〜一夏side〜
いつからだろう‥‥‥‥‥‥姉のことが嫌いになったのは
いつからだろう‥‥‥‥‥‥周りの人間が信用できなくなったのは
いつからだろう‥‥‥‥‥‥目標を見失ったのは
俺は姉の織斑千冬のことが誇りであり、目標であった。成績優秀、スポーツ万能、容姿端麗、家事の類を全くできないことを除いて姉にできないことはなかった。
そんな姉のためにひたすら努力した。家事ができない姉のために家事を覚えた。
何かあったときに姉の足手まといになりたくなくて、姉のように強くなりたくて剣道を始めた。剣道に関しては姉の師である篠ノ之柳韻に教わり、ひたすら剣を振り続けた。将来、少しでも姉に迷惑をかけなくてすむように勉強した。
小学4年の頃には家事をすべて覚えたし勉強も常に学年で上位に入っていた。剣道も厳流の娘である箒以外には負けないほどになっていた。そんな俺を姉は褒めてくれた。だからこそ、俺は更に上を目指し努力し続けた。辛いこともあったが俺は幸せだった。
しかし、4年の終わりにそれは壊された。ISが開発されたからだ。それにより、世の中は女尊男卑の風潮になり、周りが俺の見方を変えた。みんな俺のことを日本のIS国家代表である織斑千冬の弟としてしか見なくなった。
勉強に関しても剣道に関しても「織斑千冬の弟ならこれくらいできて当然だ」「織斑千冬の弟がこんなこともできないのか」と言われるのがいつしか当たり前になった。時には女子たちに囲まれ「なんであんたみたにな出来損ないが千冬様の弟なの?」と罵倒されることもあった。姉に相談しても「私の弟だからできる」などと言って励ますだけだった。
その頃からだろう‥‥‥‥‥‥なんでもできて自分のことを助けてくれようとしない姉が嫌いになり始めたのは
その頃からだろう‥‥‥‥‥‥俺を織斑千冬の弟としかみない周りの人間が信用できなくなり始めたのは
その頃からだろう‥‥‥‥‥‥いくら努力をしても見下され続けたがために目標を見失い始めたのは
そしてその頃からだろう‥‥‥‥‥‥ISが嫌いになり始めたのは
そんな中でこれらのことが決定的になったのが第二回モンド・グロッソのときだ。俺は姉に誘われて決勝戦を見に行こうと、アリーナに向かう途中に何者かに誘拐された。
誘拐犯の目的は姉を決勝戦に出場させないことが目的だった。俺はこの時まで姉が助けに来てくれると信じていた。
しかし、それは裏切られた。
「織斑千冬は決勝戦に出ている。あいつはお前のことを助けには来ない」
俺を取り囲んでいた誘拐犯のリーダーらしき男が俺にそう告げた。俺はこの時絶望し、同時に姉のことを信用していた自分が馬鹿らしくなってしまった。自分は今まで姉のために生きてきたというのにそれをあざ笑うかのように切り捨てられた・・・そう思ってしまった。
「悪いがお前はここで死んでもらう。恨むのなら姉を恨むんだな」
そう言って男は拳銃を俺の頭に突きつけ、引き金を引こうとしがそれは叶わなかった。
ドカァァァァァァァァァァン!!
何かが爆発するような大きな音がするのと同時に俺の命を刈り取ろうとしていた男が何者かにふっ飛ばされた。俺は、何が起きたのかわからないまま呆然としていたが、我に返って周りを見渡すと一人の男が立っていた。その男は額と拳にオレンジ色の炎を灯し、誘拐犯たちを次々と倒していく。俺はその光景が信じられなかった。その男は見た目が俺より二つか三つ年上かもしれないというくらいの、まだ俺とそう歳が離れていないであろうという年齢の男が大の大人を圧倒していたからだ。
誘拐犯を全員倒すと、男は俺の方に歩み寄り、拘束していた縄を外してくれた。
「大丈夫か?」
これが、俺とボンゴレⅩ世であるツナ兄との出会いだった。