竜と短槍   作:ムラムリ

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ポケモン小説wikiの企画に投げた代物。
https://pokestory.pgw.jp/main/?%E7%AC%AC%E5%8D%81%E5%9B%9B%E5%9B%9E%E4%BB%AE%E9%9D%A2%E5%B0%8F%E8%AA%AC%E5%A4%A7%E4%BC%9A%E3%81%AE%E3%81%8A%E7%9F%A5%E3%82%89%E3%81%9B

『絶滅できない動物たち』
というドキュメンタリーを参考にしたやつです。


絶滅できないポケモンたち 第2章 保護区で「キメラ」を追いかけて

 サザンドラは、数多の通り名を持つポケモンだ。大罪の化身、唯我独尊の体現者、破壊と暴虐の悪魔。イッシュにおいてはサザンドラそのものが、救いようのない悪を示す言葉として今も尚、各地で使われ続けている。

 開拓期が過去のものとなりつつあったイッシュにおいては、野生のサザンドラが生き残っているかどうかをめぐって学者は真っ二つに分かれた。片方の陣営は、野生のサザンドラは絶滅したと思っていた。カロスやガラル、他様々な地方からイッシュという新しい地方にやって来た入植者は、みなサザンドラを脅威と見做して殺した。法律で懸賞がついていたために、サザンドラを殺し、証拠として真中の頭を持参すれば誰でも懸賞金がもらえた。

 開拓期の当初、死んだサザンドラの懸賞金は今のレートで換算すると、五日分の日雇いの日当ほどだった。それを求めたポケモンハンターや農業の拡大によって、サザンドラの天敵である氷や虫、格闘と言った属性を持つポケモンは一気に拡大した。時にはカロスなどから、その当時としてはかなり珍しいフェアリーの属性を持つポケモンを連れてきて、日に十匹以上のサザンドラを殺したポケモンハンターもいた。

 こうして、かつてイッシュの空を飛び回り、その地に住むほぼ全ての生物を脅かし続けていたサザンドラは、ポケモンを使役する入植者の殺意に対応出来ることもなく、瞬く間に数を減らしていった。入植者が、先に在った王国と聖剣士が組んでの大規模な闘争が始まる頃にはほぼ見かけなくなっていたほどだ。「その凶悪無比なサザンドラが、昨今にして少しずつ人に飼い慣らされ始めたサザンドラとどれだけ異なるのか、正確には分からない。どのようにしてサザンドラを追い詰めて殺すかの記録はあれど、見たもの全てを喰らい尽くすサザンドラそのものの生態を事細かに調べるような、命知らずなもの好きはいなかったからだ」と、当時の記録には残っている。

 もう一方の陣営は、一部──100頭ほど──は、イッシュ地方の北部──今で言うリュウラセンの塔の付近や、チャンピオンロードとなっている洞窟の方で生きのびているかもしれない、と考えていた。この地域は王国が神聖な土地と崇め、聖剣士すらも訪れることはなかった。またそこへも身を乗り出した開拓者達はまるで大いなる力によって拒絶されるかのように異常気象に見舞われ、次々と命を落としていったものだから、開拓も進んでいなかった。その理由がレシラムとゼクロムであることは言わずもがなであるので割愛するが、その考えを裏付ける証拠はあった。レシラムとゼクロムをも巻き込んだ、入植者と王国及びに聖剣士の戦いが共倒れに終わり、そこから更に暫くして互いの傷跡が少しずつ癒えながら、いつのまにかそのレシラム、ゼクロム及びに聖剣士が姿を消した頃。リュウラセンの塔を避けながらも徐々に北部へと開拓を進めた入植者の中のとある保安官は、ポカブの農場に現れたサザンドラをギガイアスで撃ち落として殺した。こうした例から、イッシュの北部にてかろうじてサザンドラは生きのびていて、大きな個体群があるかもしれないと思っても不思議ではない。

