ここは十二町。
十二支の名を冠する長たちが治める町だ。
人間と妖怪が共存する町でもある。
『いいか、龍太?お前がこれからの辰河家を背負って行くんだぞ?大丈夫か?』
『わかってるよ、じいちゃん』
畳の敷かれた部屋に二人の10歳くらいの少年がいた。
一人はお面を被った小年ーーじいちゃんと呼ばれた少年と仮面をつけていない小年ーー龍太。
『よし、そんじゃあ、手だしてみ』
『はい』
龍太は手を差し出し、じいちゃんはそっと手を握った。
『ッ!?」
瞬間、手が光出した、そして何らかの力を感じ、ビクンっとなったが光はすぐに収まった。
『これで、お前は辰河家の当主になり、同時に歳も取らなくなったが、いいんじゃな?』
『うん!俺が辰家を守るよ!』
龍太はそういった。
『そうか、そうか。それはたのしみじゃの』
じいちゃんは龍太の頭を撫でたのであった。
『ちょ!?頭に撫でないでよ!?』
『わっはははははは!』
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あれからーー7年。
少年ーー龍太は住宅街を歩いていた。
「ああ、なんか暇だな〜。つか、こんな姿見られたら、ガキって、思われるだろうな……」
龍太はそういうので、あった。
この少年の名は辰河 龍太。
この十二町の辰河家の当主である。
しかし、見た目は十代の少年であるが、れっきとした高校2年生である。
そう、龍太は7年前から、全く成長はしていない。(心は成長してるけど、身体はしてないからね)
「はぁー、なんか面白いこと………ん?」
龍太がそういった時、少し離れたとこで、何かに気づいた。
(この気配……?恭一に朱華?それに……この気は……)
龍太は心の中でそういうと、急いで気配のする方に向かった。
すると、そこには、住宅街の壁にへたり込んだ少年と頭に角を生やし、黒い腕みたいなものを片手で受け止めている少女と真っ黒に染まった猫妖怪がいた。
「恭一!!朱華!!」
龍太は壁にへたり込んでいる少年と猫妖怪の腕を止めている少女の名を叫んだ。
「り、龍太!?」
「龍太さん!?なぜここに!?」
恭一と呼ばれた少年と朱華と呼ばれた少女。
『何だ、もう一人いたのか?そういえば、十二家の長はそれぞれ人外の力を受け継ぐと聞いたが……そうか。その角と怪力……貴様は丑蔵家の…!それに、お前はその歳を取っていない身体と気を操る力……辰河家か……!』
真っ黒に染めた猫妖怪は何かを知っているかのようにいった。
「丑蔵家の頭…丑蔵 朱華…!」
「辰河家の当主…辰河 龍太!それと……歳をとってない身体は余計だ!」
龍太はそう叫んだ。
そして、二人はそう名乗り、
「「いざ、尋常に勝負!!」」
叫んだ。
「なんで、龍太が……?そうだ。ちょっと、待ってくれ!そいつは…!」
恭一と呼ばれた少年が龍太のいきなりの登場に驚いていたが、急に二人を止めようとしたが……
「話してるヒマも……っ!聞く耳もねぇ感じですけどね……ッ!」
猫妖怪が右前足で、攻撃して来て、朱華と龍太は避けた。
龍太はふっと何か思い出した。真っ黒色、どこか恨んでいるかのような色。そして、猫。
こいつはーー。
「おい、この妖怪ってまさか……十二町ができた時になった昔話に出て来た……恨み猫か…!」
龍太はそういった。
"昔とても、荒廃していたが広大な土地があった。その土地の神様だけではとても手が足りず、獣の名を冠する家から十二の家を選び年が変わるごとにその土地を治めてもらおうとした。
