電さんと化物提督   作:コントラポストは全てを解決する

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75艦 響さんと一緒 Part1

 

 

 

響にデートを取り付けてから2日、デート当日だ。

俺は情けない事に緊張から昨日うまく寝付けなかった。山風曰く気を張りすぎらしい、だって仕方なくね?山風と同棲してるとは言え、女の子とデートだよ?

それに俺、記憶無くしてるから女の子に何したら良いのかまったくわからんし。

電さん、こういう時どうすれば良いのか教えてください。俺の今のコミュ力じゃ無理です……。

 

取り敢えず俺の心境を(うみかぜ)(やまかぜ)(ふみづき)の3人に話したところ、2人に呆れた顔をされた。

…いいもん、文月養子にして2人の前で当て付けのように愛でてやr……あっすみません冗談です、だからその養子縁組届けしまって?

 

…コホン、そんなわけで俺は今非常に余裕がない。

自分から仕掛けてこのザマなのだから笑えてくる、いっその事響に殺して貰おうかな…

 

まぁそんな冗談はさておき、現時刻は午前9時30分。待ち合わせまであと30分もある。

何故俺がこんなに早く来たのか、理由は単純俺がただ心配性だっただけ。

響がもし5分前に来ていたら、いや10分前か?もしかしたら15分前かも?と色々考えていたのだが気付けば30分前に行こう、という考えに至っていた。

山風とかが聞けばきっと呆れるだろう。実際自分自身でも少し呆れてる。

 

ちなみに今日の待ち合わせ場所は、鎮守府を出て少し歩いた所にある公園で待ち合わせしている。

あえて鎮守府発にしないのがデートっぽいでしょ?

 

 

 

 

「し、司令官…お待たせ。待った?」

「大丈夫だ響、俺も今来たとこ…ろ……」

「?」

 

響の服装につい見とれてしまった…

純白の肩出しワンピースと赤い革製の小バッグを持っているだけなのだが、響の容姿や銀髪ロングとアルティメットマッチし過ぎてる。

 

待って可愛い、期待と想像の真上突き抜けて北極星ぶっちぎりそう。

何故ここまで可愛くなった?俺を落としに来たの?電にもやってもらおう。

あと鎖骨エ□i…

 

それにしても何ですかぁ?この神々しいまでのフォルム(スタイル)は。もう、変な声しか出ませんねぇ…

 

「司令官?……あ、もしかしてこの服装似合ってなかったかい?一応頑張ってみたつもりだったんだけど…」

 

響はあからさまに落ち込み始めてしまう。これはあかん、しょぼくれた顔すらも結構くる。

さぁ、行け俺!心は童貞コミュ障陰キャぼっちの黒木哲也。ここで優しく慰めてあげろ。

 

「大丈夫だ、凄く似合ってるから。充分可愛いよ、その服いつ買ったんだ?」

「あぁ、これは昨日買ってきたんだ。私は元々制服しか持ってなかったからね。でも…そっか……可愛いか…ふふ…♪」

 

照れくさそうに小さく微笑みながら天使へと上り詰めようとしている響。

そして心の奥でふつふつと何かが湧き上がってきそうになっている俺。どうやら「俺」が警告を出しているもよう。

つまり、今の響は「俺」ですら危険視してしまう程のモノと言うことらしい。

 

「じゃぁ、そろそろ行こうか」

「うん…今日はどこに行くんだい?」

「うーん、色々?」

 

都市部のショッピングモール行ったり、ゲーセン行ったり、カラオケなどデートの定番を回ろうかと思っている。

まぁ、どこへ行くにもまず電車に乗らなければ行けないのだが。

 

「あっ、それと今日は司令官呼び禁止な」

「え?じゃぁ、私はなんてよべば……」

「哲也」

そう伝えた瞬間、響の顔は真っ赤に染めあがった。どうやら、お互い名前で呼び合いアレやコレやをする所まで一気に妄想したらしい。想像力豊かなこった。

そして、響は口をパクパクさせながらなんとか俺の名前を呼ぼうとしている。可愛い…。

 

「て、て、て……徹夜?」

「うんそれちょっと違う…」

 

イントネーションと漢字が違うよ、響。あと、いつもクールキャラなのに今日だけシャイキャラってギャップ萌え狙ってるの?いいの?乗っちゃうよ?

 

落ち着け俺、俺は恋人持ちだ。決して響が可愛いからって惚れちゃいけない、おk?

