やっと…書け…た……_(:3 」∠)_
青年について来いと言われ、それに従って来た響だが、辺りを見回しても3階建てぐらいの廃墟が続くばかりで一向に自分の知ってる場所に出ていかないため不安になっていた。
目の前の青年に「ここはどこだ?」と聞いても、返ってくるのは呼吸音だけ。ずっと黙り続けている。
そして、青年が一度立ち止まると、そこはもう行き止まり。
この人が何を考えているかわからないが、良くないことを想像しているのは響から見ても明らかだった。
「…どういう事か説明してもらえるかい?」
「うーん、どうしようかな…」
出会った時の穏やかな雰囲気はなくなり、今は妖しげな笑みを浮かべている。
「てつ…連れに合わせてくれるんじゃなかったのか?」
「あはは♪、君も存外ウブなんだねぇ。弄りがいがありそうだ」
「私をそんな甘く見ない方がいいよ?……っ…」
「ふふ♪」
響が戦闘体制に入ろうとするが、何故か艤装が開けなかった。
そして相手は、それを初めから知っていたかのように笑みを一層深くする。
青年は1歩、1歩と響に近付いていき、その体に手を伸ばした。
響も懸命に逃走へと移ろうとするが、ぞの足は動かなかった。
(な、なんで…足が)
「あれ?逃げないの?…じゃぁ、それ♪」
「っ!」
左肩を捕まれ、そのまま近くに刺さっていた細い鉄骨へと抑え込まれる。
必死に抵抗しようとするが、青年の力は人間のものとは思えない程強かった。
「艦娘は素体の身体能力も高いけど、僕はそれ以上だよ。なんたって君の親の下僕だからね」
「何を言って…」
親…あの時みた…電を殺した奴の手下かとも思ったが、自分の親とはどういう事だろうか。
艦娘には親がいない、作られた存在なのでそう呼べるとしたら妖精ぐらいだ。しかし、自分の知ってる中でこんな体格で性格の悪い妖精は見たことがない。
そして、その青年は今、自分の服に手をかけ脱がせようとしていた。
「ふふ、初めてあった時から触ってみたかったんだ。君のその綺麗な髪、透き通った純粋な瞳、雪のように白く儚い肌……ハァ、ハァ」
「い、いや…」
あまりにも力が弱すぎるが、響は抵抗の意を見せていた。
足がすくみ、目尻には涙が溜まり、あまりの恐怖に意識が朦朧とし始める。
「ああ、その表情も綺麗だ…もっと荒っぽくしたらもっと良い表情になるのかな?」
「やめ…」
青年は響の服を前面を破り捨て、その少女を裸に近い状態にする。
胸の先を弄り舐め、下着の上から陰部に指を擦りつけた。
こんなのを望んではないのに、嫌なのに、生物としての生理現象は起こってしまう。
響は生物に生まれた自分を初めて卑下した。
しかし、こんなに絶望しているのに、こんなに恨みを抱えているのに、何故か深海化が発症しない。
あの力は大嫌いだけど、今は喉から手が出るほど使いたかった。
「いい!いいよ!その顔……っと、あんまやり過ぎるとお楽しみが少なくなっちゃうから、今はこれぐらいにしとこ。えい♪」
「!?」
軽く額を小突かれただけなのに、体全体に電流が走ったかのような感覚に襲われる。
そして、次第に意識が薄れていき瞼も重くなってきた。
寝たら何をされるかわからない、そんな風に思っても意識は勝手に沈んでいく。
「おやすみ、目覚める時に彼が来てると良いね♪」
そんな言葉を最後に、響は完全に意識を手放した。
__________
響が攫われた。
遊園地内を隅々まで探し回り、その後送られた地図と比較して関係者しか入れないような所も探し尽くした。
そして今は遊園地を離れ、あらゆる公共機関を使用し響の捜索に全力を費やしている。
「響…一体どこに……」
警察に連絡し、鎮守府の皆にも協力してもらおうと思ったが、その要望は叶えられそうになかった。
理由はこの地図、携帯の地図を使ってこの辺りの施設や地形を調べ尽くしたが一致する場所が見当たらない。
犯人もそう遠くへは行ってないだろうと踏んでいるが、どこを見てもそこに該当する場所が無いのだ。
デタラメの地図を渡された可能性も考えたが、身代金等を目的とした場合、俺がたどり着けなければ何も渡せない無いので、この仮説は却下した。
期限は今日までだが、ざっと見積もってもあと6時間はある。仮に電車や車を3時間程利用したとしても、それなりに距離の離れた場所に行ける。
相手から送られて来た写真は、地図と縛り付けられてる響の写真。背景を見るとかなり古びた建物が並んでいる。
ここ最近内地でも戦闘があったが、こんな古い建物が無傷で残ってる場所となれば、少しは絞られるはずだ。
「大丈夫だ、俺にだって出来る…」
止まらない焦りを落ち着かせるように自分に言い聞かせる。
元はと言えば俺が響と離れてしまったせい、せめて目の前までついて行けばこんな事にはならなかったはずだ。
艦娘だから大丈夫だろうと勝手に安心し、女の子1人と離れたのだ。
全責任は俺にある、勝手に過信し、身勝手に響を事件に巻き込んでしまった。
「はぁ…はぁ…」
走って走って、街を駆け回り、人気のない場所を探し続けた。
けれどここまでしても、響の影どころか手当たり1つも見つけられない。
無意識に『俺』と比較してしまう。
『俺』なら一瞬で、簡単な作業をする感覚で、何の苦悩もせず解決してしまうではないか。
そして、それに比べて自分は…と深い自己嫌悪に陥ってしまう。
どうして俺は…『俺』みたいに出来ないんだ。
元々は同じだった筈なのに、これが過去に英雄と言われた男の姿か?
