電さんと化物提督   作:コントラポストは全てを解決する

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今回からやっと響について入れる。

ストーリー考えるの疲れた……頭爆発しそう。





72艦 扉

 

 

萱野さんと山風が帰ってきた。

お互い妙にスッキリした顔をしていたので、何があったのか聞いてみたが「乙女の秘密」とのこと。

ここに辿り着くまで少し時間がかかったらしく2人とも少し汗ばんでいた。最近かなり暑いし仕方ないか。

そんな2人にジュースとケーキを奢ったのだが、山風はいいとして萱野さんは年齢的にキツイらしく胃もたれを起こしていた。見た目若いのに何歳なのだろうと思った瞬間、フォークを投げつけて来たので本当にビビった。なんで心読めるの?

 

それから、日が沈むまでガールズトークに付き合わされ散々弄られたあと、萱野さんが満足しイムヤを引っ張って帰って行った。

 

 

そして、俺と山風も食堂で夕食を済ませたのち、部屋に戻って来た。

 

「なぁ、山風」

「ん?」

「海風に顔見せなくていいのか?」

俺の看病をしてくれるのはありがたいが、山風の姉さんが寂しがってないか気になる。

記憶が正しければ、俺の意識があるうちはずっと傍にいたはず。朝起きると布団に潜り混んでる時もあったし、もしかしたら夜も一緒にいるのかもしれない。寝顔見られてたと思うと恥ずかしいな。そんなこんなで、最後に会ったのは4日か5日前だったと記憶している。

 

「あたしの妹の江風がいる…」

「あぁ、確かにいるって言ってたな……でもこの鎮守府にはいないって言ってなかったか?」

「…」

 

山家はそっと俺から目を逸らした。

 

結論、どうやら帰りたくないらしい。

俺の部屋に来る前に喧嘩でもしたのだろうか?

 

「なんかあったのか?」

「何かあったというか…何もしなかったから……」

「つまり……どういう事だ?」

 

山風は言いにくそうにしていた。別に怒ったりはしないから正直に言って欲しい。

 

「…海風に何も言わずに、こっち来た…」

「家出じゃねーか」

 

まぁ、でもそんなに急いでまで俺の世話をしたかったと考えると怒るに怒れないものがある。山風には世話になってるしな。

 

「あっ、でも…一応置き手紙は置いてきた」

「なんて?」

「『まだ見ぬ境地に旅立ちます』って」

「家出じゃねーか」

 

なんでそんな書き方した?

俺の部屋ってそんな果てしない謎めいた場所だったの?お兄さん初耳だったんだけど?

 

ちょっと本気で海風とやらが心配になって来た。山風の姉で同じ改白露型の制服を来ているとの事だけど、生憎俺はそんな子は見ていない。

 

というわけで海風が部屋で枯れ果ててる事が確定。山風と相談し一緒に海風への見舞いと謝罪に付き合う事になった。

まず、海風は生きているだろうか?

 

 

余談だが、山風が言っていた境地とは「俺の部屋」ではなく「俺の世話をする事」だったらしい。

 

 

 

___________

 

 

 

 

 

改白露型の部屋の前に着いた。

扉の前から既に嫌なオーラが漂う……てか見える。なんの比喩でもなく部屋から、紫色の何かが漂っている。いや、ほんと何これ?

 

隣の山風に「マジやばくね?」と視線を送ると、山風はそっとお手手のシワとシワを合わせ始めた。

 

いや殺すな殺すな。

 

 

「取り敢えず、開けてみるか…」

「うん…」

 

そして山風は静かにドアを開ける。

ガチャりという扉の音と共に、少しずつ部屋の中が見えてくr……

 

 

「エイ〇ーーイサラ〇スコーーーーイ!!!」

 

ガタンッ!!

