チートそうでチートじゃない、けどあったら便利。そんな個性 作:八神っち
あ、初めはオールマイト視点です。短いです。
私がAFOを監獄に送った後に残した短いメッセージ。
それは本来ならば緑谷少年への言葉だ。彼へ渡すべきバトンだ。
だが私の思惑とは裏腹にバトンは別の人物へと渡っていく。
物見直。初めてのヒーロー基礎学で私が頼った人物で、何かと気が利く優秀な女子生徒である彼女。
その彼女が私の意図と関係無しに「次」になってしまう。
神秘的な光景だったのを薄っすらと覚えているよ。私には出来ないその光景は他のヒーローには、国民にはさぞ輝いて見えただろう。
だが私は心の中では止めたかったさ。その光景は眩しすぎた。私の次だと惑わせてしまう程に強すぎる輝きだ。
だが彼女は止まらない。止められるはずも無かった。
ヒーロー科編入前の面談で1つ尋ねた事がある。
「君はどんなヒーローになりたいのか?」
少し考えた後に彼女は真剣に答えたよ。
「私が目の届く範囲位は全て直せる。そんなヒーローですね」
なるほど彼女らしいとこの時は思えた。だが今だと彼女の言う目の届くという範囲の広さを、全てと言った覚悟を。私は勘違いしていた事に気付く。
今、目に映る絶望的な光景。その全てを直そうというのだ。私が……他のヒーロー達が守っても壊れた物を……期待も希望も何もかもを。
国民に「次」だと思わせた彼女には申し訳なく思ってしまう。
それは本来は彼女には背負う必要の無い物だ。まだ私が持っているべき物だ。そして継ぐべき者の物だ。身勝手ながらそう思っている。
だが今回で引退した私と、後継者である今の緑谷少年の力では、持てない物であった。
彼女もそれは分かっているのか「預かっときます」と言っていた。
そんな預かってくれている彼女の質問である「本当の次」に対してだ。
「誰でも無いよ。未来あるヒーロー全員さ」
何と無責任な答えだろうか。既に巻き込まれている彼女に答える義務があるだろう。だが簡単に答える訳にはいかないのだ。
それを察してくれた彼女には本当に頭が上がらない。先代とは違ってあまり笑わないけれど、重ねてしまう。それ程に強い女性だ。
その後に引き続き行われた家庭訪問。そこで出て来る私の名前。雄英の名前。そして彼女の名前。
国民として、親として、私の活躍と物見直……現雄英生の活躍。これを見て「次がある」と少なからず思ってくれている。今回も彼女の行動は多くの人の心を動かしてくれる。
緑谷少年も彼女の行動に影響を受けている。泣かずに笑いながら「心配させない」と言ってのける。私も期待に応えねばならない。
絶対に立派なヒーローに育ててみせる。
家庭訪問も終わり、次の日に皆で学校に集まり説得はどうだったか報告しあう。
他のクラスでも予想外にすんなり説得出来たとの事。やはり私と物見女史の名前が多く出たらしく、彼らの様になれたらと期待を持ってくれたみたいである。
男子生徒は私に、女子生徒は物見女史に心動かされたと、そう言っていた人が多かったと言う。
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「おーここが新しい寮か」
私は皆とは違い一足早くに寮に入る事になった。いつまでも警察にお世話になる訳にはいかないからね!……こう書くと私が犯罪犯したみたいだ。
署から出て一時マスコミの対応に追われたけどそれも落ち着いた。ただ何故マスコミは私のメイド服について執拗に聞いてくるのか……コレガワカラナイ。
「荷物は部屋に置いてある。説明は前した通りだ。今日は荷解きに専念しろ」
「わかりました」
あ、仮免は警察署で渡されました。特例マニュアルも一緒に。一応全部目を通したぞい。署では暇だし……出された宿題も大方終わったし。
「ここって朝食や夕食ってランチラッシュ先生の配達でしたよね?今日の分もあるんですか?」
「そこら辺は心配するな。今日も明日も配達してくれる」
なら良かった。自分で作らないというのは私の中では中々無い体験である。学食のご飯おいしいから楽しみだ。
「さあ荷解きしますかね!」
ちなみに私の部屋は5階の一番奥。八百万の横だ。さあ頑張りまっしょい!
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次の日。根津校長に呼ばれて他の先生やヒーローの代表としてお褒めの言葉を貰った。土日の依頼時の外出許可も貰った。
依頼外出時は1人先生を付けてくれる様だ。ローテーションで。申し訳ない。
朝食や夕食の設定は雄英白書にありました。買っててよかった。
にしてもランチラッシュ先生働きすぎじゃない?大丈夫?
主人公の部屋に関しては次回。部屋王決定戦の時に。