 今からちょうど50年前。野生ポケモン保護基金(WPF)は調査に乗りだした。種の保存法が成立するちょうど1年前だ。その当時のイッシュにおいては、野生のサザンドラ──モノズ、ジヘッドも含めて、法律で保護されて狩猟が禁止されていた。また人がモノズから育てたサザンドラは代を経る毎に凶暴性が薄れていくことも分かっており、そうして見世物として他の地方へと渡ったサザンドラは、他の地方においてはポケモントレーナーの下に着くようにもなり始めていた頃だった──即ち、元々の様々な悪名を冠した野生のサザンドラとはかけ離れたものとなりつつあった。新しく出来た法において、その野生のサザンドラは絶滅危惧種に指定されるのだろうか。「絶滅危惧」になるのか? それとも「絶滅」になるのか? WPFはイッシュの分類学者に連絡をとり、その分類学者がイッシュの北部において捕食ポケモンを追跡するポケモンハンター、アロイ・クロマにコンタクトした。

 野生のサザンドラの生存に関心を寄せる野生ポケモン保護活動グループに雇われる者として、クロマほど似つかわしくない男もいまい。作家のオクタ・シキミが30年前に著した『ソウリュウ牧場のできごと』は、世間の目を避けて暮らす男を描いた貴重な作品だ。シキミによれば、クロマは「若い頃にソウリュウの捕食ポケモンの数々を絶滅寸前まで追いこんだポケモンハンターとして、その右に出る者はいなかった。驚くべきスタミナの持ち主で、彼のポケモン達──とりわけ、ウインディとマニューラは素晴らしく、いったん彼に目をつけられたら、ゾロアークだろうとも『まず逃げられない』」。とりわけ狡猾な捕食ポケモンが暴れているところを捕獲するときは、「クロマにやらせろ」が合言葉だった。

 クロマは動物を捕まえるのにさまざまな手段を用いた。手近に使える道具がないときは考案したりもした。50年ほど前、ポカブの牧場でゾロアークを罠で捕まえるのに苦労したことがあった。ゾロアークは時に牧場のポカブそのものに化けてポカブを連れ去っていくのだが、その前にポカブの首を攻撃して絶命させるので、ポカブの首に罠をつければ、少なくともゾロアークの牙か爪に毒を付着させることができるとクロマは踏んだ。もちろん、首に罠をつけるのは無理なので、ゾロアークを殺す、ペンドラーなど幾つかの毒をブレンドして、無味無臭ながらもモモンの実を食そうとも解毒出来ない、凶悪な毒を仕込んだ首輪を発明した。

 彼はこの「毒の首輪」の特許を取得し、ソウリュウの自宅近くでファミリービジネスを始めた。その当時のチャンピオンが、ポケモンを狩猟するのに毒を使用することを禁じるようにしてからは、首輪はガラル、カロス、パルデアなど、他の牧場経営者に販売された。

 クロマは、イッシュ以外でも長年捕食ポケモン狩りを請けおっていた。家畜を守りたい牧場主のために、ゼブライカやギャロップに乗って現地で「悪のザシアン」と直球過ぎる名前で呼ばれているグラエナを追いかけていた。

 シキミが同じく30年前に書いた『越境』に登場する、グラエナを捕まえることにとりつかれた13歳の少年の物語は、グラエナを捕まえるために7か月を費やしたクロマの話から着想を得ている。イッシュのポケモンハンターや自然主義者のあいだでは、この話は語り草になっている。

「ゲーチス」という名前の雄のサザンドラは、罠にかかり、左足を失った。75年ほどまえ、このサザンドラはイッシュ北部の牧場のバッフロンやポカブなどを、ずいぶんと餌食にした。クロマはそれから20年ほど後に出した報告書に「人間を理解したサザンドラは同じ時間に空を飛ぶことも、同じ場所で眠ることもめったにない。ギガイアスの射撃が届く距離にまで降りてくるのも、入念にそれが隠れていないかを確認してからだ」と書いた。「やつを捕まえる自信はあるが、やつを罠にまでおびき寄せられなかった」

