チートそうでチートじゃない、けどあったら便利。そんな個性   作:八神っち

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保護らねば

 車に乗せられて到着するMt.レディの事務所。私が来た事が嬉しいのか事務員一同でお出迎えであった。あいされてますな。

 職場体験の寝泊まりで使わせて貰った部屋に荷物を置き、事務室へ。道すがらの事務員さん達からめっちゃ声を掛けられた。

 

「ふぁ~いらっしゃーい。いや~待ってたよ~ねえねえ何飲む?」

「あ、いえ来たばかりですので今はまだいらないですよ。Mt.レディさんこの方は?」

「あ、彼女は新しく雇った事務員さんよ」

 

 それはそれはどうもご丁寧に。ゆったりとした声に癒される。なお個性は「アルパカ」らしい。

 

「話は聞いてるわ。大変そうじゃない今年の雄英は」

「本当ですよ」

 

 これも全部ヴィラン連合って奴の仕業なんだ!

 

「そう言えば、保護とは聞いてますが具体的に何をするんでしょうか?」

「特に何も決まってないわ。貴女がしたい事をして頂戴」

 

 したい事……したい事……装備は今回は預けてあるからなぁ。完全に非戦闘態勢である。軍服も無い。

 

「近接戦闘の練習でしょうか……林間合宿が中途半端に終わったので」

「暇が……というより物見さんが居る間は暇しか無いから、良ければ相手するわよ?」

「ありがとうございます」

 

 にしても私が居る間は暇とは?話を聞くと、保護がてら事務所で共に過ごすから緊急時以外は外に出ないらしい。

 

「わざわざすいません」

「いいのいいの貴女の安全が最優先よ。将来私の事務所発展の為の先行投資だと思ってるから」

 

 笑いながら言うが顔はそれ以上の責任感を背負っている。本音は別と思っていいだろう。爆豪拉致の件もあるからか生徒を保護するという重圧は大きい。

 私なんかの為にそんなプレッシャーが……

 

「今「私なんか」とか思っているでしょ?」

「顔に出てましたか」

「少しね。物見さんが持っている物は貴女が思っている以上に重いのよ?」

 

 せやろか?と思っていると今の制服から着替えてと言われて手渡される1つの衣類。

 

「あのーこれ着る必要は……」

「ほら貴女の服汚したら申し訳ないじゃない?」

「てかまだ取ってたんですか」

「クリーニング済みよ!あと2着あるからガンガン着替えちゃって」

 

 そう忌まわしきメイド服である。

 

「これ着たくないんですけど……」

「あら残念。じゃあ他の服は持って来てるかしら」

「一応……でも折角クリーニング出したんですよね……」

「嫌なら構わないわ。ミッドナイト先輩にも無理矢理は駄目って少し注意されちゃったし」

 

 怒られたと言われると心苦しい物がある。

 

「まあ戦闘訓練以外の時に……って事で」

「物見さんは甘いわねー」

 

 他の事務員さん達を見ると期待の眼差しを向けられる。私のメイド服ってそんなに評価高かったのか。

 

「保須の時はごめんなさいね。まさかあんな大事になるとは思って無くて」

「あーあれは仕方ないですよ。私もあそこまでになるとは思わなかったですし。でもお陰でヒーロー科へ入れました」

「あ、そうそうそれもお祝いしたかったのよ」

 

 他の事務員さん達も「俺も祝いたいぞー」と幾つも声が上がる。ありがとうございます。

 

「一応ケーキ位は買ってあるから後で食べましょ」

「ありがとうございます」

 

 歓迎ムードが凄まじい。訓練後の楽しみが増えたしやる気が更に沸く。

 

………………………

 

 虎さんに言われた事を思い出しながらもMt.レディに相手をして貰う。

 細かく速く!腰を入れて!

