電さんと化物提督   作:コントラポストは全てを解決する

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最近、ほのぼの・コメディ要素が著しくかけているので書いてみました。

※今回はあくまでIFストーリーです。哲也と電はまだくっついていないものとしてみてください。何があろうが浮気ではないのでそういった類の異論は認めません。


番外艦2 山風さんのバレンタイン

2月14日午前10時付近のこと、鎮守府内食堂にて特設調理場が設立されていた。その中には戦艦から駆逐艦までのありとあらゆる艦種の艦娘たちがエプロン姿で準備を進めている。

なお、食堂入口には【提督の立ち入りを禁ずる】との立札がかかっており、提督ご本人は現在執務室で事務処理中である。

 

 

 

 

食堂で普段使われるテーブルの上には、小鍋、ボール、プラスチック製のヘラ、ハートや星の形をした容器、ラッピング用のリボンや袋が用意されており、更に部屋の隅には段ボール箱何十分もの中に大量の板チョコレートが敷き詰められていた。

 

ここまで言えば何をしているのか察しはつくだろう。2月14日………そう、非リアがなげくバレンタインデーである。

 

 

 

 

恋に恋する乙女達が意中の人へとチョコを渡し、キャッキャウフフする行事である。少しは非リアへの配慮をわきまえて欲しい……

 

しかし、バレンタインというのは和名恋の戦い(嘘)………ましてや男が一人しかいないこの鎮守府において、提督へ本命を渡す艦娘も少なくない。

 

 

なのです口調の少女やぽいぽい鳴く狂犬、速さを追及する無自覚ロリビッチ、時折司令を「お兄ちゃん」と呼ぶ自称レディー、少々カタコト口調な帰国子女、などなど数多の艦娘(主に駆逐)がこの鎮守府の最高責任者のハートを狙っている。

そしてまた、元深海棲艦であり口数もあまり多くない緑髪の方もまた提督を狙っていた。

 

 

 

 

そんなこんなで艦娘達はせっせとチョコをとかし、型に流しこみ1、2時間冷やし固めたものラッピングしそれぞれのチョコを完成させていく。

 

 

 

そして、完成したチョコを何かと一緒にしたり、普段言わないような感謝の言葉を添えたりしながら各々が渡していった。

 

 

 

 

 

 

 

 

山風「……」

 

海風「山風?」

 

 

しかし、皆が渡していくなかただ一人山風だけがずっとチョコを渡せず握りしめていた。

もっと攻め気で行ったほうがいいとはわかっているものの、生憎の持前の不器用さからうまく型にはまらず、形が歪んでしまったのだ。

 

海風「…まだ、形のことを気にしてるんですか……」

 

山風「こんな歪なの、渡せない…作り直す」

 

 

 

山風は材料がおいてあった厨房に向かうが、そこにあるのはメーカーのロゴが入ったパッケージと本体を包んであった銀紙だけが無残に散らかっているだけだった。

 

 

山風「…」

海風「これは…ダメそうですね」

 

山風「……海風ぇ…」

 

 

海風「そんな泣きそうな顔しないでください…。たとえ形が悪くても提督は喜んでくれますよ、きっと」

 

山風「でも…」

 

海風「でも…じゃないです。最初から諦めてたらできるものも出来なくなっちゃいますよ?」

 

山風「うっ…」

 

海風「ほらほら、提督も待ってるでしょうし」

 

山風「あっ、ちょ……押さないで…」

 

 

 

 

海風に背中を押されながら、半ば無理矢理に執務室まで連れていかれました(by山風)

 

 

 

 

 

 

---------

 

 

 

やって来てしまった執務室前……部屋の中からは何か賑やかな声が聞こえ、楽しそうな雰囲気が出ていた。

 

 

意を決して山風は執務室をドアを開く……

 

 

 

 

哲也「夕立?その俺の身長の半分はあるチョコを一口で食えと?」

 

夕立「提督さんなら大丈夫っぽい!夕立信じてるっぽい!ささ、ぐいっとぐいっと…」

 

哲也「ゆ、夕立ストップだ…じりじり近寄ってこないで!怖いから!」

 

夕立「提督さん、素敵なパーティー始めましょ?」

 

哲也「始めないで!?あっ、待ってほんとにダメ……」

 

 

夕立「ぽい♪」

 

哲也「!?」

 

 

 

山風はそっとドアを閉めた。

 

今目の前で起こったことは何だったのだろうか。両手で抱えきれない程の大きさのチョコを提督の口に押し付けていた。

 

今でも部屋の中から「うぐっ……うぐっ……」という何か悲痛で耳を塞ぎたくなるような呻き声が聞こえて来る。どうやら本当に食べているようだった。

 

 

 

山風「提督……」

 

 

取り敢えず今は部屋の外で提督の生存祈る事にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから数分…いや、数十分はたったか。彼女の体から何故か全身キラキラが溢れ出ていた。夕立が去るのを確認した後、そっと執務室の中に入る。

 

 

哲也「」

 

山風「て、提督?大丈夫?」

 

哲也「…山風か……俺、もうダメかもしれない…」

 

 

提督は床に倒れていた。どうやらあの量をたったの数十分で食べきったらしい。口元にはチョコがついており、鼻の両穴からは鼻血でも出たのかティッシュが詰めてあった。

 

 

山風の存在を確認起き上がろうとするが、大量の糖分の摂取に胃もたれとそれによる意識の朦朧によりうまく体が動かずよろける。それを察し、反射で提督の頭に自分の膝をクッションにさせ自然な流れで膝枕のポジションをゲットした山風さん。