 

 

 

一瞬、何を見たのか…俺の頭はフリーズした。

しかし、山風が扉を叩き閉める音が呼び戻してくれる。

 

 

「「……」」

沈黙……それが俺たちの出来る唯一のリアクションだった。

 

再びゆっくりと思い出す、今しがた見た光景を。

多分、服装からして今のは海風で間違いない…間違いであって欲しかったが……

そして、そんな山風のお姉さんが頭に下着を被り、えいさ…えいす?えいなんちゃら踊りを踊っていた。

 

俺も山風もなんて言ったら良いのかわからない、そんな不快感に晒されている。

 

「なぁ、山風の姉ちゃんってキメてんの?」

「違う…海風はそんな事しない…」

 

という事はやっぱり、山風の家出が原因でああなってしまったのか……お姉ちゃんパワー恐るべし…

 

取り敢えずこれからどうしよう。

山風が責任感じて泣き始めそうだし…こんなところで泣かないでね?その光景をあのお姉ちゃんに見られたら俺多分ムッコロされるから。

 

海風に山風の安否を知らせることが出来れば海風も止まってくれるか?

 

「山風…部屋に入ろう。そして謝るんだ、そうすればきっと海風も元に戻る…はず」

「う、うん……」

涙でしゃくれあがってる山風の頭を撫でながら、作戦の指示を出す。

さすがに俺もあれは辛い、もし山風が俺の前であんな事してたら舌噛みきって自害する自信がある。

 

 

「よし、行くぞ」

「うん…」

 

再びドアノブに手をかける、そっと扉を開けるが今度は先程のような変な奇声はしない。扉を全て開けると外の光で部屋の全貌が顕になる。

 

そして、俺達は絶句した。

 

部屋に生い茂るは、植物植物植物。どこを見渡しても植物しかなかった。

熱帯雨林のように生い茂り、場所によってはキノコが生えていた。

部屋中をトンボのようなよくわからない昆虫が飛び回っており、何故かオ〇ムの抜け殻のような物まで置いてある。

なんでこいつジブ〇してんだ?家庭菜園ってレベルじゃねーぞこれ…

 

っと、そんな事より海風の保護だ。

こんな森の中、食人植物がいてもおかしくはないだろう……っと何か踏んだ。

 

「…海風じゃねーか」

「あっ、本当d…!」

 

瞬間、山風が俺を突き飛ばした。

しかし、幸い生い茂った植物達がクッションとなり怪我はせずに済んだ。

何事かと思い山風の方を見ると、海風が頭に被っていた下着を取り自分のポケットに入れていた。

 

…なるほど、そういう事か。

おそらくあの下着は山風のものだったのだろう。ラメ入り紫とか言う少々際どいものだったが今はあえて触れない。それより山風が触れてはいけなそうな植物の粘液を下着とともに触ってしまった事の方が心配だ。

粘液といいお姉ちゃんの頭の具合といい、ここは色々と大丈夫なのだろうか。

 

「取り敢えず医務室に運ぶか」

「うん」

 

 

あんま粘液には触りたくないが、海風の身の安全には変えられないか。

いや、まて?先に風呂の方がいいんじゃね?

 

「山風、姉ちゃん連れて風呂入ってこい。手伝い呼ぶから」

「え、いいの?」

雷か時雨辺りに頼めば快く引き受けてくれるだろう。海風をこのまま医務室のベッドで寝かせるのはさすがに迷惑極まりない、せめて体くらいは綺麗にしておこう。

 

「でも、今ドッグ満員…」

「え?なんで?」

「今日、駆逐艦皆が演習で海で遊んでたから…」

 

「マジか……仕方ない、俺の部屋の風呂使え。少し狭いが我慢できるか?」

「う、うん…」

 

山風の納得も得た。よし、じゃぁこの粘液お姉さんをさっさと運ぼう。

 

そして、粘液で滑りまくる海風の体を支えながら、俺はなんとか海風を自室まで運ぶ事が出来た。

 

 

 

 

 

 

「あ〜おかえりなさ〜い」

自室に来て更に問題発見、なんと第六の制服を来た文月が何故か俺の部屋に不法侵入していた。取り敢えず山風、その手に持ってるスマホを置こうか?110番押そうとしなで?君も同じような事最初にしたでしょ?