 

 

「取り敢えず歩くか、電車乗らなきゃ」

「う、うん」

俺は響の手を引きながら駅へと向かった。

手を握ってる時の響の顔がクッソやばかったです。(語彙力カモン)

 

 

 

 

 

駅に着き、それから電車に揺られること約1時間。目的地の都市部に着く。

途中電車の中で、響が痴漢されかけてたので相手の首根っこ掴んで駅員に突き出してやった。ざまぁ凸。

 

どうやら響の服装は一般の方々には刺激が強いようだ。

よくよく考えれば艦娘達は皆容姿端麗、俺は見慣れてしまっているが一般目線から見れば高嶺の花のような存在。都市部を選んだのは間違いだったか。

いや、俺が守ればいいんだ。さすがに普通の人間には負けん。

 

それにしても都市部の連中も余裕があるな、つい4ヶ月前までここの1角は崩壊していたのに…

回復が早いのはいいが、こう言ったところまで治ってしまうのは困りものだな。

 

「あの…しr……て、哲也…さっきはありがとう…」

「どういたしまして。取り敢えず外出る時は気をつけろ。俺もなるべく傍にいれるよう善処しておくから」

「わかった」

 

再び手を引き駅をあとにする。

取り敢えず予定通りに進めよう、まずはゲームセンターだ。

 

 

 

「…騒がしいところだね」

「だな…」

ネットで調べただけだったが、ゲーセンってこんな騒がしいのか。初めて来たけど舐めてたわゲーセン。

 

「何する?響の好きなのでいいぞ?」

「うーん…こういう時ってクレーンゲームが定番なのかな?そこに行こう」

「おっしクレーンゲームね」

 

 

 

というわけなのでクレーンのコーナーに移動してきました。

大小様々なアームの大きさの台があり、景品もお菓子、フィギア・ストラップ、ぬいぐるみなど選り取りみどりだった。

響はコーナーをグルッと1周した後、子供用のストラップコーナーの所で立ち止まった。そして、赤い鳥が描かれたストラップをじっと見ている。

 

「ハラショー、こいつは力を感じる」

「こいつか…やってみる?」

「あぁ」

俺は自分の財布を取ろうとするが、響はワンピースのポケットから直に100円を取り出し勝手にプレイし始めていた。なんか準備良すぎやしませんかね響さん。

 

響の操作するアームは景品の真上へ、そして落下ボタンを押す。

そしてアームの爪が開き、そのままワイヤーで急降下、目標には到達。しかし、アームが上がったと同時景品が掴まれるかと思いきや、アームのパワーが弱すぎて景品を掴めずそのままスカってしまう。

 

「「……」」

 

互いの間に沈黙が訪れる。

 

「…ッチ」

「……」

今、響が物凄い顔で物凄い舌打ちした。

※尚、顔については響の女の子としてのプライド&プライバシー保護のため説明を省かせていただきます。

 

響は再びポケットの中に手を突っ込み、今度は500円を一気に投入する。どうやら響のスイッチが入ってしまったらしい。

そしてまた同じ景品の元へ行き、そして失敗。

6回ほど失敗し再び500円投入、また失敗、投入……そんな動作を3、4回繰り返したのち、その場で艤装を展開し始めた。

 

「哲也、殺っていい?」

「うんダメ」

「ちぇっ」

 

最早名前呼びの恥じらいなど宇宙の彼方へ捨てたのか、今はただ目の前のクレーン台の破壊に専念していた。

まぁ、絶対に許可は下ろさないけど。

そして響は残念そうな顔をしながら、近くにあったゾンビシューティングの機器へと移っていった。

 

仕方ないか。

俺はポケットから100円玉を取り出し先程と同じ台にIN。そしてボタンで的確に操作して行く。

響のプレイを見てて学んだ事が一つ、クレーンゲームとUFOキャッチャーはまったくの別物という事。てっきり同義語かと思ってた。

何を言いたいのかというと、クレーンゲームにおいてキャッチという概念を持っては行けないのだ。

クレーン…つまり引っ掛けるようにアームを指示していけば、きっと取れるはず。

 

「多分、ここをこうすれば……あっ、落ちた」

 

どうやら俺の考えは当たったらしい、後で響を驚かせてあげよう。

一方響の方ではクレーンゲームのストレス解消と言わんばかりにゾンビを葬り去っていた。しかも200円入れて二丁拳銃でやってやがる。ちょっとかっこ良いじゃねえか。

 

そして、プレイが終わると銃を乱雑にホルダーへと投げ入れキメ顔でその場を去っていった。

ゲーム画面には「スコアランキング1位」の表示、少し惚れそうになったぞ。

 

