チートそうでチートじゃない、けどあったら便利。そんな個性   作:八神っち

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 文化祭の前準備は投げ捨てる物。だって主人公ダンス参加しないもの。今回も短いデース。前の話と統合してもいいレベル。


文化祭だからよ・・・

 学生っぽい物の1つ文化祭。A組の出し物がバンドとダンスに決まるも、私はどちらにも不参加であった。

 理由は単純明快、ミスコンに出場するから。とはいえ通常ですらも忙しい故に練習時間もロクに取れないので出演時間は少ない。

 

「うっわ客多っ!」

 

 そんな事を呟く私が居るのは参加者控え室。私の出番は最後である為、ついさっきまで文化祭を見て回っていた……一人で。

 招待客に囲まれてサインだの握手だののファンサービスをしていた為、誰とも一緒に回れなかったのだ。元々そんな気はしてたので諦めてはいたけどさー。

 あ、当然A組の出し物は見たし普通科C組の出し物も見に行った。良かったぞ(小並感)

 

「あんまり期待されても困るんだけどね」

 

 私自身、今回のミスコンは残念ながら女性らしさを見せる気は無い。だからグラビア的な目的で来た人には残念になるだろう。

 そんな事を思っているとアナウンスがかかる、出番か。

 

「…………」

 

 先程まで興奮気味だった会場が、私の入場と共にシン……と静まり返る。理由は私の恰好だろうな。

 

「はぅ……」

 

 何人かの女性客からそんな熱い吐息が漏れる。逆に男性客はざわついている。ざわ……ざわ……している。

 私の恰好は女性らしさが無い、誕生日プレゼントに貰った執事服である。髪型はポニーテールで男装の麗人感を強く出している。

 そして装備は片手に私が通常使っている拳銃を握っている。ホルスターも太もも部分に弾と共にセットしている。

 

「……」

 

 ステージ中央までやって来て手を胸にあてて一礼。いつものメイド服や軍服ならスカートの裾を持ち上げてだが執事服なので問題無い。

 

 挨拶等は一切なしで演技に入らせて貰う。

 ポケットから取り出すのはガラスの破片。それを客に見える様に1度掲げた後に、頭上に放り投げる。そして目線を合わせて投げたガラス片を持っていた銃で撃ち抜く。

 

 パン!と乾いた音とパリンとガラス片が更に砕けて飛び散る音が聞こえる。そして頭上で四方八方に散らばる内の4つを視界に収めて個性を使う。

 

「……」

 

 上から私を囲む様にガラスの花が4つ降り咲く。その花はぱっと見何なのかは分からないだろう。だが、私のやりたい事を理解した観客は息を飲む。

 

「フッ……」

 

 不敵に笑って取り出すガラス片。それを方向様々に高めに投げては撃ち抜いてはそこから花を咲かせる。

 

 タン!タン!タン!と小気味良いリズムでガラス片を取り出し撃って行き、弾切れの前にマガジンを瞬時に入れ替えては再度撃って行く。

 

「……」

 

 時に花ではなく雪の結晶を降り咲かせて飽きない様に工夫を凝らす。様々なガラスの花で演技スペースを埋めていく。

 

「……最後だ」

 

 マガジン3個分の弾を撃ち尽くし、銃をホルスターに仕舞う。そして取り出すのは鉄の破片。それを最初と同じように頭上に……自分の真後ろになる様に投げて個性を使う。

 

「迷いの無い旗を高く掲げて……ってね」

 

 私の背後には大きな鉄製の花。茎部分が旗の様に刺さっている。

 ガラスと違い決して散らない鉄の華。

 種類はアサギスイセン……別名フリージア。誰にも伝わらない私だけの決意表明。

 最後に一礼を済ませて、私の演技は拍手を受けて終わりを告げる。

 

…………………………

 

 

 優勝はしなかった……まあ男装時点で優勝は狙っていない。私はただやれる事とやりたかった事をやっただけだ。

 

「時間も5分30秒キッチリにしたしな」

 

 こうして私の文化祭は終わりを迎える。

 ちなみに私を象徴する旗の印がフリージアに決まったのは言うまでも無いだろう。

 学校から旗の代わりに腕章として校長から贈られた。ビルボードチャートまであと少しである。

 




 結論:フリージアはいいぞ

 ちなみにガラスの代わりに轟君の出した氷を使ってやるという事も考えたけどやめました。

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