恨み来、恋、恨み恋〜辰河家の当主〜   作:最弱氏

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第2話

 

「はぁ、はぁ。ナイスだぜ、朱華」

 

龍太は朱華にそういった。

 

「………」

 

しかし、朱華は黙ったままだった。

 

「おい、どうした?」

 

「こいつ、まだ息がありやがります」

 

「なっ!?」

 

朱華は横たわり、口から血を流していた恨み猫を見て、そういった。

 

(あの一撃を食らって、まだ息があるのかよ…!?)

 

「なつ…!?」

 

「恭一さん、何があったかは、知りませんが……もうとどめさしちまっていいですか……?」

 

「………!」

 

恭一が恨み猫に向かおうとしたら、朱華が恭一を止め、とどめをさしていいかと聞いた。

朱華の言葉に恭一の顔が一瞬、揺らいだ。

 

「そうだぜ、恭一」

 

「龍太……」

 

龍太が恭一を見つめていった。

 

「これは、じいちゃんから聞いた話だが……本来の恨み猫は俺たちが敵う相手じゃないんだ。それに、恨みっつーのは、人を呪うことの出来るくらいの力を持っている。恨み猫はその恨みを代々、一心相伝で受け継ぐんだ。ここでこいつを倒しておかないと、恭一。お前………今度こそ、恨み猫に殺されるぞ?」

 

「ッ………!」

 

龍太がそういった時、恭一の顔は何か、感じているようだった。

そして、

 

「でも、そいつは……」

 

すると、朱華がいきなり、恭一を突き飛ばした。

そして、

ザシッ!っと、真空の刃が朱華と恭一を襲った。

 

「なっ!?恭一!朱華!」

 

龍太は恨み猫を見つめた。

すると、前足から鋭い爪を出していた。

 

(ま、まさか…!?真空の刃を飛ばしたのか!?)

 

龍太は驚いた。

遠距離からの攻撃。

鋭い爪を使い、刃のように飛ばしたのだろう。

しかし、龍太は朱華と恭一の元に駆け寄った。

 

「大丈夫か!二人共!」

 

「あ、ああ。俺は擦り傷だ。だけど、朱華が…」

 

恭一の二の腕に、擦り傷があった。

 

「大丈夫ですよ、恭一さん。足にちょっと、擦っただけですよ…」

 

朱華の太ももに、爪痕があった。

これじゃあ、恨み猫に襲われると思ったが……

 

『………』

 

恨み猫は三人を睨み付けると、森の中に足を引きずっていった。

 

「逃げた……?何で……?」

 

朱華は驚いてた時、

 

「朱華、その足、一人で大丈夫か…?」

 

「え、えぇ。深すぎねぇのでしばらくたてば、歩け……って、恭一さん!まさか……!」

 

「ああ、行ってくる。龍太、朱華を任せたぞ」

 

「ちょ、ちょっと待てよ恭一!お前、一人で恨み猫を追うつもりか!?」

 

「ああ」

 

恭一はそういうと、森の中に入っていった。

 

「あっ!……行っちまった」

 

龍太は森の中に入っていた恭一を見つめて、そういった。

 

「……龍太さん、恭一さんを追って下さい」

 

「えっ?でも……」

 

「私なら、大丈夫ですよ。もし、恭一さんが恨み猫に殺されでもしたら、私は恨む」

 

「ッ……!?」

 

朱華の言葉に龍太は驚く。

 

「それで、恨み丑になっちまったら、なんて話はごめんです。だから、早く行ってください」

 

朱華の強い眼差しに龍太は数秒目を瞑り、そして

 

「……ああ」

 

目を開いて、朱華にそういった。

 

そして、森の中に入っていった。

 

 

「っと、言ったものの、どこにいるんだ?」

 

森の中で絶賛迷い中。

 

「うーーん?あ、そうだ。気で探せばいいんだ!」

 

龍太は手をポンと叩き、そういった。

そして、目を瞑り、意識を集中させた。

 

(この先をちょっと、曲がった場所に二人の気とそのすぐ、近くに誰かがいるが。じぃーとしてるな。隠れてるのか?)

