------------------------------紗彩
黒木君の艦隊と砲撃戦になった。自分で言うのもなんだが、私には実戦経験があるから遠距離だったらそれなりにいけると思っていたのだが、そう甘くはなかった
扶桑『提督……砲撃が当たりません』
山城『もう!どうなってるのよ!』
そう、有利どころか当たってすらいなかった。こうしているうちに相手がドンドン近づいてきている。きっと近距離戦に持ち込む気だろう。それに夜戦に突入するとこっちも部が悪くなる
紗彩「夜戦に入る前になんとしても倒したいわね…」
長良『司令官、もう結構距離つめられてるよ?』
山城『きゃぁっ!?』
長良の報告を途中で山城の悲鳴が遮る
紗彩「山城、どうしたの!」
山城『砲撃が当たってしまいました。大丈夫、まだ中破です。行けます!』
紗彩「中破…」
………おかしい、相手の戦力にそこまでのダメージを与えられる人は……もしかして黒木君、艦装まで使えるの?
最上『提督、相手が見えて来たよ!』
紗彩「っ…もうそんなに、陣形を崩さず全員砲撃に集中して!」
全員「「「「「了解!」」」」」
黒木君がどんな手を使って砲撃をかわしてるかわかんないけど、肉眼ではっきり捉えられるほど近くなら避けられないはず
最上『な、なにあれ』
龍驤『嘘やろ?』
山城『そりゃ、当たらないわけよ…』
紗彩「何が起きてるの?」
扶桑『えっと、信じていただけるかわかりませんがあの黒木さんという方が……
紗彩「えっ?」
避けてすらいなかった。そもそも砲弾を切るとかできるのだろうか……どれだけスピードあると思ってるのよ
扶桑『あと、もう一つよろしいでしょうか?』
紗彩「ん?何?」
扶桑『黒木さんが夕立さんとともに、闘争心全開でこちらを見ています。どうやら切り損ねた砲弾が偶然電さんと時雨さんに当たり何かに火をつけてしまったようです。残りの味方さんさえ怯えてます』
紗彩「……」
扶桑の淡々とした、しかしどこか怯えたような報告を聞き意識が飛びかける。よりによって電ちゃんに当たっちゃったか……時雨ちゃんという子は…ああ、確か夕立ちゃんと仲良かった…
それより黒木君これから本気でくるよね。なんかどうしようもない絶望感があるね……。電ちゃん泣かせちゃったのも根に持ってるかなぁ……
紗彩「……」
扶桑『提督?』
紗彩「ハッ…ええい!もうこうなったらやけだ!残りの燃料、弾薬が尽きるまで戦いまくれ!」
扶桑『わ、わかりました!』
山城『了解!』
長良『よーし、最後だ。気合い入れて行くよ!』
最上『頑張ろ…』
龍驤『よぉし、やったるで!』
紗彩「砲撃開始!」
全員「「「「「了解!」」」」」
------------------------------哲也
電「きゃぁ!?」
時雨「うわぁ!?」
敵からの砲撃をなんとか切り裂いていたが、やはり防ぎ切れなかった
哲也「2人とも大丈夫か!」
電「は、恥ずかしいです…」タイハ
時雨「演習弾でも服は破けるんだね。艦装も、ダメか……まさかここまでやられちゃうなんてね……はは」タイハ
哲也・夕立「「……」」
むぅ、演習とはいえ電が怪我……というより服とか大事なものが壊れてしまった。久しぶりの実戦だったからかどこか震えている……ふむ…なんというか、何故か変に不快な感覚が…
ふと横を見ると夕立も同じようなことを考えていたのか顔が今までにないほど真顔になっていた
球磨「ふ、2人とも落ち着くクマ。顔……というかオーラとかがマジでやばいことになってるクマ」
山風「…て、提督…落ち着いて」
残り2人が怯え気味に言ってくる。そこまで怖い顔してないと思うんだが……まぁ、今は置いておこう
夕立「提督さん♪」
哲也「お、どうした夕立?」
夕立「夕立、何故か全身すごい疼いてるっぽい!今ならなんでもできるっぽい!」
哲也「そっかそっか、奇遇だな。俺も今そんな気分だ。行こっか」
夕立「ぽい♪」