選抜方法は、その土地神の元により早く拝顔することだった。結果一番に着いたのは、丑家に便乗し、すんでの所で出し抜いた子の家だった。子のあとに丑が続き、寅、卯、辰、そこから巳、午、未、申、酉、戌、最後に亥となったそうだ。これで十二家は決まったそうだが…どうやら、子に日にちを騙された猫がいたそうだ。
猫は騙されたことを怒り狂い暴れ出したそうだ。それが業になり。土地の神様にその土地を追い出されたそうだ。
そして、猫は山奥で子の家をひたすら恨むようになり、その恨みの念でやがて、猫は穢れ、ついには妖怪なったそうだ"っと、龍太は子供の時から聞かされていた。
「まさか、こんなとこでお目かかるとはなー」
「無駄なこと言ってねぇで、攻撃してください!」
龍太が冷や汗を流していうと、朱華がそういって来た。
「うるせぇ!お前だって、『しっかし、猫妖怪だから、あの風体はやり辛ぇー』とか、思ってんだろう!」
「なっ!?そ、そそんなこと思ってねぇですよ!」
「いや、思ってる!お前のその、にやけ顔でな!」
「なっ!?」
龍太が朱華にそういった。実は朱華は大の猫好き。確かに恨み猫の相手はキツそうだが…。
すると、恨み猫が大きな口を開け、朱華を食いかかってきた。
「ッ……!?危ねえ!朱華!!」
咄嗟に龍太が朱華の前に出て、恨み猫の口を押さえ込んだ。
「ぐうっ!!」
龍太は開かれた口の上下を手で押さえ込んだが、力をハンパじゃなかった。
「あっぶ……!!でも、これで、一発打ち込めますよ!」
朱華は恨み猫の真下に入り、下腹をめがけて、鉄拳を食らわせた。
「ッ……オラ、よ!」
龍太は顎、めがけて蹴りを入れた。
『ガァァァァァァァァア!!!』
恨み猫は両足で、踏みつけをして来た。
「ちっ!」
「くっ!」
二人は後ろに下がるが、
「ッ!」
「朱華!?」
朱華に右前足がぶつかり、吹き飛ばされる。
朱華は腹を押さえ、体制を立て直した。
「痛った…」
「大丈夫か、朱華!?」
龍太がすぐに駆け寄った。
「ええっ、大丈夫ですよ。んでも、なんとかさっきの攻撃を飛んで威力を殺したつもりなんっすけど、結構きやがりますね…」
「そうか。でも、こいつを素手でやるのは難しいぞ、どうする?」
「アレさえあれば、どうにかなるかもしれません」
朱華が向けた視線にギターケースがあった。
「……わかった。アレを取れるまでの時間稼ぎ、任せとけ!」
龍太はそういうと、恨み猫に向かっていった。
朱華はすぐさま、ギターケースのある方向に向かう。
「はあああああ!!!!」
龍太は拳を振り上げ、恨み猫の前足を受け止めようとしたら……
ボフッ!っと、右前足が突如、消えたのだ。
「手が消え……がっ」
龍太の拳は空振りに終わり、突如消えた右前足に隙を突かれた瞬間……恨み猫の尻尾が腹にモロに入り、壁にめり込んだ。
「龍太ッ!!!」
恭一は龍太の名を叫んだ。
(化かされた……それに…)
「….っあ、…かはっ…」
(モロに食らっちまった……!)
龍太は腹を押さえてうずくまった。
「夏歩ッ!お前が襲いに来たのは、俺だろうが…!!」
恭一が恨み猫に向かって、そう叫んだ。
(ナツホ?誰だ…、そいつ?まあ、いいや…!!)
龍太は、恭一がいったことに首を傾げたが…ヨロヨロと立ち上がり、恨み猫の尻尾を掴んだ。
(自分の中にある気を解放、身体強化。…よし、行ける!)
「さ、さっきはよくもやってくれたな!恨み猫!これは、その、お返し、だ!!」
龍太はそう叫ぶと、恨み猫の尻尾を持ち、壁に投げつけた。
「朱華!!今だ!!」
「わかってる、ですよ!」
すると、恨み猫が立ち上がろうした瞬間、斧を持った朱華が、恨み猫を斬りつけた。
『ガアアアァァァァァァァァア!!!……ガハッ』
恨み猫は叫ぶと、グラリと倒れた。