 餌をつけた罠も、隠した罠も、ていねいに臭いを落として泥の中に仕込んだような罠も、狩猟に特化して辛抱強く目標を待てるポケモンを数多に用意しても、どれも効果がなかった。あれこれやってみて、ゲーチスをあと一歩まで捕まえるところまでいったのは、たった2回だという。更に、逆に返り討ちにされかけたのは2桁にも及ぶ。

 クロマはゼブライカの背に揺られて何日、何十日と移動しながら、こちらをいつまで経ってもあざ笑ってくる、時に逆に仕留めようとさえしてくる敵の優れた能力を理解しようした。「ほぼ2年経って、こいつを捕まえるのは絶対に無理だと思うようになった」とクロマは書いた。「こいつがどうして的確に罠を察知するのか、未だにどうしてもわからない」

 ただし、ゲーチスが新月から数日をずらして活発になるのに気づいたこともあった。新月の日こそ、最も農場主たちが警戒することを分かっていて、だからこそゲーチスはそんな、牧場主の警戒が緩んだタイミングで狩りをする。「わたしは牧場で辛抱強く待つことにした。ゲーチスがまだ辺りで獲物を捕まえていれば、必ず牧場に肥えた肉を獲りにやって来る自信があった。訓練させたアローラのジュナイパーと、ガラルのインテレオンを昼の内より牧場に幾日も紛れさせた」。春の、新月の四日前、ゲーチスはバッフロンを獲ろうとやって来た。その六つの翼の幾つかが射抜かれた。片足を失っていたゲーチスは逃げるより返り討ちにしようと流星群を放とうとしたが、クロマのウインディとマニューラがそれに近付き、的確に仕留めた。

 各種ポケモン愛好家と自然保護主義者は、最早数えるほどしかのこっていない野生の捕食ポケモンを追いかける男の話に背筋を凍らせることだろう。

 

 だが、クロマが残したものは、そんな簡単な話では終わらない。50年程前に野生ポケモンの、特に捕食ポケモン達を狩猟する事が禁じられた。すると、野生ポケモンの絶滅を防ぐ為の局はクロマを雇って、かつては絶滅させようとしたこともあったサザンドラやゾロアークなどがイッシュやその近辺で生き残っているかどうか調査した。すると、各地域で計15匹ほどずつ生息しているのが判明した。この事実から全体ではそれぞれ40匹ほど生息しているのではないか、とクロマは推測したが、野生環境でこの種を救える可能性は皆無だと思ったという。

 翌年、彼はモノズを5匹、ゾロアを4匹捕獲し、イッシュのチャンピオンによる飼育下繁殖プログラムのためにカナワに運んだ。繁殖させた個体を野生環境に還すのが目的だった。「控えめに言っても、現実主義のチャンピオンを理想主義で博愛主義のチャレンジャーが打倒した事が転換点だった」とクロマは語った。「人や利益の為に害となるポケモンを駆除を容認してきたリーグが、一転して保全へと動き始めたのだから」

 長年の政治論争、リーグのごたごた、個体数の現象、保全活動を経て、現在イッシュには複数の群れの、占めて100匹前後のゾロアークとサザンドラが生息している。この数はイッシュが保全活動を開始してから最多だ。これらの個体は全て、わずか8匹の子孫だ。クロマの捕獲してきた系統は遺伝的多様性が他より大きく、現在の個体群の遺伝的祖先の6割超を占める。

 当然ではあるがWPFに雇われたとき、クロマは絶滅の危機に瀕している種を救った中心人物というよりは、恐怖の追跡者として名を馳せていた。逆説的だが、だからこそ、数世紀に及ぶ虐殺を生きのびられた捕食ポケモンを見つけだせる者がいるとすれば、彼をおいてほかにない。

