電「山風ちゃんを遊びに誘ってくるのです!」
萱野さんにアドバイスを貰い、内心不安が積もる中帰宅し自室に入って聞こえてきた第一声がこれだった。急にどうしたのだろう……
哲也「えっと…どうした急に?」
電「理由は言えませんが、司令官さんは山風ちゃんとデートしてください」
そして何故山風なのか……このタイミングで出てくるとは。
哲也「えっと…なんで山風を?」
電「山風ちゃんから聞きました。司令官さんとギクシャクしてるって、だからちゃんと仲直りして下さい」
哲也「……」
山風も、同じこと気にしてたんだ。てっきりもう俺のことなんか忘れてるのかと思ってた。それに海風からも何も報告無かったから、もう大丈夫なのかと…
というか理由を言ってしまっている件に関してはどうすれば良いでしょうか?
哲也「その、俺もこれから山風を誘いに行こうと思ってたんだ。それで、どうしたらいいかを聞きに萱野さんのところに、さ」
電「そうでしたか、それでは司令官さん行ってらっしゃいなのです」
哲也「あ、うん」
何故か電のキラキラした視線を貰いながら俺は部屋を出た。
数分後
改白露型部屋、というのは名目上で実際は多人数が苦手な山風のために使用を許可した部屋。今は海風とともに過ごしている。
その部屋の扉を2回叩く、少し待つと扉を開く音がする。ほんの少しだけ開いたのでちらりと覗くと、そこには僅かに怯えた様子の山風があった。
哲也「あー…山風、少し良い?」
山風「…提督?……ちょっと待ってて!」
慌てたように勢いよくドアを閉める山風、その向こうから忙しいそうに動き回る足音が聞こえる。どうやら見つかってはマズイものがあったようだ。
数分後、若干汗ばんだ山風が現れ部屋に迎え入れてくれた。小さなテーブルの上にお茶が入ったコップを2つ持ってくる。後ろの少しきつそうな押入れのことは聞かないでおこう。
山風「それで、話しって…?」
哲也「その、さ今度の土曜一緒に遊びに行かないか?」
山風「…」
お茶を飲む手を止め黙り込んでしまう山風、やはり嫌だっただろうか……
山風「……ごほ 、ごほ…」
違う、ただむせてただけだった。口からたれたお茶を拭き、1度落ちついてから話し出す。
山風「ど、どうしたの?急に…」
哲也「えっと…その、最近話せてなかったから…どうかなって」
山風「い、いいよ…私も誘おうと、思ってたから」
哲也「そっか、ありがとうな山風」
ぎこちない会話が続き、その後からは無言になる。お互い目も合わせられず中身の減ったお茶を眺めるばかり、その雰囲気に耐えられなくなり部屋を後にしてしまう。
哲也「じゃ、じゃぁ土曜よろしくな」
山風「……うん」
提督自室
山風へのデートの誘いが終わり、部屋に帰って来た。
山風と話す………ただそれだけなのに妙に緊張してしまい、精神的にも大分来てしまった。
哲也「ただいま…」
電「お帰りなさいなのです。どうでしたか?」
哲也「一応誘うことは出来たよ、でもなんか凄い疲れた」
電「お疲れ様でした」
労いの言葉をかけてくれる電、そして膝の上をポンポンと叩いていた。どうやら膝枕をしてくれるらしい……電の膝に頭を乗せ仰向けになる。
電「いい子いい子、なのです」
哲也「はは、なんだこりゃ…」
額を撫でられ、電に慰められる。下から覗く電の顔は何故か大人のそれに見えてしまった。
電はこういったたまに大人っぽくなるところがずるい。
哲也「なぁ、電…」
電「はいなんですか?」
哲也「なんで山風は俺なんかを好きになってくれたのかな」
唐突に、けどどこか当然のような質問をしてしまう。山風は1度助けた…今まで助けた子と少し違いはあったが、どうしてここまで好きになってくれたのだろうか。正直、俺のどこが良いのか未だにわからない。
電「……」
電が急に無言になる。そして、これまた急に頬をつねって来た。
自分の頬を膨らませ電は怒っていようだった。
電「司令官さん、自分を卑下しないでください。電は悲しいですよ」
哲也「あ、ごめん…」
電「司令官さんは素敵な人なのです、優しくて強くて皆さんを守ってくれて…皆さんを大切に想ってくれます。そんな方を大切な人に思わないなんて逆に不可能ですよ?」
哲也「そうなんだ……」
