チートそうでチートじゃない、けどあったら便利。そんな個性   作:八神っち

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轟?知るか馬鹿!そんな事よりレスキューだ!

 追加の爆破が起きて、騒然とする各エリア。ほぼ救助が完了していた市街地と工場エリアに居たヒーロー達は、手分けして他エリアと出現したヴィランへの対処に向かっていた。

 

「おーおー轟の個性はやっぱ目立つなー」

 

 全体確認の為に高い場所を飛んで貰っていた私は、現れる大氷塊にそんな声を上げていた。

 

「物見さん俺たちも向かいますか?」

「いや必要無いだろ。それよりレスキュー優先だ」

 

 既に2エリア分のヒーロー約30名程度が対処に当たっている。それに敵味方の乱戦となると、私達では逆に邪魔だろう。

 

「じゃ被害が大きそうな崖エリアへ頼む」

 

 夜嵐にお願いし飛んで貰う。本当に便利。サイドキックになってくんないかな。

 

「人が集まっている場所は……っと」

 

 対処の為にせわしなく動く人影に近づいて貰い、その中である人物を発見する。

 

「お、爆豪。お前は向こうに行かねーの?」

「うっせーロン毛。今はそれどころじゃねーだろ」

「おい爆豪!すまん物見。見ての通りだ」

「安心しろレスキューは私達が引き継ごう。爆豪の機動力なら今から行っても間に合うだろ。あ、切島は残れ。現状報告だ」

 

 人柄的に爆豪にレスキューは向いてない。機動力が無い切島は向かって間に合うか微妙。上鳴?切島と同理由だ。

 

「ほら爆豪だけでも行った行った。鬱憤晴らししてこい」

「……チッ!指図すんじゃねー」

 

 と、いいながらも、その場から爆破で飛び上がりヴィラン襲撃地点へ向かう。轟と爆豪が居ればどうにかなるだろ。轟はともかく爆豪は割と加減を知ってるし。

 

「さて、切島。状況の報告を」

「あ、ああ……」

 

 そうして切島から情報を受け取り危険地帯への対処へ向かおうとする。

 

「レップウ。個性はまだ持つか?」

「大丈夫っス!」

「って物見は夜嵐と組んでるのかよ」

「成り行きでな。ま、そんじゃ私達は行くわ。情報ありがとな切島」

「おう!気を付けろよな!夜嵐も!」

「はい!また結果発表で!」

 

 上鳴?知らない子ですね。夜嵐も大声で言葉を告げながらも飛び去る。そして切島の指定場所の状況を確認。

 かなり大きな崖崩れが起きているエリアを纏めて視認し、夜嵐に耳を塞ぐ様に指示。

 銃で上方向に2発発砲し、音で存在を知らせる。そしてもう1発撃ってから、個性を発動させる。風の影響で飛距離は伸びず撃った銃弾は落ちて行く。

 

「悪いなレップウ。音が響くだろ」

「問題ないっス!」

「なら良かった」

 

 崩れていたエリアから救援感謝のジェスチャーと、ここは大丈夫の意を示すサインが出る。

 

「さて、あとは水辺と森か……」

 

 どちらが近いかと考えを巡らせる。火事になっている森が優先か?と、今更な考えが浮かぶ。

 

「レップウ森へ!」

「はいっス!」

 

 そして大急ぎで向かっている途中で、ブザー音が鳴り響きその後にアナウンスが流れる。

 

『只今を持ちまして配置された全てのHUCが、危険区域より救助されました。まことに勝手ではございますが、これにて仮免試験全工程終了となります』

 

 ヴィラン乱入から10分経たずの放送であった。てか時間的に崖エリアで最後だったのか?

 集計の後に合否発表があるらしい。はてさて、どうなるかね。

 

「ヒーローレップウ。今回の協力感謝する」

「こちらこそ良い経験をさせて貰ったっス!光栄でした!」

 

 互いに感謝の言葉を述べ、そうして私達は指定された場所に戻るのであった。

 

…………………………

 

 さて、採点方法の発表やらがあり、合格者発表。A組はと言えばだ。

 

「爆豪お前……」

 

 爆豪だけ名前が無かった。ただ原因は明らかであるため、何とも言えなかった。上鳴が茶化している。そして結果が配られるが……

 

「む、98点……」

「え?モノミン満点じゃないの?」

「マジ?減点される要素あった?」

「むしろ物見さんが何で減点されたのかが気になりますわ」

 

 その2点の内訳というのがだ……

 

・象徴たるメイド服じゃない -1

・スカートであんだけ飛び回るのは如何なものか -1

 

 ……割と理不尽な理由であった。てかメイド服関係無いだろ。

 

「スカートは納得ですわ。あれだけはためかせていたら殿方は気になるでしょうし」

「中見られても問題無い厚手の白タイツなんだがな」

「でもスカートだしね。それに物見は美人さんだし!」

「おい全裸手袋の葉隠と、ジャケットオンリーの八百万が言えた義理じゃねーぞ」

 

 葉隠と八百万に言われるのだけはどうも納得いかない。私程露出少ないのも居ないだろ。

 

「ま、あんな飛び回る機会そうそうねーよ」

 

 メイド服への印象も、今回の仮免で薄れて欲しいものだが。

 

「そういえばモノミン」

「どうした芦戸」

「士傑の彼と随分仲良さそうにしてたね。服装も相まってお似合いだったよ!」

「確かに。あの互いに信頼している感じは凄かったな」

 

 切島が会った時の印象を述べる。

 

「彼とは初対面なんだよね?」

「初対面だし、一次試験通過者の控室で少し話した程度だ」

「おいおいオイラには冷たくするのに何であんな奴と!」

「いや峰田は自業自得だから」

「それでどうなんですの?」

「どうとは?」

 

 女子達の言いたい事は大体分かってしまう。

 

「彼は好印象でしたか?」

「ぶっちゃけ惚れた?」

 

 まあ恋愛に繋げたがるよな。

 

「むしろそういう下心が無いからこその、信頼関係だったと思っておけ」

 

 初見で見て来る男子の誰もが顔の確認の後に、胸やらスカート部分やら見て来るが、夜嵐はそれが無かった。

 それに敬意を払って接してくれる相手ならばそれに応えるぞ。

 

「それとだ……芦戸と他女子、その手の発言は私に対する侮辱だと思っておけ」

「うっ……ごめんなさい」

 

 おこである。

 

「物見」

「どうした?轟」

 

 何か微妙そうな雰囲気の轟。何かしたっけ?

 

「夜嵐はどんな奴だった」

「えーと?」

 

 轟からしてその手の話題じゃないという事は……うむ。

 

「あんな気が良い奴なかなかいねーわと思うな。正直あいつから嫌われる方法がヒーローである限り思いつかん」

「……そうか」

 

 それだけ言って立ち去る轟。何がしたかったのか。ま、私には関係無いか。

 

 そんな話をしている間に、仮免許取得時点での注意事項や、2次落ちた連中の復帰手段の連絡があり、お開きとなった。

 壊れた会場の復興?知らん。調子乗って爆薬マシマシにした運営側の自業自得だ。

 私は明日から忙しいのだ。




 仮免試験終わり。3エリア分のレスキューをさっさと済ませたため、他のヒーローが自由になり、早く終わりました。

 次から幕間です!誕生日やら何やら。色々書きます!

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