 

「哲也、お待たせ」

「おかえり、あの類のゲーム得意なのか?」

「始めてさ、けれど艦娘の演習に比べればお遊びみたいなモノだったよ」

一応お遊びなんだけどな、と言いたい所だが今は黙っておこう。

 

「そう言えば名前呼び慣れたんだな」

「え?……あっ…///」

 

数秒考えたのち、思い出したように紅くなる。

うん、やっぱり可愛いや響は。

 

 

 

ゲーセンも1通り堪能し、今度はウィンドウショッピング。

ショッピングモール内にある服屋やアクセサリーショップなどに立ち並んでいる。

 

「おぉ…服がこんなに」

「あれ、そのワンピースここみたいな所で買ったとかじゃないのか?」

「これAmaz〇nのなんだ」

すげーな最近の買い物アプリ、服まで売ってんのかよ。今度見てみよう、何時ぞやかに山風が握りつぶした兎のアレ買わないと…どこのおもちゃ屋行っても無かったんだよな。

 

そんなどうでもいい事を考えてる中、響は店に並ぶ色々な服に目移りしていた。

そして、気付けば下着コーナーに入って行き今の響じゃお世話にならないであろうサイズのブラを眺めている。

自分の胸に手をあてているが、目の前にある胸威の前では「スカッ」という擬音さえ聞こえてきそうな程、それは惨敗していた。

やはり勝てない、そう悟ると響は俺の元へと戻ってくる。

 

「ねぇ、しr…哲也。胸を大きくする方法、知ってるかい?」

「いや知らないな」

 

「それはね……男の人に揉んでもらう事だよ」

「…」

 

いや何言ってんの?瞳孔おっぴろげてなんて事言うの?

さすがにそれはアウトだろ、俺でも分かる。

 

「響、ギルティ」

「知ってる、ほんの冗談だ」

「の割に残念そうな顔をするな。ほら」

 

胸の代わりになるかは分からないが、そっと響の頭を撫でてやる。

照れ隠しも含めて、多少強めにグリグリと撫でるが響は気持ちよさそうに撫でられている。どうやら気に入ってくれたようだ。

 

 

《くぎゅう〜》

「「……」」

ここで響のお腹から血糖値の低下を知らせるベルがなる。

お顔を真っ赤にした響はそっと俺から目を逸らし、一言「気のせいだ」とボヤいていた。

 

「昼飯食べるか、俺腹減ったよ」

「……うん」

 

その後、少しだけウィンドウショッピングをした後、金色のブレスレットをプレゼントし俺たちは1階のフードコートに向かった。

 

 

 

「うん、やっぱりボルシチは最高だ」

「ロシア料理あんのかここ…」

 

何という品揃え、さすが都会。ちなみに俺はたこ焼きにしておいた。

 

「哲也この後は?」

「あぁ、ペットショップに行こうと思っている」

「ペットショップ……!」

その言葉を聞いた瞬間、響の目がキラキラと輝き出した。

やっぱり女の子は動物好きなんだな、犬とか猫とか。

まぁ俺も好きだし、特に柴犬。

 

そしてペットショップに行くと聞いてから響の食べるペースがあがっていく。

 

「へふや、ふぇっふぉもっふにおもど」

「響、飲み込んでから話そうな」

なんか子供相手してるみたい、響にもこういう1面あるんだな。やはり暁の妹はだてじゃないか……という事は暁にもクールな1面が…?

 

俺がそんな事を思っていると、響はボルシチを水で流し込み、一呼吸置いてから俺へと尋ねてくる。

 

「哲也、ペットショップにコモドドラゴンいるかな!?」

「コモドドラゴン!?」

興奮気味に質問してくる響に対して、俺も興奮気味に返す。

コモドドラゴンってあれだろ?えっと、あのーあれ、あの……語彙力カモン!

取り敢えずデケートカゲだろ?さすがの都会でもコモドドラゴンはいないだろ。

 

 

 

 

 

 

思った以上に短い時間で済んだ昼食を終えた俺達はペットショップへとやって来た。

先に言っておくと、いた…コモドドラゴンが。ヤベーよヤベーよ、都会ヤベーよ、もしかしてここに無い物なんてないんじゃね?っと思わせる程何でもある。

 

響は生まれて初めてのコモドドラゴンに興奮を隠しきれなかったのか、俺をほっぽりだし店の人に頼んで今は触らせて貰っている。

あの響のキラキラした表情、響のせいで電がーとかどうでも良くなってくる。そもそも響のせいなんて始めから微塵も思ってないけど。

 

そせにしても、あのコモドドラゴン……なんで響のスカートの中をじっと見つめてるんだ?

