チートそうでチートじゃない、けどあったら便利。そんな個性 作:八神っち
更衣室を出て指定された訓練場に向かうとそこにはガンマンの恰好をしたプロヒーロー「スナイプ」が居た。
「今日からよろしくお願いします」
「こちらこそよろしく頼む」
挨拶も程々に早速訓練をと思ったのだがスナイプ先生から尋ねられる。
「君は何故学校が武器を……「実物の」銃を持たせたと思う?」
「勝手に……という訳ではないんですね」
正直そこがわからない。だが聞いてくるという事は何か理由がある筈だ。
「遠距離攻撃の獲得……ですかね」
「それならば他に手段があるだろう。何故わざわざ「実物の銃」を選んだかだ」
違った様だ。悩んでる私を見かねてスナイプ先生が1つずつ確認する。
「まず君自身の「ヒーローとしての役割」は何だ?」
「えーと指名量的にレスキュー……それも災害現場及び戦闘現場のですか」
「正解。多くの人が君にその役割をして欲しいと思っている」
次の質問が来る。
「ではヴィラン戦闘時に他のヒーローが居た時に君はどの場所に立って貰っていると思う?」
「前線……じゃないんですね」
「そうだ。君の役割は戦闘跡の修復だからケガで退場して貰ったら困る。だから基本後衛に配置されると思え」
ふむふ……む?
「結局遠距離攻撃の確保じゃないんですか?」
「正確に言えば中・遠距離、その間合いでの牽制又は制圧のための武器だ」
「じゃあ他の方法でも」
「では聞こうか。個性を使わずにその距離を最も早く正確に攻撃できる武器は?」
「実物の銃……って事ですか」
「君の復元の個性は十分強力なのは理解している。だが実物で済むならそれに越した事はない」
だから「実物の」を強調していたのか。
「それにこれは君だけじゃなく似た事が出来る八百万にも当て嵌まるのだが」
「はい」
「個性でわざわざ「出して」構えるよりも前以て装備してた方が、武器によるが攻撃に移るのが早いに決まっている。それなのに君達はまず「個性」に頼ろうとする」
「……はい」
「体育祭の様な装備が限られた場なら仕方がない。だが君のリアクションを見るに制限が無くても武器に関しては「復元すれば」と思っていただろう?」
心読まれてる……正直思ってました。
「もう1度言うが、どれだけ被害が出るか分からないのがヴィランとの戦闘だ。君の体力は出来るだけ温存させたい。だから復元の必要が無い武器を持たせているし攻撃ってのは早く出せた方が良い」
「じゃあ手榴弾や閃光弾が実物なのも」
「最短で且つ最低限の復元で済ませる為だと思え」
学校側もちゃんと考えた上での装備だったのか……私じゃそもそも銃という選択肢すら無かった。訓練しないと扱えないから当然だが。
「プロヒーローだから言わせて貰う。今の社会では君が思っている以上に君の個性は役割が大きい」
「…………はい。あ、武器と言えば」
「どうした」
「対物ライフルやスナイパーライフルは何故実物じゃ……」
「……聞くが対物ライフルやらを持ち歩きたいと思うか?」
「……思いませんね」
「それが答えだ」
扱えるように訓練はしてくれる様だ。卒業までに扱い方習得出来るかな……そもそも使う機会が来ないで欲しいが。
「これで軍服なら恰好つくのにな……」
とりあえず最新型の拳銃とスリングショットの正しい撃ち方から習いながらそう呟くのだった。
スナイプ先生出したは良いけど原作でセリフ皆無なんじゃが……口調は適当ですまぬ……