俺の素性、能力、目的をすべてこの子に話した。驚いた顔をしていたが納得してくれたようだ
---「デモ、サッキハ…ワタシ二ハ、キカナイ?」
哲也「あ、気づいてたんだ」
---「…ウン」
哲也「安心しろ、これから使うのは浄化の上位版だから」
---「ソウ……」
浄化…それは触れた相手の怨念を体に取り込み深海棲艦を艦娘へ戻す技。これからするのはその取り込みを強化したものだ。これを使えば深海棲艦数隻を同時に浄化できる。強奪とよんでいる
しかし、この強奪には欠点がある。取り込む力が強すぎるため相手の過去の痛みや苦しみまでも取り込んでしまう。そして今回はイレギュラー艦のこの子、深海化してもなお意識を持ってしまうほどのショックがあったのだ、それを一気に取り込んだらどうなるかわからない。ただ一つわかっているのは、ただでは済まない……最悪、死ぬ
---「……ホントウ、ニ…ダイジョウ、ブ…ナノ?」
俺の表情が顔に出てしまっていたか相手の子がそんなことを聞いてくる
哲也「えっと、目閉じれる?」
---「トジ、レル」
見た目上どこに目があるのかわからないが、これで準備が整った
哲也「よし、じゃあ目閉じて」
---「…トジ、タ」
哲也「わかった……始めるぞ」
浄化は触れるだけでいいが強奪は体全体で取り込みため、相手を抱きしめる
哲也「強奪」
そう呟いた瞬間、体から精神から言葉では言い表せないような苦痛が全身を駆け巡った
哲也「っ!……ぐっ…がぁ!」
いままで怪我をしたことはないがこれが体が傷つく感覚か。身体の至るところから出血し、骨は折れそうなほど負荷が加わっている。精神に至っては気を抜いたら壊れそうだった
---「ナ、ニ。シテル、ノ?」
俺の悲痛を聞き、相手が怖がるように自分を見ている。先ほどと比べ全身が見やすくなった
---「ケガ、シテル、ヨ?ハヤク、ハナレテ!」
哲也「フ、だが断る」
少しおちゃらけて言ってみたが体の方が早速壊れ始めた
持ってくれよ俺の身体と精神
--------------------------
私を助けるそんなことを言っていた、そのためなのか私は抱きしめられた。一瞬胸が高なったのはなんでだろう
彼が何かを始めた、私は目を閉じていたが彼の苦痛の声と血の臭いが気になり目を開けた
---「ナ、ニ。シテル、ノ?」
彼の身体はボロボロになっており、酷い怪我だった
---「ケガ、シテル、ヨ?ハヤク、ハナレテ!」
哲也「フ、だが断る」
彼が死んでしまう……そう思ったら途端に怖くなった。私は必死に懇願し離れようとした
けれど彼は私を強く抱きしめて離そうとしない。そして彼は何故か笑顔だった
---「ハナレ、テ。ジャナイ、ト…シンジャウ」
哲也「君を助けるまでは死なないさ」
なんで?なんで?なんで私に構うの?ほっといてって言ってるのに…お願いだから離れてよ。私に…構わないで……
---「ワタ、シ…ニ…カマワナイ、デ…」
哲也「断る、お前みたい寂しがり屋ほっとけないからな」
---「ワタ、シハサビシ…ガリ、ジャナイ!ヒトリ、デ…スゴセテ…タ」
哲也「じゃぁ、なんで姉妹と一緒にいたんだ?1人でいたいなら1人部屋もあっただろう」
---「ソレ、ハ。シカタ、ナク」
哲也「じゃぁ、なんで人目のつきやすいところにいた。部屋のドアの前の窓際、食堂のドアの近くの席、鎮守府の窓から見える庭」
---「チ、チガウ……」
哲也「違くない、思い出して見ろ」
---「………」
彼に言われ無意識に思い出してしまう
姉妹に誘われても断っていた、でもまた誘ってくれるそんな状況を自分はどう感じてたか
『一緒にご飯食べるっぽい!』
『たまには一緒にどう?』