 クロマはウインディやマニューラなどを引き連れて、イッシュから遠く離れた北部までを調査した。チャンピオンリーグのその先の、氷に閉ざされたような極地に辿り着くまでをくまなく渡り歩いた。捕食ポケモンそのものは目撃しなかったが、その痕跡は見つけた。「多くはない。数えるほどだ」と後に語っている。翌年も同じ調査を実施した。名も付けられていない寂れた小さな湖の近くで、ウインディが1匹のゾロアークを木に追いあげた。年老いた雌で、虫ポケモンの毒に犯された痕が多く、ひどいありさまだった。一度も出産を経験したことがなさそうだった。山沿いの斜面で、モノズやジヘッドの干からびた死体が幾つかあるのを見つけた。野生のサザンドラは子育てをしないことは分かっていたが、チャンピオンリーグより北では、モノズなどが親の庇護なしに育つことは難しいようだった。後日、洞穴の中でやせ細ったサザンドラをマニューラが見つけた。それは、サザンドラらしくなく、唐突に訪れたマニューラやクロマに対して怯えるばかりだった。

 クロマは生物学者たちに、足跡、糞尿、また幻影の見破り方や流星群の特徴的な傷跡など、主にゾロアークとサザンドラの痕跡の見つけかたを伝授しはじめた。その結果もあって、クロマを含む生物学者たちは、サンギの近くで2匹生息している痕跡を発見した。彼らの調査から、20匹から30匹はまだ生きていて、シキジカやコラッタ、ズバットやコロモリなどを捕食して生きているのではないか、と思われた。近年にクロマはこう離している。「まさか、見つけられるとは思わなかった。人口密集地帯がすぐ近くにあるところだったから、生き残っているとわかったときは心底驚いた」

 この発見が、ゾロアークやサザンドラを代表とするイッシュの捕食ポケモン達を絶滅から守る計画へとつながった。

 

 霧が立ちこめる冬のある朝。わたしはソウリュウシティにて、ジムリーダーであるシャガと顔を合わせた。優れたドラゴン使いであり、そして何よりソウリュウシティの市長ある彼は、白髪と、白く立派な髭を生やした壮年の男だ。イッシュに住んでいればテレビで見る事も多い彼は、その日はしかし、テレビの中の格好とは異なり、やや分厚く、見るからに頑丈なサバイバル向けの服を着ていた。

 シャガは腰に携えたモンスターボールからサザンドラを表に出した。出された瞬間に強く咆哮をしたサザンドラは、その直後シャガへと襲いかかった。だが、シャガはそれをまるで当然のように受け止める。それからサザンドラが凶悪な笑みを浮かべたかと思えば、シャガの顔をべろりと舐め上げた。一連の行動は、手持ちのドラゴン達と生身でトレーニングをするという彼のルーチンワークであり、テレビの中で見た事も幾度とあったが、実際に目の前で見ればそれはとても迫力が違うものだった。また、それからわたしに気付くとその表に出していた凶暴さを一瞬にして内に隠して礼をする。それもやはり、文献の中で見るような見るもの全てを喰らい尽くすようなサザンドラとは全く異なるものだ。「こいつは他の地方で様々なドラゴンと血を交わらせたサザンドラではなく、このイッシュにて生きてきた血のみを受け継いできた、正真正銘のサザンドラだ。過去にオノノクスと交わった事くらいはあるかもしれないがな。──とにかく、だ。こうしてモノズの頃から愛情をもって育てれば、人と共に在る事は全く難しくないと今となれば判明しているが、しかし、私はそれでも、過去の行いが全て間違っていたとは言えない」。シャガは複雑な表情を表に出しながら言った。また、わたしもウォーグルを出して空を飛ぶ準備をした。その間、シャガが私に無線機とアンテナを渡してきた。日が昇って太陽の熱で霧が晴れたら、わたしたちはチャンピオンロードへと向かう。この飛行の目的は、無線機をつけた野生のサザンドラを見つけることだった。

