プリキュアオールスターズ×仮面ライダー~bの復活とsの暴走 ~ 作:鈴木遥
・ひかりは絶望した。
「なぎささん、ほのかさん!」
元々あり得ない話ではない。プリキュアとて人なのだ。
時に敗北に喫すこともある。
だが、今回のそれは『ドツクゾーン』の時とはワケが違う。
二人が、いなくなってしまう。
リアルにそれを感じたのは、これまでプリキュアをやって来て、初めての経験だった。
二人は、ルバルを前に動かなかった。
15分前:混乱のベローネ学園
二人は同時に攻撃を仕掛ける。
「はぁ~!」
「たぁー!」
二人の渾身の拳を、余裕なカオで受けとめるルバル。
赤子の手を捻るかの様に、呆気なく吹き飛ばされるMAXheart。
それでも怯まない二人。
ブラックの方から連続打撃を繰り出す。しかし、反射神経はルバルが一枚上手だった。
ブラックの拳を全て捌ききると、ブラックの腹部に拳を突き立て、拳から光線を放つ。
またもや後ろへ吹き飛ぶブラック。
「この程度?少しは楽しめるかと思ったけど......。」
「まだ勝負は、終わってないでしょ!」
余裕なルバルの隙を突き、背後から回し蹴りを放つホワイト。
これもルバルは難無く抑え、足を掴んで体ごと地面に叩きつける。
「ホワイト!」
ブラックはすぐに立ち直り、ルバル目掛けて拳を突き出す。
「遅いんじゃない?」
前方にいたはずのルバルは、いつのまにか背後に回っていた。
「破ァ!」
ルバルが両手を開き、前に突き出すと、ブラックの周りにバラの花ビラが出現。
「触っちゃダメよ?とーっても、危ないから❤️」
ドカァァァァァン!!
ブラックは、少し触れただけだった。いや、触れたかどうかも、ブラック本人にははっきり分からなかった。
花ビラは一つ一つが爆発を起こし、その場は煙に包まれた。
「何なのよ。強すぎ、あり得ない......。」
「ふふふ、楽しんでくれた?希少種である私達バラのグロンギの真骨頂......。」
「私達じゃ、勝てないの......?」
「なぎささん、ほのかさん!」
背後から悲痛な叫び声がした。
学生達を避難させ、九条ひかりが戻って来ていた。
「ひかり、来ちゃダメよ!コイツ強すぎる!」
なぎさに止められ、足をすくませるひかり。
彼女を見たルバルは、不気味にニヤリと笑い、ひかりに語りかける。
「良かったわねぇ、お嬢ちゃん。あなたは『ただのお友達』。プリキュアにはなれない無力な存在。痛い想いしなくて済んだじゃない。」
「え......?」
疑問符を浮かべ、絶句するひかり。
「あんた何言ってんのよ!ひかりはねぇ......。」
「待ってなぎさ!」
ルバルの“とある勘違い”を指摘しようとしたなぎさを、ほのかは慌てて制止した。
「あなたは良くやった。周りはあなたを責めないわよ。
あなたは戦えない分だけ、出来るだけの事をしたんですもの。けど......。」
ルバルは言葉を切り、手からイバラを放つ。
イバラは蛇のようにうねり、倒れたMAXheart二人の首を締めつける。
「く......。」
「あァァァァ!」
苦悶するなぎさとほのか。ひかりは、恐怖と絶望で声も出ない。
「あなたが共に戦えないが為に、あなたの大切なお仲間はここで死ぬのよ!」
「やめてーーーーーーー!」
涙ながらにようやく叫んだひかり。
その叫び声は、直後になり響いた怒号と銃声にかき消された。
ドォォォォン!
