チートそうでチートじゃない、けどあったら便利。そんな個性   作:八神っち

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 デク視点だけど許して?主人公視点にするとヒーローとして駄目な事しか思ってないから!


普段冷静な人が怒ると怖いよね

 地面が崩れ去る浮遊感と、強い揺れによる三半規管へのダメージ。まさかこんな無茶な攻撃をするなんて……と思うが止める手段が無い。

 揺れが収まるのを待ち次にどうするかと頭を回す。恐らく周りは滅茶苦茶。皆とは散り散りになっているだろう。

 

(揺れが収まっ……た?)

 

 揺れが収まり1秒経っただろうかという時間。そこには安定した地面と、何が起こったのか分からずに驚いた表情の皆の顔。恐らく僕も皆と同じ表情をしているだろう。

 先程まで確かに割れて荒れていた地面は元通りの状態。目線を少し移すと冷や汗を垂らしている真堂くんの顔。

 

(こんな事出来る人なんて一人しか……!)

 

 地面を戻した張本人を探そうとした瞬間に鳴り響く3発の銃声。シン……と静まり返った場によく響くその音は、探そうとした張本人が空に向かって鳴らしていた。

 

(良かった無事だっ……たっ!?)

 

 その張本人、物見さんから発せられる確かな怒気。今までの彼女から見た事がないその雰囲気に気圧される。

 誰も何も言えない。全員が物見さんの怒気に圧されている。何をするのかと一挙手一投足を眺めている。

 

「おいクソ野郎」

 

 ようやく発した第一声は、今までの物見さんからは考えられない程に、冷たい声だった。

 そして僕たちは何もサインを出していないのに同時に顔を合わせている。皆同じことを考えているのだろう。

 

(滅茶苦茶怒ってる!?)

 

 僕は今まで物見さんの怒った姿を見た事がなかった。基本何をしても溜息か苦笑いで流している彼女が、何故か怒っていた。

 しかもただ怒っているだけじゃない……雰囲気で分かる。ガチギレだ。かっちゃんのキレ方とは明らかに違う。

 

(え?何で物見さんが!?仲間を傷つけられたから!?)

 

 物見さんそんなキャラだったけ!?と内心パニくっていると、物見さんが言葉を続ける。

 

「懺悔の用意は出来ているか?」

 

 そう言って銃口を真堂くんに向けている物見さん。その顔は見えないが恐らく笑っていないだろう。

 

(えっ!?ちょ物見さん!?かっちゃん以上に理不尽だよ!?せめて理由を言おう!?)

 

 何であんなに怒っているのか見当がつかずに焦っていると、どこかから声が聞こえる。

 

「あの物見さんの状態は……」

「知っているのかヤオモモ」

 

 物見さんと仲が良い芦戸さんと八百万さんだった。

 

「ええ。物見さんは本来「壊す」という行為が嫌いなんです。大嫌いです。それを今までコラテラルダメージだと言い聞かせていましたが」

「それが何で今頃になって!?」

 

 本当だよ!?

 

「それは彼が、彼女にとって嫌いになる……つまり怒る条件「分かってて・抑えず・ヒーロー志望が・個性で・無差別に」の5つを全部達成してしまったんです」

「え!?そんな条件あったの!?」

 

 その条件を聞いた瞬間、僕の中でも冷や汗が流れる。過去の僕に4つが当て嵌まってる!?抑えずじゃなくて抑えられずだけど!

 解説を聞きながら内心焦っていると、真堂くんがどうにか動こうとするが、物見さんの銃弾によって肩が大きく弾ける。

 

「被害無視の攻撃が貴様の必殺技か?」

「……」

「ヴィラン相手に使うつもりか?」

「そうだ」

「規模は違えど街中でも使うか?」

「……」

「どんだけ被害出ると思っていやがる」

「……」

「報告書クッソ面倒なんだぞ?書いた事あるか?マウントレディの事務員が何回報告書で泣いたと思ってる?」

「いや……知らな」

「はい論外」

 

 なんだろう……物凄い実感が籠っている言葉が並べられている。声は冷たいままだけど。

 

「プロ志望なら今後の事も考えろ」

「……」

「ヴィラン倒した後に地獄の報告書作成したいか?」

「……」

「被害金額で延々と赤字になるヒーロー人生送りたいか?」

「……」

「おいクソ野郎」

「……はい」

「プロ舐めんな」

「…………はい」

 

 やめて!?現実的な話を持ち込まないで!?ああ……話を聞いた受験生の目が……皆の目が虚ろな目をしてる!!主に遠慮なしに攻撃して来た人達が!!

 

「緑谷お前もだぞ」

「は、はい!」

 

 僕まで!?いやA組で一番被害出してるけど!!ごめんなさいぃ!!。

 ここら一帯に何とも言えない空気が漂っていた。真堂くんが何も言わずに手を上げている。

 

「無意味な抵抗はしない。ヒーローらしく潔く降参するよ」

「そうか来年また頑張れ」

 

 無抵抗の真堂くんに近づく物見さん。周りは誰も動かない、動けるわけがない。そしてボールを3つ持ち、各ポインターに当てる。

 そして暗い顔をした数名の受験者が近づき手を上げる。無抵抗の意志を示す。その行動の意を汲み取りボールを押し当てる。

 

『合格者数残り100名』

 

 物見さんの1次試験突破のアナウンスが入り、物見さんがその場を離脱する。

 あれが物見さんの……皆に認められたヒーローの言葉。本物のカリスマかぁ。

 

(って物見さん!?この場の空気どうするの!?)

 

 ……お通夜状態が去るのはもう少し先であった。




 これでいいのか本当に迷いながら投稿。駄目そうなら書き直します!


 被害がデカいプロの事務員を体験したからこそ、言える事ってあるよね。
 そこまで暴力に訴えない。平和主義者な主人公!

 初めはストレートに「死ね」って言わせる予定でしたけど、少しばかりの良心が邪魔をしてしまった。仕方ないよねハルトォォォォォォォォォォ!!
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