 

 

哲也「なぁ、山風…バレンタインって……こんな辛い行事だったっけ?」

 

山風「……愛情の結晶、だと思う。うん……きっと…」

 

哲也「愛って、重いな……」

 

提督は自分のお腹をさすり、部屋の片隅を占拠する大量のチョコレートの山を見据えながら目に光なく語る。

 

 

山風「うん……」

 

 

山風は察する、これは自分の分は渡せない……いや、渡してはいけないのだと。元々あれはあげるつもりが無かったからちょうど良かった。海風も提督の体調不良が原因ならきっと何も言ってこないだろう。

 

 

 

哲也「…んっ、ポケットのあたりに違和感が…………なんだこの箱?」

 

山風「……」

 

 

安堵していたが、ポケットに入れておいたチョコレートの事をすっかり忘れていた。

 

 

山風「あ、えっと…それは…」

 

哲也「山風も作ってくれたのか。ありがとな」

 

山風「…う、うん。でも…失敗しちゃって……提督も辛いなら無理に貰わなくていいよ?す、捨てて貰ってもいい」

 

 

 

 

哲也「美味しい」

 

山風「え?」

 

 

自分がアレやコレや言ってる間にいつの間にか箱から取り出し勝手に食べていた。糖分の過剰摂取で死にかけてるのに、その糖分を再び摂取し始めるとは…何を考えているのだろうかこの提督は……

 

山風「提督、無理しないで」

 

哲也「無理はしてない。それに折角山風が作ってくれたんだし食べなきゃ勿体無い

 

山風「わざわざ今食べなくても…」

 

 

哲也「可愛い女の子が膝枕してくれて、更にチョコまでくれたんたぞ?できる限り堪能しないと」

 

山風「か、可愛い…って…いきなり、そんな……///」

 

 

いきなり何を言い出すのだろうこの人は。いつもながら女の子を口説き回って、喜ばして……しかも意図的ではなく無自覚なのがまた怖い。

 

 

哲也「あ、照れてる可愛いなぁ。はは」

 

山風「て、提督!…///」

 

 

なんかいつもよりグイグイくる……糖分のせいで頭が混乱しているのだろうか。後で問い詰めてやる……

 

哲也「ふぅ…ご馳走様でした。さて、寝るか。おやすみ山風」

 

山風「え、このまま?」

 

哲也「おう。あ、イタズラは少しならいいぞ?」

 

山風「え、あ……し、しないよそんな、こと……」

 

 

イタズラと聞いて一瞬アラレもない事を思い浮かべてしまった自分を恥、煩悩を祓うように頭を左右に揺さぶる。

 

 

哲也「Zzz」

 

山風「もう寝てる……」

 

 

 

スヤスヤと気持ち良さそうな寝息をたてている。そっと頭を撫でると、くすがったそうに頭をよじらせる。

 

可愛い……

 

 

山風「……いたずら…」

 

寝る前に許可は貰ったしちょっとぐらいなら……いい、よね?

 

 

山風「……」

 

周囲をキョロキョロし、ドアの向こうの音も確かめ誰もいないことを確認する。深呼吸を1つし、そっと自分の顔を提督の耳元まで持っていき誰にも聞こええない声で囁く。

 

 

 

山風「……(提督、大好き……)///」

 

 

 

なんだろう自分でやってて恥ずかしい。顔がすごく赤くなってるのがわかる……

 

 

(ガタッ

 

 

山風「!?………だ、誰?」

 

 

い、今入り口の方から音がした……気のせいだよね?そうじゃないとあたしが死ぬ……

 

 

音のした方を見てみるが先程同様閉まりきったドアがあるだけ、気のせいだと山風は思い少し警戒しながらも探るのをやめた。

 

 

哲也「…んん……」

 

山風「もう、人の気も知らずに……バカ」

 

 

相変わらず人の気なんか知らずマイペースな人だ。まぁ、そこもいいんだけどね……

 

 

山風「チョコレート、本命だって言えなかったな……いつになったら伝えられるんだろ……でも、いつかきっと言えるよね」

 

 

今はダメでもいつかは……そう胸に秘め今は提督の髪の毛いじりを堪能する。それにしてもさっきの物音やっぱり気になるなぁ……

 

 

 

 

 

 

--------

 

 

 

 

海風「うんうん、めでたしめでたしですね」

 

 

しっかり渡してこいとは言ったものの、やっぱり心配になって見に来てしまう自分のシスコンぶりが少し怖いです。まぁ、ちゃんとやれてるならそれに越したことはないですが。それにしてもまさか覗いてる途中でよろけてしまうとは、危うくバレてしまうところでした。

 

しかし、あの山風があそこまで大胆な事をするとは…その行動力を提督が目覚めてる時に使ってくれたらとても嬉しいのですが。

 

 

海風「さてと、私はそろそろ戻りますか……っと」

 

思いっきり立ち上がったのはいいが、ずっとしゃがみこんでいたので急な体制移動に立ちくらみがする。そして不幸にもよろけたひょうしに執務室のドアを開けてしまう。

 

 

海風「あっ」

 

 

山風「……う、海風?」

 

海風「あ、えっと…これはーその〜」

 

山風「!〜〜///」

 

海風「あ、ちょっ、泣かないでください!」

 

 

羞恥と混乱に陥った山風の調子を戻すのに30分、そのあと覗いてるのがバレ山風の機嫌を直してもらうのに一週間かかりました。

 

やっぱり、悪いことはするもんじゃないですね……

 

 

 

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