恨み来、恋、恨み恋〜辰河家の当主〜   作:最弱氏

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第3話

「ああー、暇だな〜」

 

俺こと、辰河 龍太は今、絶賛暇をしていると思うだろう?

実は今、丑蔵家の鬼退治の手伝いをしてるんだ。

ん?なんで、手伝いをしてるかって?

それは――――ッ……!?

 

「おわぁ!?……危ねぇー」

 

危ねえ〜。今の俺じゃなかったら、喰われたぞ。マジで…。このクソ鬼が!!

よくも俺の足を喰おうとしたな!

 

「おらっ!!」

 

俺の気を纏わせた鋭いパンチが鬼の頭に炸裂する。

鬼は俺のパンチをくらい、そのまま消滅した。

ふぅ、これで何体目だよ?

 

あっ、なんで、手伝いをしてるかというと……じいちゃんの頼み。

普通はここ――――丑蔵家の当主や分家の人たちが相手をしているんだけど、今日はじいちゃんに言われて来たわけってわけだ。

もともとこの十二家とは、家ごとに別れてそれぞれの土地を管理している地主だ。

ここは、俺が管理している辰家の管轄の外だ。

ここは丑蔵家の管轄だからな。

 

そして、丑の方角には鬼門と呼ばれ、鬼たちが現れる門がある。その鬼門から現れる鬼を退治するのを任されたのが、闘いに長けている丑蔵家なのだ。

 

丑の刻は、俗に言う『丑三つ時』。

午前2時から午前2時半までの間、草木が眠ることとして有名な時間帯だ。その間に魔物や妖怪が現れると言う話もある。

 

 

それを毎日やっている丑蔵家はすげぇと思うんだよな。

ま、そんなわけで俺も今、絶賛鬼退治中ってわけだ。

 

ドッ!

 

ん?あっちの方は確か……朱華の方か?

終わったみたいだし、ちょっと覗いてみるか。

 

「はぁ…はぁ…はぁ…っ、こんで終わりですかね…?」

 

朱華は斧を杖代わりにして、肩で息をしていた。

 

「お風呂に入りてぇです……」

 

お前な、こんな時に何いってんだよ……ッ!?

朱華の背後に、鬼がいた。

 

「くそっ!?」

 

俺は瞬時に、鬼に対処するため気を身体に送って強化する。

 

鬼が朱華に襲いかかろうした時……、

 

ズパンッ!

 

前方からの一閃。

鬼は、そのまま斬られた。

 

「おわっ!?」

 

朱華は驚いた声を出した。

 

「さ、さすが咲直ちゃん。助かっちまいましたよ」

 

鬼を斬り裂いたのは、咲直だ。

な、ナイスだ咲直!お前、本当に最高だよ!

俺は朱華と咲直の元に向かおうとした時、咲直が口火を切った。

 

「……なんで、なんだって、先輩はそう気を抜くんですか!戦場でいきなりお風呂入りたいと申すなどなんたるフヌケ発言!妖怪退治は、家路に就くまでが妖怪退治ですよ!」

 

咲直がクドクドと朱華に向かって小言言ってるな〜。

まぁ確かに、俺も、“トイレ行きてぇ”とかうっかり零したら、ほぼ面目丸つぶれだな。

というか、“家路に着くまで”って。遠足か!!

なんだ!?お菓子は三百円まで的な奴!!

 

「もう少しシャンと致しましょうよ…」

 

「そうだな。朱華?シャンとしろよ」

 

俺は朱華たちの元に着き、そういった。

 

 

「いいじゃねえですか?私が大ざっぱにのして、咲直ちゃんが脇をシめ、龍太が後ろを守るってのでうまくやってんですから」

 

朱華は胸を張っていった。

 

「あのな、俺は今回だけだぞ?じいちゃんに頼まれてきたんだからな。次はねぇぞ」

 

「そうですけど…。それは棚上げと言いませんか……?」

 

咲直はそういった時、

 

「それにほら」

 

「「……!」」

 

 

俺と咲直が朱華が示した場所に目を向けるとそこには、首を半分切られた巨大な鬼が倒れていた。

 

