プリキュアオールスターズ×仮面ライダー~bの復活とsの暴走 ~   作:鈴木遥

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スイート×仮面ライダー響鬼~届け五人の、魂のセッション!~(前編 )

・ヒビキは、道に迷っていた。

彼は、『仮面ライダー』の一人として、この町で『プリキュア』と落ち合う手筈だったのだ。

 

彼の職業は“鬼”。

 

古くからこの国にはびこる異形の怪物、魔化魍(まかもう)の討伐を生業とする、少し変わった『仮面ライダー』だ。

 

きっかけは彼の所属する魔化魍討伐組織、『猛士(たけし)』の支部の一つ、『甘味処たちばな』に入った、一本の電話だった。

 

「あんたも仮面ライダーの一人で、目覚ましい活躍中だろ?

この国......いや、この世界に危機が迫ってる。三日後の正午、加音町の教会に来てくれ。地図は、その店にファックスを送る。」

 

 

こちらの名を聞くことも、名乗ることもなく、ただ用件だけを伝えて電話を切ったその男、彼の声には聞きおぼえがある。

 

世界の破壊者こと、仮面ライダーディケイドだ。

 

彼の言うことを一から十まで鵜呑みにはしない。ただ、彼の声にはどこか焦りを感じた。

 

イタズラやジョークの類ならそれでいいが、もし本当に何かただならぬ事態が起こっているのなら、それが魔化魍であってもなくても黙って見過ごす訳には行かない。

 

「そんじゃ、ちょっくら行ってくるわ。」

 

関東支部長立花勢地朗(たちばなせいじろう)に軽ーく宣言し、弟子の桐谷京介と加音町まで出かけたは良いが、『プリキュア』とやらの待ち合わせ場所の教会がどこにあるのか、方向オンチなヒビキは早くも迷っていた。

 

「ヒビキさん、ココさっきも通りませんでした?」

 

「そうだっけ?あーもう、この地図いい加減過ぎるだろ!」

 

イライラで地図を握り潰そうとするヒビキを見兼ねた京介は、気分を変える何かを見つけようと、辺りを見回す。

 

ちょうど、二人の正面には、ケーキ屋らしき店がある。

 

「『ラッキースプーン』......ヒビキさん、ケーキ屋じゃないですか?

道を聞くついでに、糖分摂って行きましょう。」

 

 

扉を開けるとベルの音がなり、三十半ば位の女性が出迎えた。

 

「いらっしゃいませ。あら、初めてのお客さまですね。今日はどれにします?」

 

初対面の客を相手にここまで気さくに話せる店員に、京介は関心した。

 

「えー、じゃあ本日のオススメカップケーキを一つ......京介は?」

 

もう店員と打ち解け、淡々と注文するヒビキ。

 

(相変わらず侮れないな、この人......。)

 

「じゃあ、オレはこの『マンゴーカップケーキ』で......。」

 

「ありがとうございます。宜しかったら、二階のテラスで召し上がられます?」

 

「あ、いえマダム。我々、待ち合わせの約束があるんですが、道に迷ったもので......。」

 

「待ち合わせ?どの辺かしら?」

 

「この、パイプオルガンの有る教会に......。」

 

ヒビキが地図を指さすと、店員は驚いた様に目を見開いた。

 

「今日の正午に、ここでパレードが催されるんですよ!

ウチの娘も参加します!」

 

「あ、そうなんですか!いやぁ何の偶然かなー、お宅の娘さんなら、きっとおキレイでしょうね。」

 

「フフフ......お客さまお上手。教会は、ココを出た突き当たりを真っ直ぐ行って、道なりに進めば着きますから......。」

 

「いやどうも、ありがとうございます。」

 

店員に礼を言い店を出ると、 京介がボソリと言った。

 

「......俺たち、すぐ近くをウロウロしてたんですね。」

 

「まぁ良いじゃないか。おかげで美人の奥さんと、美味しいカップケーキに逢えたんだから。」

 

カップケーキ片手に満足げなヒビキ。背後から二人の様子を伺う何者かに、彼は気付きもしなかった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

フェスティバル会場の仮設テント:スイートサイド

 

     加音町セッションフェスティバル。

 

それは、『スイートプリキュア』こと北条響(ほうじょうひびき)ら四人の住む町、加音町の総力を上げて催される、年内最大の行事である。

 

