チートそうでチートじゃない、けどあったら便利。そんな個性   作:八神っち

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 デクから見た主人公と神野のあれこれ。総集編とも言う。


それまでの物見、僕の神野

 僕から見た物見さんという女子は……初めは不思議な子だった。

 いきなりオールマイトに担がれて現れた女子。普通科だというのに連れて来られたという謎の生徒で、話し方も少し男性っぽい感じであった。

 

 初めてのヒーロー基礎学の授業で僕は制御が出来ていないOFAでビルを大きく崩壊させた。そこで物見さんの力を目の当たりにする。

 ビル1つを軽々と直して行く彼女の力を「こんな個性もあるのか」と漠然と受け止めていた。他のクラスメイトも「すごい」とか「便利そう」とかそんな感想を呟いていた。八百万さん以外は。

 そして総評の際に言われる「ヴィランを倒すだけがヒーローじゃない」という言葉の意味を後になって理解させられる。

 

 その後は度々学食で会って相席し少し会話するだけ。A組とはそんな関係であった。USJの破壊跡も一部は彼女が直したと聞かされた。

 

 次に彼女を知るのは雄英体育祭。その第一種目と最終種目であった。

 

 第一種目である障害物競争。轟君の個性で凍らされた仮想ヴィランを瞬時に直して通る生徒が巻き込まれるのを防ぐ。

 その後のステージで安定した道を作り皆を安全に渡らせていく。これのおかげで仮想ヴィランの装甲を持っている僕でもタイムを落さずに済む。

 

 そして彼女の見せ場でもあった最終種目。

 第一試合である心操君との試合。洗脳という凶悪な個性を奇跡的に脱して彼の想いを聞きながらも試合を制する。

 そして彼の洗脳という個性を見てなお「ヒーローになれる」と言い切って貰えた彼の心を少し理解出来てしまう。

 

 第二試合で僕と轟君が派手に壊して復旧の目途が立っていなかった会場を瞬時に直したのも彼女だと聞かされた。こうして思い返すと壊してばっかりだな僕。

 

 そしてオールマイトの言っていた事を理解する保須の事件。

 オールマイトに選ばれたとして見逃されて、そして助けられた「ヒーロー殺し事件」。その間に行われたヴィラン連合による脳無襲撃事件。

 グラントリノやエンデヴァー他、多くのヒーローにより対処が行われたが、街の被害が甚大であった中、物見さんが個性を「許可を得た」上で振るったという。

 一部であるが脳無の被害跡を実際に目に焼き付けた僕は物見さんの個性の「強さ」を、その成果の大きさをニュースで知る事になった。

 

 その後に保須での署名を受けて試験に合格しヒーロー科に編入した。

 

 かっちゃんが攫われてしまう林間合宿でのヴィラン連合襲撃。腕を酷使し爆弾を抱えた状態で切島君に発破を掛けられて、皆に止められながらも無理に向かった神野区。

 オールマイト含めトップヒーローが集結して行われた脳無工場とアジトの制圧。だがその際に敵の親玉でオールマイトと因縁があるAFOが現れる。

 どうにかかっちゃんを連れてヴィラン連合から距離を取り安全圏まで脱出。その後はボロボロのオールマイトがAFOを倒し、事件は収束……という訳では無かった。

 

『次は君だ』

 

 僕に対して短く発されたメッセージ。出し切ったと、希望は託したと。だが今の僕には背負いきれない期待と希望。オールマイトの……平和の象徴の役割の大きさと重さ。

 オールマイトの終わりを知ってしまい涙が止まらない中、周りのオールマイトコールが響く中で、状況が変わる。

 救助活動をしていたヒーロー達がパトカーから降りた人物に目を向ける。

 

「おい……あれ物見じゃねーか。やっぱこっちに来てたのかよ」

 

 切島君が呟く中でエンデヴァーがやって来る。毅然とした態度である物見さん。だが個性を知る僕たちはこの後の彼女がどう動くのか知っている。

 

『No.2ヒーロー『エンデヴァー』とこの場に居る全てのヒーローの名に於いて個性の使用を許可する!』

 

 全てのヒーローからの個性の使用許可。そして

 

『ヒーローの矜持を取り戻せ!』

 

 その希望を期待を……何もかもを託される。借り物ではない「自分の力」を持って……今の状況を塗り替える。全てのヒーローの信頼を繋ぐ。

 物見さんがヴィランを倒した訳ではない。だがそれでも現在の彼女は間違いなく「ヒーロー」を体現していた。

 

「何だよ……クッソかっけーじゃねぇか」

「クソ……が!」

「物見くん……それが君の……!」

 

 各々が反応を示す。僕はと言えば彼女の作り出す光景に……在り方に涙を流すしかなかった。

 オールマイトは恐らく長期休業……いや引退を発表するだろう。そんな中で「次は君だ」と言ったのだ。そして現れたのは物見さん。

 引退が発表された後に「次」を期待されてしまうのは誰なのか……オールマイトの背負っていた期待を背負うのは誰なのか。映像を見れば一目瞭然であろう。

 本来は託された僕が背負うべき……だけど背負えない期待を物見さんが引き受けてしまう。

 涙を流している僕とは正反対に涼しい顔で使命を全うする物見さん。否が応でも差を見せられる。

 

「今は無理だけど……!いつか……僕が……!」

 

 彼女に託されている物を僕が代って持ってみせる。今は無理でも絶対に。




 緑谷達との一番の違いはきちんと許可を得た上で力を使っている事でしょうか。多分相澤先生的に皆に一番見習って欲しい部分。
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