「そこまでだぁ!」
背後からの野太い声。振り向くと、見覚えのない男が銃を天に向け、ルバルを睨んでいる。
「未確認生命体B群4号!暴行、恐喝、殺人未遂の容疑で逮捕する。抵抗すれば、射殺も厭わんぞ!」
突然の警察官の出現。
どう反応するべきか分からないなぎさ達を他所に、ルバルは余裕の表情で対応した。
「警視庁グロンギ対策室の、一条薫警部さんね。ウワサは聞いてるけど......分かってる?今私達が身を置く組織は、あなたが『ダグバ様』を相手にしていた時とはワケが違う程大きな組織だけど?」
「脅しのつもりならムダだぞ!そこの二人の安全が確保させるまで、オレはここから一歩も動かん!」
ルバルは、この男を厄介に思った。
この男は、恐らく自分がイバラを向けている事に気づいているだろう。
が、コイツは怯むどころか、今プリキュア達を解放しなければ本気で自分を殺すつもりらしい。
自分たちグロンギを恐れない。
そんなヤツは初めてだった。
『彼の言う通りだ。ここは一旦退くぞ、ルバル。』
今度はルバルの後ろから、野太い声がした。
「あらイルクーボ。もう?」
彼女の後ろから、白いローブを纏った人影が現れる。
フードが外れると、鋭い眼光にスキンヘッドの男の顔が現れる。
「貴様、任務を忘れたか?我等はまだ、プリキュアの抹殺を言い渡されてはないだろう?」
その声、その姿を見聞きし、ホワイトは震え上がった。
そう、なぎさも、ほのかも彼を知っている。
キリヤと同じドツクゾーンの初期メンバーであり、幹部ダークファイブの元一員、イルクーボ。
キリヤの監視、監督を務めていた彼も、ドツクゾーン最終戦の際、なぎさとほのかに敗れたハズだった。
「なぜ、あなたがここに!」
「久しぶりだなキュアホワイト。今はどうでも良かろう。......それより貴様、キリヤの居場所を知っているな?」
ほのかは反応に困ったが、イルクーボはしたたかに言った。
「今更惚けてくれるなよ。貴様から、よく知った気配がする。今ヤツは、どこにいるんだ?」
「知らないわよ!何の事だかさっぱり......。」
「まぁいいだろう。見つけ次第連れてこい。出来なければ......おっと、ここからはルバル貴様が教えてやれ。」
「♀£→ΞΟΩεθιαΛγμДЛξννЕФХЯаимутхцщш●◎◇◆↑□★☆%#&*§§」
それは何か、聞覚えの無い単語だった。
「全っ然伝わりませーん!」
精一杯の挑発するブラック。だが、案の定ルバルは相手にしない。
「伝わらないのならそれでいいわ。どの道あなた達を待ち受ける運命に変わりはない。」
「もういいな?行くぞ。」
「待て貴様ら!いったい何を企んで......。」
一条の制止を無視し、二人は闇の中へと消えて行った。
「くそ!逃げたか。」
「とにかく、お二人をどこか安全な所へ......。」
まだ震えているひかりに促されるまま、一条は急ぎ救急車を呼んだ。
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『都立中央病院』
なぎさが目を覚ますと、病室の白い天井が目に入った。
「あれ?私......。」
体を起こそうとすると、体中を突き抜ける痛み。頭と右肩に、包帯が巻かれてある。嫌がおうにも、先程の敗北を思い出す。
そうとなると、次に案じたのはホワイトの安否だ。
「ほのか!」
右肩の痛みも構わず、ベッドを飛び起きるなぎさ。
「ここだよ。なぎさ。」
隣のベッドカーテンを開くと、ほのかが横になっていた。なぎさと同じく頭と右肩に巻かれた包帯が痛々しいが、意識は健在な様で、なぎさに微笑んでいる。
「良かった......そうだ、ひかりは!?」
「無事ですよ、皆......。」
気が付くと、ひかりは病室の入り口にいた。
隣には、先程グロンギとなぎさ達の間に割って入った刑事が立っていた。
「さっきの刑事さん!」
「助けていただき、ありがとうございました。」
なぎさが指差し、ほのかが頭を下げた。
「いや、警察官だし、あの怪物は俺の管轄だから......そうだ、やっぱ君らがプリキュアで良いんだよな?」
「げ!バレてる!?」
「いや『さっきの刑事さん!』の時点で隠そうとしてなくない!?」
「あはは、それもそうですね~!」
「もうなぎさったら。すいません。」
「いや別にいいけど......君達けっこう危ない目に逢ったのに、随分余裕なんだね。」
「慣れてますから。こういうの。」
安心したよ。と、二人にコーヒーを渡すと、しんみり話し出した。