今日の彼女達は、四人でピアノコンサートへの出場を控えていた。

 

響は、教会の裏に設置された仮設テントの中で、自分達の出番を待ちわびていた。

相棒の南野奏(みなみのかなで)黒川(くろかわ)エレンも、手に人の字を書くまじないや、本番前の最終確認に勤しんでいた。

 

かくいう響は、ココに来て緊張を抑えられずにいた。

 

「だー!どーしよう、最後の一節でどうしても引っ掛かるよ!」

 

「大丈夫だよ響。この前は何とか弾ききれたじゃない。

今はダメでも多分......。」

 

奏の励ましも、今の彼女にはあまり意味を成さない。

 

「うぅ......だと良いけど......。」

 

「しゃんとして響!その一節がもしダメでも、あなたのここ数ヵ月の成果が現れれば、それでいいの。うじうじしたまま演奏して後悔するより、よっぽど良いじゃない。」

 

「うぅ......エレン~!」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

フェスティバル会場屋台村:ヒビキ&京介サイド

 

「しっかし、すごい人だかりだなー。」

 

ヒビキは思わず声に出した。

ローカルな祭故に、たいした規模ではないだろうと高をくくっていたが、屋台村は右も左も人だかりで、ボサッとしていようモノなら直ぐ迷子になりそうだ。

 

「ヒビキさん、気を付けながら歩きましょう。思ったより人が......。」

 

「......うん、ほーらな(そーだな)。」

 

いつの間にやら屋台のお好み焼きやフランクフルトを両手に下げ、口いっぱいに頬張るヒビキ。

 

「......って!なんでもうそんなに食ってんですか!?」

 

「お前も食えよ、美味ぇぞ、フランクフルト。」

 

しばらく歩いていくうち、京介の恐れた事態が起こった。

 

「俺たち、どこ向かってるんでしたっけ?」

 

「......あ。」

 

しばらくその場に立ち尽くす二人。やがて、冷や汗を伴ってヒビキが言った。

 

「......ま、まぁあれだ。とにかく、こういう時は人に聞くのが一番だろ。そうだ、あの子に聞いて見るとしよう。」

 

ヒビキは、玩具の兵隊の格好をした少年を指さした。

 

「......どうかしましたか?」

 

少年は少し訝しげにヒビキを見たが、精一杯の作り笑顔で対応した。

 

「あー、少年君。済まんな、少し道を聞きたいんだけど。」

 

「なるほど、少々お待ち下さい。」

 

少年はヒビキに言い残し、奥のテントの方へ向かった。

 

やがて、ヒマワリのドレスを身に纏ったメガネの少女を連れて戻って来た。

 

「ここからは、私がご案内します。係員の、調辺(しらべ)アコです。」

 

「こりゃあ可愛い案内人さんだ。お願いします。」

 

アコと歩きながら、ヒビキと京介の耳に何やら聞きおぼえがある声が聞こえた。

みれば、近くの演説台から、白衣の若い男が話している。

 

 

『えー、つまり、音楽の力は今や“医療”の段階に在る訳で......』

 

「アコちゃん。これ、何の演説?」

 

「ああ、このフェスティバルの記念に、わざわざ東京から来て下さったお医者さんで、名前は確か......。」

 

「ヒビキさん!?」

 

男はマイクから手を離し、ヒビキの名を呼んだ。

 

「どっかで見たカオと思ったら、明日望(アスム)かよ!?」

 

「桐谷君まで......何してるんですか?こんなところで......。」

 

「そりゃこっちのセリフだよ。医者に成ったとは聞いてたけど、まさかこんな所で会うとはな。」

 

安達明日望(あだちアスム)。ヒビキの元弟子で、医者志望の少年だ。

最後に会ってから二年。ヒビキがしばらく見ない内に、立派な医者になった様だ。

 

「そこのアコちゃんのお爺さんに、講義を頼まれて......。」

 

「ああ、そうなんだ。すいません、わざわざお爺ちゃんが......。」

 

「いえいえ、こんな新参者の講義なんかをわざわざ役に立てて貰えて......。」

 

照れ笑いを浮かべる明日望。......と、その時。

 

 鐘が鳴った。加音町のシンボル、時計塔の鐘だ。

 

『間もなく、北条ピアニストリオによる、ピアノコンサートを開幕します。

ご拝聴の皆様は、教会前広場までお越しください。』

 

