電さんと化物提督   作:コントラポストは全てを解決する

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56艦 戦う理由・守りたいもの

哲也「……ん、ここは……」

 

 目を開ければもう見慣れてしまった医務室の天井、起き上がろうとするも身体全体が石化したようにびくともしなかった。せいぜい指を動かせる程度…右足は大丈夫なはずなのだが……

 まぁ、動かないものは仕方がない。取り敢えず周りに誰かいないものか……見舞いの品の数々が置いてある…皆心配してくれたんだな。

 ……電は大丈夫だろうか……たしか3号とか言うやつに殺されそうに……

 

 哲也「電!!…!?」

 

 意識が飛ぶ前のことを思い出し、つい反動で起き上がってしまった。しかし、その瞬間声もあげられないほどの激痛が走った。まるで開放を使ったときのように…

 

「ん…んん……」

 哲也「?」

 

 そういえば先ほどから俺の脇のあたりが異様に膨らんでいる。いったい誰がこんな時に……

 

 電「…んっ…司令官、さん……」

 哲也「……」

 

力みすぎると激痛が走ってしまうので、痛みを感じないようできる限り慎重に身体を動かし布団をまくってみる。そこには身体を丸めて眠っている電がいた。良かった…無事だった……

 よだれでもこぼしたのか、顔のシーツの周りにシミが出来ている。 

 

 電「司令官、さん…ごめん…なさい」

 哲也「電?」

 

 苦しそうな寝言とともにポロポロ泣き出す電。怖い夢でもみているのか、哲也の服の裾をぎゅっと掴み酷く震える。

 どうやらシーツのしみの原因は電の涙だった。

 眠っているところを邪魔するのは良くないことなのだろうけど、この状態の電を放置できるわけがないので止むを得ず起こすことにする。

 

 哲也「電ー、起きろー、朝だぞー」

 電「……司令官、さん?」

 哲也「ああ、俺だ。おはよう電」

 

 耳元で少し大きく声をかけるとすぐさま目を明け、周囲を見回し大きなあくびをする。寝ぼけ眼で視界に俺の姿を写した後、先ほどの俺同様記憶が蘇ってきたのか、涙ぐみながら勢いよく抱きついてきた。

 

 電「司令官さん!ごめんなさい……電のせいで…電の、せいで……」

 哲也「お、落ち着け電。電が謝る必要ないだろう?」

 電「でも…あの時、電を庇ったから司令官さんは怪我をして……」

 

 あの時……3号が復活して反射で電投げ飛ばした時のことか…あれはどう考えても俺の不注意が原因だろう。それと、あの時に開けられた胸の風穴が塞がっている。いままでも何度か怪我をしその時に働く自分の再生の能力の高さは自覚しているつもりだったが、こんな怪我まで再生させられるのか?

 

 ……まぁ、いいや。

 

 哲也「電は何も悪くないよ。全部俺の不注意が招いた結果だし……まぁ、命令無視をしたのはダメだったけど。でも電に怪我がなくて良かった…入渠でも治らない傷もあるらしいし。取り敢えず電に大事なしで、めでたしめでたしじゃないか」

 電「全然めでたくないのです!いつも、いつも…電は守られてばかりで、何も返せてないのです……今だって怪我をしてるのは司令官さんだけ……」 

 

 相変わらず電は優しい。思いっきり抱きしめたい……あぁ、早く体治んないかな…

 

 哲也「まぁ、確かに今回も怪我しちゃったけど……でも、やっぱりさ…守りたいんだよ、電は…命に変えてでも。あ、もちろん死ぬ気はないよ?」

 電「司令官さん…」

 

 にこっと微笑みかけ電を安心させられるように努める。電は納得はしてくれなかったが理解はしてくれたようだ。

 それからはただ電と何も話さず添い寝しており、一緒に笑い合ったりしていた。そして電は寝た。

 

 球磨「提督ー、失礼するクマよー」

 哲也「ん?」

 

