今回、(〇〇「」)という台本形式から外し(「」)だけのいかにも小説っぽいやり方でやってみました。テスト的なあれなので、今回のがいいか、今までがいいか、よければご意見お聞かせください。
特に来なかった場合、今回の形式で進めて見ようと思います。
「ここか……」
響に罵声を浴びせ、電を振り払った俺は通報があった都市部までやってきた。そして、そこに広がっていたのはビルだったり歩道橋だったりしたものの残骸。
周辺の人達はもうすでに避難したのか、死骸が無残に散らばっているなどは無かった。
そして、その残骸の山を奥へ奥へと進んで行くと……
「ヒャッハーーー!!」
「もっともっとぶっ壊せーーー!!」
………なんかいた。片っぽは腕からロケランのように魚雷を発射し、もう片っぽはまだ壊れきれてない建物をナイフで切り刻み崩壊させていく。
「これはもう化物化云々よりも生きていられるかが問題だな……」
厄介そうな近距離高速タイプと遠距離バカ火力タイプの2人を前に哲也は深くため息をつく。
「……でも、俺しか戦えないしやらなきゃな」
街を破壊し続ける2人のかなり後方で、開放を行い戦闘準備に入る。
「うぐっ……」
ーードクンーーと一瞬心臓が止まるような感覚に見舞われる。もしかすると体からの…能力からの、これ以上使うなという警告なのかもしれない……
「……だけど、戦わない選択肢なんて俺にはないんだよ、なぁ………」
今まで何回言ったか、でもこれで最後にしよう。
「全てからお別れだ…」
1歩後ろに下がり、左足に力を込める。2人とも破壊作業に夢中になっているのかこっちに気づく気配もない。
全体重を乗せ大地を力の限り蹴る。すると、はるか遠くに見えていた2人がみるみるうちに近づいて来る。正確に言うと哲也自身が猛烈なスピードで近づいているだけなのだが。
「おらあああぁぁああぁぁ!!!!」
「「!?」」
突然背後から聞こえてきたきた雄叫びに驚き、咄嗟に哲也が向かってきた方向とは反対に大きく跳躍した。
「チッ…スカったか」
「君は……ああ、君が……1号」
「……わかったよ2号」
奇襲が失敗したことに苛立ちを覚える。その目の前で哲也が目的の人だと理解した2人は互いに武器を構え戦闘体制に入る。
「ねぇ、戦う前に聞いておきたいんだけど……君は何のために戦ってるの?」
「俺が戦いたいから戦ってるだけだ」
「そっか……まぁ、関係ないけどね!」
「っ!」
質問の回答を聞くと同時に持ち前のスピードを使い一瞬で間合いをつめる。そして、加速の勢いのまま武器のナイフで突きをする。
哲也は咄嗟の事だったがなんとか反応が間に合い、右手に生えた剣状の部位で直線上にいなす。
「……へぇ、僕のフルスピードの攻撃をいなすとはね。中々やる」
「まぁ、そんな簡単にくたばったらお前も面白くないだろ!」
「っ!……クク、本当に面白いねぇ!!!」
1号の攻撃を回避した哲也は反撃と言わぬばかりに突進を喰らわしたあと、下から上へ切りつける。1号はそれを避けようと跳躍で空高く跳ね上がり後退しようとする。しかし、それを待ってましたというように哲也も飛び上がる。
「はああぁぁああ!!!」
「!?」
高速移動は出来るが空中移動は出来ない1号に渾身の斬撃をする。胴体に攻撃が当たった1号は大量に出血しながら地面に激突した。
「1号!?」
「次はテメェの番だ!!」
「なっ!?」
空を蹴りそのまま2号へと突進していく。慌てて腕を構えたがもう遅い。空中で体制を変えた哲也が相手の顔面目掛けて膝蹴りをしていた。
2人はよろめきながらなんとか立ち上がり再び武器を構える。
互いの間に小さく風が吹き3人の緊張を煽る。哲也が全身に力を入れ再び突進しようと意気込んだ時……
ーードクン--
と、またあの警告が胸になり響く。その音が来ると同時に自身の体が一瞬ふらつく。そして、その一瞬のすきを見逃さなかった1号が自慢のスピードを駆使して哲也にナイフを突き刺そうとした。
「はあああ!」
「!っ」
いきなりの事だったが、情景反射でなんとか右方向にその攻撃をかわす。
1号の不意打ちの一撃をなんと避け、小さく安堵した哲也。しかし体制を立て直そうとしたが不意足元が爆発する。
