------------------------------響
私は無力だ。私が無力なせいでまた誰かが沈む…
神田「次の作戦の出撃メンバーを発表する」
私の提督は地位というものにとてもこだわる。地位のためならなんでもするらしい、上司の買収も捨て艦も平気でしてしまう。私の中ではもう彼は人ではなかった、人の皮を被った怪物だった
神田「主力艦は榛名と比叡、BFは天津風、朝潮、海風……」
今回の作戦では、4人の艦が沈むことになる。いつか私にもその役目が来るだろう。最近はもういっそのこと楽になりたいと思い始めている
神田「最後に、暁だ」
響「!」
暁、暁型1番艦であり、私の家族だ。ここにいる唯一の家族であり、心の支えになっていた人
それが今日いなくなってしまう…
神田「伝達はお前に任せる一時間後に出撃だ」
響「……了解だ。いってくる」
執務室から出ていき、それぞれに伝えにいく
天津風、海風、朝潮への伝言が終わった。作戦内容を聞きそれぞれが泣いたり怒ったり任務のためと受け入れたりの反応だった
そして最後、暁型1番艦…暁の部屋である
響「暁、入るよ」
暁「おかえり、仕事はどうしたの?」
響「仕事で来たんだ。暁、出撃だ」
暁に攻略海域、作戦内容を伝える。今までの作戦伝達で1番心が痛い。それも仕方ないか、ただ1人の家族に死ねと告げるのだから
暁「……そっか、響ともお別れになっちゃうわね」
響「あぁ…」
暁「1人になってもしっかりやるのよ?」
響「あぁ…」
暁「ほら、そんな暗い顔しないの」
無理に決まってる。大切な人がいなくなる、死んでしまう、そんなことを安易に受け入れられる程私は強くない
響「ごめん、私が無力なせいで…」
暁「響のせいじゃないわ、ただ運が悪かっただけ…運が悪かっただけ、よ」ギュウ
響「…っ……」
やめてくれ、今そんなに優しくされたら歯止めが利かなくなってしまう…
響「…ウッ……」ポロポロ
暁「よしよし、最後だから思う存分甘えなさい」ポンポン
苦しい、胸が締め付けられる…とても怖くて不安だ。暁だって怖いはずなのにどうして平気でいられるんだ
響「姉さん…行かないでくれ……私を、1人にしないで、くれ…」ポロポロ
暁「大丈夫、天国から響のこと見てるわ」
いつ以来だろう、暁を姉さんと呼んだのは。こんなに泣いたのは…
響「姉さん…」
暁「…少し、お話をしましょうか。響が寂しくならないように」
そういい、暁は「この世界のどこかにはこんな場所があるらしいわ」といい話しを始める
暁「艦娘が誰1人沈まず、出撃もしなくていい。皆が笑って暮らせるそんな夢みたいな場所があるんだって。面白そうよね」
そんな場所があるんだったらきっとそこは天国のようなものなのだろう。いや、もう天国なのかなそこは
暁「そんな場所で響と、まだ会ったことのない妹達と司令官で仲良く笑いあって暮らせたら楽しそうよね」
響「…きっと、楽しいだろうね。でも、そんなの夢物語だ誰かが考えた都市伝説だ…」
暁「…そう、なのかもね……ねぇ、響私がいなくなったら…」
暁は何かを言おうとしていた。しかし私はそれを聞きたくなかった。聞いたら何かが崩れてしまう気がした。だから私は会話を中断する
響「そろそろ、時間だ…暁準備を…」
暁「…わかったわ」
出撃ポッド
暁「それじゃあ、響お別れね」
響「ああ…」
朝潮「朝潮行ってまいります」
響「うん…」
海風「響ちゃんもこれから頑張ってね」
響「ありがとう…海風」
天津風「響、雪風達をよろしくね」
響「ああ、任せてくれ」
榛名「皆さん準備はできましたか?」
「「「「はい!」」」」
榛名「では、参りましょう。第一艦隊出撃します!」
皆が出撃を開始し、高スピードでどんどん姿が見えなくなっていく
響「…行って、しまったか」
私はなんとも言えない虚無感に浸かっていた
また、仲間が死ににいった。最初の頃はショックが大きすぎて部屋に引きこもって暁に慰められていたのに、慣れてしまったのだろうか……いや、暁がいなくなったからこそ、こうなったのか
響「皆、死ぬんだ…駆逐艦は捨て駒でしかない…」ズズ
以前司令官に聞いたことがあった駆逐艦はどういう存在かと。あの人はいつもと変わらずただ冷徹な声で捨て駒だと言い放った
響「私の、せいで…」ズズズ
そうだ、私が全て悪いんだ。あの人を殺すなりなんなり止め方は色々あったはず、なのに私は何故そうしなかった?
響「そんなの簡単さ」ズズズズ
そう、怖かったから。人を殺してしまっては私がどうなってしまうかわからない。所詮私はなの人と同じ最低な人間だ……逃げたのだ
響「私がいてはまた誰かが死んでしまう。だったら…」
だったら、あの人を、この私を…全部全部なくなっちゃう前に…
響「壊してしまおう」ズズズズズズ!
私は願った、あの人がいるから、私がいるから、皆が悲しい想いをする。だったらそれを消せばいい、私の未来が怖いなら一緒に消えてしまおう、もう家族もいないんだ、私がいなくなって悲しむ人はもういないんだ
皆が助かる、そう思うと自然と体が動いた。まるで何かに操られるみたいに
響「暁、待っててくれ私もすぐ行くから…司令官と一緒に」
私の心は酷く冷えきっていた。まるで海のとても深いあの場所……
……深海のように
次回「救助」
響はまだ助からないけど次回はいい回にする約束しよう