チートそうでチートじゃない、けどあったら便利。そんな個性   作:八神っち

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 お買い物編。


買い物をしよう1

 次の日、訪れたのは県内有数の店舗数を誇ると言われている木椰区ショッピングモール。ちなみに私は初めてだ。

 

「流石店内涼しいな」

「ねぇモノミン」

「なんだ?」

 

 とてつもなく残念な物を見る目で見て来る芦戸他参加A組連中。

 

「今日ショッピングって分かってるよね?」

「ああ」

「じゃあさ何で……制服?」

「だってオシャレな服とか持ってねーし。そもそもお金無いし」

 

 残念な目から可哀想な目にチェンジされた。

 

「物見さん……その今日買い物のためのお金ってあります?」

「昨日貰った」

「大丈夫?無理しなくていいんだよ?」

「大丈夫だって。臨時収入で10万貰ったから」

「合法!?合法な手段で貰ったお金!?大丈夫?本当に無理してない?」

 

 ものすごく心配されてしまった。仕方なく学校からの依頼をこなして貰ったお金だと言ったら安心していた。一部の連中から「物見の個性の働きで10万って少なくね?」と冷静に指摘された。せやろか?

 

「まあ安心して使えるお金だと思ってくれ。商品券だが」

「私商品券って初めて見ましたわ。実在したんですね」

 

 八百万が珍しいのか商品券を眺めている。あんまり馴染みないか。

 

「つっても全部は使いたくないけどな。せめて5万……さん……さ……3万は残したい」

「めっちゃ使うの躊躇ってるね」

「貧乏人舐めんな葉隠。1万円札差し出すのに手が震えるんだぞ?」

 

 苦笑いの麗日以外から同情の目で見られる。

 

「まあそこらへんは考えながら選んであげるから安心しな」

「そうですわよ。じゃあ行きましょうか物見さん」

 

 耳郎と八百万にドナドナされる。芦戸他女子は後で各々別の物を選んでくれるらしい。

 

「じゃあまずはその服からね。流石に制服は無いわー」

「ですね。何か注文はありますか?スカートかズボンかとか」

「安い奴」

「OK注文は無しね」

 

 おい耳郎目を合わせろ。

 

「素材は最高クラスなのに何でこんな残念に育ったのか……一部以外」

「ほら可愛いお洋服を着れば心操さん?でしたっけ。彼も喜びますから」

「何故そこでアイツの名前が出て来るのか……しゃーねーなー。あ、ミニスカはなるべく遠慮しておく」

「早っ!あっさり折れた。えっマジでこれで付き合ってないの?てかミニスカ駄目なんだ」

「どうも性に合わん」

 

 人の恋路に関してとやかく言うもんじゃねーぞ。

 

「じゃあ私はスカートで探しますから耳郎さんはズボンを中心にお願いします」

「わかった。じゃあ物見は待ってな持って来るから」

「頼む」

 

 そう言って耳郎と八百万が離れていく。私は試着室前の壁にもたれ掛かり待っておく。そして2人が離れてから2分も経たずに

 

「ようねーちゃん一人?」

「連れがいるので帰れ」

 

 まあナンパされる。てか服屋でナンパすんなよ。古典的すぎて逆に新しいわ。気にしないが。こういう時心操が居れば楽なんだが。

 

「つれねーなーいいじゃんその制服雄英だろ?俺そこそこ強い個性持ってんだぜ?なんだったら今から見せて……」

「黙れ。それ以上言ったら潰す。私の前で安易に個性使ったら全力で潰す」

 

 死ね。

 

「ひっ……!?」

「……帰れ」

 

 それだけ言えば情けない声で逃げ出すナンパ。

 

「物見さっきのは……って物見?」

「なんだ?」

「顔めっさ怖いんだけど。殺気立ってるし何かあった?」

「別に」

 

 戻って来た耳郎に心配される。その手にはもう服を一式持っていた。

 

「ならいいんだけどさ。あっ服これ着てみて」

 

 渡されるのは黒のジーンズと白の少しパンクなシャツと黒の革ジャン。

 

「物見って髪と言いコスチュームと言い白黒……「モノクロ」ってイメージがあるからさ。それに合わせてみた」

「そうか?まぁ着てくるよ」

 

 テンテンテレテン

 

「おー!いいじゃんいいじゃん!物見こういうパンクなファッションもイケるじゃん!」

「なら良かった」

 

 ご満悦な耳郎。さらに首から赤色のヘッドフォンを掛けて遊んでいた。

 

「あら物見さん男性らしさが増しましたねお似合いですよ」

「いやーホント顔も無駄にイケメンだからね物見は。これでそこらの女子ナンパしてみてよ。多分着いて行くと思う」

「女子ナンパして何が楽しいんだか」

 

 そういや中学の頃に壊されたって言った眼鏡を直して優しくした後輩女子にガチで告られたな懐かしい。

 

「それで八百万も白黒か」

「耳郎さんと被ってしまいましたね。でも物見さん変に着飾るよりもシンプルに纏めた方が映えるタイプですし」

「私が地味だと言いたいのか?」

「逆よスタイル共々派手なの物見は」

 

 耳郎の言葉に八百万も頷いていた。この二人が言うなら合ってるのだろう。

 

「私別の奴を探して来ますわ」

「いやそれも着てみるよ。せっかく選んでくれた物だ無碍にはしないさ」

「物見さん……」

「物見アンタ……中学時代に絶対モテてたでしょ。てかモテない理由が見つからないんだけどファッション以外」

 

 ファッション以外は余計だ。いまいちモテてないぞ私は。ずっと心操と居たし。

 その後もファッションショーが続き各色の組み合わせを試してみるが結局白黒のモノクロカラーに落ち着き耳郎と八百万が選んだ物2セットずつ、計4セットの購入となった。2万円の出費で泣きそうになった。

 ちなみに一度ピンク一色を着て見たら余りの似合わなさに選んだ2人がドン引きしていた。だから止めとけって言ったのに。

 

「うーむどっち着ようか……」

「じゃんけんで決める?」

「いいですわ」

 

 どちらでもいいが勝ったのは八百万であった。スカートね。

 

「じゃあ着て来るわ」

 

 更衣室に入り制服を脱ぎ八百万が選んだ服に着替える。

 白黒チェックのスカートに黒を基調とした地味目のTシャツに薄桃の線が入った白色のカーディガン。落ち着いた感じに仕上げたとは八百万の談。

 制服を元の入っていた袋に入れて試着室を出る。

 

「お待たせ。悪いな付き合わせて。八百万は次もよろしく」

「お任せください」

「じゃあ私は別行動で」

 

 次は酷評された下着を買いに行く。耳郎とはここでお別れだ。何か呪詛めいた事を呟いていたが気のせいだろう。




 八百万と主人公に挟まれる耳郎の気持ちを述べよ。

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