IS~一夏とボンゴレファミリー~   作:黒猫の棺

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放課後-1

初日の授業を終え、一夏は放課後の教室に1人でいた。理由は朝のSHRで千冬に話があると言われたからだ。

 

3年前のあの日以来、一夏は1度しか織斑家には戻っていない。一夏の誘拐事件は世間には公表されていない。もし公表されれば千冬が助けに行かなかったことが追求され、日本のイメージダウンに繋がると政府が判断したため、一夏が誘拐されたことを知る人物は千冬や政府上層部などごく限られた人間だけだ。しかし、行方不明のままだと戸籍の変更等の手続きをする際など、今後のことを考えると面倒なことになる。なので、絶縁や家から出ていく旨を綴った手紙を置きに戻ったのだ。直接千冬とは話していないため、その時のことでの話だろうと推測する。

 

だか、千冬に話すことがあろうと一夏には話すことは何もない。今の幸せを手放す気はさらさら無い。だから、千冬が今更何を言おうと一夏の考えが変わることはない。そんなことを考えていると、教室のドアが開き、千冬が入ってきた。

 

「待たせたか?」

 

「それほどでもない」

 

2人はそれっきり黙ってしまう。一夏は自分からは何も話すことが無いため腕を組みながら目をつむっていた。逆に千冬の方は何か言おうと口を開けようとしたり、それを拒むかのように閉じたりしていたがようやく決心がついたのか恐る恐る言葉を紡ぎだした。

 

「久しぶりだな」

 

「ああ、俺が出て行って以来だから3年ぶりだな」

 

「‥‥すまなかった」

 

千冬は一夏に頭を下げる。一夏は変わらず腕を組んだまま千冬の言葉を待つ。

 

「冗談かと思ったんだ。そういうことが何回もあったから‥‥」

 

第1回モンドグロッソで優勝して以来、一夏のことを誘拐したという類の悪戯が何回も起こっていた。最初の方は千冬やスタッフが現地に救出しに行ったりと対応していたのだが、それが悪戯であることが当たり前になってしまったため、段々と対応しなくなっていた。

 

一夏が誘拐された時も悪戯だと判断し、誘拐犯からの要求にも応じなかったのだ。しかし、試合が終了した後のドイツ軍からの報告で、一夏が本当に誘拐されたことがわかり、急いで救出に向かったが既にツナたちが救出した後で現場には騒ぎで駆けつけた国の警察だけだったのだ。

 

このことを話せば一夏はしょうがないと思い、自分のもとに戻ってきてくれると思っていた。しかし、一夏から返ってきた答えは

 

 

「関係ない」

 

 

拒絶の言葉だった。千冬は呆然としながら頭を上げ一夏のことを見た。一夏の表情は氷のように冷たかった。

 

「あんたは、俺があんたの元を離れた原因が誘拐の件だけだと思っているようだが、それ自体が大きな間違いだ。確かに理由の1つでもあり決定打だったのは事実だがそれだけではない」

 

一夏の言葉に千冬は驚愕の表情を浮かべた。いままで、一夏が自分の元から離れた原因が、誘拐されたときに自分が助けに行かなかったことだと思っていたからだ。それ以外に自分には落ち度がないと思っていた。

 

「‥‥それにすら気付かないか。自分で考えろ。それに、あんたには感謝しているくらいだ」

 

(一夏は何を言っている?私の何が間違っていて何に感謝しているのだ‥‥?)

 

千冬は一夏が何を言っているのかがわからなくなっていた。千冬の対人スキルは決して高くない。むしろ低いと言っていい。中学生の頃は一夏ですら怖がるほど殺気めいていたし、高校に入ってからは束とつるむようになり、束のことを苦手に思っていた同級生からは敬遠され、それ以降はISに携わり続けていたため、対等な人付き合いを殆していない。仕事付き合いはあったが現在も友人といえるのは後輩の山田先生と束くらいなので人の感情の既知には疎かった。

 

「あんたが俺のことを助けに来ていたら俺はあの人達に会えなかった...あの人達に会わせてくれるきっかけを作ってくれた...それだけは感謝している」

 

「あの人達‥‥?」

 

「俺が絶対に失いたくない大切な家族にだ」

 

そう言って一夏は教室を出ていこうとしたが一夏が教室のドアを開ける前に山田先生が入ってきた。

 

「あ、沢斑君。まだ教室にいたんですね」

 

「何か用ですか?」

 

「沢斑君、今日から寮に入ってもらうことになっているのは聞いていますか?」

 

「俺は1週間は自宅通学だったはずでは?」

 

「政府からの要請で今日から寮に入れるようにと‥‥何も聞いていませんか?」

 

山田先生の話だと、政府は一刻も早く一夏のことを寮に入れて安全を確保したいとの事だった。そのため、入寮日を今日にするように学園に要請してきたのだという。

 

「ええ、ですから荷物は持ってきていませんし‥‥」

 

「その件に関してはお母様の方に連絡がとれて今日だけは家に返してくれということだったので了承しておきました。なので入寮は明日からで大丈夫です。ただ、1人部屋が用意できなかったので、用意できるまでは女の子と同室ということになってしまいますが‥‥」

 

「分かりました。失礼します」

 

一夏は山田先生に一礼すると今度こそ教室を出て行った。教室には未だ茫然とする千冬とその姿に首を傾げる山田先生が残っていた。

 

 




千冬に関しては完全に自分の妄想です。できればスルーでお願いします。次回こそはモップとの対戦です。
あと、ヒロインについて活動報告に載せましたのでお願いします。
たくさんの意見ありがとうございました。
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