憎い、自分自身がとても憎い…そして何も出来ない自分が悔しい。
自然と俺は拳を握っていた。
力を込めすぎて爪を自分の肉に突き刺してしまう。
傷口から血が流れ、指を伝い地面に滴り落ちていった。
歯を食いしばり、血が流れる拳を近くの壁へと殴りつける。
そして、壁にぶつかった指の面からまた血が流れて行く。
こんな事をしても意味がないのは解ってる。けど、理屈がそうでも俺の感情が納得しない。
「俺のせいで…くそっ!」
心の中で挫折の念が押し寄せてくる。
こんな事で諦めようとする自分の…人の心につくづく溜め息が出てしまう。
記憶がなくなって、まだ十数日だが人として過ごし、身につき…染み付いたのは人間の脆すぎる心。
一体自分は何がしたかったんだろうか。
自分の力で全部助けると吐かしながら、結局その後も皆に頼りっぱなし。
「本当…なんなんだ……俺は…」
あぁ、嫌になる。本当嫌になる。
最高に情けない…こんな筈じゃなかったのに…。
何故響なのだろうか、何故響が危険な目に合わなければならないのだろうか?
俺がなれば良かったのに…
『悔しいか?』
こんな時に幻聴が聞こえる。
全力で走りすぎて脳がおかしくなったか?
まあいいや、その声に答えるとしたらこうだ。
「悔しいよ」
『情けないよな?守れないのは』
「そうだな…」
もう何回も自分に言いつけた。
お前は情けないやつだって、だけどいくら自分を蔑んだところで状況が変わるわけではない。
「憎いか?」
「ああ」
自分で自分を憎いと感じるよ。
今の状況を見ても、過去を思い返しても…現在と過去、その両方で誰かを傷つけてる。
それに、響に至ってはずっと傷つけてしまってるのだ。心も体も。
全部助けるなんて言ったが、人の力はあまりにも小さ過ぎた。
これが、俺の全てなのかもしれない。
『…『俺』なんてなんとか出来てた…って何度も思ってたよな』
「そうだったな、あっちの『俺』ならなんでも出来るだろ。皆もそう言ってる」
「まぁ、だいたいそうだな。けど、あいつもお前と似たようなもんだぞ?」
「そうか?」
「あぁ、あいつにだって守りきれなかったものがあるからな。不完全だし」
意外だ。あいつなら全部1人で解決出来るもんかと思ってた。
やっぱ神様でもなけりゃ完全なんて無理なのか。
『なあ、お前が記憶喪失になる前に何があったか気にならないか?』
「わかるのか?」
「まあな」
天の声は穏やかに語りかける。
俺とまったく同じ声、まさかと思うが3重目か?
俺に『俺』に、この天の声。
「なあ、お前はなんだ?」
『俺か?そうだな…俺は神だ。お前らの元だ』
「俺らの元?」
『まあそのうち分かる。何てったってもうすぐ全部思い出すんだから』
「本当か!?」
記憶が戻れば能力も身体能力も帰ってくる!
感覚も忘れたせいで海を渡れなくなったし、筋力も人そのものだったし、やっと元に戻る。
『落ち着け、今は「俺」の過去を聞いてほしい』
「いやそれよりも…」
『ダメだ、今のお前には足りないものがある』
俺に足りないもの?一体それはなんだろうか。
「わかった…話を聞こう」
『すまんな。急いでるのに』
「いいよ。じゃあ、聞かせてくれ。『俺』の事」
『あぁ…だがその前にお前に言っておく、俺もお前もあいつも全部お前だ』
「どういう事だ?」
天の声は俺にそう語りかけた。
この体には3つの人格があるわけじゃないのか?
「少し分かりにくかったな、俺はお前で、あいつは俺、俺はあいつで、お前はあいつ。今は一時的に別れて……いや、知るために生まれて来た人格といった方がいいな」
「…よくわからないな」
「まあ、じきに解る」
そうしてその声は俺が記憶を無くす前の事を話し始めた。
ようやく、この苦しみから解放される。
俺は消えてしまうが、あとは山風に任せよう。
最後まで山風に迷惑掛けちまったなぁ…。
ラフィーの旧正月衣装を買うためのお金が足りない!
こんばんは、はつひこです。
いや…まあ、うん…やっと書けたよね、時間掛かったよねー…。前更新したのいつさ??
取り敢えず、ごめんなさい。
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