チートそうでチートじゃない、けどあったら便利。そんな個性 作:八神っち
仮免試験→幕間→文化祭→ビルボードチャート(脳無戦はやらず)で終わり予定です。完結向けて頑張ります!
戦闘が始まったら視点がデク君に切り替わります。
一夜明けて、パワーローダー先生から装備を受け取り、2度目のTDL。
そこで私と八百万は相澤先生他、複数の先生方からの戦闘許可を取り付けていた。
「……という訳なんですが、許可貰えますか?」
「お願いします」
「ふむ……まあ物見と八百万なら加減を弁えるだろう。いいぞ、許可しよう。条件は体育祭と同じでいいか?」
「構いません。いいよな?八百万」
「ええ。それで大丈夫です」
と、私と八百万なら大丈夫だと思って許可を貰えている。信頼って大事やなって。
そしてセメントス先生が作った特設バトルステージにて互いに向き合っていた。
「条件は体育祭と同じ。降参、場外、気絶のいずれかで決着よ。分かってはいるでしょうけど、不必要に相手を傷つける攻撃は駄目よ」
「はい」
「わかりましたわ」
「あと他の生徒には言っとくけど、これ特例だからね。二人の戦いを見て俺も俺もと言われても許可しません。いいわね?」
周りに作られた高台部分に居るA組の連中に、ミッドナイト先生が釘を刺している。
「さて、八百万よ。折角の機会だ。存分に楽しもうや」
「最高の試合にしましょう。物見さん」
片や露出ほぼゼロの対刃・対炎・対衝撃ets...の白軍服、片やもはや服と言えるのかと思える裸ジャケット。
お互い顔を合わせて、どう動くかの算段を考えて。そして。
『3!2!1!レディッ!』
「あの時の再戦……行きますわよ物見さん?」
「ああ」
太ももの銃に手を掛けながらも、八百万の言わんとせん事に合わせる。
「「武器の貯蔵は十分か?」」
『ファイト!!』
今、戦いの開始が宣言される。
…………………………
……………………………………………………
「始まったねデク君」
「そうだね麗日さん」
先制は物見さんの銃撃から。先に装備して、それなりに扱っている事もあり速射速度は高い。狙いは容赦の無い腹部と胸部に1発ずつ。
それに対して八百万さんは創造を使わずに銃口を向けられた瞬間に動いて避けていた。
「……」
避けて避けられてを想定していたのか、2人共次への行動が早かった。
物見さんは銃口を再度八百万さんに合わせながら、左ポーチに目線を向けずに手榴弾を取り出す。
八百万さんは銃口を合わせられない様に走りながらも、ジリジリと距離を詰めて、ナイフを創りだして、方向転換時に放り投げる。
「……チッ」
足を止めていた物見さんがナイフを避けるために動き出す。と同時に持っていた手榴弾を相手に向かって放り投げる。
閃光弾を警戒した八百万さんは予め創ってジャケットに刺してあった遮光眼鏡をかけて、更に衝撃に備えて盾を創り出し防御の構えを取る。
「きゃっ!なんですのコレ」
だが、その手榴弾は閃光弾なんかではなく、何か粉状の物を薄く広くばら撒いていた。
突然の事に足を止めて、どう対処するか一瞬悩む。だがその一瞬が命取りであった。
「っ!」
銃声が響き風圧で粉を散らせながらも弾丸が、八百万さんの左右を通り過ぎて動かない様にする。
周りには何かの粉。物見さんの視線は通っている。これから何をするのかは明白であった。
「……っあ!」
頭上から突如現れる巨大な壁。状況を理解し、それを前に駆け出して避けようとするも、足元に何かがあり躓いてしまう。先程は無かった引っ掛かりやすい高さの段差である。
「っっっ!!」
前のめりに倒れて膝を着くも、落ちて来る壁に対する抵抗として体からありったけの金属柱を創り出し潰れぬ様に押しとどめる。
だが押しとどめた所で……
「はい。終わり」
更に復元を重ねて頭上に壁を落とす。というよりも置くと言った方が正しいだろう。恐らく八百万さんの髪の毛にかかっていた粉から復元した……という事だろう。
頭を押さえつけられた八百万さんに近づき、銃口を向ける物見さん。
「まだやるか?八百万」
「……降参……ですわ」
『八百万さん降参。勝者物見さん』
1分経っただろうかと思う短い時間の中で、勝負の結果は物見さんの圧勝という形で幕が閉じた。
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セメントス先生がコンクリートで壁を退かして、八百万が立ち上がるのに手を貸し、そのまま握手する。
「ありがとうございました。いい試合でした」
「こちらこそ、ありがとうございます。はぁ……完敗です物見さん。何も出来ませんでしたわ」
「ま、私のやり方はほぼ初見殺しだ。あんまり気にするな」
「ヴィランの相手は初見が基本でしょう。それに対応しないとヒーローはやっていけません」
要精進ですわ!と決意を新たに意気込んでいる。消沈しなくて何よりだ。
「にしても、物見さんなら私に合わせて対応してくると思ったのですが」
「お前に合わせるのとか選択肢幾つ必要になると思っている?2、3手で決めてやるって思ったわ」
「戦闘楽しむ気ゼロでしたか……」
「そこの所は申し訳ない。ただ新しい戦術試したくてな。まあ想定外の使い方になったが」
あんだけ広くばら撒けるなら、地形変えるよりかも相手を直接拘束する方が楽だし早いし。
「なにか別の埋め合わせでもするか?流石に1分は早すぎた」
「1分持たなかった私が悪いですから。お気になさらず。でも何か埋め合わせてくれるのなら」
「ん?どうした?」
「私、もっと物見さんの事知りたいですわ。色々教えて下さいな」
私についてねぇ……うーむ
「色々って?」
「過去とかでしょうか。なんでヒーローになったのかとか。よくよく考えたら私、物見さんについて余り知らないなと」
えーそれ聞くのか……ロクな思い出無いから話したくないんだが。
「ま、言える所までなら」
「お願いします。それと、これからも良き友達であって下さりますか?」
「おう。これからもよろしくな」
「はい!」
陰り無い笑顔で返事をする八百万は綺麗であった。
再戦はあっさり終了。主人公は2手で決めに行きました。
主人公の、初見殺し粉戦術はもちろん弱点があります。
ただその弱点を初見の八百万が突くのは難しいでしょう。それなりの火力(風圧)か移動速度が必要ですので。
あ、R18版を上げましたので、見たい方は作者ページへどうぞ。