ホグワーツの冷徹管理人   作:零崎妖識

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掃除と呪いと錬金術と

もう直ぐクリスマスがやって来る。ホグワーツではクリスマスには休暇があり、家に戻る生徒もいれば学校に残る生徒もいる。ハリーとロンは学校に残り、ハーマイオニーは実家に帰る予定だ。

休暇前日、ハリーとロン、ハーマイオニーは鬼灯に声をかけられた。

 

「休暇初日に、自室の片付けを手伝ってもらえないでしょうか。ここ最近忙しく、整理ができていないのです」

 

「鬼灯先生が?」

 

ハーマイオニーが驚いて言葉を返す。

 

「いくつかのお礼とお小遣いを差し上げるつもりですが」

 

「ハリー、ロン。貴方たち行って来なさいよ。きっといい経験になるわよ。どんな珍しい物があるか、とっても気になるわ。ああ、でも私は参加できないの。ごめんなさい、鬼灯先生」

 

「いえ、あくまでも協力してほしいと言うだけですから」

 

ロンは迷うことなく手伝うことを決めた。お小遣い目当てなのは明白だ。ハリーは少し迷ったが、ロンだけだと心配だと言う理由で手伝うことにした。

 

 

 

鬼灯の自室は散らかっていた。普段の鬼灯からは考えられないほどに。

 

「色々と用事が立て込んでいたのですが、いつでもできることを後回しにしていたらこんなことに」

 

「なんか、変な人形が……」

 

「あ、それクリスタルヒ○シ君です。二つありますし、一つ持って行ってもいいですよ。あとモンゴルの民族衣装もありますがどうしますか?」

 

「二つもあるんですか……」

 

「ハリー、クリスタルヒ○シ君ってなんだい?」

 

「日本のとあるTV番組の景品だよ。週に一度の番組なんだけど、何週かに一回、視聴者のうち四人に賞品が当たるんだよ。その時、一緒に貰えるのがこれ。一つは民族衣装だとしても……もう一つは何が当たったんですか?」

 

「3泊4日で行くオーストラリア魅惑の旅ですね。前の職場で有休取って行きました。コアラ可愛かったですよ」

 

「鬼灯先生、動物大好きですよね……」

 

話しながら、散らばった紙を纏めて仕分ける三人。日本語やよくわからない言語で書かれた物もあるが、挿絵でなんとなく分類できる。

 

「鬼灯先生、この謎の生き物の絵はどうしましょう」

 

「ああ、あったんですかそれ……チッ、嫌な奴を思い出した。燃やしておいてください」

 

すごい人が見れば猫だと看破できる(逆に言えばすごい人じゃなければ看破できない)絵を放り捨て、作業を続ける。

資料には統一性がなく、和漢薬の資料もあれば異界の資料もあり、動物、植物、歴史など、多種多様であった。

 

「鬼灯先生って、異界学の教授ですよね?なんで別の資料がこんなに多いんですか?」

 

「私が研究しているもので、ホグワーツの教授席が余っていたのが異界学なんですよ。魔法薬はスネイプ先生の方が上手いですし……私は和漢薬は作れても魔法薬はあまり作れません。と言うか、素材からこだわってしまうために一級品を採りに行くことから始めてしまいますから。植物はスプラウト先生が、動物はハグリッドさんやケトルバーン先生、グラブリー-プランク先生がいますからね」

 

しばらくして、ようやく掃除が終わった。ハリーとロンにはそれぞれ五ガリオンが渡され、鬼灯製の飴がプレゼントされた。滋養に良い漢方を配合しているそうだ。

落ち着いたハリーは、部屋に入った時から気になっていたことを聞くことにした。

 

「先生、あの、奥の扉は何ですか?」

 

教室に繋がる扉とも、廊下に繋がる扉とも違う、閂がかけられた扉。怪しげなオーラが滲み出ている。できることならハリーも放っておきたかったが、ハーマイオニーへのお土産話として聞いておこうと思ったのだ。

 

「是非入ってください。歓迎しますよ」

 

「いいんですか?」

 

「何があるんですか?」

 

「世界の不思議グッズや呪法に使われたものなどを蒐集……保管している部屋です。あまり触らないようにしてください。脆いものも多いですし、触るとまずいものもあります。座ると必ず災いをもたらす椅子(バズビーズチェア)とかアイスピック持って追って来るアンティークドールとかありますから」

 

「あ、ごめんなさい結構です」

 

「オタクはコレクションを見せたがるものなので」

 

鬼灯は言うと、スタスタと扉まで歩き閂を外した。

重苦しい音を立てて開いた部屋の中には、様々な物が置いてあった。チラリと、見るからにヤバそうな人形を持って遊んでるどこかで見た女の子たちが見えた気がした。

 

「あの……これは何ですか?」

 

「呪いの宝石ですね。隣のは一人かくれんぼのぬいぐるみ、上のは呪いの館の壁の一部です。これは開かずの間の扉部分」

 

「そのドアあるってことはその間開いちゃってますよね」

 

多くの呪術グッズやらヤバいものやらでごった返している部屋。柱には藁人形が百個以上打ち付けられていて、怪しげな仮面や鏡、ビデオテープなどもある。

 

「ホムンクルスとかさらっと置いてありそう……」

 

「あれは呪いの品ではなく、錬金術の技術の結晶ですからね。フラメルさんが作ったことがあるそうなので、教えてもらおうかと思いましたが御高齢のために断念しました。暇を見つけたらリリスさんに腕のいい人を紹介してもらうつもりです」

 

思わず鬼灯の方を振り返る二人。フラメル。ニコラス・フラメルの名が鬼灯の口から出てきたのだ。

 

「鬼灯先生、ニコラス・フラメルについて教えてください!」

 

「嫌です」

 

ハリー、撃沈。鬼灯の口から、ニコラス・フラメルの詳細が出ることはなさそうだ。

 

「ヒントはすでに出ています。是非、自力で探してください」

 

「はい……」

 

そして、ハリーとロンは気付かなかったが、さらりと最上級悪魔(レディ・リリス)の名が出ているのだが、知らぬが仏と言うものだろう。

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