電「皆、司令官さんが大好きなのです……もちろん電も、なのです」
頬を優しく撫で、励ますように小さく微笑んでくれる電。その姿はまるで天使のようで心の奥にあった不安を一気に取り除いてくれた。
電「だから司令官さん、山風ちゃんともしっかり仲直りして下さい」
哲也「…了解……絶対、山風と仲直りする。そしてまた前みたいな関係に戻る」
電「その意気なのです」
電に活を入れて貰い、今度の土曜に向けて準備する。実は今度の土曜日が明日だったりする
哲也「そうと決まれば早速予定立てなきゃな。取り敢えず遊園地は絶対行こう……それと、夕食はレストラン…いや、2人だけの方が山風は落ち着いて食べられるか……」
電「……」
懸命にデートプランを考えていると、電が服の裾をくいくいと引っ張って来る。見ると電は顔を少し赤くしながら不安そうな表情でこちらを見ていた。
いったいどうしたのだろう……
電「あ、あの山風ちゃんの件が大事なのはわかりますが…い、電のことも忘れないでくださいね?ぜったいぜったい、浮気はダメですよ?」
どうやら急に熱心になったのを見て、本当に不安を感じてしまったらしい。先ほどよりも涙を目に浮かべていた。
やっぱり電はこの慌てている感じが似合うと思う。
哲也「はは、大丈夫だよ。じゃぁ、山風と仲直りできたら今度またデートしよう?」
電「はい……」
そっと電の頭を撫でてあげる、小さく「んっ…」っと声を出して今度は先程とは違い可愛く微笑んだ。
電と新しい約束をし、デートプランを立てる作業を再開した。
改白露型部屋
いっぽうその頃、山風は海風にアドバイスを受けながらデートに着ていく服を見繕っていた。とは言っても、今まであまり鎮守府から出たことない山風にとっては私服など持っていないに等しかった。
そのため今は海風に服を貸してもらい、色々試着していた。
海風「山風どうでしょうか?」
山風「少し、胸が苦しい」
海風「……そうですか」
山風「うん」
この時海風は初めて気づいた、実の妹に胸のサイズで負けていたことを……とはいい今はそんなこと気にしている時間はない。今度の土曜は明日、そのために服装はもちろん提督とどう仲を取り戻すかも考えなくてはいけない。
海風「となると、山風にはこれが良さそうですね。どうですか?」
山風「……うん、ぴったり。これ、どうしたの?」
海風「山風に似合いそうなので大分前に買ってみたんです」
以前の鎮守府では娯楽の1つも許されなかったため、せめてにと海風が買った服を山風に渡す。
山風「そう、なんだ。ありがとう海風」
海風「いえいえ」
服装が決まった山風、しかしやはりどこか不安そうな山風に海風は問いかける。
海風「山風は提督のことが好きですか?」
山風「うん、好き。あ、でも…恋とかじゃない方の」
海風「わかってます、山風が提督のことを嫌いにならない限り、絶対仲直りできます。だから、頑張ってください」
海風はそっと山風を抱き寄せ安心させる。山風も覚悟を決め海風に話し出す。
山風「あたし…頑張る。それで、提督と仲直りしてまた、前みたいに…」
海風「はい、改めて頑張ってください。山風」
山風「うん、ありがとう…お姉ちゃん……」
少し顔を赤くしながら海風をお姉ちゃんと呼ぶ、海風は耐えきれなくなり先程よりも更に強く抱きしめた。
山風は照れ臭さと少しの苦しさの中、本当にいいお姉ちゃんだなと思ったそう。
ここまで読んで頂いた読者の皆様に裏話を1つ、山風が隠した本、実は提督と山風の純愛本です。作者はもちろんオータムクラウド先生です。
心の奥ではまだ哲也くんを諦めきれてない山風ちゃん可愛いですね(*ˊ U ˋ*)
こんにちは、はつひこです。夏休みが終了しいよいよ学校という名の社会のチュートリアルが始まってしまいました。夏休みは暇だし、学校は学校はダルいしでどうしたらいいんでしょう……
今回も仲直り準備回、3角関係がここまでことを運ぶとは、侮れません。某アニメでは主人公刺されてるし。話しは変わるけど海風と山風の姉妹愛がお気に入りです。そんなわけで次回はいよいよデート回、しっかり仲直りできるんでしょうか。
次回「新しい想い」浮気不倫は絶対ダメ、刺されるよ?(カナーシーミノー)