IS~一夏とボンゴレファミリー~   作:黒猫の棺

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たくさんの感想ありがとうございます。返事は休みにまとめてしたいと思います。


入学

(鬱陶しい・・・)

 

4月上旬、一夏はIS学園に入学した。ISは女性にしか扱えないため、必然的に一夏以外の生徒は全員女子である。一夏がISに乗れると判明してから約2ヶ月、世界各国では他にもISに乗れる男性がいるのではないかと、男性を対象にIS搭乗テストを行ったが、未だ起動させたという報告は入っていない。そのため、唯一ISに乗れる男性である一夏に必然的に視線が集中する。しかし、それは好奇心をはらんだものだけではない。嫉妬、侮蔑といった負の視線を送って来る者のほうが多いくらいだ。おそらく、男のくせにISに乗れるなんで生意気だとか思っているのだろう。

 

しかし、一夏にとってはどうでも良いものである。そういった上辺でしか人を見ないような人間とは関わるつもりはないからだ。その点ボンゴレファミリーの人たちは良い人ばかりだと一夏は思う。

 

ボンゴレファミリーや同盟ファミリーにはISを好ましく思っていない人は大勢いる。

 

ISは当初宇宙に行くためのマルチフォームスーツとして開発された。しかし、現状は兵器としてしか思われていない。どの国も兵器としてしかISを開発していない。ISは宇宙に行くための翼ではなく争いの火種となっただけなのである。紛争地域では敵の駆除のために極秘裏にISが使われているくらいだ。そんなISをファミリーが容認できるはずがない。

 

だから、一夏はISを動かしたとき、ファミリーのメンバーから嫌われると思った。だが、現実はそうではなかった。ファミリーのメンバーは一夏のことを気にかけてくれていた。

 

「無理をしていないか?」

 

「学園でなにか困ったことがあったらなんでも相談してね」

 

そんな裏のない、真っ直ぐな言葉に一夏は心を救われた。嫌われると思った……そんなことを思ってしまった自分を恥じると同時にファミリーのメンバーに心から感謝した。

 

何があっても必ずここに戻ってくる‥‥‥‥‥‥

 

みんなを失いたくない‥‥‥‥‥‥

 

そう改めて思った。

 

 

そんなことを考えていると、教室のドアが開く音がした。生徒が全員入口の方を見ると大学生くらいの女性が書類を持って入ってきたのだ。その女性はそのまま教壇に上がり、自己紹介を始めた。

 

「みなさん、入学おめでとうございます。私はこのクラスの副担任の山田真耶です。これからよろしくお願いします」

 

一夏は一応の礼儀として会釈をしたが他の生徒は呆然としていた。おそらく全員が同じことを思っているだろう。

 

(この人、本当に教師‥‥‥‥?)

 

その反応を取るのも無理はないだろう。見た目が大学生くらいの人が『自分が副担任です!』なんていっても説得力がないからである。

 

「え、え~とそれではみんなに自己紹介をしてほしいと思います・・・。名前の順で『あ』の人からお願いしますね・・・」

 

生徒からの反応がないのがそんなにショックだったのか涙目になりながら山田先生が言った。

 

名前の順で自己紹介を始める中、一夏はその自己紹介を自分へのアピールだと思われるところ以外はまじめに聞いていた。クラスメイトと仲良くしようとは思っていない。

ただ、見捨てるつもりもない。そんなことをしたら子供の頃に自分を見下してきた連中と何ら変わりがないからだ。そして、何より自分を拾ってくれたツナへの顔に泥を塗る行為となってしまう。

それだけは絶対にしてはならないことだった。だから自己紹介を聞いて万が一の事態が起こった場合何処に入る確率が高いのかなどを把握しておかなくてはならない。

 

嫌いだから見殺していいというわけではないのだから‥‥‥‥‥‥

 

 

「じゃあ、次に沢斑君、お願いします」

 

「はい」

 

山田先生から自己紹介をするように促され、一夏は立ち上がる。クラスメイトの視線が、特に自分の列の窓際の席に座る幼馴染の視線が集中する。

 

「沢斑一夏。趣味は訓練と料理。大切なものは家族、嫌いなものは女尊男卑というくだらない風潮に染まっている人間、人を上っ面だけで判断する人間、名誉を優先する人間、他人の命をなんとも思わない人間。以上」

 

一夏はこれ以上は言うことはないという風に生徒の反応を気にすることなく席に着いた。その直後、教室のドアが開き、黒いスーツに身を包んだ女性が入ってきた。

 

「あ、織斑先生。職員会議は終わったんですか?」

 

「ああ、生徒たちを任せて済まなかった」

 

「い、いえ。これも仕事ですから」

 

山田先生が照れながら反応すると、入ってきた女性‥‥‥‥一夏の元姉の織斑千冬は教壇に立ち、自己紹介を始めた。

 

千冬の自己紹介に教室中から歓喜の声が湧き上がる。モンドグロッソを連覇した千冬は現代の女性のあこがれとも言える。そんな千冬が自分たちの担任となったことが嬉しかったのだろう。

 

生徒たちの反応に頭を抑えながら、千冬は一夏の方を向いた。

 

「お前には後で話がある。放課後教室に残っていろ」

 

ここで無理に反論しても騒ぎが大きくなるだけなので一夏は素直に頷いた。

 

千冬の後は滞り無く進み、全員の自己紹介が済んだところでSHR終了のチャイムが鳴り響いた。

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