 

「……驚いたわ。前とは比べ物にならないじゃない」

「でもまだまだですね。結局有効打一回も入ってませんし」

「成りたてでも一応プロだしね。これで負けてたら私が凹む」

「すいません。そういう意味じゃ……」

「分かってるわよ。貴女はそんな嫌味を言うタイプじゃないって。でも本当に動きが見違えてる」

 

 今なら峰田にも勝てると言われた。今度リベンジしてやんよ。

 

「所々何か構えながら距離を取ろうとしているけどアレは?」

「アレはですね……」

 

 今の私の戦闘スタイルを伝えてみると納得していた。

 

「大変だろうけど頑張って」

「はい」

 

 基礎トレと休憩も挟みながら訓練を続けた。

 

…………

 

 シャワーで汗を流した後にメイド服に袖を通す前にMt.レディから「下着オシャレになったじゃない」と褒められた。遠回しに見えて直球で前の物がダサいと言われている事に私は気付いているぞ。

 

「ケーキ……久々に食べますね」

「え?そうなの?もしかして甘い物苦手?」

「いえ、そうではなくてですね。ただケーキを食べる機会が無いんですよね。前食べたのが何時だったか……」

 

 学食にも一応その手のデザートがあるにはあるのだが、食後に食べる気分にはならないんだよなぁ。私の頭が勝手にリミッターをかけるのだ。

 

「じゃあ久々のケーキ楽しみましょう」

「はい」

 

 その後滅茶苦茶……それなりにケーキを食べた。

 

…………………

 

 

 そして夜。事務所から名前が決められた「モノミンボード」なる物が復活していた。

 

「今回はひーふーみー……5人ですか」

「お願いできるかしら?」

「勿論です」

 

 お世話になるのだからこれくらいしなくちゃな。食材も自由にと前と同じ状況であった。明日の分も書いてあるな。

 

「さー作りますかー!」

 

 私の事務所生活は始まったばかりだ。ちなみにMt.レディも事務所に泊まりだそうだ。一緒の部屋に。

 

………………………

 

「そういえば学生は夏休みだし学校からの宿題もあるのね」

「そうですよ」

 

 夜、絶賛宿題中である。

 

「物見さんスラスラと解いて行くけどクラスで何位なの?」

「期末ですか?飯田とタイの2位ですね」

「頭と言い、個性と言い、スタイルと言いホント勝ち組ねー。他の男子からしたら高嶺の花じゃないかしら?」

「どうでしょうかね。割と皆話しかけてきますよ?」

「コミュ力も良しと来たかーおまけに女子力も高い。物見さんを嫁に貰った男性はさぞ鼻が高いでしょうね。誰か良い子居ないの?」

「1人に告って返事待ちです」

 

 既に告っている事に驚かれる。

 

「貴女に告られて返事待ちって……普通即OKじゃない?」

「色々事情がありまして。私の環境が複雑なんですよ」

「その割には悩んでいなさそうだけど?」

「悩んでも結果は変わりませんから」

 

 私に余程の事がなければ返事は決まっているからなぁ。少なくとも私はそう確信していたりする。

 そういや最近ご無沙汰だな。一応メールでやり取りはしているが。てか色んな意味でご無沙汰な性で割とヤバイ。何がとは言わないが。

 

「一人でやってもなぁ……」

「……聞かなかった事にしてあげる」

 

 つい口に出てしまった様だ。

 

「………………」

「急に黙って顔赤くしない!」

「さー宿題宿題」

「切り替え方が下手くそね!」

 

 わかってるんじゃい!でも無理!もうお顔トランザムじゃい!

 

「青春してるわねー。あ、30分位部屋出てあげましょうか?」

「出なくて良いですよ。大丈夫ですから」

 

 聞かなかった事にする割にここぞとばかりに弄って来る。おのれ岳山さんめ!でもこっちから弄る事は出来ない。この人をそっち方面で弄ったら闇が凄そうだから!




 ヒロアカ世界だとリアルけものフレンズ出来そう。どちらかと言えば逢魔ヶ刻動物園の方が近いけど。
 なんで装備取り上げ?と思った人。外では私有地でも無いのに無免許銃装備は流石にダメでした。

 戦闘描写?なにそれおいしいの?

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