チートそうでチートじゃない、けどあったら便利。そんな個性   作:八神っち

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 今週のジャンプで心操くんの居る普通科がC組である事が確定しましたね。


いざ職場体験へ

 都心にある個性的な角のオブジェクトが座すヒーロー事務所だった建物。そこが私の職場体験先であった。

 

「……帰っていいですか?」

 

 そう呟いた私は間違いではないだろう。就職の際に優先してくれるらしいから来たんだが。正直後悔している。

 

「待って!帰らないで!お願いだから!」

「そうだぜ物見!オイラからも頼むからよ!」

 

 一緒に来た峰田と事務所の他の人からも懇願される。

 

「分かりましたから。帰りませんから……峰田は少しずつ近づいてくんな。足にしがみつこうとすんな」

 

 どうしてこうなった。そう思いながら私は事務所だった建物に個性を使うのであった。

 

「私が来たからって感情的に個性使わないで下さいよ……Mt.レディさん」

「仕方ないじゃない!本当に嬉しかったんだから!」

「オイラも嬉しかったぞぉ!」

 

 一瞬で元通りになる事務所に職員から歓声が上がる。会計士の人に至っては「再建費用取らなくていいの……?」と泣き崩れていた。そんなにか……。

 出会って5秒で事務所を壊して出来なかった自己紹介を溜息の後に始める。ヒーロー名は……いいか言わなくて。

 

「雄英高校1年普通科、物見直。今日からお世話になります」

「同じく雄英高校1年ヒーロー科、峰田実。お世話になります」

「峰田さんに物見さんね。今日からよろしくお願いするわ!特に物見さん!」

 

 名指しで歓迎される。そりゃあんな怪文書送る位だからな。

 

「私の事は指名ありきだからな。峰田は峰田でぼちぼち頑張れ」

「へっ!こんくらいでへこたれねぇって!」

「あっそう」

 

 なかなか個性的なヒーロー衣装を着ている峰田を励ますが、あんまり意味は無かった様だ。ちなみに私というか普通科にヒーロー衣装なんぞ無いため雄英の制服と体育祭で結局貰える事になったポーチを付けて来ている。

 

「それじゃあヒーローが具体的にどんな実務かの説明を始めるわよ」

 

 そう言ってMt.レディから「ヒーロー」という職業のレクチャーが始まる。

 扱い的には公務員で基本的な仕事は犯罪者の取り締まり。地区毎に警察から要請が来てその働きによって給料が振り込まれるとの事。

 また副業可であるとのこと。これは市民の支持を得ていた名残だそうだ。

 

「と、こんな所よ。警察からの要請を待つか外を見回りパトロールをするかはその人次第ね」

 

 ちなみにというかやっぱりというかMt.レディは見回りが多いらしくこれから私達を連れてパトロールをするとの事。

 

「うーん……にしても」

 

 私を見て何か言いたげなMt.レディ。

 

「貴女の服装やっぱり地味ね」

 

 何故制服を地味服扱いするのか……いいじゃん制服。

 

「ヒーロー目指すなら目立ってなんぼよ!だからそんな地味な服装止めて派手目に行きなさい!」

 

 開け放たれる事務所のクローゼット。Mt.レディの衣装の他なぜそんな服がって物が多数。横で峰田も興奮気味に煽っている。

 

「私のサイドキック候補なんだから!ほら!」

 

 いつの間にかサイドキック候補だったらしい。様々な衣装を持って近づいてくる。あれなんだろうこの既視感。ズルズルと更衣室へと連行されていく。

 途中峰田が覗こうとしたので蹴りを入れた私は悪くない。

 

…………

 

「来るの止めときゃよかった……」

 

 そう呟いて外を見回っている現在の恰好はまごう事無きメイド服であった。何でこんな服あんの?馬鹿なの?死ぬの?

 普段は結わずに放置している髪も絶賛ポニテ中であり、顔にも多少のメイクが施されている。八百万とキャラ被りである。

 Mt.レディのファンと思わしき連中が見回り中の写真を撮る中、目についた私の撮影も良いのか聞いてくる。

 

「嫌です」

 

 恐らく良い笑顔がそこにあっただろう。人だかりの出来た3日間で習得した謎技能「笑顔で威嚇」である。声は甘そうに言うのがポイントだ!