そういえば、演習前に電が泣いてたな。その分もきっちり返しておこう。それに電は絶対に渡さない
夕立「ソロモンの悪夢見せてあげるっぽい」ギラ
哲也「電と時雨の恨みはらさせてもらう…」ギラ
周りを見るともう日も沈み、暗闇が広がっていた。駆逐艦得意分野夜戦の始まりである
時雨「僕達まだ沈んでないよ…」
電「はわわ…」アタフタ
球磨「2人とも愛されてるクマねー」
山風「でも、あれは…やり、すぎ……」
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戦術的勝利B
俺達は傷つきながら(主に夕立だけだが)なんとか勝った。途中気分が高まり、ところどころ記憶が抜けているが頑張って勝ったのだ。電の強制移籍もなくなり全てめでたしめでたしなのだ。しかし、俺と夕立は何処かで何かを間違えたのか相手の艦隊の方々に酷いトラウマを植え付けてしまったらしい。幸い深海棲艦と戦う方が何千倍ましという意見が頂けるほど大きなトラウマだったので海域攻略に支障はないとか
そしてトラウマを植え付けた元凶である俺と夕立は今時雨、電同伴の元、萱野さん並び秘書艦の方を我が鎮守府の応接室へと招き入れ
哲也・夕立「「申し訳ありませんでした(っぽい)!」」
土下座をしていた。いや、女の子に土下座は……全責任持って俺がやるとかじゃダメだったの?
紗彩「え、えっと大丈夫だよ。そんな気を使わないで…ほら元はと言えば私が原因だし頭上げて、ね?」
イムヤ「まぁ、確かにその通りよね」
哲也・夕立「「…」」スクッ
電「2人共やり過ぎなのです」
時雨「そうだよ。心配してくれたのは嬉しいけど、しっかり限度はわきまえてね」
哲也「はい…」
夕立「ぽい…」
返す言葉もございません
哲也「萱野さん、すみませんやり過ぎました…」
夕立「夕立もやりすぎたっぽい…」
紗彩「だ、だから大丈夫だよ。ほら、もう楽にして、ね?」
今気づいたが、萱野さんもどことなく怯えてるような感じだった
紗彩「(い、イムヤぁ、助けて…)」
イムヤ「(はぁ…自業自得でしょ)」
哲也「あの、電と時雨に提案があるんだが」
時雨「ん、どうしたの?」
電「?」
哲也「えっと、今回は俺の不注意が原因だし夕立はもう許して欲しいなぁ…なんて」
夕立「提督さん……」
俺があの時砲弾を切りそびれてなければ、こんなことにはならなかったし。言ってしまえば夕立も被害者だ
時雨「はぁ、こんな時まで自己犠牲かい……」
電「……」
哲也「頼む、このとおり」
手を合わせ頭を下げる。物凄く呆れられてるがそれはいい、今は夕立だ
夕立「提督さん、大丈夫っぽい。今回は夕立も悪いっぽい、怒られる時は一緒だよ。提督さん」ニコ
哲也「夕立……」
夕立がこんな優しい子に育っていたとは……なんて眩しい笑顔なんだろう………
時雨「まるで僕達が悪者みたいな空気じゃないか…」
電「なのです…電も夕立ちゃん側が…」
時雨「?」
電「い、いえ、なんでもないのです」
時雨「電も電だね」
電「///」
哲也「?」
夕立「提督さんも愛されてるっぽい」
よくわからないが、許してもらえたらしい
紗彩「よし、もう大丈夫!…黒木君今日は演習受けてくれてありがとう」
哲也「いえ、こちらこそ。本当にすみませんでした」
紗彩「もう、気にしないでってば。それよりこれからなんだけど、少し時間ある?」
哲也「えっと、一応ありますが今じゃダメな話ですか?」
紗彩「うん、2人きりで話したいことだからさ」
電「!」
2人きり、とても重要な話なのか。軍のお偉いさんとかが持ってる機密情報とかか?
哲也「わかりました。あ、間宮さん達に頼んで打ち上げ開いてるので良かったらゆっくりしてってください」
紗彩「丁寧だねー、そこまで気を使わなくていいのに」
哲也「いえいえ皆にもいい経験になりましたし。せめてものお礼です」
紗彩「じゃ、よろしくね」
哲也「はい」
これからどんな話があるかわからないけど。悪い話でないことを祈ろう
哲也君はイケメン
次回「対談」