飛行機に乗ること数時間、目的の場所についた。
「また、ここに来ることになるとはな。」
俺は街並みを見ながら溜息をつく。
「相変わらずの掃き溜めだな。」
周りにはゴロゴロと柄の悪い人相をした人や、あからさまに俺を狙う目をしてこちらを観察している者達がいる。
「俺は餌じゃねぇっつーの。」
再度溜息をつく。
「よお、見ない顔だな? いいとこ紹介してやるぜ?」
「いえ、そういうのはいいんで。」
やっぱ絡まれたか。
「あ? 俺が紹介してやるって言ってんだ! 黙ってついて来やがれ!」
「この街で逆らっては行けない人物」
「あん?」
「一人はバラライカ、二人目はシスター・ヨランダ、三人目は二挺拳銃」
「んなこたぁ分かったんだよ!」
男は手を上げようとするが、それを俺は遮る。
「そして、四人目………いや、これは、最後の会社かな? カルデア所属の職員だ。」
「は?」
その瞬間、男はピンボールのように飛んで行った。
「そう、俺の事だ。文句あるなら掛かって来な。容赦なく捻り潰して、ブッ飛ばす。この街では弱肉強食なんだろ?」
俺は、モーニングスターを地面に叩きつけて威嚇する。
その瞬間、傍観していたゴロツキはそそくさと去っていった。
「これで歩きやすくなるな。」
「あまり騒ぎを起こさないでもらいたいものだね。」
後ろから声をかけられた。
近づいてくるのは知ってたからほっといたけどね。
「やあ、久しぶりとでも言おうか。」
「そうね。久しぶり坊や。」
「ハッ、老いぼれはさっさと引退しやがれ。」
「そっちの会社に勤めている方の方が老いぼれじゃないのかい?」
「バカ言え。アイツらは老いぼれじゃなく、バケモンだよ。」
まさか、ファーストコンタクトがバラライカとはな。
「頼みがあって来た。」
バラライカは驚いた顔をする。
「ほう。坊やが頼み事なんて、明日は銃弾の雨でも降るかしら?」
「お望みなら振らせてやるが?」
「それはやめてちょうだい。」
バラライカは焦った声を出す。
「お前のとこのオフィスに、レヴィ、ヨランダ、ロベルタを集めてほしい。これから大きな商売話だ。ただし、降りるなら今の内だ。降りたら、地の果てまでも追いかけるがな。」
「断れないじゃない。まあいいわ。明日、オフィスに来てちょうだい。」
「頼むぜ。マジで大きな話だからな。」
それだけ言い残し、俺は、目的の場所に向かう。
「よお、繁盛してるか?」
「こんな寂れたところに何の用だ。」
「お前から寂れたとか言うなよ。なに、情報収集さ。ここに雇わせたアイツがいるだろ?」
「ああ、そろそろ来るはずだ。」
入り口が開く。
「今日、頑張ろうかしら。」
「いや、毎日頑張れよ『マタ・ハリ』。」
そこに姿を現したのはサーヴァントである彼女だった。
「あら! マスター来たのね! うんとサービスしちゃうわ!」
早速俺の隣に座り出す彼女
「いや、仕事で来たんだよ。」
「そろそろ始まっちゃうのね。私、怖いわ。」
「お前が前に出ることはないから安心しろ。」
目の前に酒とベーコン豆が置かれる。
「奢りだ。彼女には争いも収めて貰ってるからな。」
「んじゃ、遠慮なく。」
早速食べる。
「味、変わんねぇな。」
「そりゃそうだろ。俺がやってんだからよ。」
「それもそうか。」
無心になってもそもそと貪る。
さて、明日からどうしようか。
そんなことを考えながら、飲んでいるといつの間にか、朝になっていた。
やべぇ、酒臭いままあそこに行かなきゃ行けねぇんだな。
ま、いいか。
どうせ荒くれ者の集まりだし。
余程の悪条件を付けられない限りは、大人しくしとくし、付けられたら暴れるだけだ。
俺は会計を済ませると、バラライカのオフィスに向けて歩き出した。
「………お前さんとこのマスターはどうなってやがるんだ?」
「私が知りたいくらいよ。」
カウンターの上には、空になった酒瓶が六本置いてあった。
酒瓶にはテキーラと書いてあった。