 電が寝付いてからすぐのこと、球磨が手提げ袋を持ちながら部屋に入ってきた。それが何なのか聞いて見ると、首をキョトンとさせながら見舞いの品だ、と言ってきた。

 

 哲也「もう、山ずみになるほど見舞いの品があるんだが……」

 球磨「黙っとけクマ、人からのご好意は素直に受け取れクマ」

 

 持ってきた袋ごと手渡し、近くに置いてあった椅子に腰仕掛けた球磨はしばらく何をするわけでもこちらを見てきていた。

 何も言わない球磨に違和感を覚えながら、どうした?と聞いてみる。

 

 球磨「…提督は、格好いいクマね……」

 哲也「え、どこが?」

 球磨「深海棲艦を艦娘にしたり、艦娘が束になっても勝てない敵を1人で倒したり……平気で恥ずかしいこと言ったり…」

 

 何か呆れたように半眼になり、いままで自分がやってきたことをいかにもヒーローを見たかのように語る球磨に苦笑しながら、動かない体を無理矢理動かしそっと頭を撫でる。

 

 哲也「……ってちょっと待て、最後のは違うだろ」

 球磨「何も間違ってないクマ。提督は正真正銘誰もが認める女たらしクマ……というか茶化すなクマ」

 哲也「えぇ……」

 

 己に降りかかる理不尽にかかる中、こほんと球磨が咳払いを1つし再び真面目な顔になる。

 

  球磨「提督に聞くクマ…球磨は、球磨達は必要クマか?本当は足でまといに思ってるんじゃないクマ?球磨は……役に立たなくなったんじゃ……」

 

 真面目な表情で話し始めたと思った瞬間、いきなり寂しそうな顔をする。

 とても不安そうな顔だったので哲也は先ほど同様そっと頭を撫でてあげた。

 

 哲也「ていっ」

 球磨「あぅ…」

 

 そしてそのまま頭を撫でていた手で球磨の質問をデコピンともにどっかにおいやる。

 おでこを抑えながら、ムゥっと哲也を睨みつける。とうの哲也はため息を1つつき球磨に話す。

 

 哲也「球磨、俺がお前らを邪魔に思うわけないだろ。俺にとってお前らを大切に思ってるし、何があっても絶対お前らを守るって決めてんだよ。それと俺は電が好きだが同じくらい球磨も好きなんだよ」

 球磨「クマ!?」

 

 哲也が発した唐突なお前が好き宣言に、そういう意味じゃないとわかっていても顔が高揚しだしてしまう球磨。

 そんな球磨の状態を知るはずもなく、ズバズバと恥ずかしいセリフで切り込んでいく。

 

 哲也「電には言えないけど、正直この怪我や傷も誇りに思ってる。お前達を守ってできた傷だからな。命を捨てる気はないが、球磨を守れるんだったら平気で怪我も負ってやる…って聞いてるか?」

 球磨「……」

 

 哲也からマシンガンのように放たれる口説き言葉に、ついに球磨の中にある許容メーターを越えてしまい顔を赤くしながら固まっていた。そんな状態の球磨に、おーいと手をふってみるがまったく反応がない、なので頬を少し引っ張ってみるとそこでやっとこちらに戻ってきた。

 

 球磨「…なにひゅるクマ…」

 哲也「球磨がどっかに意識とばしてたから戻したんだよ……」

 

 眉間にしわをよせ膨れっ面を作っている球磨。そんな彼女を見ながら困惑を混ぜた笑みを見せる。

 

 哲也「まぁ、球磨は邪魔になんかなってないってわかってくれればいいよ。むしろ球磨達は俺が戦う理由だから傍にいてくれないと困る」

 球磨「そ、そうクマか…」

 

 やはり哲也の言葉に耐えこれず顔を赤くしそっぽを向いてしまう。

 目覚めた時よりいくらか体が動かせるようになっていた哲也はベッドから足を下ろし体ごと球磨の方に向ける。そして球磨の両手を自分の両手でそっと握った。突然のことに焦る球磨を無視し、穏やかにそして優しい笑顔で一言…