いや、俺の心が汚れてるからそう見えるだけなのか?

 

 

「コモドドラゴン、どんな感じだ?」

「すごいよ、最高だよ、天才だよ。惚れぼれする」

「そうか」

まぁ、響が嬉しそうだからなんでもいっか。

 

「俺もボチボチ中見てみるか」

 

そう思いながら店の中をグルッと1周してみる。

犬猫鳥の定番な所から、金魚、熱帯魚などの少し大きなペットショップならよく見かける品種に、先程のコモドドラゴン、牙未処理のコブラや7匹セットのコウモリなど、誰が飼うのかよくわからない品種まで取り扱っていた。

あ、でもこのトビトカゲとか言うのちょっと良いかも…滑空用の羽がついてて男の子心くすぐられる。

ドラゴンは男の子の永遠の夢だよな〜、夢じゃない?

 

そんな風に店の中を見て回ってる中、不意に響が服の裾を掴む。

俺が振り返ると、物欲しそうな目で俺を見上げている響。その手にはコモドドラゴンらしきヌイグルミが握られていた。

 

「そんなに気に入ってるのか、コモドドラゴン…」

「?…これはエリマキトカゲだよ?」

 

「ドラゴンじゃなくていいのか?」

「なかった…」

 

無理に買わなくてもいいんじゃぞ?

そう言いたいところだけど、響がこれを今欲しがってるんだから良いのか?

うーん…迷いどころだな、ネット通販行けばありそうだけど。

 

「哲也哲也」

俺が迷っているといると、響に呼ばれる。

そちらに向くと、響がヌイグルミを口元まで持っていきエリを横に広げていた。

何をしているのかと俺は疑問に思ってる中、響は一言呟く。

 

「……ぎゃおー…」

「…」

 

俺はヌイグルミをレジへと持っていった。

いけない、これは非常にいけない……可愛さが限界突破した。デートし始めた時から思ってるけど、響は俺を落としたいの?電からNTRしたいの?

やだよ俺、姉妹のドロドロした恋愛劇なんてみるの…。

 

取り敢えず会計済ましちゃお。

 

 

 

「356円のお釣りになります。ありがとうございましたー」

店員から商品の入った袋を受け取り店をでる。

 

 

「哲也、ありがとう」

「どういたしまして、響に喜んで貰えて何よりだ」

「うん…」

 

照れくさそうな顔で、ぎゅっとヌイグルミの袋を抱きしめる。

 

「…あ、哲也。あそこに変わった店がある」

「ん、どこだ?」

 

話の論点をずらしたかったのか響が薄暗い裏路地の方を指さす。

確かにそこには店があった。店と言っていのかわからない程、簡素な作りをしている。わかりやすく言うなら、高校生が文化祭で作る占いの館的なものだ。

 

折角見つけたし入ってみようという話になり、半ば無理矢理響に引っ張られる形で入店する。

 

「こんにちはー」

「いらっしゃいませ」

店内は黒紫のカーテンに覆われた不思議な雰囲気を漂わせる内装で、目の前には水晶のようだが形が歪んだ石や、手作りと思われるアクセサリーも売っていた。

それにしても、この店の店主…どっかであった気がする。というかずっと昔から一緒にいた気がする……誰だっけ?

 

「初めまして、黒木哲也です」

「あ、御丁寧にどうも。私は希乃希実(きののぞみ)と言います」

 

「会って早々口説きにかかるとは、さすが哲也」

「そんなんじゃない」

決して違う、この人は以前どこかで会ったような気がするから確かめてるだけだ。口説いてるとか断じてない。

 

「お兄さん、中々格好良いですねー」

「むっ…」

 

響が俺の右腕を抱き寄せる。

 

「哲也はダメ」

「あらあら♪大丈夫ですよ、そんな気はありませんから。安心してください」

「ふーん…」

「あらあら…」

希実さんを見つめる響の目は、まったく信用していないそれだった。

汚名返上とばかりか、希実さんは店の奥から小さな箱を一つ取り出し、俺へと渡してくる。

中を見ると、そこには奇抜な模様の時計が入っていた。

 

「あの、これは?」

「これ『記憶を奏でる時計(イストリア・ロシュレ・ゼム)』」

「イストリアロシュr…何?」

 

「ゼムです」

「あぁゼムか」

さっぱり意味がわからない、イストリアって何?ロシュレって何?ゼムって?希実さんが言ってること、何一つわかんないよ…。

 

「えっと…普通の懐中時計ですよね?」

「まぁ、そうですけど。一応おとぎ話的と言いますか、言い伝え的なモノがありまして」

「言い伝えですか…少し気になりますね」

 

そう言う都市伝説的なの大好きだからもっとちょうだい、UFOとかUMAとかの類ですかい?

