ネタがない…書き方が思い出せない…ないないだらけでどうしよう……
俺は最近、電を避けている。無論、電が嫌いになったわけではない。むしろ今ままでよりも愛おしいと想っている。避けているのも電が好きだからという理由が大きい。
数日前……電と、能力を使わない約束をした日、俺が避け始めたのはその時からだった。あの日から電とは極力接することを避け、どうしても話しをしなくてはいけない時は伝える事だけを淡々と伝え、後はあしらうようにした。正直、かなり辛い……
電も俺がこういう態度をとる度にとても悲しそうな顔をする。捨てられた子犬がすがって来るような、そんな顔をするのだ……
そして、そんな心情に呼応にするように昨日、一昨日ときて嵐のように雨が降っている。そのせいでお互い余計に気分が沈んでしまう。
もちろんこんな事、何の理由もなくてやっているわけではない。
俺がこんな事をしている理由、それは数日前の約束をした日に聞いた、俺が人間じゃなくなったらどうするかというあの質問が原因だった。
『 ……そんなの、嫌です。電は今の司令官さんが大好きですから…』
嫌…それがあの時の答え。要するに俺が人間じゃなくなったら電は嫌なのだ。俺がこの声で話し、この形でいるのが電と一緒にいるための条件……
しかし、俺はもうすぐ化物化してしまう。化物になってしまったら電とはもう居られない。いつかにも言ったが本当にもう電とお別れなのである。
だからせめて、電が悲しくならないようにと今のうちに嫌われておこうと考えた。嫌いな人がいなくなった時は心の底から本当に嬉しくなると誰かが言っていた気がする……
まぁ、ざっくりだがこれが電を避けている理由。
哲也「……さて、余計なことは考えず仕事しないとな…」
机の上に散らばった書類を1度纏める。情けない話しだが、執務はいつも電や他の皆にやって貰っていたため未だに慣れてない部分が多い。やはりこういうところでも電の存在が大きかった……
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その日の午後、執務の進みが悪くまだ書類の半分も処理しきれずにいた。机の上に重なった未処理の紙の束を見て、小さくため息を吐く。
まさかここまで自分がデスクワークが出来ないの人なのかと、自嘲気味に一人笑っていた。
響「司令官?少し、いいかい」
哲也「……響?」
そんな風に執務仕事に行き詰まってるなか、響が荒らしく部屋の扉を開けて入って来る。何事かと思ったが響の目には何か抑えきれない感情を宿しているように見えた。親の敵を見るような……とまではいかないが、物凄い形相で睨み付けて来る。
哲也「ど、どうしたんだ?」
響「…電のことで話しがあってね」
哲也「……」
電……出来れば今はその話はしたくないのだが…なんとか誤魔化せないのだろうか。
そんな考えが頭を回っている中、ふとさっきまで苦難していた大量の書類に目が入る。
哲也「……執務手伝って貰っていい?」
響「……後でじっくり話しは聞かせて貰うよ」
結果、時間稼ぎにしかならなかったがその間になんとかして逃げなければ……響から経由して電にこの現状の原因を知られてしまうと非常に都合が悪い。
響に執務を手伝って貰い始めてからおよそ3時間、高さ30センチ程もあった書類の山が今では残り数枚程度には減っていた。
予定だと夜遅くまでかかる筈だったので、食事や風呂の間にどうにかこっそり抜け出そうと思っていたが、逃げるための作戦を実行するどころか、細かな計画を練る時間すらなかった。
よくよく考えれば以前の鎮守府でも執務の速さが理由で生き残ってた響だ、そんな彼女がそう長々と時間をかけるはず無かった……
そんな考えをしてる間にも書類は減っていき遂には全て終わらせてしまう。響は「ふぅ…」と一息入れ、書類を纏め始めた。
響「終わったよ、司令官」
哲也「あ、ありがとな響。助かったよ…」
纏めた書類を受け取り、処理済みの箱の中にそっと入れる。その間にも響はじっとこちらを見つめ「逃がさない」という意思を明白にしていた。
響「……さて、じゃぁ洗いざらい全部話して貰おうか司令官」
