焼き屋台コンテスト優勝のニュースが新聞の小見出しに有ってさ。

オレにゃ無縁と思ってたら、憎たらしいカオが有ったから、チラッと見に来たのよ。」

 

「マジでー!?びっくりしたぁ!ねぇ、今何してるの?警官になったって聞いたけど?」

 

たこ焼きを一パック分焼き、コーラをカップに注ぎながら、アカネは一条のカオを伺う。

 

「うん、まぁ、あんまり大声では......な?」

 

コーラを啜る一条の耳もとに、アカネはいたずらする様なカオで耳打ちした。

 

「もしかして......グロンギ?」

 

「ブゥゥゥゥゥゥゥゥゥッ!」

 

『グロンギ』の単語を聞いた一条は目を見開き、コーラを吹き出した。

 

「やだ何よ、汚いわねー!」

 

「おま、ちょ、軽々しくそう言う事言っちゃ......。」

 

「あ、何?当たりなの!?適当に言ったのに......。」

 

「まぁ、対策室とは言っても、税金泥棒呼ばわりされても文句言えない位、やる事少ないけどな......。」

 

「へぇ、今テレビですごく騒いでるから、よっぽど忙しいのかと思ってた。」

 

「まぁ、否定はできないかもな。上層部(うえ)はここぞとばかりに、パシるつもりらしいし......オレの企画した『G4』は結局お蔵入りになったし......。」

 

「うそ!アレマジで作ったの?中学の頃の『技術設計評論会』で賞獲ったヤツ!?」

 

「なんか装着者の安全性に問題があるんだと......あんなずさんな管理してたら、それこそ誰かに悪用されそうだけどねぇ。」

 

「ふぅーん。」

 

愚痴りながらコーラを飲み干す一条。

 

「そうだアカネ。これ、預けとくわ。」

 

そう言うと一条は、一枚のA4紙を差し出した。

 

「何よ、これ......。」

 

中身は、見たこともない文字の羅列だった。

 

なぜか一条はいたずらッ子の様に笑っている。

 

「本当は『機密書類』を預けんのはいけないけど、もしこれが最期の来店だったらと思うと......な。」

 

「最期って......あんた何言ってんのよ。」

 

「あ、いや......何でもねぇよ。今日はこの辺で。」

 

そそくさと席を立ち、千円払うと、店から離れようとする一条。

 

何故かは分からない。このまま彼を帰せば、もう二度と会えない様な気がしたのだ。

 

 「ちょっと薫!」

 

 

「......ん?」

 

「これ!」

 

アカネは一条に、タコカフェのチラシを差し出した。

下のキリトリ線の部分は、クーポン券になっている。

 

「このクーポン、次回から使えるんだから。だから、その......ちゃんとまた来てよね!?」

 

アカネはカオを真っ赤にし、息を切らして訴える。

 

当の一条は、何かが吹っ切れた様に笑った。

 

「変わらないな......お前は。」

 

「......え?」

 

「約束するよ、ちゃんとまた来る。」

 

「約束だかんねーーーーーーー!」

 

アカネは、一条が見えなくなるまで手を振った。

 

一条も、タコカフェの店舗が見えなくなるまでその方向を見て歩き続けた。

 

タコカフェが見えなくなると、一条は携帯を手に取り、電話をかける。

 

『はい、もしもし......。』

 

電話の相手は若い男だった。

 

「光写真館にお電話差し上げた、一条と申します。早速本題だが、君が『異世界の』クウガで良いのかな?」

 

 

一条の覚悟を称えるかの様に、夏の青空は、どこまでも澄み渡っていた。

 

彼が、もう1つの戦場で戦う少女達と出会うのは、もう少し先の話である......。




MAXheart×仮面ライダークウガは三部作になります。
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