プリキュアオールスターズ×仮面ライダー~bの復活とsの暴走 ~ 作:鈴木遥
・ヒビキは、道に迷っていた。
彼は、『仮面ライダー』の一人として、この町で『プリキュア』と落ち合う手筈だったのだ。
彼の職業は“鬼”。
古くからこの国にはびこる異形の怪物、
きっかけは彼の所属する魔化魍討伐組織、『
「あんたも仮面ライダーの一人で、目覚ましい活躍中だろ?
この国......いや、この世界に危機が迫ってる。三日後の正午、加音町の教会に来てくれ。地図は、その店にファックスを送る。」
こちらの名を聞くことも、名乗ることもなく、ただ用件だけを伝えて電話を切ったその男、彼の声には聞きおぼえがある。
世界の破壊者こと、仮面ライダーディケイドだ。
彼の言うことを一から十まで鵜呑みにはしない。ただ、彼の声にはどこか焦りを感じた。
イタズラやジョークの類ならそれでいいが、もし本当に何かただならぬ事態が起こっているのなら、それが魔化魍であってもなくても黙って見過ごす訳には行かない。
「そんじゃ、ちょっくら行ってくるわ。」
関東支部長
「ヒビキさん、ココさっきも通りませんでした?」
「そうだっけ?あーもう、この地図いい加減過ぎるだろ!」
イライラで地図を握り潰そうとするヒビキを見兼ねた京介は、気分を変える何かを見つけようと、辺りを見回す。
ちょうど、二人の正面には、ケーキ屋らしき店がある。
「『ラッキースプーン』......ヒビキさん、ケーキ屋じゃないですか?
道を聞くついでに、糖分摂って行きましょう。」
扉を開けるとベルの音がなり、三十半ば位の女性が出迎えた。
「いらっしゃいませ。あら、初めてのお客さまですね。今日はどれにします?」
初対面の客を相手にここまで気さくに話せる店員に、京介は関心した。
「えー、じゃあ本日のオススメカップケーキを一つ......京介は?」
もう店員と打ち解け、淡々と注文するヒビキ。
(相変わらず侮れないな、この人......。)
「じゃあ、オレはこの『マンゴーカップケーキ』で......。」
「ありがとうございます。宜しかったら、二階のテラスで召し上がられます?」
「あ、いえマダム。我々、待ち合わせの約束があるんですが、道に迷ったもので......。」
「待ち合わせ?どの辺かしら?」
「この、パイプオルガンの有る教会に......。」
ヒビキが地図を指さすと、店員は驚いた様に目を見開いた。
「今日の正午に、ここでパレードが催されるんですよ!
ウチの娘も参加します!」
「あ、そうなんですか!いやぁ何の偶然かなー、お宅の娘さんなら、きっとおキレイでしょうね。」
「フフフ......お客さまお上手。教会は、ココを出た突き当たりを真っ直ぐ行って、道なりに進めば着きますから......。」
「いやどうも、ありがとうございます。」
店員に礼を言い店を出ると、 京介がボソリと言った。
「......俺たち、すぐ近くをウロウロしてたんですね。」
「まぁ良いじゃないか。おかげで美人の奥さんと、美味しいカップケーキに逢えたんだから。」
カップケーキ片手に満足げなヒビキ。背後から二人の様子を伺う何者かに、彼は気付きもしなかった。
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フェスティバル会場の仮設テント:スイートサイド
加音町セッションフェスティバル。
それは、『スイートプリキュア』こと
今日の彼女達は、四人でピアノコンサートへの出場を控えていた。
響は、教会の裏に設置された仮設テントの中で、自分達の出番を待ちわびていた。
相棒の
かくいう響は、ココに来て緊張を抑えられずにいた。
「だー!どーしよう、最後の一節でどうしても引っ掛かるよ!」
「大丈夫だよ響。この前は何とか弾ききれたじゃない。
今はダメでも多分......。」
奏の励ましも、今の彼女にはあまり意味を成さない。
「うぅ......だと良いけど......。」
「しゃんとして響!その一節がもしダメでも、あなたのここ数ヵ月の成果が現れれば、それでいいの。うじうじしたまま演奏して後悔するより、よっぽど良いじゃない。」
「うぅ......エレン~!」
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フェスティバル会場屋台村:ヒビキ&京介サイド
「しっかし、すごい人だかりだなー。」
ヒビキは思わず声に出した。
ローカルな祭故に、たいした規模ではないだろうと高をくくっていたが、屋台村は右も左も人だかりで、ボサッとしていようモノなら直ぐ迷子になりそうだ。
「ヒビキさん、気を付けながら歩きましょう。思ったより人が......。」
「......うん、ほーらな(そーだな)。」
いつの間にやら屋台のお好み焼きやフランクフルトを両手に下げ、口いっぱいに頬張るヒビキ。
「......って!なんでもうそんなに食ってんですか!?」
「お前も食えよ、美味ぇぞ、フランクフルト。」
しばらく歩いていくうち、京介の恐れた事態が起こった。
「俺たち、どこ向かってるんでしたっけ?」
「......あ。」
しばらくその場に立ち尽くす二人。やがて、冷や汗を伴ってヒビキが言った。
「......ま、まぁあれだ。とにかく、こういう時は人に聞くのが一番だろ。そうだ、あの子に聞いて見るとしよう。」
ヒビキは、玩具の兵隊の格好をした少年を指さした。
「......どうかしましたか?」
少年は少し訝しげにヒビキを見たが、精一杯の作り笑顔で対応した。
「あー、少年君。済まんな、少し道を聞きたいんだけど。」
「なるほど、少々お待ち下さい。」