何事かと思ったが空中に浮いた中で哲也は腕を構え発射口から煙をもう1人の存在を捉えた。
「私の存在を忘れてもらったら困るよ♪」
そうウインクしながら2号は嫌な笑いを浮かべながら言い放った。
早まる警告、間近には1号、遠距離からは2号。3つの方向から逃げるスキもない凶器が襲って来る。
ーードクッ………
「っ」
そして、あの警告がこれで最後だと言わんばかりに今までとは違う音を立てた。
それさえ無視して突き進もうと1歩足を前に出す。しかしその時………
「ぐっ…あっ……あああああああああああぁぁぁああ!!」
身体を抉るように、精神を侵食するような感覚が哲也を襲った。否、実際に体や心を漆黒の力が覆っていた。
哲也の意識は黒い沼のように吸い込まれるかの如く遠のいていき、深い深い闇の中に沈んでいった。
『グオオオオォォォォオオオ!!!』
「「!?」」
1号2号は蛇に睨まれた蛙のように固まっていた。背筋が悪感、その目を・姿を…その瞳に映すだけで自身が壊れれてしまいそうなほどの恐怖。
今、目の前に黒木哲也の姿はない。その代わり、深海棲艦より更に強力な自分達でさえ絶望をあらわにしてしまう程の理不尽が佇んでいた。
その姿を見たら皆口を揃えてこう呼ぶだろう---
--化物、と
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哲也が去った執務室、そこで響はただ1人自問自答を繰り返していた。
「………」
……あぁ、私はなんて惨めなんだろうか。大好きな人1人守れやしない……
誰よりも優しくて、誰よりも艦娘を想う心が強くて、誰よりも艦娘に親身になって……でも誰よりも傷ついて、でも…それでも笑ってて、皆から慕われていて、電という恋人もいる……でも、もうすぐいなくなってしまう……しかも、いざ自分が死ぬとなったら電や皆が傷つかないようにと自分自身を嫌悪の対象になるよう振る舞い、自ら嫌われようとしたバカな人。
「…ッ!」
電から話を聞いて、怒りが湧いてきて…でも、その優しさがわかってるから強く言えなくて中途半端な態度で引き止めようとすることすることしか出来なくて。でも結局失敗して…何も出来なかった。
「……」
これが…司令官にしてあげられる事だったかの?こんなに辛い思いをしてきた司令官にしてあげれた事がこれだけだったの?司令官を殺そうとした私を助けてくれた司令官に出来たのがこんなちっぽけな、しかもなんの役にも立たない無駄な茶番1つ?
「ふざけないでくれ……」
--司令官……黒木哲也は命の恩人だ。
司令官と初めてあった時、私は深海化をしていた。当時の司令官の悪質なまでの指揮と、それを止められない私自身への怒りと怨みが連なりあの姿になった。
深海化し、司令官だけでなく暁までも手にかけようとしていた私を、私に殺されかけていた暁を、あの人は文字通り命をかけて救ってくれた。
もし、何かしらの形で艦娘に戻れてもきっと暁を殺した事を思い出し自害していただろう。そういう意味でも本当に感謝している。
本来深海化してしまったら最後、人間達に深海棲艦と見なされ艦娘を駆使して海底に沈められる。そして深海へと行き着き、再び完全な深海棲艦として復活、海上に出てまた沈められるの連鎖が待っているのだ。
しかし、そこに司令官…黒木哲也という介入することによって状況は大きく変わった。深海棲艦を艦娘にする能力、そんな夢のような能力のおかげで深海棲艦はみるみる減っていったという。
彼自身も艦娘を愛しているし、艦娘達も彼がきっと大好きであろう。私だってそうなのだから。
今でも頭の中で鮮明に思い出せる司令官との思い出。怪我した司令官を看病したり、港で休憩をしているところを少しからかいにいったり……全部が全部、今までにないくらい新鮮だった。
「…でも、私は……」
私は…守れなかった。また守れなかったのだ。
「私は…どうしたら……」
………私はどうすれば良かったのだろう……何をどうすれば最善になったのだろうか……
「私、は……」
誰でもいい、教えてくれ……私はどうすれば良かった?これからどうすれば良いんだ?
