電さんと化物提督   作:コントラポストは全てを解決する

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62艦 勘違い

金剛とのティータイムを終え、悩みも綺麗になくなった俺に、また新たな問題がやってきた。しかも、根源は電。

 

 

 

 電「司令官さん、お願いがあります」

 哲也「どうした?」

 

 電「……もう、戦わないでください」

 

 哲也「…え?」

 

 唐突に電が俺に戦闘離脱をしろと申し付けてくる。

 いったい何があったのか、驚き…というよりかは戸惑いが押し寄せて来た。

 

 哲也「な、なんで?」

 電「どうしても、です……」

 

 半分電のために戦って来たと言っても過言ではない哲也にとって、その言葉は衝撃だった。

 何度電に聞いても、能力の開放が危険だとわかったからと大々的にしか教えてくれない。

しかし、電もずっと俯いたまま辛そうにしていたので1度質問を止め、1つだけ気になることを聞く。

  

 哲也「…俺が戦わなかったとして、代わりに誰が俺の役目を継ぐんだ?」

 電「それは…電がやるのです」

 哲也「…はっ?…い、電が?…」

 

 訳が分からない…艦娘はあいつらには太刀打ち出来ないはず。それが駆逐艦である電なら尚更のこと…

 

 哲也「でも、電じゃ…」

 電「大丈夫なのです。電にはこれがありますから」

 

 そう言って電はずっと横に置いていた鞄から1つの単装砲を取り出す。先端に刃がついており、微弱だが3号と似たような雰囲気を感じた

 哲也は警戒を示しながら、話しをすすめる。

 

 哲也「…それは……」

電「これは、あの海で司令官さんが倒れた後、電がこっそり持ち帰って来たものなのです」

 

 そして電は言う。

 これには、3号と同じ成分が含まれており、これと同じ成分を持つ敵なら対等に戦えるらしい。

 

 電の説明に一応の納得はした哲也。しかし、やはり電だけを戦場に行かせるわけには行かなかった。

 哲也「…なぁ、電。それって1つしかないのか?」

 電「はい、残念ですが…」 

 哲也「でも、それがあれば俺の能力なしでもあいつらと戦えるんだよな?」

 電「はい」

 

 艤装は艦娘にしか扱えない、その威力が高い故に人が使うと反動で軽く肩が千切れてしまう。だが、その反動に耐えられれば別に艦娘で無くてもいい。

  

 哲也「…わかった」

 電「!…司令官さん……」

 哲也「それは俺が使う」

 電「……え?」

 

 装備が揃おうが、なんであろうが、艦娘を出撃させるのは哲也の流儀に反する。それに以前の戦いでも思った、一瞬のうちに身体に傷を作り、苦しそうにしている彼女らを見て艦娘はやはり幸せに暮らして欲しいと。

 

 電から単装砲を半ば無理矢理受け取り、自分の手で握ってみる。

 

 哲也「うん、ぴったり」

 電「ま、待ってください司令官さん…それじゃぁ、意味が……」

 哲也「?、俺の能力が危ないんだったろ?だったらこいつを能力代わりに使えば万事解決だろ?」

 電「うっ…確かにそうですが…」

 

 哲也の言うことに息詰まる電。確かに言ってることは正しいのだが、過去の経験上開放を使わないとも限らなかった。

 

 そしてそこで哲也から、出来れば聞かれて欲しくなかった質問が来る。

 

 哲也「電、さっきも聞いたがもしこのまま俺が開放を使い続けたらどうなる?」

 電「それは…その……」

 哲也「俺がどうなるのか知れれば使うのは控えるから」

 電「……わかったのです…」

 

 哲也の言葉押しに負け、仕方なく明石に聞いたこと全てを話す電。

 

 電「司令官さんがそのまま力を使い続けると悪い物質に飲み込まれて、怪物になっちゃうそうです……」

 哲也「……そっか」

 電「だから、電はもう司令官さんに戦わないで欲しかったのです。司令官さんのためにも」

 

 電の説明を聞いたあと、そっと電の頭を撫でる哲也。

 

 哲也「わかったよ、もう開放は使わない。約束する」

 電「司令官さん…ありがとう、なのです」

 哲也「どういたしまして。それと一応なんだけど」

 電「はい、なんでしょう?」

 

 哲也は電をじっと見つめ、小さく微笑みながら1つ質問をした。

 

 哲也「…もしさ、俺が人間じゃなくなったらどうする?電はどう思う?」

 電「……そんなの、嫌です。電は今の、優しい司令官さんが大好きですから…」

 哲也「………そっか」

 

 小さく微笑んだまま、電から手を離しおもむろに窓の外を眺め始めた。

 電は不思議に思いながら哲也と同じ方に顔を向ける。

 

 電「司令官さん、どうしたのです?」

 哲也「いや、なんでもないさ。あ、退院祝いに間宮にでも行こうか。電、一緒に来てくれる?」

 電「はい!」

 

 電は哲也の安全がわかり胸を撫で下ろす。そして来た時とは違い明るい元気な笑みで哲也についていく。

 哲也も電の手を取り、ずっと小さく微笑みながら間宮に向かった。

 

 

 

 形はどうあれ電の問題も無事解決、哲也と電は間宮に移動後特大パフェを二人で食べていた。

 電のキラキラした視線が哲也とパフェに向かっており、ご希望通り食べさせてあげる。

 

 哲也「ほら、あーん」

 電「あーん、なのです」

 