『一緒に買い物行かない?』
『おにぎりここに置いときますね』
暖かかった、明日も誘ってくれる、話してくれる。そう期待していた
あの日、捨て艦の役割を持って出撃した日の不安はなんだったか。轟沈したとき恐怖はなかった、あったのは皆との日常が崩れてしまうことへの抵抗
……私は無意識に皆と一緒にいたかったんだ………
---「………」
哲也「どうだった?」
---「ワタシ、ハ……」
哲也「うん」
---「ヒトリ、ジャ…ナカッタ……ミンナガ、ダイジニ…シテクレ、テタ」
哲也「ああ、その通りだ」
私はダメダメだ、皆に合わせる顔がない……
---「……ワタシ、ハ…ヤリナオ、セル?」
哲也「ああ…やり直せる、俺が絶対助けるから……」
……でも、もう1人なんて言わない。姉妹がいて皆が彼がいてくれるなら……
---「モウ、マチガエナイ!」
哲也「よく言った、おかえり…っ!……がっ!」
彼の身体に怪我がどんどん酷くなっている。この怪我は私が原因、私がこれをおい払えば
---「オネガい、もうイイ…から。ワタしは、もウダイじょうぶ…だから」
心の中で強く願う、彼に死んで欲しくない彼と皆で一緒に過ごしていきたい
だから、お願い………
------------------------------
強奪をしてからしばらくの記憶がない、どうやら意識が飛んでしまったようだ。あの子はどうなっただろうか
???「ぁ、起き…た。よかった」
頭の下には柔らかいものがあった、どうやら膝枕をされているらしい
哲也「あはは、海のど真ん中で膝枕されるって不思議な気分だな。君は……ああ、そっか君が」
???「うん、私…を助けて、くれて…ありがとう」
哲也「気にするな、もとより俺のわがままだ。ところで君は?」
山風「山風、白露型駆逐艦…山風、よろしく、ね」
哲也「ああ、よろしく。山風か」
山風「うん。あ、後…これ、倒れたとき、に…落ちた」
そう言って山風はポケットからインカムを出した、耳のあたりが物足りない感じがしてたがこれが原因か
哲也「ありがとう……あーあー、元帥さん聞こえてる?」
元帥さん「哲也か!?無事だったか!?怪我は!?」
声でけえ、危うく鼓膜が破れかけたよ?
哲也「落ち着いてください、元帥さん。多少怪我しましたが大丈夫です」
元帥さん「そ、そうか。途中からお前の苦痛の声が聞こえるし、通信は途絶えるしで焦ったぞ。それから一向に連絡は入らんはで」
哲也「どれくらい時間たちましたか?」
元帥「お前が出撃してから5時間は経っとるぞ」
ああー、電に怒られる……可愛いだろうなぁ
元帥「取り敢えずそこに輸送船を向かわせた。哲也も1回大本営にこい」
哲也「え、なんでですか?」
元帥「お前、大怪我してるだろ」
哲也「…いや、なんのことですかね。軽い切り傷程度…」
山風「全身、怪我…だらけ。今も、ところどころ…出血、してる」
山風ー、なんでばらすのー
元帥「ほう…」
哲也「わかりました、一緒に行きます…」
元帥「うむ」
この後、すぐ輸送船が到着し大本営に着いた。俺の容態をみた元帥さんが驚愕のあまりギックリ腰を起こしてしまった
そんな元帥さんを二人で介抱した、山風はそんなことでも楽しそうに笑っていた
山風「提督…」
哲也「ん、どうした?」
山風「ありがとう…私を、助けてくれて…」
哲也「ああ、どういたしまして。山風」
最終回みたい、すごい最終回みたいだよこれ?
まだまだ続くからね?終わらないからね?
山風を救った哲也、山風は哲也にゾッコンloveに、そんな二人を見て電も突撃する。迫り来る美少女二人に哲也のライフ(理性)は持つのか!
ということで次回「哲也、死す!?」デュ〇ルスタンバイ!
※嘘です