てか、早くお風呂に行きなさい。

 

「…行ってきます」

「よし、いい子だ。海風の事頼んだぞ」

「うん…」

 

若干の警戒心を残しながらも山風はお風呂に行ってくれた。因みに手伝いに関しては整備班の妖精さん達が引き受けてくれる手はずになっている。

 

それより、今はこの子だ。

ただ遊びに来ただけとかならまだわかる。しかし、何故別の駆逐艦型の制服を来ている?しかも寄りに寄って第六駆逐隊の制服を。

 

「えっと、なぜここに?」

「うんとね〜、雷ちゃんがこれ来て司令官の所いけーって。わたしが?電ちゃんに似てるから、司令官も元気になるだろーだって」

「…そうか」

 

やはり、さすがに1週間も誰1人電の姿を見た人がいないとなると皆勘ぐり始めるか。てか、いままでよく第六を誤魔化せてたな。

そろそろ他の言い訳考えないと鎮守府の統率が崩れかねない……折角皆戦いを忘れて平和な日々を楽しんでると言うのに……

 

「それで〜?今度はどんな事で喧嘩したの〜?やっぱり記憶喪失の事?」

「えっ、喧嘩?」

「ん、違った〜?」

喧嘩で1週間もいなくなるって、しかもそれを許容する鎮守府の皆様方…どんだけ平和なの?

 

「いや、えっと電に何かあったとか思わない?大きな怪我とか…」

「ん〜?だって司令官がついてるから大丈夫だよ〜。ずっと守って来たから……だから、大丈夫って皆信じてる。司令官は英雄だからね!」

「文月…」

 

 

 

…違う、そんなんじゃない。今の俺じゃ誰も救えないんだ。

 

そう思ういながら俺は胸の奥が苦しくなるのを感じる。

かつての俺は深海棲艦すらも助け、艦娘達でも適わない相手を誰1人犠牲を出さずたった1人で殲滅した英雄。

しかし今は、山風に支えてもらわなければ満足に生活することも出来ない曙御用達のクソ提督だ。何故皆、ここまで俺を信じるのか。

 

「ごめん、文月。今の俺は何の力も持ってない。だから電のことだって……」

「違うよ司令官」

 

「えっ?」

 

文月は少し声音を落として真剣に語りかけてきた。

その目には、同情や哀れみなどはなく、逆に怒りや叱正と言ったそんな想いが詰まっていた。

 

「司令官は誰かが傷つくのが嫌なんでしょ?だから私達にも最初記憶の事黙ってたんだよね?犠牲が出るのが嫌でずっと1人で頑張ってきて…けど、電ちゃんがいなくなったことを認めたら、犠牲を出した事を認める事になるんだよ?司令官はそれでいいの?頑張って来た事、もう諦めちゃうの?」

「俺は……」

 

誰も犠牲を出さない……そんな事俺に出来るのか?今の俺に……

 

「例え自分の力が出せなくても…何か出来るーって自分を信じてみなきゃ何も出来ないよ?」

「自分を…信じる……」

「うん♪」

文月に励まされながら考える。

 

 

…ずっと誰一人死なさず、皆の幸せを願ってきたであろう「俺」。そんな「俺」が今の俺を見たらなんて言うだろうか?

 

 

そう事を考えると不意に笑みが零れてくる。

決まってるじゃないか、そんなの「自分()の全力を使って何がなんでも守り抜け」だバーカ。

それに、山風曰く俺の深層心理にある固定概念は変わって無いらしい。

 

だから今も前もやる事は同じ、綺麗事並べて俺の力で助け出す。ただそれだけだ。

「俺」みたいに救うなんて大層な事は出来ないけど、助ける事なら俺にも出来る。

 

 

「ったく、文月みたいなちっこいのに気付かされるとは…」

「むぅ…確かにちっこいけど気にしてるんだからいわないでよ~」

「はは、ごめんごめん」

 

文月の口調もいつも通りに戻り、二人でじゃれ合う。

まさか自分自身、自分で限界を付けて諦めようとしてたとは…英雄の風上にもおけねえ。

 

だけど、文月のおかげで取り戻せた。

 

 

「全部、助けるんだ。人として…」

「うんうん、その調子〜」

 

「ありがとな、ふみづk……」

 

 

 

キィィィィィイイイイイイ

 

な、なんだ…急に頭が………

 

 

ィィィィィィィイイイイイイ!!!!