 

「まあ、いいや!とにかく、恭一の居場所は特定できた!」

 

龍太はそういうと、木と木の枝を飛んで行った。

そして、恭一を見つけた。

 

「あっ、見つけた……けど。あの木にもたれかかってる少女は誰だ?」

 

龍太は恭一を見つけたが、木にもたれかかっている少女を見てそういった。

よく見てみると、肩の方に怪我をしていたことに気づいた。

 

「なんで、あんなとこ怪我してんだ……?待てよ…。あの傷は確か……はっ!」

 

龍太は少女の怪我のとこに注目し、凝視した。そして、何か思い出した。

 

「あの子が………さっきの恨み猫だったのか……!」

 

龍太はそう結論した。いや、そうとでしか、考えられなかった。

あの肩の怪我は朱華が恨む猫に傷付けた怪我、そして恭一のあの少女へと対する対応。

全てがあの時の恨み猫に結び付く。

 

「これは驚きだ……ん?あそこにいるのって……?」

 

龍太は驚きを隠せなかったが、その少し離れた木に隠れている帽子を被った少女を見つけ、すぐ近く降りた。

 

「ッ……!」

 

(ちょ、待て!俺だ!)

 

急に近くに降りてきた龍太に驚いた少女は腰に携えている刀を抜刀しようとしたが、龍太が少女の手と口を押さえた。

 

(はっ!りゅ、龍太さん!?)

 

龍太は小声でいい、少女は龍太と気づくと、刀を鞘にしまい、落ち着いた。

 

(よっ!咲直!)

 

龍太はニカッと笑った。

 

(お久しぶりです……)

 

この子の名前は、戌原 咲直。次期戌原家の当主である少女だ。

龍太とは、先輩、後輩であり、学校も一緒だ。

 

 

(どうして、ここに?)

 

龍太がそう聞くと、

 

(恨み猫の後を付けて来たんです。今は様子見をしているところです……)

 

(そうか……。ん?)

 

(ん?)

 

龍太がそう頷くと、恭一たちの方を向いた時。

 

((なっ……!?))

 

龍太たちが目を向けた時……恭一が恨み猫の少女にキスしているではないか。

 

((…………))

 

二人は無言だった。

 

恭一が唇を離すと、恨み猫の少女は何がなんだか分からず、辺りをキョロキョロしだした。

そして、何でしたのかっと、聞いた時、恭一はこういった。

 

「こ…好奇心で……つい」

 

はっ?今、何っつた?好奇心?おいおい!おかしいだろう!!

好奇心でキスはないだろう!?せっかくのファーストキスを「わりぃー、つい好奇心で♪」って、可哀想な人みたいじゃねぇか!!そら、見ろ恭一!恨み猫の少女がお怒りだぞ!

 

恨み猫の少女は涙目で恭一を睨み、足を振り上げ、男の大事な場所へ蹴りを入れた。

 

ぎゃあああああ!!そこはダメだよ!恨み猫の女の子!そこは痛い!

 

龍太はそういい、自分の股を隠すのであった。

 

そして、恭一はこういった。

 

「お前は俺だけを恨めばいいんだよ」

 

「う、恨めしいヤツめ……!思い切っり、恨み尽くしてやるから覚悟しておけ…!」

 

恨み猫の少女はそういうと、

 

「ああ、改めてよろしな、夏歩」

 

 

へぇー、あの恨み猫の少女……夏歩って、言うのか。可愛い名前だな。

 

龍太と咲直は見届けると、いきなり咲直の携帯が鳴り出した。

 

「……はい。もしもしです、先輩」

 

咲直は受話器に耳に当て、そういった。

 

『あっ、咲直ちゃん?今、どこにいやがりますか?』

 

声の主は朱華のようだ。

 

「え、えっとですね……」

 

咲直は言いにくそうだった。

 

(そういえば、咲直は嘘つくの下手だったな……。しゃあね)

 

龍太は咲直の携帯を取ると、受話器を耳を当てた。

 

「あっ、もしもし?朱華?」

 

『えっ?なんで、龍太の声が聞こえやがるですか?』

 

「ああ、実は恭一の後を追ったのはいいが、道に迷だちまってな。その時に咲直と出会って、こうして電話してるわけだ。あ、それと恭一は無事だったから、安心しろ。恨み猫もどうやら、うちの山に逃げたようだからな。始末は俺がしとくよ」

 

『そ、そうですか。安心したですよ!』

 

プツンと通話が切れた。龍太は携帯を咲直に返した。

 

「ほい、サンキューな咲直」

 

「い、いえ。それより、いいんですか?あんな嘘ついて…?」

 

「ん?いいんだよ、その方が恭一も安心するだろう?」

 

「そうですね。では、私はこれで失礼します」

 

「ああ、じゃあな」

 

咲直はそういい、立ち去った。

 

「うーーん!!んじゃあ、俺も帰るかーー」

 

龍太はそういうと、帰って行った。

 

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