チートそうでチートじゃない、けどあったら便利。そんな個性   作:八神っち

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 前話の「雄英の試験にがっかり云々」にMt.レディは同意してない事を覚えておこう。


メイドヒーロー(不本意)の朝は早い

 翌日5時早朝にセットした目覚ましが鳴り起床する。事務所自体は9時に来ればいいのだが私としてはやりたい事もある。

 最低限の身だしなみを整える。ふむ髪色もほぼ変化無しか。ビル1つだけだし当然だな。

 

「時間は1時間位でいいか」

 

 雄英の体操服に着替えてのランニングである。こればかりは個性の為にも欠かす訳にはいかない。

 

「つってもこの辺の道あんま詳しくないんだがなぁ……昨日の内に緑谷にでも聞けばよかったか?」

 

 一応昨日の買い物兼パトロールで周辺の案内自体はして貰っているがそれでも1回で覚えられる訳ではない。

 

「走っている内に覚えるか」

 

 自分に言い聞かせて携帯のタイマーを30分毎にセットしランニングを始める。

 見慣れない街並みを新鮮に感じていると声を掛けられる。

 

「おっ珍しいな。こんな時間に雄英の女子生徒とは」

 

 振り返るとそこにはガタイの良い黄色と黒の警戒色のバイザーが特徴的な男性がいた。えーと誰だっけ?顔はどっかで見た事あるんだが……まあとりあえず挨拶だ。

 

「おはようございます。昨日から職場体験でMt.レディの事務所に来ました物見直です。貴方は?」

「物見って……ああ!体育祭の時の普通科の娘か!っと俺はデステゴロって名前でヒーローやってるモンだ」

「デステゴロさんですか……ってああ思い出した。確か雄英の警備に来てた人ですよね?」

「おう確かに来ていたぜ」

 

 良し合ってた!あのバイザーと手首の腕輪?がやけに特徴的だったんだよな。

 

「それで物見さんは早朝からランニングか?」

「はい。私の個性的に必要不可欠なので」

 

 体育祭の終わり際のスタミナ切れで体力不足と自己管理の不出来を痛感した。動きながらの復元の消耗を舐めていた。来年を考えるともっと体力が必要になるだろう。

 

「そういやMt.レディが体育祭でのパフォーマンスを見て欲しい欲しいってずっと言ってたな」

「やっぱりそうだったんですね」

 

 じゃないと3枚に渡る怪文書を送って来ないだろうし。その後は見回り中だと言うデステゴロさんにも街の案内をして貰いながらランニングを行った。あっMt.レディの本名をこの時初めて知った。

 

 ランニングから帰って来てシャワーを浴びる。そしてコスチュームにされてしまったメイド衣装(昨日とは別の奴)を着て髪を結い自分の分の朝食を作る。

 朝食を作っていると宿直の人が起きて来て挨拶を済ます。

 

「朝食いりますか?」

「いる」

 

 短い返事を頂く。2人分の朝食を作り共に食べる。その間に今日はどんな仕事があるのかと色々と質問をしてしまった。

 

 

…………

 

「おはよー!」

「ぜぇぜぇ……おはよう……ございます」

 

 割と出社時間ギリギリにやって来た峰田とMt.レディ。てか峰田が疲れ切っている。手には荷物を持っているし……パシらされたな。

 

「おはようございます。峰田も……まぁなんだ?とりあえず一杯飲むか?Mt.レディさんもいりますか?」

「いる……ああメイドが居るだけで幸せだぜ」

「私は朝食もお願い。食べてないのよ」

「わかりました。峰田も朝食いるか?」

「いる」

 

 2人前追加ー。

 

 

…………

 

「今日から午前中に物見さんと峰田くんの戦闘訓練をしてあげるわ」

「戦闘訓練ですか?」

「ええ。体育祭で個性については分かったけど素の戦闘力は知らないし、どれくらい戦えるのか知っておきたいのよ」

「わかりました」

「わかったぜ!」

 

 そして移るのは事務所内にあるトレーニングルーム。何でもあるなこの事務所。

 コスチュームに着替えたMt.レディの指示の下、まずは私と峰田で戦って見ろとの事。個性の使用は無しである。

 

「よろしく頼むわ」

「おう!手加減しねーぜ!」

 

 さて何やらいやらしい手つきであるが……気にしないでおくか。ボッコボッコにしてやんよ!

 

…………

 

「勝負あり!勝者峰田くん!」

 

 峰田にも勝てなかったよ……てか普通に強かった。いや私が弱すぎた。攻撃が当たらないわ体から離れないわ転ばされるわで完敗もいいところだ。

 

「物見さん貴女……」

 

 Mt.レディが呆れている。

 

「素手の戦闘は完全に素人ね。逆に峰田くんは小さい体でも使い方が巧いわ」

「ヘヘン!伊達にヒーロー科じゃないぜ!」

 

 圧倒的経験差。それが顕著に現れる試合であった。

 

「物見さん。貴女はダメダメね。動きが全く成ってない」

 

 ぐうの音も出ない。

 

「とにかく戦闘経験と基礎が足りてないわ。これを乗り越えないとプロヒーロー……いえヒーロー科は厳しいわよ」

「そんなにですか」

「そんなによ。今のままではいくら個性を使いこなせた所で将来詰まるわ。だからこの事務所に居る間に基礎はある程度叩き込んであげる。普通科には教える人居ないんでしょ?」

「残念ながら」

「峰田くんもたっぷりシゴくわよ。楽しみにしててね」

「はいっ!」

 

 おーい峰田よ私も一応女性だから察しているがその顔は危険だぞ気をつけろ……言わないが。

 

「先輩プロヒーローからこれだけは言っておくわ、ヒーローはあくまで「ヴィランを倒す為」の職業よ。どう回り道をしてもこれは求められるの。倒せませんじゃ済まされない!いいね!」

「はい!」

 

 まるで過去の私に言っている様に聞こえる。そんな気分だ。

 

…………

 

 昼前までみっちりと絞られた後に昼食の用意をする。というか私が作る。

 

「悪いわねー物見さん」

「いえ体験させてくれるお礼ですよ」

 

 峰田はどこかへパシられている。作り終わる頃には帰って来たが。




 Mt.レディとミッドナイトの口調がごちゃ混ぜになってしまっている感。
 主人公は復元無しの素手の戦闘になるとクソザコです。てか体育祭は奇襲奇策と便利個性で乗り切っただけですからねー。
 Mt.レディとしてはヒーロー科に行って欲しいからこそ厳しく言います。

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