少年はヒビキに言い残し、奥のテントの方へ向かった。
やがて、ヒマワリのドレスを身に纏ったメガネの少女を連れて戻って来た。
「ここからは、私がご案内します。係員の、
「こりゃあ可愛い案内人さんだ。お願いします。」
アコと歩きながら、ヒビキと京介の耳に何やら聞きおぼえがある声が聞こえた。
みれば、近くの演説台から、白衣の若い男が話している。
『えー、つまり、音楽の力は今や“医療”の段階に在る訳で......』
「アコちゃん。これ、何の演説?」
「ああ、このフェスティバルの記念に、わざわざ東京から来て下さったお医者さんで、名前は確か......。」
「ヒビキさん!?」
男はマイクから手を離し、ヒビキの名を呼んだ。
「どっかで見たカオと思ったら、
「桐谷君まで......何してるんですか?こんなところで......。」
「そりゃこっちのセリフだよ。医者に成ったとは聞いてたけど、まさかこんな所で会うとはな。」
最後に会ってから二年。ヒビキがしばらく見ない内に、立派な医者になった様だ。
「そこのアコちゃんのお爺さんに、講義を頼まれて......。」
「ああ、そうなんだ。すいません、わざわざお爺ちゃんが......。」
「いえいえ、こんな新参者の講義なんかをわざわざ役に立てて貰えて......。」
照れ笑いを浮かべる明日望。......と、その時。
鐘が鳴った。加音町のシンボル、時計塔の鐘だ。
『間もなく、北条ピアニストリオによる、ピアノコンサートを開幕します。
ご拝聴の皆様は、教会前広場までお越しください。』
「そうだヒビキさん。それに桐谷君も、よかったら一緒にピアノコンサート行きませんか?アコちゃんの友達が演奏するんですよ。」
「そいつは良いな。でもお前、講義は?」
「心配要りません。......今ちょうど、誰もいないんで。」
「あ、そうか......。」
明日望と演奏を聞けるのを喜ぶべきか、講義の客不足を嘆くべきか、迷ったヒビキはただただ苦笑いを浮かべていた......。
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灰クグツは、人混みをかき分けながら、教会へ向かっていた。
全身灰色装束を纏う彼に、道行く人は誰も彼に気付かない。
(最高気温24℃。湿度10%。......上々ダ。広場に集マル人間共ハ200名弱。『あの方』モ、オ喜ビニナルダロウ......)
灰色のフードに隠れた口は、邪悪な思想を叶える卑下た快感で不気味にほくそ笑んでいた。
懐から、赤い音符の入った試験管を取り出した。
そこに、キツネの毛を一束混ぜ、中身を地面に垂らす。
液体はやがてブクブクと泡を吹き、巨大な噴水に変わる。
噴水は、やがて大きな何かを形作る。それは単なる液体ではなく、鳥の骨格を背負った巨大なキツネの怪物に変わった。
(行ケ、キュウビネガトーン。我ラガ盟王の、貴ク尊キ志シノ為二......。)
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教会前の広場:ヒビキ&京介&明日望&アコサイド
ヒビキ達が広場に着いたとき、辺りは騒然としていた。
ピアニストリオが青空の下、演奏するハズだった場所に、突然謎の化けものが降り立ったのだ。
怪物は美しく磨かれたピアノを容赦なく踏みつけ、広場に我が物顔で居座っている。
「魔化魍......!?」
「......に見えるが、少し妙だな。」
ヒビキは気付いていた。明日望が避難させていた人々が、逃げるのを止めている。
皆がその場に座り込み、何かに取り憑かれたかの様に泣き崩れている。
異様と言うのなら、怪物もそうだ。
先程、地面に亀裂が入るほどの、おぞましい咆哮を上げ、それ以降全く動こうとしない。
そう、魔化魍にあるべき、『人を喰らう』という意志が見受けられないのだ。
「......とにかく、コイツを何とか......。」
「ここは、私が何とかします。お二人は、お客さん達と安全な所へ......!」
「何とかって......。」
どうするつもりだ?と、京介が問おうとした時、アコは既に『キュアモジューレ』を手にしていた。
『レッツフレイ・プリキュア・モジュレーション!』
手の平に乗った『キュアモジューレ』を胸元にかざし、
どこからともなく現れた黄色のリボンがアコの身を包み、神々しいコスチュームに変わる。
『つま弾くは女神の調べ、キュアミューズ!』
変身を完了してから、彼女は『やっちまった』とばかりにヒビキを見た。
「......と、言うわけで『キュアミューズ』です。」
京介はまだあんぐり口を開け、ヒビキは嬉しそうに拍手した。
「だがまぁあれだな。アコちゃんが件の『プリキュア』として奮闘してるってのに、おじさん達が逃げる訳にはいかねぇよ。」
「え......!?」
ヒビキ、そして京介は、鬼の首の様な形をした音叉を取り出し、額にかざす。
『『オォー......タァ!』』
二人の体は紫の炎に包まれ、紫と白の鬼のような姿に変わった。
「......という訳で、『仮面ライダー響鬼』です。お見知り置きを。」
「あなた達が......『仮面ライダー』!?」
「ビックリした?そりゃそうだよな。ま、君の『キュアミューズ』にも大分ビックリしたけどね。」
二人の仮面ライダーとプリキュアを見た瞬間、怪物はついに動き出した。
三人に殺意の眼差しを向け、怒りの怒声を挙げる。
『ウォォォォ!!』
「遊んで欲しいってよ。んじゃ行こうか、キュアミューズ。」
春の某日、加音町。今日の気候は、晴れ時々、人と魔と鬼の大合戦......!!
場面の都合上、リズム&メロディは次回参戦します。