「そうだヒビキさん。それに桐谷君も、よかったら一緒にピアノコンサート行きませんか?アコちゃんの友達が演奏するんですよ。」

 

「そいつは良いな。でもお前、講義は?」

 

「心配要りません。......今ちょうど、誰もいないんで。」

 

「あ、そうか......。」

 

明日望と演奏を聞けるのを喜ぶべきか、講義の客不足を嘆くべきか、迷ったヒビキはただただ苦笑いを浮かべていた......。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

灰クグツは、人混みをかき分けながら、教会へ向かっていた。

全身灰色装束を纏う彼に、道行く人は誰も彼に気付かない。

 

(最高気温24℃。湿度10%。......上々ダ。広場に集マル人間共ハ200名弱。『あの方』モ、オ喜ビニナルダロウ......)

 

灰色のフードに隠れた口は、邪悪な思想を叶える卑下た快感で不気味にほくそ笑んでいた。

 

懐から、赤い音符の入った試験管を取り出した。

そこに、キツネの毛を一束混ぜ、中身を地面に垂らす。

液体はやがてブクブクと泡を吹き、巨大な噴水に変わる。

 

噴水は、やがて大きな何かを形作る。それは単なる液体ではなく、鳥の骨格を背負った巨大なキツネの怪物に変わった。

 

(行ケ、キュウビネガトーン。我ラガ盟王の、貴ク尊キ志シノ為二......。)

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

教会前の広場:ヒビキ&京介&明日望&アコサイド

 

ヒビキ達が広場に着いたとき、辺りは騒然としていた。

 

ピアニストリオが青空の下、演奏するハズだった場所に、突然謎の化けものが降り立ったのだ。

 

怪物は美しく磨かれたピアノを容赦なく踏みつけ、広場に我が物顔で居座っている。

 

「魔化魍......!?」

 

「......に見えるが、少し妙だな。」

 

ヒビキは気付いていた。明日望が避難させていた人々が、逃げるのを止めている。

皆がその場に座り込み、何かに取り憑かれたかの様に泣き崩れている。

 

異様と言うのなら、怪物もそうだ。

先程、地面に亀裂が入るほどの、おぞましい咆哮を上げ、それ以降全く動こうとしない。

 

そう、魔化魍にあるべき、『人を喰らう』という意志が見受けられないのだ。

 

「......とにかく、コイツを何とか......。」

 

「ここは、私が何とかします。お二人は、お客さん達と安全な所へ......!」

 

「何とかって......。」

 

どうするつもりだ?と、京介が問おうとした時、アコは既に『キュアモジューレ』を手にしていた。

 

『レッツフレイ・プリキュア・モジュレーション!』

 

手の平に乗った『キュアモジューレ』を胸元にかざし、

どこからともなく現れた黄色のリボンがアコの身を包み、神々しいコスチュームに変わる。

 

『つま弾くは女神の調べ、キュアミューズ!』

 

変身を完了してから、彼女は『やっちまった』とばかりにヒビキを見た。

 

「......と、言うわけで『キュアミューズ』です。」

 

京介はまだあんぐり口を開け、ヒビキは嬉しそうに拍手した。

 

「だがまぁあれだな。アコちゃんが件の『プリキュア』として奮闘してるってのに、おじさん達が逃げる訳にはいかねぇよ。」

 

「え......!?」

 

ヒビキ、そして京介は、鬼の首の様な形をした音叉を取り出し、額にかざす。

 

『『オォー......タァ!』』

 

二人の体は紫の炎に包まれ、紫と白の鬼のような姿に変わった。

 

「......という訳で、『仮面ライダー響鬼』です。お見知り置きを。」

 

「あなた達が......『仮面ライダー』!?」

 

「ビックリした?そりゃそうだよな。ま、君の『キュアミューズ』にも大分ビックリしたけどね。」

 

二人の仮面ライダーとプリキュアを見た瞬間、怪物はついに動き出した。

三人に殺意の眼差しを向け、怒りの怒声を挙げる。

 

『ウォォォォ!!』

 

「遊んで欲しいってよ。んじゃ行こうか、キュアミューズ。」

 

春の某日、加音町。今日の気候は、晴れ時々、人と魔と鬼の大合戦......!!




場面の都合上、リズム&メロディは次回参戦します。

百合(ひびかな)シチュエーションも、もしかしてあるかも!?
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