 シャガはジムリーダーや市長となる以前から、こうしてサザンドラと共に空を飛んで無線信号を聴いている。ドラゴン使いの家系に生まれた事もあってか、学校に在籍している頃からこの活動をしている。「今のチャンピオンロードに生息しているサザンドラも、歴史の文献に残っているサザンドラとは完全に別物と言っていい。絶滅間近まで追いやった人間に再び数を戻された、数々の捕食ポケモン達は、それを代を通じて理解している。だから、動いているものを見るや否や流星群や破壊光線を放ってくる事もない。また、近年のプラズマ団──ゲーチスの影響で、他の地方から連れ込んできたポケモンを放してしまう人達もいて、今まで保ち続けていた他の地方の血が混じらないサザンドラもいなくなるかもしれない。だが、日々を闘争の中で生きている事も、太古のイッシュの空の覇者であった事も変わりはない。私達は十分な距離を取り続ける必要がある」

 通常の飛行パターンは、ポケモンリーグまでのチャンピオンロードの全体を、周りの鬱蒼と茂る森林も大きく含める形で2周する。シャガはそれを週2回行っており、またそれは市長やジムリーダーの業務よりも優先している。無線機を付けたサザンドラを見つけると、それをスマホロトムを通じて数分の間撮影する。昔は重たいビデオカメラをシャガ自身が担いで撮影していたという。またサザンドラの健康状態は無線信号から確認することができ、場合によってはスマホロトムで地上部隊へと連絡が走る。

 チャンピオンロード全体で無線機つき首輪をつけているサザンドラは20体ほどいる。これによって研究者は移動や繁殖、闘争から死亡までのデータを継続的に入手し、個体群の全体像を把握することができる。

 装備の最終点検を行った後に青空が広がって離陸可能になると、わたしとシャガはそれぞれウォーグルとサザンドラの背に乗って空へと飛び立った。主人を乗せたサザンドラは、一転して真面目な顔になる。背にしたパラシュートが幾度か役に立った事があるという危険性を幾年も付き添ってきたサザンドラも理解していた。わたしのウォーグルもそれを見て、いつにない至極真面目な顔をした。地面が離れていく間、ドリュウズの痕跡と見られる、土を掘り起こした跡が街のすぐ外に見えた。ドリュウズもまた開拓時代において、牧場の邪魔になるとの事で駆除され、大きく数を減らしたポケモンの一種だった。保護によって数を回復させる必要が起きるまでの、絶滅に瀕することまではなかったが、その過去を連綿と受け継いでいるのか、野生のドリュウズは未だ人を避ける、警戒する傾向が強い。

 野生において育ったサザンドラは、ポケモン図鑑に記された身長、体重より1割ほど大きい。また、野生のサザンドラは単独行動を貫く。獲物を捕まえる時も寝る時も群れない。繁殖期になると偶然出会った雄と雌がどちらが優位であるかをまず、壮絶な戦いをした上で決める。その時、どちらかが死ぬことも少なくない。そして勝った方が3日から5日の間昼夜を問わず好きなようにしたあと、別の道をいく。また、雄雌共に子育てをすることはなく、生まれたモノズは最初から弱肉強食の中に捨て置かれる。だがそのような基本的な生態こそ変わらずとも、イッシュの中で純血を保っていても、王国があった頃のサザンドラはもうこのイッシュにはいない、というのが研究者たちの共通認識だ。

 とあるカナワ付近の牧場において、古くに討ち倒されたサザンドラの骨が今もなお針金で縛られており、そこから身長、体重を逆算したところ、2.5mと350kg以上はあったとされている。それは、今の平均の5割増しだ。また王国の歴史を紐解いたり、開拓史におけるサザンドラとの闘争の記録を確認すれば、誇張されているにせよ、今のサザンドラとは異なり過ぎている。カナワにおいて保護され、個体群も大きくなって再び今のチャンピオンロードに放された後でも、開拓史におけるサザンドラのような──目に見えるもの全てを食らうほどの凶暴性や、全ての個体が流星群のような、ドラゴンの中でも優れた個体のみが扱える技を当然のように放ってくること──は代をどれだけ経ようがなかった。しかしそれでもサザンドラはすぐにチャンピオンロードの王者としてすぐに強い存在感を露わにし、一時はほぼ絶滅したとまで言われる程の個体数を順調に回復し続けている。