わからない、わからない、わからない……
「誰か……助けて…」
そんな小さな悲鳴が無意識に、私の口から零れ落ちた。
「……響ちゃん?」
「ッ!」
響が己の無意味さに自問自答していると入り口のドアの小さく声が聞こえた。
慌てて、その方向に振り返るとそこには……
「いな、ずま?」
「はいなのです」
電がいた。そして、何故か両手に何かの包みを抱えている。電がそれを置き、響の座ってる場所の隣に座りそっと顔をのぞき込む。
「…響ちゃん、泣いてるのです。どうしたのです?」
「ッ……そんな事ないさ。それより電こそ大丈夫なのかい?部屋であんなに泣いてたじゃないか」
帽子で目元を隠しそっぽを向きながら響はそんな事を尋ねる。すると電は少し寂しげに、けど小さく微笑んで答えてきた。
「もう、大丈夫なのです。電は電にしか出来ない事をするのです」
「……そっか」
本当に電は強い……自分なんてこうやってマイナス思考で後悔の自問自答を繰り返してただけなのに。
「あっ、お茶飲みますか?気持ちが落ち着くのですよ?」
「……だから泣いてないから………なんでもない、いただこう」
半ば無理矢理、お茶を渡され1口飲む。電が取り出したポッドの中は暖かい紅茶だった。気のせいか少しだけ気持ちが落ち着いた気がする。
そういえば電はここに何しに来たんだろう?
「電、電はここに何しに来たんだい?」
「…そうですね、電のやるべき事の……準備段階と言いますか」
「準備段階?」
電自身がやるべき事、準備段階……何の事だろうか。
「…もしかして執務かい?さすがに今は不謹慎だと私は思うよ?」
「いえ、違うのです」
そう言いながら電は持ってきた風呂敷?か包みを虚ろな目で見ている。
「……司令官さん…」
「……」
電が唐突に発した『司令官』という言葉、今はここにいないし心配する気持ちも分かる。しかし何故だろう、この嫌な胸騒ぎは……あの包みを電に渡してはいけないと私の感覚が言っているようだ……
「電、その包みの中はなんなんだい?」
「それは……言えないのです」
そして、電がその包みに手を伸ばす。私は急いでその腕を掴むがそれと同時電の制服の袖がめくれ腕が露出する。
「電…」
「……」
私はその腕を見て一瞬驚く。普通の腕を見て何を驚くかと思う人もいるだろう……私とて普通だったら驚きはしない。しかし、これはもう間違いない……人のような肌色の中を染め上げる白い模様……
「深海化…」
「っ!」
私が呟いた瞬間、電は手を振り払い包みを持って逃走する。一瞬反応が遅れたが私は追いつき再び腕を掴んだ。
「待つんだ電」
「もう、遅いのです……」
電がこちらを振り向かず、寂しげな声で訳の分からない事を言い出す。
((フラッ
「……え?」
突如、視界が歪むような錯覚に見舞われ腕を離す。次第に体全体に力が入らなくなっていきその場に倒れる。
「…な、に……を」
「響ちゃんが飲んだお茶にお薬を盛らせて貰ったのです。でも大丈夫ですよ、少し眠るだけなので……」
薄れゆく意識の中なんとか電を止めようと手を伸ばす。が、そんな努力も虚しく電は執務室から出て行こうとし、1度こちらを振り向く。
「響ちゃん……行ってきます」
「まっ……て」
油断していた。電は最初から私にこうするつもりで探してたんだ。きっと第6の部屋で2人も眠らされている。家族の目が今の電にとって1番邪魔だったのだろう。
電がしようとしていることはきっと司令官と共に戦おうとしているか、それとも「嫌われた理由」に勘づいて止めに行ったか………
ああ、さっきあれ程後悔したじゃないか……無力な自分が嫌だって、守れないのは嫌だって……それなのに、今度は電までも失おうとしている。
「ま…た……」
--ごめんね司令官、また…守れなかった………
絶望に絶望を重ねた絶望の壁を略して絶壁と呼ぶことにしよう。うん
山風ヴァレンタインから約1ヶ月半、正直鬱タイムから完全に抜け出せてないから次いつ堕ちるかわからないけど、最近ちょうしが良かったので今回分書き上げられました。それと更新停止してからも少しづつUA上がっていたのが励みでした。読者の皆様ありがとうございます。
こんにちは、タブPCのギャラリー8割が電のイラスト画像で埋め尽くされている変態はつひこです。本当に久しぶりな感じがします、番外編除くと……どれくらい投稿してないんでしょうか?
さて、今回……かなり救いがないストーリーを仕上げたなと自分でも思いました。上から下まで絶望絶望。アニヲタ仲間の友人A君に試し読みしてもらったところ「どこのニト〇プラスだよ!」と嬉しいツッコミ(物理)を頂きました(ニッコリ。ちなみにその友達は響が推しキャラだそうです。
話が長くなりましたが今回はこの辺で。それでは皆さんまた今度
次回予告
化物と化した哲也、しかし目を覚ますとよく見る天井。左右には響と山風が片方づつ手を握っている状況、皆に流されるままその日をのほほんと過ごした哲也。一体何がどういうことやら……
電さんと化物提督
66艦「君はどこ?どこは君?」
そろそろ日常系書かないと鬱って死にそうなんで許してくだい!