哲也「……」
なんとかして逃げる方法はないだろうか………
響「……」
哲也「…トイレに行ってきても…」
響「ダメ」
ですよねー…というか響が眉間にシワを寄せ始めてる。どうやらかなりご立腹のようだ。
さて、本当にどうしたものか……このまま大人しく話すか…それしか選択肢が残ってないが。
窓から行けばもしかしたら…
響「司令官、いい加減にしてくれないかい?」
あ、ダメだ窓側に響が居座ってる……
哲也「……はぁ、どうしても話さなきゃダメか?」
響「あぁ、だいたいの察しはついてるけど1度きっちり司令官の口から聞きたくてね。それに1つ気になる事もあるし」
哲也「気になる事?」
響「まぁ、そこは気にしないでくれ。それじゃぁ聞かせて貰おうか。司令官」
哲也「はぁ…」
ため息1つ、そして「わかった」と一言返し全ての事情を話す。
話している間、響は顔色1つ変えずに話しを聞いていたが次第に呆れたような表情になっていった。
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時間にして数分、体感時間だと響の反応を伺いながらだったので何時間にも感じた。
全てを話し終えた俺は緊張が少し抜けたのか、力んでいた拳を緩める。
一応、電にした質問については言わないで置いた。電が原因だと知れば響が何を言い出すかわからなかったから。
電を責めるか、俺を叱るか……絶対後者だなこりゃ。
取り敢えずこれでもう、電に全てが知らされるのも時間の問題だなぁ……
なんとかして電には…というか他言無用でお願いできないだろうか。
もし、バラされたとしたらこれからどうなるのだろうか?響から電、電から山風や姉妹艦、さらにそこから戦艦空母などにどんどん広がって行き…
皆はこんな自分をどう思うだろう…理由はともかく人を傷つけたと軽蔑されるか、それとも仕方ないと言われるか…どちらにせよいい印象は残らないだろうな…
……さて、どうしようか。電にだけ嫌われる予定のはずがいつの間にか鎮守府全体に規模が広がってしまっている。
哲也「……」
響「まぁ、なんというか…大方予想通りだったよ」
これから起こる自体を想像している中、響はそんな事を言ってくる。
哲也「予想通り……」
響「あぁ、電の元気が無かったからね。事情を聞いて大体察したよ。それにしても、死ぬから嫌われておく、か…司令官なら別の方法を取っていそうだけど。どんな時でも優しさがあったのに…随分酷な事をするようになったね」
まさかそこまで言われるとは……でも確かに…決意を固めたあの日から艦娘達の事をあまり考えなくなっている気がする……電に嫌われようとしていたのは、ある意味まだ他より感心が残っていたのか?
どちらにせよ、もう本格的に俺の精神は喰われ始めてるんだな……まぁ、いっか。
響「……ねぇ、司令官」
哲也「どうした?」
響「私が気になってること聞いてもいい?」
哲也「ああ、いいぞ」
そういえば気になることが1つあるって言ってたな。とは言っても今までのことには納得……はしてないけど理解はしてくれてるし……他にあっただろうか。
響「司令官が怪物になったら……君が死んだ後のことはしっかり考えてるかい?電はきっと悲しむよ。電だけじゃない鎮守府の皆、君の親であるあの人も、茅野さんも…皆悲しむよ?それでいいのかい?」
そんな責め立てるような目で言われても……なんで今更そんな事を聞くのだろうか…
哲也「……もうすぐ死ぬんだ…周りなんて関係ない」
響「………そっか」
……先程の攻撃的な視線はどこへやら、一気に寂しそうな顔になる。
どうしてそんな顔をするのか、よくわからない。自分が何を言ってるのかもわからない……思考が回らなくなってきた。
侵食が酷い……自分自身で考えてたよりもスピードが全く違う。電や皆を邪険にしている罰でも当たっているのだろうか……
響「司令官…」
哲也「なんだ」
口を結んだ響が先程同様悲しそうな顔でこっちを見てくる。
響「私は、司令官が好きだよ。大好きだよ……」
哲也「……」
好き、その場合はどういう意味だろうか。友人として?上司として?はたまた異性として?
