チートそうでチートじゃない、けどあったら便利。そんな個性   作:八神っち

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 蛇足という名の林間合宿&AFO編はっじまるよー(なお期末はキンクリ)


綺麗に終わった後に始まる蛇足

 ヒーロー科に編入してから1週間と少し。期末も終わり皆夏休みと林間合宿に浮かれている中私はと言えば。

 

「これで終わりですかね?」

 

 放課後に1~3年ヒーロー科が期末の演習試験で使った会場の後始末をしていた。

 

「いつもすまないね。あ、後で校長室に来て欲しいと言伝を頼まれたんだ」

「校長室ですか?わかりました」

 

 もう何回乗ったか分からない移動用バスに乗り込み校舎へ向かう。

 

「失礼します」

「よく来てくれたね。掛けてくれたまえ」

「はい」

 

 相変わらずの根津校長。さて何か話す事があっただろうか。

 

「期末試験の後片付けご苦労様。いつも助かってるよ」

「気にしないで下さい」

 

 労いの為ってわけじゃないよな。それだけでわざわざ呼んだりしないだろう。

 

「さて本題なんだけど」

「はい」

「君の修復が金額にして億を超えちゃってね。それに対して君は学校の取り寄せあんまり使わないと言われてね。どんだけ物欲無いのさ」

「でも学食は使わせて貰ってますよ」

「学食で億を超えるのに何十年掛かると思っているんだい?」

 

 呆れられた。一杯食べられるのって幸せなんやで?

 

「それは置いといて君の働きが凄まじすぎて学校側から更に何か追加しないと申し訳ないというか、立つ瀬が無いってなってね」

 

 ふむふむ。

 

「コスチュームの時に散々怒られたから君の意見を聞いてから決めようと思って呼んだんだよ」

「追加って急に言われましても……そうですね」

 

 お金……とは直接的に言えないよなぁ……何か良い物が

 

「あっ」

「何かあるかい?」

「学費無料……っていうのはダメでしょうか?」

「当然良いとも。というより案が出なかったら最初に加える予定の奴だったんだ」

「あっそうなんですか」

「それで」

「はい?」

「他に何かあるかい?」

 

 学費無料は最低条件だったんですね。うーむ……何かないか。

 

「……………………………商品券」

「切実だね」

 

 つい考えが口から出てしまった。根津校長から同情の眼差しを向けられる。

 

「でも商品券か。それなら都合が良い」

「えっ良いんですか?」

「勿論だとも。現金を渡すのは感じが悪いからね。なるべく多くのお店で使える物を注文しておこう」

「ありがとうございます!」

「君の働きの対価だから気にしなくてもいい。ただ渡された商品券を現金にトレードとかはダメだよ?」

「はい」

 

 これで少しは良い物が買える……この個性に生まれて良かった。

 

「問題は渡す金額だけど……うーむ、申し訳ないけどこれは経理と相談って事になるけど良いかな?」

「構いません。貰える物に文句は言いません」

「素直で良い子だ」

 

 遅くても次の休み前には渡すと言われた。ありがとうございます。

 

「もうこんな時間か。遅くなってしまったね送らせるよ。少し待ちたまえ」

「わざわざすいません」

 

 

………………………

 

 

 期末の結果が出る今日。演習未クリア組が悲しみに包まれていた。緑谷が慰めるも逆効果であった。

 

「物見さんは演習試験無かったよね?」

「ヒーロー基礎学を1度しか受けてない私に演習どうこう言われてもな」

「じゃあ物見さんは何を?」

「編入試験が期末の演習の代わりだった。最後はヴィラン役の13号とサシだったが」

「……」

「……」

 

 演習で13号の相手であった麗日と青山が顔を合わせる。

 

「え?まさか勝ったの?1人で?」

「一応な。でもあれ絶対手加減してた。定位置から動かなかったし」

「物見さんの試験ってそんな感じだったんだ。でも物見さんの個性なら……」

 

 緑谷の謎ブツブツが始まった。あ、予鈴が鳴ったし席に着くか。

 

 

…………………

 

 

「林間合宿は全員行きます」

『どんでんがえしだぁ!』

 

 林間合宿は強化合宿らしく赤点組はめっちゃキツイらしい。全員で行けて良かったな。

 

「あ、強化合宿なら」

 

 コスチュームはいらないから装備は持って行けないのか……後で聞いてみるか。可能なら射撃と狙撃の練習もしたいし。

 

「結構な大荷物になるね」

 

 緑谷の一言と葉隠からの提案で明日休みという事もありA組で買い物に行く事になった。

 

「モノミンは下着も買おうね?」

「私服もですわ。流石にアレは酷いと思います」

「あっ確かに基礎学で1回着替えたけどアレは女子としてどうかと思うな」

「逆にどうなったらアレになるのかしら」

「私も流石にアレはどうかと」

「私達もアレにならないように選ぶから安心して物見さん!」

「…………………おい流石に私も傷つくぞ」

 

 アレアレ言いすぎだろ!そんなにか!そんなにもアレなのか!

 

「詳しく!その話詳しく!」

「峰田は黙れ」

 

 まあいいか、こういうのは女子力高い奴に丸投げに限る。

 

「じゃ場所とか決まったら連絡よろしく。私は寄る所あるから」

「あれ?学校の依頼?」

「それは前に終わったから別件」

「え?じゃあ期末試験のあの修復もう終わったの!?」

「1~3年の分全部な」

 

 ざわつきが大きくなる。てか私の修復にはいい加減慣れろよ。今更だろ。

 

…………………

 

 向かう場所は職員室。用事があるのは担任の相澤先生だ。

 

「………て訳で私の装備の持ち出しの許可を貰いたいのですが」

「確かに物見の個性を考えると1週間で伸ばすってのは合理的じゃないな。分かったこっちで申請しておく」

「ありがとうございます」

「構わない。渡すのはバスに乗るときでいいか?」

「はい」

「それと校長が呼んでいた。渡したい物があると」

「分かりました。では先生さようなら」

「ああ気を付けて帰れ」

 

 その後に根津校長の手?から直接商品券が渡された。金額にして10万円分……そんなにいいんですか!?と驚いていると「これでも少ない」と言われた。……明日の買い物は乗り切れそうだ。良かった。

 なお商品券は毎月貰える上に徐々に予算を取って金額を上げていくらしい。


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