チートそうでチートじゃない、けどあったら便利。そんな個性 作:八神っち
皆が入寮した次の日。仮免試験に向けて再び動く事になり、TDLと呼ばれる施設で必殺技を作ろうという企画が始まった。
各々が考える中で、久々の白軍服に身を包む私はと言えば。
「個性使用は前提としてだ……道具次第すぎる」
私の個性は緑谷や爆豪の様に「個性だけ」で完結しないタイプだ。道具や状況次第で大きく変わる。
「自分の有利を押し付けると言ってもな……私にとっての有利って瞬間的な大質量か?」
壁落しが良い例だろうか。てかアレはアレで皆に聞いたら必殺技認定されてたりする。後は素材を撃ち込んでの切断とかもか。
「……狙撃で麻酔弾撃ち込むのって必殺技に入りますか?」
「ソレハタダノ狙撃デハ?」
弾が違うだけでやってる事は変わらないしな。真っ当なツッコミを貰ってしまった。
「復元した壁を利用しての狙撃ポイントの作成……高台作りもやる価値あるか。あとは各道具が活かせる場所作り……劣化セメントス先生だなこれ」
ピクシーボブやセメントスのフィールド操作を思い出すと、欠片で一箇所ずつ作るのは少し遅いだろうか。
「うーむ」
「お困りかい?物見女史」
振り返るとオールマイトが居た。困ってるには困ってるので相談してみよう。
「ちょっと必殺技の案が纏まらなくてですね」
「どんな事を考えているのかい?」
「壁の復元を利用した、高台作り等の地形変更をと考えてるんですが、欠片をいちいちセットするのは遅いのではと」
「地形変更とはまた大胆な事を考えるね……ふむ」
手を顎にあてて考えるオールマイト。数十秒して口を開く。
「君は点から面への復元ばかり考えてないかい?視野を広くとってみてはどうだろう。それで大きく変わる筈さ」
「点から面?視界を広く?」
オールマイトの言わんとしている事の意味を考える。
「面から面って事か?……でもそれって意味あるのか?視界を広く……間隔毎に設置していく?でもそれだとイマイチでは」
何を伝えようとしているのだオールマイトは……でも何か意図はあるであろう。うーむ……
「私が教えられるのはこれ位だ。あとは考えたまえ」
「あっはい」
オールマイトに言われた事を考える。点から……ねぇ。
「……ふむ」
点……つまり欠片からの復元から離れる。面というと地面や空中って事になるのか?
「欠片じゃなくて空中や地面に対する復元……ガスでも撒くか?」
ガスに復元かけた所で何になるのかは謎であるが。いや別にガスである必要は無い。空中に留まってたりいさえすればいい。
「粉……粉塵か?」
確かに粉状からの復元は可能っちゃ可能である。それを地面にばら撒くなり、空中に散布するなりすればイケるか?ゴーグルがあれば目が潰れる事は無いし。
「試してみるか」
と、思ったものの壁の欠片を粉砕して粉にするのも時間がかかるし、他の人達に頼むのもと思ってしまう。
「ちょっとサポートアイテムのお願いをして来ます」
「行ッテコイ」
許可も得たしサポートアイテムの開発を行っているパワーローダー先生の下へ向かい、要望を伝えておく。作りが単純であるため1日あれば試作品なら出来ると言われた。
ちなみに発目というサポート科の同級生も開発に加わる様だ。
「続きは明日だな」
後の時間はスナイプ先生指導の銃の特訓である。そう言えばこの手の弾や銃の要望はどちらに送れば良いのだろうか。
B組への交代までの時間一杯を特訓にあてて、コスから制服に着替えている途中に八百万が話しかけてくる。
「まさかあんな施設があるとは思わなかったですわね」
「そうだな」
昨日の事もあり私の口は盛大に引き攣っていた。
「あそこまで自由自在なら多少のステージ程度なら作れるのではと思いますね」
「だよなぁ。自由度が高いもんな……ってステージ?」
「それに監督の先生方もいらっしゃいますし、装備もある。条件としては最高では?」
「おい……それってつまり」
「ええ……仮免試験前、自分に足りない物を見つけるという意味も込めて、物見さん。明日あの時の約束お願いできますか?」
まさかこんな形でお願いしてくるとは思わなかったが、八百万も本気だという事は目を見て分かる。ならば断る理由は無い。
「分かった。明日、先生方の許可が下り次第にやるか」
「楽しみにしていますわ」
私も対人戦でどこまで戦える様になったか楽しみであるし、新アイテムも試したい。
「今から楽しみだ」
八百万の体育祭のリベンジ、どう戦っていくか考えながらも明日を心待ちにするのであった。
次の話で八百万のリベンジ戦です。どんな決着になるのかは未定です。
最近また迷走しそうな予感がヒシヒシとあります。