 あっそっすかーって感じで私の前から離れていき、再度Mt.レディの撮影に戻る。聞き分けの良いファンだな。

 

「えーせっかく目立てるチャンスなのに」

「こんな衣装で目立ちたくねーよ。いやこんな衣装のせいで目立ってるんだがな」

 

 見回りながらも色々と買い物をしているせいで荷物持ちと化している峰田に愚痴る。ちなみに私も少しばかり荷物を持っている。

 そんな撮影現場を眺めているとMt.レディの通信端末に連絡が入り表情を変える。

 

「ヴィランが近くに出現したわ!行くわよあなた達!」

 

…………

 

「ヴィランを捕捉したわ!あなた達は避難誘導をお願い!」

 

 大通りのど真ん中に居るヴィラン。すでに数名のヒーローが応対しているが中々どうして決着が付かない。私達は指示通りにMt.レディが来たことを伝えてより遠くに下がるようにと促す。

 

「いいわね!いいわね!美味しいとこ取りしちゃうわよ!」

 

 Mt.レディが個性を使い巨大化。他のヒーローを巻き込みかけながらもヴィランを踏みつぶして一撃K.O。そこまでは良かったのだ。

 私達に勝利を伝えようと振り返った瞬間に油断して肘がビルに当たってしまう。

 

「あっ」

「………はぁ」

 

 やっちまったって顔のMt.レディ。溜息と共に崩れ始めるビルに個性を発動。次の瞬間に直るビルに安心顔である。てか笑顔である。

 

「ありがとー!」

 

 ブンブンと手を振るMt.レディに内心ひやひやしながらも手を上げて返す。そんなやり取りを見た周りの人達は私の正体?に気付く。

 

「あっ!雄英体育祭の1年の!」

「ああ!えーとえーと何だっけか」

「ものなんとか!」

「物見だよ!物見直!いやーこっちに来てくれてたのか!」

 

 ヤバッ………私の知名度高すぎ……?観客に囲まれてしまう。

 

「これでMt.レディが来てもハラハラせずに済むな!」

「彼女なら安心だ!いやーよかったよかった」

「Mt.レディの手綱しっかり握っててくれよ!」

「体育祭の活躍見てたぞ!プロになったら応援させて貰うぞー!」

「メイドヒーロー万歳!」

「いやっ!私別にメイドヒーローじゃ……」

 

 周りからのメイドヒーローの大合唱。身から出た錆とでも言えばいいのかこの場合。てかMt.レディの市民評価の低さにビックリだよ!

 

「メイドヒーロー万歳!モノミン万歳!」

 

 おいコラ峰田お前まで参加してんじゃねぇ。あー周りもモノミン呼び始めやがった!おいカメラ止めろ!ええい動画アップしよじゃねーよ!

 そんな私だけ頭を抱えたまま初のヴィランとの遭遇は終わったのである。

 

 

…………………

 

「いやー助かった助かった。ありがとうモノミンさん」

 

 事務所に帰って来てメイドヒーロー元凶のMt.レディからからかい半分でモノミン呼びである。今はいいけど将来絶対キツくなる名前だよ、ほらどっかのアイドルのウサミn

 

「その呼び方止めてください。それでこの荷物は?」

 

 服の他に多数の小物や食料品を買い込んでいた。

 

「服はクローゼットの近くに置いといて。食料品は下の階に冷蔵庫あるからそれに入れといて。物見さんはその食材好きに使っていいから」

「分かりました。峰田ーイクゾー」

 

 テッテテステテーン(カーン)

 

「さてヒーロー業務の1つに報告書の作成もあるから事務員さんに教えて貰ってて。私は汗かいたしお風呂に行ってくるわ」

 

 事務員に丸投げとは……それでいいのかヒーロー。峰田が風呂と聞いて何かソワソワしてやがる。集中しろよ。

 

「ではよろしくお願いします」

「こちらこそよろしくね物見さん。初日から大活躍だったじゃない」

「ただビル1つ直しただけで大袈裟な」

「いやフツービル1つ直せねーぜ?」

 

 峰田からツッコミを貰う。どうやら雄英入学してから感覚が大分狂ってしまっている様だ。だって雄英はビルの3棟4棟の修復が当たり前だったんだぞ。

 

「まさかMt.レディが個性使って修繕費無しの日が来るなんて……あっごめんなさい。報告書の作り方だったわね。まずは……」

 

 感極まった様子で書類の作り方を教えていく事務員さんの姿がそこにはあった。




 修復ヒーロー2R(1度も名乗らず)改めメイドヒーローモノミン爆誕。
 メイド服がどんなタイプかは想像にお任せします。
 主人公の心操と峰田の扱いの差である。是非もないネ!
 Mt.レディのいい略し方ないかなと思案中。
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