 

 

突然聞こえる機械音のような音、エンジンをかけた車が段々モーターを蒸す音を大きくする様に俺の中でどんどん大きくなる。

頭がかち割るように痛み出し、そして頭の中に知らない映像が流れ込んで来る。

 

 

 

《全てーー助けーーーさ》

 

 

 

《ずっーー一緒ーーーたい》

 

 

痛い、頭を内側から殴りつけられるような感覚が走る。

 

 

「…ん!……かん!! 」

 

 

頭の中に霧がかかったような映像が流れ映る。「俺」の決意、「俺」の願望…なんとなく理解した。

これは記憶の1部、俺が「俺」に戻るための扉が少し開いたのだ。しかし、それを受け入れようとすると頭痛が増してしまう。

 

 

 

 

《俺はーーーずっといる。絶対にーーならないー》

 

 

 

 

 

後少しで、「俺」に手が届く。けど、その代償と言わんばかりに俺の中の何かが薄れて閉じていく。

俺が「俺」に戻るのを躊躇っているのも有るのかもしれないが、それとは別に何かが足りない。

 

 

何が足りない……?

 

 

 

 

「司令官!!」

「ッ!……文、月?」

「大丈夫?急に頭抱えて苦しみ出したから…医務室行く?」

 

文月がいままでにない以上、不安な顔をしている。

 

……はぁ…まったく、ダメなじゃねえか俺。さっき反省したばっかなのに、もう誰かが幸せから遠ざかる表情をさせないって決めたばっかだったのに。

 

「大丈夫だ、ちょっと寝不足だっただけだよ」

「本当?無理してない?」

「あぁ、本当だ。心配してくれてありがとな」

不安を解消出来るよう、極力穏やかな笑顔をすることに努める。

本当はまだ阿呆みたいに記憶の金槌がガンガンと俺の頭を叩いているが、さっきよりかは幾分かマシになった。

 

 

取り敢えず文月を落ち着かせようと、そっと頭を撫でてあげると「ふみぃ…」というよくわからない声の後に脱力していった。

 

「あ、頭撫でられるとダメになるの〜司令官、膝枕して〜」

「たく、しょうがねえなぁ…」

 

ちょっと文句を吐くが、内心は結構嬉しく思っている。ずっと頼ってばっかだから頼られるとつい答えてしまう。

だから、今は仕方ない。例え恋人がいようとも、例え背後から改白露型艦娘達の黒い視線を感じようとも、目の前で幸せそうにしてる子がいるんだ。

これを壊す理由がないだろう。

 

「…Zzz」

「っと、もう寝たか。こういう所はまだ子供だな」

穏やかな寝顔を見ている中、背後から両肩をガシっと捕まれ、ヒシヒシとその力のおかげで肩が悲鳴をあげている。

 

「「提督?」」

おっと、かなりご立腹のご様子ですね。

そりゃそうか、自分達が必死に得体の知れない粘液と戦ってる中、女の子とイチャついてたんだ。今回は甘んじて受け入れようじゃないか。

そういや、海風おぶって来たから俺の背中も粘液塗れだわ…

 

 

まぁ、そんなことより今夜は眠れなさそうです。あと頭痛い…

 

 

 

 

 




改白露型部屋の開けちゃ行けない扉を開き、哲也君の記憶の扉が開き…この扉の差は一体なんあんだ?


こんにちは、嫁は電、でもふみぃ教信者はつひこです。えっ?なに?浮気?
妻がキリスト信者だからってキリストに浮気してるっていうか?つまりそういう事だ。
電は愛し尽くす、文月は崇め尽くす。これが正しいロリコンの形よ。

これからの予定としては哲也君の記憶が戻ったら少し過去を掘り下げて(掘り下げはしないかも)最終戦行く予定です。最終回が近いぞ近いぞ~
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