「先に、謝りたいんだけど、ここ数日君の後をつけてたのは、俺だったんだ......。」
なぎさの全身に、衝撃が走った。
「なん......で?」
「簡単にいうと、探してたんだ。あの怪物、グロンギと戦える、二人目以降の戦士を......だけど、君がもし奴らと繋がってた場合を考えると、そう簡単に現れるワケにも行かなくてね。」
「だからって、何もこっそりつけなくても......。」
「二人目以降って事は、私達以外にもいるんですか?闇と戦える人が。」
「少なくとも、オレの知人に一人......かな。」
「敵は一体どのくらいいるんですか?」
不安そうに問うひかり。一条は髪をかきむしった。
「はっきり言って“未知数”......敵がどこから来てどこへ消えるのか、さっぱりだ。」
一条の言葉で、三人のカオは一気に曇った。
「だからって、希望がないワケじゃない。現在我々警察が把握してるグロンギは、いずれも普通の人間で太刀打ちできる。つまり、あのルバルと言うバラのグロンギを倒せれば、敵の戦力は大きく崩れる。」
「だったら、私に一つ考えが有ります。」
「......考えって?」
「なぎささん、ほのかさん、一条さん。あの人多分、実体がありません。」
「どういう事だ......。」
「こういう事ルル。」
ふと、ひかりのカバンから桃色の耳の妖精が現れた。
ひかりのもう一人(一匹?)のパートナー妖精、ルルンだ。
「ルルン!あんた今朝居なかったけど、どこ行ってたの?」
「番人が、タコカフェに来る様に言ってたルル。そこで、とんでもない話を聞いたルル。」
ルルンは、番人から先程聞いたという話を説明した。
今朝クイーンが得体の知れない気配を察知した。
どうやら、かつてプリキュアオールスターズによって倒された存在、『ブラックホール』の復活を意味するものらしい。
クイーンは、急ぎ各世界の戦士たちに協力を仰いだが、時すでに遅く、ブラックホールは既にこの世界へ尖兵を差し向けていた。
「ルルンは急いで来たルル、もう遅かったルル......。」
「それは違うかも。ルルンちゃん、だっけ?君の話が正しければ、各世界にそれぞれ戦士たちがいるって事になる。という事は、ここで起きてる事件をまず解決する事が、この問題の根本的解決に繋がるかも知れない。」
「どういう事ですか?」
「『ブラックホール』とやらのメカニズムは、尖兵が死ぬと本体と再融合するらしいね。尖兵と戦った戦士たちがそれを見れば、きっと本体がある場所へ向かおうとするだろう。その時、俺たちも同じ事をしたら......どうなる?」
「集結する?プリキュアオールスターズと、もう一種類の戦士たちが......。」
「ひかりさん、ザッツライトだ。どの道本体が倒れねば、根本的解決にはならない。逆に言えば、全員揃えば、こちらにも分がある。その為にはまず、この世界を元に戻さねば......。」
「さんせ~~~い!」
なぎさは、暗雲が晴れたかの様に、高らかに叫んだ。
「私も......。」
ほのかも、控えめに右手を挙げた。
「その前に、一つ良いですか?」
「ひかりさん、どうした?」
「『究極の闇』って、なんですか?」
ひかりが発した言葉で、一条はカオを強張らせた。
というよりは、先程の三人の様に、まるで闇の中にいるかのな、絶望さえ見える曇り顔だった。
「どこで聞いたんだ?その言葉......。」
「先程、あのバラのグロンギが言ってたんです。『キリヤの
「言ってたんですって......
「私には、普通に話してる様に聞こえました......。」
「参ったな......奴らそんな事を。早急に手を打たないと
大変なことになるぞ。」
「何なんですか?その『究極の闇』って......。」
「グロンギの殺人ゲームの優勝者の特権で行われる、最悪の無差別殺人ゲームだ。」
「そんな!あれ以上の惨劇がまた......?」
「焦るなほのかさん。オレに考えがある。」
「どうするルル......?」
「その殺人ゲームの日を、決戦の日にする。俺たちの、『勝利の日』に......!!」
一条のカオは、お世辞にも自信満々とは言えなかった。
だが、『やるしかない』。一条のプライドと、男の意地が相まって、その決断は揺らがなかった。
(見てろよグロンギ共!お前らがどれだけ薄気味悪い企みをしようが、オレがひっくり返してやる。
アカネが、ユウスケが、オレの大切な全てがあるこの町を、お前らの、好きにさせるかーっ!!)
to be continued