 だがしかし、繁殖を続けるサザンドラはチャンピオンロードだけではなく、セイガイハやカゴメ、ソウリュウの近くにもその翼を伸ばしつつある。その6つの翼に加えてドラゴンとしての力で浮遊することもできるサザンドラの活動範囲は広く、総数としては3桁に届くかどうかという数であるのにも関わらず、人の生活圏との衝突を起こし始めていた。直近ではサザナミでその無線機つきの首輪をつけたサザンドラを確認されたことがあった。シャガによれば「わたしがこの調査を始めたときに比べると、個体数は3倍以上になった。だが、そのせいで過去の過ちを再現してしまうようなことが起き始めている」

 

 シャガは、無線機つき首輪をつけたサザンドラを監視することに加え、サザンドラと優れたポケモントレーナーでない市民との接触をできるだけ減らすことにも時間を費やしている。それもあって幸い、チャンピオンロードを踏破していくような、バッジを8つ手に入れた優れたポケモントレーナー以外とは交戦したことがない。「私が最後の門番だからな。チャンピオンロードを根城とするサザンドラは自らポケモントレーナーに戦いを仕掛けていくほど好戦的でないにせよ、彼らに負けてしまうようなトレーナーはまず通さないようにしている」とシャガは話す。だが、心配していないわけではない。彼はアイリスの事をよく話す。「私は年老いて身体も少しずつ思うようには動かなくなっているが、まだ、この責務をアイリスに引き渡すにはいかない。彼女はあの歳でイッシュのチャンピオンになる程に才能があるが、このイッシュの歴史の隅々までを受け止められるほど成熟してはいない」。市長室にはアイリスがチャンピオンとなった時の写真が飾られていた。写真では、激戦を戦い抜いたサザンドラが傷だらけながらも、満面の笑みでアイリスに抱きついていた。「彼女は、未だ本気で、全てのポケモンと全ての人間は分かり合えると信じている。だが、それは不可能だ」

 サザンドラは、今や様々な地域でポケモンバトルに引っ張りだこなポケモンだ。その特殊攻撃の高さから放たれる流星群を耐えられるポケモンは早々におらず、空から降り注ぐ流星の如きエネルギー弾は観る者の目を釘付けにする。またその育成難度から一流のドラゴン使いとしての証左としても扱われ、側に置いているだけで尊敬の眼差しを得られる。だがしかし、それはあくまで、他の地方において様々な種族と血を交わらせたサザンドラや、このイッシュにおいて虐殺の歴史をその血に刻んだサザンドラに限られる、とシャガは断言する。「カナワ付近の牧場にて古くに討ち倒されたサザンドラは、保護プログラムが開始し、代を経てその凶暴性が少しながら和らいでいった以後の個体だった事が分かっている。しかしそれは先祖返りしたかのように、唯我独尊の体現者そのもののように、全てを荒らして回った。私は、この時代にそのサザンドラが現れたとして、駆除しない方針は多分、とれないだろう」。そしてまた、サザンドラはテレビの中でこそ、また人の下にいるからこそ存在を許容されている。もし、自宅の庭にサザンドラが現れたとしてそれを許容できる人間はとても少ない。実際、それを起因とした事件は既に何件か発生している。あるポケモントレーナーは、自宅近くに現れたサザンドラを所持していたポケモンに命令して殺し、罰金と懲役を科された。「こいつらが気に食わない」とそのトレーナーは言った。「いつか人間を襲う」

ポカブ

  • Schweinemett
  • Weißwurst
  • Bratwurst
  • Frankfurter
  • Currywurst
  • Regensburger
  • Deutsche Salami
  • Blutwurst
  • Bierwurst
  • Leberkäse
  • Bierschinken
  • Fleischwurst
  • Wiener Würstchen
  • Gelbwurst
  • Mortadella
  • Fleischwurst
  • Räucherschinken
  • Lachsschinken
  • Sülze
  • Speck
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