 大きく口を開け、子供のように頬張る電。そんな彼女の幸せそうな顔を哲也はまじまじと眺める。

 電も視線に気付くと次第に羞恥で耳や頬が赤くなっていく。

 

 電「し、司令官さん…あんまり見つめられると恥ずかしいのです///」

 哲也「電は可愛いねぇ〜」

 電「///」

 

 顔を赤くしながら無言でパフェを食べ続ける電。哲也はやはりそれを先程と同じように見ていた。

 

 

 

 同じ間宮内から、少し離れた所で食事をする姉妹が2人。

 

 山風「……」

 海風「山風、どうしたの?」

 

 間食として頼んだ白玉ぜんざいには手をつけず、ただひたすら哲也と電の方に視線を向ける山風。

 海風も気になり、山風と同じ方向に視線を向けた。

 

 海風「提督と電さんですか。今はお二人のお時間のようですし、お邪魔しないようにしましょう」

 山風「……」

 

 海風はそう語りかけるが一向に返事が帰って来ない。よく見てみると山風は二人に視線を向けているのではなく、ただ一人哲也を見つめていた。その視線には好意などとは違い何か、真剣に見定めているようだった。

 

 海風「山風?」

 山風「…違う」

 海風「え?」

 

 離れた所から眺めただけで何がわかったのか、山風は急に不安そうな表情を作る。

 

 海風「違うって、何がです?」

 山風「わからない、けど……提督、何か我慢してる…」

 

 詳細まではさすがにわからなかったが、山風が感じる哲也の雰囲気がいつもと違うことまでを察知できた。

 

 

 その後、山風は話しに行くか悩んでいたが先に哲也達が間宮をあとにしてしまい中途半端な気分だけが残ってしまった。

 

 

 -----------

 

 

 間宮で甘味を食べご機嫌が良かった電とは1度別れ鎮守府外れの海が見える崖に訪れた哲也。

 近くのベンチに座り、電から受け取った単装砲を眺めながらものふけっていた。

 

 電『 ……そんなの、嫌です。電は今の司令官さんが大好きですから…』

 

 自分が人じゃなくなったらどう思うかを聞いた時の電の返答を思い出す。

 金剛は俺が俺ならいいと言っていたが、やはりあいつが特殊だっただけらしい。やはり人でなくなったら皆から嫌われるのだ。

 

 哲也「それにしても、怨念がこもった単装砲かぁ……」

 

 そこらへんは一旦置いておき、電が持って来たと言っていた単装砲。雰囲気だけでわかる、これには怨念が込められていると。しかもかなりの量と質…こんなものを持って戦場で使用などしたら艦娘など一瞬で深海化だ。

 だが、こんな大層な代物でもあいつにはかなわない。確かにこれは強い。おそらく深海棲艦なら姫級でさえ一撃でいける、それぐらいの強さなのだが……

 

 哲也「圧倒的に足りないんだよなぁ…」

 

 感じ取れる怨念が3号の比にならない程少ない……

 これだと直撃させてもせいぜいかすり傷をつけられる程度。おふざけにも程がある。

 

 哲也「電には悪いけど、やっぱり俺が化物になるしかないか…」

 

 間宮のおかげで上機嫌だったのをいい事に、電から色々と情報を聞き出すことができた。

 開放が危ないと言っていたが実際には俺の能力が怨念の吸収ではなく変換だったこと。これなら溜める必要もない、吸収した怨念がどこに向かっているかという謎が解けた。

 そして、変換を使えば体を深海化しても無傷でいられる。この能力はイメージが主体になっており、以前は能力とイメージの間で食い違いが起こり体に異常をきたしていたが、今は完全に合致しているため怪我をしなくなるという寸法。

 

 哲也「電には開放は使わないって約束したけど、変換なら良いよね」

 

 変換は一見すると無敵の力のように思えるが、電が言っていた通り使いすぎれば力にのまれる。

 何故かはわからないが、この力は使えば使うほど変換先の力が身体に浸透していく。そして全てを呑み込まれた結果、待っているのは怪物化。

 

 哲也「取り敢えず、呑まれるなら精神からだな。身体だとすぐに気づかれる」

 

 

 ……さてと…俺が化物になるのが先か、相手様が全滅するのが先か。

 どちらにしろ、俺が精神を…最悪身体の両方も、犠牲にしていたら、俺はこの世の害になるため処分まっしぐら。というか精神の犠牲は絶対に等しいため処分は間逃れない。

 

 もう、俺自身は詰んでいるのだ。

 

 哲也「短い人生だったけど、楽しかったよ。皆にも出会えたし満足満足」

 

 遺書も残しとこうと心の中で想いながらベンチに寝っ転がる。そして薄らと瞳を閉じながらポそりと呟く……

 

 哲也「…電、さよならだ……」

 

 




年越しとあけおめ、どっちで挨拶しよう……

こんにちは、はつひこです。今回は僕のある習性を話そうと思います。
実は日頃からよくストレスや他人への怒りなど出来るだけ表に出さず押さえ込んでいるのですが、かなり精神に来るんですよね。そしてこの鬱憤の矛先を全て自分に向けて自分自身で解消するんです。その後かなり無気力になってただ寝転がり、生物の生死など悟りを開いてます。(全力鬱タイムと呼んでます)
今までは1年に3回程度だったのですが、最近だと1ヶ月に10数回とかいうふざけた頻度で来やがります。投稿の遅れもこれが主な原因です…

……2話連続で遅れてしまい本当に申し訳ないorz
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