チートそうでチートじゃない、けどあったら便利。そんな個性 作:八神っち
前回の話にあった個性は縛りがキツいと言われたので、それなりに緩くしてみました。
心操とのコンビを結成してから数日。お互いの個性のより細かい把握に時間を使っていた。
「物見の髪の色って見る度黒と白の割合変わっていたけど、そんな理由だったのか」
「本来は黒一色なんだがね。個性が発現してから本当の黒一色は自分でもあまり見ないな」
成長してから個性を限界まで発動する機会はあまり無い。今でもヴィランに会わない様になるべく人通りの多い場所を行き来していたし、公の場での個性の発動は法の通り最低限の範囲でしかしていない。
突発的にヴィランに遭遇した場合はすぐには直せない場所(線路や道路)や襲われた人の衣服や所持品等を即座に直しその場を離れる。
「真っ白な時は大抵何かあったって事かい?」
「そういう事になるな」
「割と真っ白になっている事が多いのは?」
「知らん。なぜか行く先ではヴィランの襲撃が多いんだ。中には私を目がけて襲ってくることもある。綺麗な人なんてそこら中にいるだろうに」
このロリコン共め!
「君は自分の容姿の自覚は無いのか?」
「一般的な中学生と同じくらいと自負しているが?」
「そう思っているのは君だけだ」
髪の長さは個性の関係上腰の辺りまで伸ばしているが、それ以外は平均より少し高いか大きいくらいなハズだ。最近やたらと胸に視線を感じたり、他の女子に触られたりする機会が多いが気のせいであろう。
「まあ、そんな平均女子に体力で負けるのは如何なものかね、心操よ」
この個性の発動には体力が不可欠である。発現2日目でその事を察したので鍛えた以上体力には多少の自信がある。
「体力必要な個性なのに6車線道路50メートルを当たり前の様に修復するお前には勝てる気がしない」
「4階建てビル丸ごと1つ修復するより遥かに楽だ」
「サラッとビルを単位とするなよ。てか修復したのか」
割と最近であるがな。あ、1つ聞きたい事があるんだった。
「心操。君はその個性でどんな職業をしたいんだ?」
尋ねると心操は少し目を見開きそして顔を伏せる。10秒ほどタメを作り呟く。
「ヒーローだ」
そう言う心操の顔は少し哀愁が見え隠れする。同級生からヴィランみたいな個性だと遠回しに言われているのはよく話を聞く。人前でそのような夢を語っていないのはタメから想像できる。
「そうか。ならばコンビとしてその夢を全力で応援しよう」
しかし、その顔に声に哀愁はあれど諦めは無い。ならば背中を押すのが道理だろう。
「それは同情かい?」
「まさか。夢を語る相手に同情なんてするか」
それにだ
「お前の個性は確実にヒーロー向きだ……いいや違うな」
個性の問題ではない。ならばこう言うのが適切だろう。
「お前はヒーローになれる」
他者の言う通り確かに悪い使い方も沢山あるだろう。だが、それを良しとせず正義の為に行使すると、心操はそう心に決めているのだ。
「だから」
その心が折れないならば実現するだろう。高校も同じか分からないが今のコンビとして、一人の男として、その夢の為にこう言おうではないか。
「この3年間。一人くらいは完璧に守ってみせてくれよ……ヒーロー」
真っ直ぐ心操の顔を見つめる。再度目を見開き、そして大きくため息。
「よくそんな事平気で言えるな」
「うん?」
「お前ここがどこで、人が聞いたらどう感じるか気にしているか?」
そう言われて周りを見渡す。現在、昼休み昼食時間中で場所は心操の教室である。そうしてコソコソと何か話している。皆大胆だの女子なのにカッコいいだのワルな感じの人好きなのかとか言っているが
「つまり……どういうことだってばよ」
「傍から見たら物見からの告白にしか聞こえないって事だ」
……………あーそういう。
「って!違うからな!お前ら!何を以って男子に告白せにゃならんのだ!これはコンビとしてのアレだ!こちとら毎度ヴィランに襲われて必死なんだぞ!」
「君のその言い方もどうかと思うよ」
なんか命守るナイトとして選んだんだーとか言っているが!そんなロマンチックな理由じゃないぞ!一部男子が何か張り切っているんだがええい温かい目で見るな!!
そんなぐだぐだな感じでその日の昼休みは終わっていった。