「……よくも、まぁ。こんな…」

 

咲直はそう零した。

 

「やるな、朱華は。 俺はこれの小さいやつかな?」

 

「そうなんですか?」

 

「ああ」

 

俺の相手した鬼は中ぐらいの大きさで、結構気性が荒かったな。

でも、この拳で一発で沈めてやったよ。

 

「そういえば……」

 

「ん?」

 

不意に朱華が俺に聞いてきた。

 

「恨み猫はその後、どうですか?」

 

「ああ、探してんだが、今のとこなかなか見つけられねぇんだよ」

 

「そうですか……」

 

すまんな、朱華。

恨み猫の――――確か、名前が……えっと、ああ、夏歩っていうやつは恭一と一緒だよ。

 

「あっ、龍太。明日はわかってるですか?」

 

「ん?……ああ、そういえばそうだったな。了解。時間は夕方か?」

 

「はい」

 

それからは、妖怪たちはあんま出なくなって、俺たちは帰ることになったんだ。

 

 

 

 

「ふぁ……、あぁ寝みぃ」

 

 

はい。いつものお決まりパターン。

俺の暇な時間でございます。

まあ、時間になるまでどっか散歩でもすっかな?いつもしてるけど……。

 

 

「公園でも行くか。腹も減ったし…」

 

俺は公園にてたい焼きの屋台を見つけ、二つほど買って食おうとした時――――

 

「あーーん…?」

 

すぐ側のベンチで、高校生二人が女の子に声をかけていた。

 

「ああ、あれか。ナンパだな、ありゃあ」

 

まあ、よく見れば可愛い……って、あれって恨み猫じゃねぇか!?

ナンパされている少女が恨み猫の子と俺は気づいた。

 

どうすっかな。……よし、助けてやるか。

 

俺はそのままたい焼きを頬張りながら、向かおうとした時――――

 

「あのーカンベンしてもらえませんか?こいつ俺の連れなんで」

 

えっ?恭一?……あ、そうか。今は恭一が保護してるんだっけ。

俺も行こう。

 

「うぃーす、恭一」

 

「あっ、龍太?なんでここに?」

 

「散歩」

 

「納得」

 

俺がそれだけ告げると、恭一はすぐに理解したようだった。

 

「すっすんません。おいほら、行くぞ」

 

黒髪の少年よ。物分かりが良くて助かるよ。

少年たちは、そのまま立ち去って行った。

立ち去った時、小声が聞こえてきた。

 

「お前何慌てての?」

 

「だって、あの二人は子国家と辰河家の当主だろ?下手な事できねぇよ」

 

「マジか。辰河家はわかるけど、子国は…ああ。当主っても、あいつ『なりそこない』だろ?ビビんなくていいって」

 

二人の少年はそうった。

 

 

 

 

 

あいつ。なんった?恭一が、『なりそこない』……だと?恭一のことを何も知らないくせに言ってんじゃあねぇよ。

怒りを通り越して、殺意が湧いてくるぜ。

 

あいつら……コロスぞ?

 

 

「待て、龍太」

 

俺の肩を恭一が掴んだ。

 

「離せ、恭一。あいつら、殺してくる」

 

「そんなことしなくていい。本当のことだから」

 

恭一はそういった。

 

「ちっ」

 

「えっーと?今のは?」

 

夏歩ちゃんが、聞いてきた。

 

「『なりそこない』って、奴?」

 

「う、うん」

 

 

 

「十二家の当主たちが、それぞれ能力を受け継いでいるのは知ってるか?」

 

「ッ……!?」

 

 

あっ、驚いちゃった。

 

「夏歩、大丈夫だ。龍太は何もしないから」

 

「ほ、…本、当に?」

 

夏歩ちゃんは、俺を見てそう言ってくる。

 

 

「ああ、何もしないよ」

 

 

俺はにっこりと笑って言った。

 

「あ、そういえば能力の話だっけ?俺は能力を持ってないんだ。そりゃ、当主の『なりそこない』って、言われてもしょうがないってこと」

 

恭一はそういった。

 

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