チートそうでチートじゃない、けどあったら便利。そんな個性   作:八神っち

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 ヒーロー科編入完了で本編自体はこれで終わりですね。


そんなヒーローになる為の

 私の編入試験の結果が届く。映像に映るのは平和の象徴。

 

『私が映し出された!』

 

 テンションを上げて挨拶するオールマイト。

 

『さて結果は既に察しているだろうから先に言っておこう。合格だ』

 

 あっさりと言うなー。まあアレで合格じゃ無かったら何で合格だと言うのか。

 

『元々君のレスキュー能力は高く見ていた。だが入試の時に君は敵を倒す術を……自衛の術を用意していないと判断した』

 

 事実である。

 

『今回の試験。君に敵を倒す覚悟と術があるかという唯それだけを試させて貰った』

 

 やっぱりか。試験の内容が単純すぎる訳だ。

 

『体育祭での活躍に加えて保須の一件そして今回の試験で君はヒーローになりえると判断された』

 

 ……

 

『君の行動は常に多くの人の心を動かしている。助けられた人も多く居る。今のヒーロー社会これからもずっと君を必要とする人が現れるだろう』

 

 手を差し伸べるオールマイト。

 

『これまでより大変になるかもしれない。それでも良いんだったら』

 

 それは招待。平和を築く礎への。

 

『来たまえ少女よ。ここが君のヒーローアカデミアだ』

 

 映像が終わる。

 行くよ……行ってやるよ。止まらないと決めたんだ。

 

「勿論だオールマイト。その為に私はここに来たんだから」

 

 多くの物を背負うかもしれない、今まで以上に敵から狙われるだろう。

 だが自分が信じる道を進もう。皆の旗となろう。行く先に迷いなく掲げてやろうではないか。

 

 私はここに居ると。

 

…………

 

 編入試験結果が届いた次の日の放課後。私は心操と共に帰っていた。

 

「私は行くよ。お前の言う通り先にな」

「そうか……少しクラスが寂しくなるな」

「そういや委員長って誰がなるんだろうな」

「知らね。まあ誰でも良いんじゃない」

「だよな」

 

 他愛もない話である。だがそれが心地よい。雄英に入ってから本当に色々あった。

 

「そういやもうすぐで梅雨も明けて夏か……期末もあるな」

「そうだな」

「今日は心操の家で勉強しない?ウチだと暑くてさ」

「いいぞって言っても俺が一方的に教えられる立場なんだが」

「いいじゃんか偶にはさ」

 

 逸る心のまま夕陽が差す道を私は心操の前に出て振り返る。

 

「なあ心操」

「どうした」

「好きだ」

 

 飛び切りの笑顔で言ってやる。面食らった顔の心操。そして溜息をつかれる。

 

「お前なぁ……」

「えーそこ溜息つくか?」

「唐突すぎ」

「むぅ……ま、いっか」

 

 私の気持ちは伝えた。改めて伝えたって言った方が正しいか。

 色々巻き込まれるヒーロー科に行くのだ。言いたい事は言っておく。そう思ったのだ。

 

「返事は今はしなくていいからさ。ただ私の気持ちは……受け止めてくれ」

「…………わかった」

 

 一方的に押し付けているが構わないだろう。だって

 

「心操なら追い付いてくるだろ?」

「当たり前だ」

 

 私のヒーローなんだから。

 

……………………

…………………………

 

 

 編入のための書類を提出して3日後。6月の終わりに新たな学校生活に胸を躍らせる。

 

「じゃあな心操。待ってるぞ」

「ああ」

 

 下駄箱で心操と別れてとりあえず職員室へ。予鈴前に担任である相澤先生へ挨拶しに行く。

 

「相澤先生。今日からよろしくお願いします」

「話は聞いている。あのバカ共の面倒頼む」

 

 それは私には荷が重い。それだけ言って相澤先生は席を立ちそれについて行く。そして予鈴が鳴ると同時に先程まで騒がしかったA組が静まりかえる。

 

「席着けー」

 

 相澤先生と共に中に入る私を見て少し騒ぎ出すが飯田が静止させる。

 

「話は聞いていると思うが今日から物見がヒーロー科に編入になった、お前らには自己紹介はいらないだろ」

「今日からよろしく」

 

 こっからが私のスタートになるだろう。私の英雄学校その1ページ目の。

 心操……私は私の道を行こう。誰も彼もは救えないが私の目に付く、見ている物位は守れる、直せる……そんなヒーローになる為に始めようか。

 

 君と未来を盗み描く捻りの無いストーリーを。




 もうちょっとだけ続くんじゃ。

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