 

「そいうですね…では、むかし昔のそのまた昔」

 

 

希実さんは語り出す。

それは遥か昔のお話だった。

 

 

 

とある所に神様がいた、しかしその神様は1度弱り子供となった。そして人の子供として育てられ、人としての記憶で生活していき、そして青年へと成長した。

そんなある日、その神様は人としての記憶も失ってしまった。しかしそこに1人の天使が現れ、一つの懐中時計を授け去っていったそう。

 

青年は不思議に思いながらも、その懐中時計の蓋を開ける。その瞬間、頭の中に次々と記憶が溢れ出てきたそうだ。

そして青年は神様としての記憶も力も取り戻し、役目へと戻って世界の平和を願い続けた。

 

「…と言う、話があるんです」

「「……」」

 

割としっかりしてた、うん…UMAとか言ってごめんなさい。

それにしても、神様の記憶が詰まった時計か…よくわからないけど開運グッズ的な奴か。

 

「記憶が溢れ出る、か…便利そうなアイテムだね哲也」

「はは、これで戻ったら苦労しないよ…」

でも、このおとぎ話みたいに戻んないかなー。取り敢えず、結構気に入ったし買っちゃうか。

えっと、あれ…値札貼ってないや。

 

「これ幾らですか?」

「あぁ、お代は結構ですよ。私の趣味みたいなものですし」

「え、でも…良いんですか?」

 

「はい、私は誰かの幸せそうにしている顔が好きなんです。だから、お代は頂かないようにしています」

「ほへぇ…」

「そして、その幸せの中にあなたも、そちらの方も入っているのですよ?」

 

「「…」」

やばい、惚れそう。何度目だかわからないけど、また惚れそう。

この世にこんな心が清らかな人がいるんだ……

しかし、こうは言ってもやはり良心が痛む。何かを得るには何かを捨てなきゃいけない、この世に古くからある対価交換の理論が俺を引き止めている。

 

「なので、どうぞ」

「……わかりました、ですがやがりこれ程の物、タダで貰うことは出来ないです。だから、これ」

 

そう言って俺は財布から数万出す。これぐらいで足りるかわからないけど、今はこれしかできない。

希実さんは少し驚いたような顔をし、壊れ物を触るかのように震えた手つきで俺から料金を受け取った。

これで俺の中のモヤモヤも消えスッキリした所で、希実さんがワナワナ震えていた。どうやら人から見返りを貰ったのが初めてらしい。少し可愛いなおい。

 

「すみません、慌ててしまって…てへへ…」

そう無理に笑って希実さんは誤魔化そうとする、ちょっとキュンときた。

 

 

「……哲也、そろそろ行こう。早く」

「え、おい…急にどうした響?」

 

いきなり響に腕を引っ張られ店の外に出されそうになる。響の顔をよく見ると、嫉妬した海山姉妹のようになっていた。どうやら響にもイチャラブセンサー機能が搭載されているようだ。もう艦娘の機能として認めていいんじゃない?これ。

 

そんな風に思いつつ、俺は希実さんに挨拶をする。向こうも1度丁寧に礼をし返してくれた。

少し変わってるけど、どこか懐かしい人だったな希実さん。今度ゆっくりお話したい。

 

 

「希実さん、今度ゆっくりお話しましょう」

 

「……はい、貴方が全部取り戻せたらそうしましょう。だから、待ってますね」

「え?」

全部取り戻せたらとはどう言う事だろうか……やっぱり少し変な人。

 

 

俺はそう感じながら響に引っ張られていった。

ちなみに嫉妬した響の機嫌を取り戻すのに1時間掛かりました。はい。

 

 






こんにちは、はつひこです。
夏休みで小説が捗っています。というか小説執筆しかやってません、『しか』です。
欲を言うとPSVR買ってマイテツやりたい。
3次元の人と付き合ってしまうとアニメや特撮作品見る時間が減ってしまうので省きます。まぁ僕の場合、出来る出来ない、作る作れないとかの前に不可能なんですけどね。0%ですよ0%。あははー……なんだよ、笑えよ?

次回の更新は4日後ぐらいにします。
あと、聞くまでもないと思うのですが電はちゃんと復活させた方がいいですよね…ね?
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