チートそうでチートじゃない、けどあったら便利。そんな個性   作:八神っち

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 すまっしゅの心操くんが不憫すぎて笑える。


ヒーロー名を決めろと言われてもねぇ

 休み明けの登校中の事である。雄英の体育祭で注目を集めたせいか心操共々道行く人に声を掛けられる。

 一応は愛想良く返したけど……壊れた時計を見せて直してくれと一人に言われ、それを皮切りに○○を直してくれと完全に修復屋扱いであった。知ってた。

 

「まだヒーロー免許持ってないので私的な個性の使用は出来ないから諦めて下さい」

 

 このセリフを何回言った事か……私の場合目立たない方がよかったのか?と少し後悔する。何通かラブレターらしき物を渡されたりもした。受け取らなかったが。

 学校着くころには完全にぐったりしていた。

 

「愛想良く返すのってめんどくせぇ……」

「君の場合は個性が個性だから仕方ないな」

「心操も悪いな。壁になってくれて助かった」

「別にいいよ」

 

 机に座りぐでーとしてるとクラスメイト達からも状況を理解されてか「委員長お疲れ」コールが飛び交う。ありがとう。

 朝のホームルームで職場体験について話があった。1年普通科は普通科で40の事務所等を抑えてあるらしい。

 5時限目でその事務所一覧と一応スカウトの結果を発表したり注意事項を確認した後にヒーロー名を決めるとの事。

 

「ヒーロー名ねぇ……普通科に必要か?」

「仮にもヒーローの名門校だ。編入とかもある以上必要だろうさ」

「てか委員長このままだとヒーロー科編入ほぼ確実じゃね?」

「むしろ委員長なんでヒーロー科じゃねえの?受けたんだろ?」

 

 クラスメイトの視線が集まる。えー説明しなきゃいけなのか……

 

「試験方式が機械の仮想ヴィランを倒せって内容だったのは知ってるな?当時の私って今みたいに「相手を倒す」って事を考えるタイプじゃなかったんだ。物壊すのにも抵抗あるし……だから他の連中が壊した市街地を直して行ったんだが、まぁ隠しポイントすら入らず0Pで見事に不合格だ」

「へー委員長昔からあんな感じかと思ってた」

 

 あんな感じってどんな感じだ。地雷投げたり壁投げたり閃光弾投げたりか?

 

「そんな訳でこうして前もって受けてた普通科に入りましたとさ」

 

 説明終わり!閉廷!

 

 

…………

 

 昼休み学食に向かう途中で蛙吹に捕まった。そしてA組席へと連行される。

 

「おーす。体育祭お疲れさん。飯田も大丈夫だったか」

「ああ。俺は問題無いさ。心配かけてしまったな」

「なら良い」

 

 学食に通っている内に何故か決められてしまったA組指定席に着きうどんを啜る。

 

「物見はヒーロー名とかもう決めてんの?」

「スカウトからの指名どれだけ入ったの?」

「その事については私達は5時限目に話されるな。A組はもう決まったのか?」

「ヒーロー名は決めたよ。初め青山くんと芦戸さんのせいで大喜利になりかけたけどね。物見さんはどんなヒーロー名にするの?」

 

 緑谷が無邪気に尋ねてくる。他の連中も視線を向けて来る。今日はこういうの多いな……

 

「妖怪地雷投げ」

 

 ポカンとされた。不評だったか。

 

「冗談だ」

「モノミンって真面目そうに見えて割とボケるよね」

「どこか抜けてるわね」

 

 蛙吹の言葉にA組女子がうんうんと頷いている。そんなにかそんなに服装から色々判断したのか。

 

「お前達としてはどんな案があるんだ?」

 

 一応聞いてみる。

 

「修復姫」

「モノミン!」

「リペアティはいかがでしょう」

「ヤオモモそれ自分の奴とお揃いにしようとしてるでしょ」

「ピクミン」

「壁ガール」

「物見のは壁とは正反tぐわぁ!」

「直っぱい」

「てか物見は昔からのあだ名とかねーの?」

 

 上鳴が折檻されている横で切島が聞いてくる。

 

「あるにはあるが……あだ名と言っていいのかアレは」

「何々!!」

「便利屋」

「あーうん。物見さんの個性考えるとそうなるよね」

 

 苦笑いの麗日他全員が納得してしまった。そうか必然的なあだ名だったのか。あだ名から決めるのは無しになってしまった。

 

「まあクラスメイトの案聞いてるうちに何か思いつくだろ」

 

 そう楽観視した。

 

 

…………

 

 5時限目に入り初めに職場体験がどんなものかとスカウトの票数が期待値だという前置きがありスカウト数が発表された。

 

物見:1809

心操:5

 

 ………差ありすぎじゃね?てか他の人のは?0?マジで?

 

「委員長ぶっちぎりじゃねーか」

「体育祭での活躍見れば納得だなー私は」

「ちなみに物見さんは1年全学科中で3番目に多い獲得数よ」

 

 補助のミッドナイトから補足が入る。クラスメイトは自分の事の様に盛り上がっていた。

 

「これが雄英の体育祭で活躍するという事よ。あなた達も将来の為にも頑張りなさいね」

 

 あとでリストを渡してくれるとの事。続いて職場体験用の「ヒーロー名決め」が行われる。人数分のフリップが回って来て書けた人から発表していく流れらしいが……

 

「じゃあ物見さん。委員長として1番乗りして見本になってちょうだい」

 

 まさかの名指しで1番目に命じられた。周りからの期待の視線がヤバイ。この流れ今日で4回目だぞ。

 うーむ………………難しく考えてもダメか。

 

「これでいいか」

 

 特に面白味の無い名になってしまったがいいだろう。フリップを持って壇上に立つ。

 

「それじゃあ物見さん。発表どうぞ」

「はい」

 

『修復ヒーロー 2R』

 

 皆修復ヒーローは分かるが2Rが何なのかってなっている。

 

「ほらゴミの3Rってあるだろ?リサイクルとかの。あれから取った。私の場合内容自体はリユース(Reuse)とリペアー(Repair)だが」

「いいわね!物見さんらしい真面目な名前!」

 

 ミッドナイトから合格を貰った。やったぜ。私の発表を皮切りに続々とクラスメイトがヒーロー名を決めていくのであった。心操のヒーロー名?知らんな。




 戦闘中心の轟・爆豪とは全く別の方向からの指名が多いだろうなと思いこの得票数にしました。
 心操はもう少し衝撃に強くなれば街中で紛れ込んでるヴィランをピンポイントで引っこ抜けるから普通に活躍できると思うんですよね。あとは人質とって立て籠って叫んでる奴とかもカモになるし。
 2Rでツーアールと呼びます。


 もしも試験で主人公が普通に「相手を倒す」だけをした場合ヒーロー科に入れた「かも」しれないですが、学食無料と物資取り寄せが無しになってました。
 市街地を凄まじい速度で直して行くという実績を見せたからこそ学校側も主人公に設備の修復を依頼したワケですからね。

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