チートそうでチートじゃない、けどあったら便利。そんな個性   作:八神っち

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 だがここに1人例外が存在する。


特例ばっかりでもはや特例になって無い事ってあるよね

 私が保護されている警察署に国のお偉いさんが来て、私に超特例で仮免だが権限的にはヒーロー免許と同じ物を発行すると言う事を知らされる。

 何でも今のタイミングで発表しなければ私の名の効果が薄まって行くらしい。

 

 とはいえ無理にヒーロー活動をするという訳ではなく、学業を優先しながらも時たま校外活動したり、災害級の被害が出た時に動いて貰えればいいらしい。他と同じ様に歩合制でお給料も出すそうな。

 そして毎年2回あるヒーローの番付である「ビルボードチャート」への参加もすると言う。マジか。

 

 断れる雰囲気でも、断る気も無いので頷く。

 

 だが1つ聞こうか。なんで「メイドヒーロー」で登録しようとしているのか!普通に修復ヒーローでいいじゃないですかヤダー!

 

 そんな事がありながらも「修復ヒーロー 2R」として登録を済ませて行く。そして私のヒーロー活動参加はニュースで流れる事になった。

 「再建の旗」の名と共に。

 

 ……え?コスチューム?ハハッ

 

 

 ニュースを見たクラスメイト他、大勢からメールや電話が多数寄せられた。普通科連中からはおめでとうコール。A組からは大丈夫か?コールが多かった。

 

 

………………………

 

 

 場所は雄英高校の校長室。そこには根津校長、相澤先生、ブラド先生、そしてオールマイトが居た。

 

「その身を犠牲に多くを救ってくれた、国民ヒーローそして校長として、感謝してもしきれやしない」

 

 根津が感謝の言葉を述べる。だが国民の批判意見が出ている事も明かしていく。

 

「皆不安なのさ」

 

 落ち込むオールマイト。だが根津は強い意志の下で言葉を紡ぐ。

 

「だからこそ、今度は我々で紡ぎ強くしていかなきゃならない」

 

 彼女の名を出すかどうか、少し迷いながらも言う。

 

「君と物見くんが繋ぎ止めてくれた、ヒーローへの信頼をね」

 

 そう、今回の一件はオールマイトの引退と多くのヒーローの犠牲だけで終わってしまっていたら、今よりもずっと不安が残っていたであろう。

 だが次を示した彼女が居たからこそ、ずっと早くに再起の兆しが見えたのだ。

 

「あの一件で気付かされました。あなた一人に背負わせてしまっていた事。背負わせていた物の大きさ」

 

 そして1人の少女に背負わせる事になった事実と不甲斐無さを。先生として大人として、プロとして後悔は幾らでもある。

 だからこそ、これからについて、より強固に守り育てていかなければならない。

 

「よろしく頼むね家庭訪問」

 

 

………………………

 

 

「私は大丈夫ですよ。警察にも国にも学業優先してと言われましたし。親にも許可を得ました」

 

 今現在、借金を返済し今の所から引っ越しとなり、住所がイマイチ安定しない私の所に来たオールマイトと相澤先生。両親は不在である。

 私の好きにしろと言われているなら、通い続ける道を選ぶ。

 あっさりOKが出た事に驚いているお二方。そんなに意外だっただろうか?

 

「物見女史……本当に大丈夫なのかい?」

「それはどっちの意味での大丈夫ですか?平和の象徴さん」

 

 雄英に通い続ける事への大丈夫なのか……はたまた「次」としての覚悟への大丈夫なのか。

 

「物見、お前のそれは両親と話し合いでの結論なんだろうな」

「勿論ですよ。ただ両親から1つ学校側に条件があるみたいですが」

 

 条件はただ1つ。「3年間私を守り抜く事」それだけであった。

 

「ああ。それは保障しよう。学校の名に懸けて物見も守り抜くさ。とは言っても今の雄英じゃ説得力無いが」

「私は今よりも未来に期待します。守られる側として守る側を信頼しないと駄目でしょう」

「物見女史、君は本当に強いな」

 

 強いねぇ……

 

「未来の心配しても仕方ない……そう思っているだけです」

 

 未来なんざ誰も分からない。私はそう思っている。

 

「未来……か」

 

 オールマイトが何か呟く。心当たりがあるのかね。

 

「あ、そう言えばオールマイトに聞きたい事が」

「何だね?」

「オールマイトが本当に指差した「次」って誰の事だったんですか?」

 

 世間では何故か私だという事になっているオールマイトの「次」。あれはタイミングが良いのか悪いのか……度々警察の前に張り付いているマスコミを思い返す。

 

「……誰でも無いよ。未来あるヒーロー全員さ」

「……ま、そういう事にしときます。しっかり次を育てて下さいよ。その間は私が預かっときますから」

「苦労を掛けさせるね。そして本当に強い……そう思わされる」

 

 これで話は終わりかと思っていると今まで口を閉ざしていた相澤先生が口を開く。

 

「物見、辛くなったら絶対に言え。俺でもいいし校長でもいいし、ミッドナイトでも……Mt.レディでもいい。大人が守ってやる。だから無理だけはするな」

「……分かりました」

「それとだ。あの晩、緑谷達があの場に行く事は知っていたか?」

「?いえ全く」

「そうか」

 

 私も全員の動きなんぞ把握していない。だがやりそうな事は大体分かっていたが実行に移す馬鹿が居るのは予想外だった。

 

「これで終わりですか?ご足労お掛けしましたね」

「いやいや。こちらこそ顔を見れて良かったよ」

「オールマイトは色々大変でしたからね。今までお勤めご苦労様でした」

「ああ。ありがとう」

「相澤先生も、これからもよろしくお願いします」

「そうだな」

 

 寮移動の日時を教えて貰い署の入り口まで手を振り見送る。

 さて、寮へ持ち込む荷物を親に伝えなきゃな。




 止まらない所か光の速さで前に突き進む主人公に、心操君は果たして追いつけるのか……(震え声)

 もし主人公がOFAを継いでたら……背負う物が多すぎて過労死必須である。

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