 

 哲也「球磨、どんなことがあっても俺が守ってやるから、この戦争を終わらせて艦娘とか役割とかそんなの気にせず暮らせる世界を作るから。約束する……だからもう、さっきみたいな顔はするな。いいな?」

 球磨「……」

 

 ……数秒たっぷり硬直したあと、哲也の放った言葉が勝手に脳内リピートされ、勘違いを引き起こしそうになった球磨。

 今まで、積みに積み重なった哲也の恥かしい台詞集があとをおし、叫ぶこともなくただ全力で医務室から顔を真っ赤に染め上げ逃走した。

 

 哲也「あっ……どうしたんだあいつ…」

 電「……」

 

 いきなり顔を赤くして出ていってしまった球磨を疑問に思いながらも、体の向きを戻す。少し騒がしくしまったため電が起きてしまっていないかの確認をしたが案の定起こしてしまったようだ。

 ……何故ジト目でこちらを見ているのだろうか……

 

 哲也「おはよう電」

 電「おはようなのです……何浮気してるですか」

 

 電の可愛らしい笑顔のおはようから一転、何か蔑むような目をしながら浮気の真意を尋ねてきた……浮気なんてしただろうか…?

 

 哲也「浮気なんてした?」

 電「さっき思いっきり球磨さん口説いてたのです。「球磨は俺が守る」とか「不安な顔するな」とか色々言ってたのです」

 

 ……あぁ、確かに言ったけど…あれ浮気になるの?球磨がまた不安にならないようにとかけた言葉だったのだが…ダメだったのか……

 

 電「……電だってそんなプロポーズみたいなこと、言われたことないのに……」

 

 口をごにょごにょさせながら何か訴えてくる電だったが、あまりに小さすぎて哲也の耳には届かなかった。

 

 哲也「電、最後の方もう1回言ってくれる?」

 電「な、なんでもないのです。もう他の女の子を口説いちゃダメですからね?」

 哲也「?…わかった」

 

 口説いたつもりなど毛頭なかった哲也には未だにどこが「口説いた」に認定されてるのかがわからなかったので取り敢えずこれからの言動に気をつけようと心のおくで誓いを唱えた。

 

 哲也「…球磨って意外と可愛いよな」

 電「そういうところなのです」

 哲也「?」

 

 黒木哲也、独身時代に退化した瞬間だった。




はつひこ「哲也、てめぇ山風の惨劇を忘れたか?(*´・д・)アン?」


文化祭、クラスの皆が一致団結し1つのものに取りくむ行事。友情を深め恋情を深め、ワイワイ楽しむもよし、恋人とキャッキャウフフズッコンバッk)=⊃)`Д゚);、;'.…色々するのもよし、文字通りお祭り騒ぎな1年の中でも数少ない楽しみでしょう。ただ1つ、まぁちょっとした愚痴なんですけどね…非リアの僕からすると暇でしかないんですわこの行事。出店の行列はだるいし、体育館あたりでライブでもやってるのかキャーキャーうるさいし、クラスではなんか変なの調理してるし……他にも色々あったんだけど忘れた。まぁ、最終的に何が言いたいのかと言うとですね……やっぱ2次元ロリっ子は最高でs…


こんにちは、全世界ドM王座決定戦グランプリのはつひこです。今回は結構早めに投稿できたと思います。え?投稿初期の方?知らない子ですね。

今回、何故か唐突に電とくっつく前の哲也君を書きたくなりました。決して山風回の罪を忘れたわけではないのでご安心を。

深海棲装3号を倒し、体はボロボロ、精神はズタズタ、疲労困憊、明石からは入院通知、電は何故か拗ねて相手をしてくれない中、いつかに登場し超破壊類崩壊級料理を創造したあの方が看病に来てくれます。

次回「気合、入れて、みました!」

やべぇ、後書きがすごい長くなった……
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