多分、異性なんだろうけど………しかし、どうしてだろうか……この類の言葉は聞いてると何かしら感情が芽生えるのに…
響「ねぇ、司令官はもし私がこう言ったらどう思う?」
哲也「……なんとも思わない…」
響「…そっか……」
……嬉しいとも悲しいとも思えない……。何かを思うどころか、心の揺らぎすら感じない。
響「司令官は変わっちゃったんだね……」
哲也「ごめんな響。どうやら相当喰われてるらしい……」
響「……」
響は黙り込んでしまう。無論俺自身も話しかけようとはしない、何を話せば良いのか、こういった時どう立ち回ればいいのかわからなかったから。
ただただ静寂な時間がすぎていく。聞こえて来るのは時計の針が進む音と、お互いの呼吸の音だけ……
『ビー!! ビー!! 』
そんな時だった、執務室の放送用スピーカーからけたましい警告音がなり響く。
響と俺はその音を聞き、先程までの暗い雰囲気から一気に切り替える。
大淀「提督!緊急入電です、市街地に2組の深海棲艦らしきものが現れたとの通報が……」
大淀が勢いよくドアを開け入って来る。その顔は焦りに満ちており、脇に抱えていた書類は崩れかけ落ちそうになっており相当急いでいたのが見てわかった。
哲也「来たか……」
大淀「提督?」
響「……」
哲也「さてと、じゃぁ少し行ってくるよ大淀」
大淀「え…艦隊の皆は…」
哲也「多分だけど、街にいるのは以前戦ったのと同じタイプ、皆がいると邪魔になる。だから大淀は皆に待機命令の伝達を頼む」
大淀「り、了解しました!」
大淀は敬礼を1つし、大急ぎで部屋から出ていった。その数分後、館内放送で待機命令の旨を伝える。
鎮守府全体に自分の指示が伝達終わったのを確認にし、席を立つ……
哲也「それじゃぁ、響…電を頼むね」
響「……やだ」
哲也「響?」
執務室のドアへと足を進めようとしたが響に手を捕まれてしまう。この期に及んで何事かと思うが、響の想っている事もなんとなくわかる。
響が以前いた場所は艦娘が沈むのが当然のような場所で、響自身が艦娘達に事実上の死刑宣告を伝える仕事を任されていた。だからその感覚が蘇って来ているのだろう。
響「私は…もう、嫌だよ。大切な人がいなくなる恐怖を感じるのも、そのせいで誰かが悲しむ姿を見るのも。だから、行かないでくれ司令官……」
だが誰がなんと言おうと、もう変えられないし後戻りもできない。
哲也「響、離してくれ」
響「嫌だ…」
響が手を掴む力は次第に強くなっていき、無理やり振りほどかないと離せない具合に強く握られていた。これで振りほどいてもおそらく何回でも掴みかかって来るだろう。
だから、物理ではなく言葉で強引に引き離そう。なに、どうせ死ぬんだ…最後くらい無茶してもいいだろう。
哲也「いい加減にしろ」
響「…!っ……し、司令官?」
声音を低くし今までは見せたことのない形相で響へ言葉を向ける。怯えた響は一瞬、力を緩めてしまいそのスキをぬって哲也は響の捕縛から解放された。
響「……」
今までからは想像できない哲也の態度に驚愕してしまったのと、不意にも以前の司令官と姿が重なってしまいその場に立ち尽くすことしか響は出来なくなっていた……
執務室をあとにし、鎮守府の正面玄関前。やっとの思いで響を振り払ったのだが、また新しい問題が立ち塞がっていた。
いや、問題というよりかは今となっては対応が難しい……そんな少女と遭遇してしまった。
電「……あ、あの…」
哲也「電か、待機命令を出したはずだが?」
電「え、えっとその…ご、ごめんなさいなのです」
そこに居たのは電だった。これから1番悲しむ事になるであろう人であり、今1番会いたくない人。
哲也「わかってるなら良い、さっさと戻れ」
電「あ、あの司令官さん…何か、お役にたてることはないですか?」
哲也「部屋で待機してるだけでいい。邪魔になるから」
電「……はい…」
俺の返事を聞き、小走りで去っていく電。悲しそうな顔してたな……
たった数日、それだけの短い時間で俺と電の関係は壊れた。いや……壊したのか。電に嫌われるというのはそういうこと。むしろこれでよかったのかもしれない。後は皆に任せよう。
哲也「さてと、行きますか…」
こんにちは、はつひこです。もうすぐバレンタインですね、僕は今年彼女(画面の中)ができたのでバレンタインを満喫したいと思います!( TДT)
さて、今回は戦いの前にと言うことで哲也君の心の中を書いて見ました。少し急ぎ足気味になってしまいましたがそこはあしからず。響さんの方は電に酷い仕打ちをした哲也君を叱りに来たけど、やっぱり好きなのと事情も相まって哲也君の心配をしてしまうという感じを書きたかった……
まったりほのぼのが書きたい……
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己の死を覚悟した哲也、市街地では暴れる1号、2号。
怪物になる前に倒し切れるか、それとも間に合わず滅ぼされるか、戦いの結末やいかに……
次回「思い出」
電の進水日ってもうすぐだっけ?